1221日・火

 チーフテンズ60周年記念ベスト盤の見本が到着。ライナーを点検すると「マイケル・タブリディ」のはずが「マイケル・タルビディ」になっている。ひょっとするととオリジナルの英語版ブックレットを見ると "Tubridy" とあるべきところ、b と r がひっくり返って、全部 "Turbidy" になっている。あちゃー。ユニバーサルの担当者が気をきかせてこの英語版に合わせたらしい。ゲラでは「タブリディ」だった。あわてて連絡するが、初回にはむろん間に合わない。

 ということで、初回を購入された皆様、「タルビディ」は「タブリディ」と読みかえてくだされ。

 それにしても英語版の編集もいい加減だのう。人名は一番気をつけなければならないところなのに。

 このライナーはずっとチーフテンズを追いかけてこられたファンには目新しいことは何も無い。一つだけ、自分ではこれまで書いたことがなかったことにマーティン・フェイの重視がある。チーフテンズはフェイのバンドだという人もいるくらいだが、一般的には一番目立たないメンバーではある。もっとも、わが国ではとりわけ若い女性に人気がある。他の国・地域での事情は知らないが、わが国の女性たちは人を見る目が鍛えられているのか。

 それとこれに初めて収録された音源はいずれもライヴ録音で、貴重なものだ。2曲は、「無謀」と言われた1975年の初のロイヤル・アルバート・ホール公演から、2曲はマット・モロイ参加直後で、これらはいずれもチーフテンズだけの演奏。残りの1曲は1990年代末のヴァン・モリソンとの共演。



##本日のグレイトフル・デッド

 1221日には1966年から1978年まで5本のショウをしている。公式リリースは1本。


1. 1966 Continental Ballroom, Santa Clara, CA

 1.50ドル。81/2 - 121/2 とポスターにあるのは、8時半から12時半のことか。ポスターのイラストはアダムズ・ファミリー。


2. 1968 Shrine Exhibition Hall, Los Angeles, CA

 2日連続のランの2日目。カントリー・ジョー&ザ・フィッシュの前座。この日は1時間強やっている。


3. 1969 Fillmore Auditorium, San Francisco, CA

 3日連続のランの最終日。曲数にして全体の約6割、1時間15分が《Dave’s Picks Bonus Disc 2013》でリリースされた。

 全体に前日よりもエネルギーのレベルが上。ガルシアのギターもこちらの方が調子が良い。オープナーはピグペンのブルーズ・ナンバーで、前日とは人が変わったよう。切れ目無しに続く〈New Speedway Boogie〉は2度目の演奏だが、ずっとスムーズに歌われる。〈China Cat Sunflower> I Know You Rider〉でのジャムも全員が噛みあっている。そこから切れ目無しに〈Black Peter〉に移るあたりも調子の良い証。〈The Other One〉は組曲でやっているが、ここではドラムスのソロとそれに続く〈The Other One〉のみピックアップして、前後の〈Cryptical Envelopment〉は省略。ドラムスは主にクロイツマンが叩き、ハートは時折りオカズを入れる。

 〈The Other One〉のような曲になると、ガルシアの抽斗の数の不足が目につく。もっともここではベースが引っぱってバンド全体の演奏になるので、その不足が欠点にならない。ガルシアもこれまでのブルーズ・ギターをベースとしたスタイルでは、これ以上の展望が開けないことを自覚していたのかもしれない。ハワード・ウェールズとの、続いてマール・サンダースとのセッションを始めるのは、よりシステマティックにそれまで触れていない音楽を吸収しようという動機が働いていなかったか。意図はともかく、このセッションでジャズやポップスのスタンダードを学んだことで、1970年以降、ギターのスタイル、フレーズが変わってくる。

  この年はこの後、クリスマスの翌日テキサスに飛び、フロリダでやった後、大晦日に向けて3日連続でボストン。


4. 1970 Pepperland, San Rafael, CA

 3ドル。まず Jerry Hahn Brotherhood、次に John Kahn が入っているブルーズ・バンド、次がニュー・ライダーズ・オヴ・パープル・セイジ。午前2時を回った頃、ガルシア、レシュ、ハートまたはクロイツマン、デヴィッド・クロスビーが出てくる。ガルシアが "David & the Ding-A-Lings" とバンドを紹介すると、クロスビーは "Jerry & the Jets" だと返す。広告では「アコースティック・デッド」となっていたが、実際にはエレクトリック。これを伝えた Michael Parrish はここで翌日仕事のある友人に引っぱり出されたので、その後、デッドとしてやったかどうかはわからない。ウィアとピグペンもバックステージに姿が見えた。

 ガルシアの公式サイトではクロイツマンになっていて、Jerry Garcia's Middle Finger のブログの記事についたコメントによればそちらが正確のようだ。

 Jerry Hahn 1940年ネブラスカ生まれのジャズ・ギタリスト。7歳でギターを始め、11歳でプロのバンドに参加。1962年にサンフランシスコに移る。Jerry Hahn Brotherhood ドラムスの George Marsh, ベースの Mel Graves, キーボードの  Mike Finnigan とのカルテットで、1970年にアルバムを出している。スワンプ・ロックとジャズの融合として成功している由。今年紙ジャケCD再発された。Tidal にあり。


5. 1978 The Summit, Houston, TX

 8.35ドル。35セントは駐車料金。 開演7時半。(ゆ)