02月13日・日
本や CD を買おうとして、送料がどかんと上がっているのに気がついた。アメリカは昔から海外への送料が非関税障壁と思えるほどバカ高かったから、そう変化は感じないが、問題は UK である。大英帝国の遺産で、UK は世界中にモノを安く送るシステムがあるのだと信じていた。それくらい安かった。アイルランドから来るよりもずっと安い。安かった。大陸からはほとんど買わないのでわからないが、アイルランドと変わらないはずだ。
今回はその UK からの送料が上がっている。ブツの価格の半分、または超える。パンデミックだけでなく、Brexit の影響も加わっているのかもしれない。
これではブツは買えなくなる。新刊はまだいい。電子版がある。問題は古書しかないものだ。CD はクレジットや楽曲解説がネット上で手に入るものについてはファイルのダウンロードまたはストリーミングに移行するしかない。実際、デッド関連で古い録音を聴くのはほぼ Tidal に頼っている。幸い、多少とも名の通ったアーティストの録音は Tidal でほぼ網羅されている。Tidal に無いようなマイナーあるいはもっと名を知られていない人たちの録音は他でも無い。
しかし、ブツが必要な場合も、音楽では少なくない。困ったことである。
一度上がった送料は、そう簡単には下がるまい。本や CD だけに限るものではないことはもちろんだ。わが国はたいていのものを輸入している。その昔、『ジャンプ』が1号出ると、インドネシアの山が一つ禿山になる、と言われた。まあ、コミックも電子版の方が売上が上になっている。にしても、だ。
患者数は減っても、パンデミックの影響は、むしろこれから深く広く広がってゆくんじゃないか。
##本日のグレイトフル・デッド
02月13日には1970年と1988年の2本のショウをしている。1970年の方は公式リリースがある。
1. 1970 Fillmore East, New York, NY
このヴェニュー3本連続の2本目。遅番ショウからの4曲が《History Of The Grateful Dead, Vol. 1 (Bear's Choice)》で、早番ショウの3曲目〈Good Lovin'〉が、《The Golden Road》収録の《History Of The Grateful Dead, Vol. 1》のボーナス・トラックで、遅番ショウ後半の〈Dark Star> That's It for the Other One> Turn On Your Lovelight〉が《Dick's Picks, Volume 4》で、それぞれリリースされた。遅番ショウは前半がアコースティック・セットで〈Dark Star> That's It for the Other One> Turn On Your Lovelight〉がエレクトリック。
全部で2時間10分強。
DeadBase XI のレポートで John W. Scott はこのショウのテープを「無人島テープ」の1本に挙げている。
早番ショウの〈Good Lovin'〉と遅番ショウのアコースティック・セットの〈Katie Mae〉のピグペンは、全盛期もかくやという演奏。長年、周囲が薦めていたが、本人はどうしてもやろうとしなかったこと、自分のギター1本で歌うことを、この時、初めてこの曲でやった。ベアがこのショウをその追悼に選んだのもよくわかる。エレクトリック・セット〈Dark Star> That's It for the Other One〉も、このショウがデッド史上最高の1本であると言われても、なるほどとうなずける。〈Dark Star〉では、スペーシーな音の散らしは比較的短かく、ドライヴの効いたジャムが続く。〈That's It for the Other One〉のジャムも、後半、延々とエネルギーが切れない。どちらも30分。ただこれまた30分近い〈Turn On Your Lovelight〉ではピグペンが息切れしてしまっている。バンドは盛り立てようとして、何とか最後まで保たせる。これを凄いというジョン・スコットの弁は正直理解できない。スコットもその場にいたわけではなく、テープで聴いている、とこのレポートを読むかぎりは思われる。
ベアことアウズレィ・スタンリィは草創期のデッドにとっては不可欠の人間だ。一つには質の良い LSD を製造する技に長けて、LSD そのものの供給源として、LSD の販売による財産によってデッドの財政を一部支えたパトロンとして、そして、デッドのPA装置の音質の向上に大きな貢献をし、またそのショウの録音を始めたエンジニアとして、の3つが大きい。加えるに、デッドのトレードマークの一つである頭蓋骨の中の稲妻を考案したのもベアである。また後にデッドのシンボルの一つとなる踊るクマのイラストも、かれがモデルだといわれる。
あたしら、後世のリスナーにとっては、エンジニアとしてまことにありがたい存在だ。1960年代から1970年頃までの原始デッドのショウのサウンドボード録音はほとんどがベアの手になる。エンジニアとしての腕も抜群で、おかげでデッドのショウはPAの音がよく、それをクリアに録音してくれている。かれも立ち上げに参加した音響工房 Alembic はショウの音響の改善を追求して、ついには "Wall of Sound" に行きつく。
《History Of》は続篇がついに出なかったが、《Live/Dead》と《Grateful Dead (Skull & Roses)》の間をつなぐライヴ盤として、当時は貴重だった。アコースティック・セットの録音も《Reckoning》が出るまでは他には無い。
2. 1988 Henry J. Kaiser Convention Center, Oakland, CA
このヴェニュー4本連続の初日。この年最初のショウ。開演8時。
年初の一発目でまだバンドは目覚めていない。(ゆ)

コメント