1216日・木

 Grimdark Magazine 記事を見て、Conan's Brethren をアマゾンで購入。紙版はハードカヴァーは200ドル、トレード・ペーパーは皆無。よって Kindle 版を購入。

Conan's Brethren (English Edition)
Howard, Robert E.
Gateway
2011-04-28


 The Complete Chronicles Of Conan の姉妹篇として、同じく Stephen Jones が編集して、Solomon KaneKull of ValusiaBran Mak Morn などの、コナン以外のハワードのヒーローものを集めた1冊。編者の後記は各々のヒーローの経歴を詳細に語る。パルプ雑誌、コミックスのカヴァー多数。コナンは一通り読んだが、こちらはまったく未読。

 面白いのはコナンものもそうだが、中篇が短篇より多いこと。こういう話はやはり中篇になるのだろう。

 巻頭のハワードの「序文」が面白い。これは Harold Preece とラヴクラフトの各々にあてた書簡から抜粋して組み立てたものの由だが、スコットランドの先住民の一つであるピクト族になぜかひどく惹かれたことから、ソロモン・ケインやブラン・マク・モーンが生まれた経緯を語る。むろんハワードが惹かれたピクト族は歴史に存在した人びとが元になってはいるものの、完全に架空の、ハワードが想像した人間たちであることは本人も自覚している。一方でハワードはスコットランド、アイルランドの歴史については相当に勉強している。オタクと言っていい。

 初めはソロモン・ケインものが並ぶ、その先頭に "Solomon Kane's Homecoming" という詩が掲げられている。ドナルド・ウォルハイムが Wilson Shepherd と出した創刊号だけで終った同人誌 Fanciful Tales of Time and Space に、死の直後1936年に掲載されたものだそうだが、これがなかなか良い。ラヴクラフトの言うとおり、伝承バラッド、叙事詩の趣がある。これだけで立派な1個の短篇になっていて、しかも、この話はこういう形でしか語れないと思わせる。ヒーローの最後とはこういうものでしかありえない。

 ISFDB のハワードの項を眺めていると、あらためてその執筆量の大きさに圧倒される。小説はもちろんだが、それに加えて、ラヴクラフトはじめ、膨大な書簡を書いてもいる。詩も多い。バートランド・ラッセルが書き残したものの量の多さは伝記作者には重圧だと、その伝記を書いたレイ・モンクが嘆いていたが、ラッセルは90年生きた。ハワードの活動期間は10年だ。

 ハワードは自殺だが、短期間に膨大な量の、質の高い小説を量産したことでは長谷川海太郎に比肩あるいは凌駕する。ハワード1906-01-22/1936-06-11。長谷川 1900-01-17/ 1935-06-29、それにスコットランドのルイス・ギボン 1901-02-13/1935-02-07 とほぼ同時期。3人いれば偶然ではなくなる。20世紀最初の35年に何があったのか。



##本日のグレイトフル・デッド

 1216日には1968年から1994年まで5本のショウをしている。公式リリースは完全版が1本。


1. 1968 The Matrix, San Francisco, CA

 ウィアとピグペン抜きの Mickey Hart and Hartbeats 名義。テープにはいずれも40分前後のジャムが2本入っており、前半に Jack Cassady Spencer Dryden、後半に Jack Cassady David Getz が参加している。

 スペンサー・ドライデン (1938-2005) はジェファーソン・エアプレインとニュー・ライダーズ・オヴ・パープル・セイジのドラマー。

 デヴィッド・ゲッツ (1940-) はビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニーとカントリー・ジョー&ザ・フィッシュのドラマー。

 厳密にはデッドのショウとは言えないし、テープの存在のみで知られるイベントで、サンフランシスコ・クロニクルには広告も記事も、このイベントに関するものは皆無だそうだ。


2. 1978 Nashville Municipal Auditorium, Nashville, TN

 8ドル。開演7時。


3. 1986 Oakland-Alameda County Coliseum Arena, Oakland, CA

 16.50ドル。開演8時。このヴェニュー3日連続の中日。

 第二部 Drums から〈Iko Iko〉までとアンコール〈In The Midnight Hour〉にネヴィル・ブラザーズが参加。


4. 1992 Oakland Coliseum Arena, Oakland, CA

 開演7時。このヴェニュー4本連続の3本目。《Dick’s Picks, Vol. 27》で全体がリリースされた。


5. 1994 Los Angeles Sports Arena, Los Angeles, CA

 このヴェニュー4本連続の2本目。全篇ブランフォード・マルサリスが参加。(ゆ)