02月15日・火
Tidal でデッド関連の音源を聴く。ジャニス・ジョプリンの《Pearl》はバック・バンドの質の高さは一聴瞭然。ジャニスも水を得た魚のように活き活きしている。ただ、《Cheap Thrills》に比べると、ややコンパクトにまとまっている。これは完成されたシンガーのアルバムだ。
《Cheap Thrills》はバンドがジョプリンについていけないだけ、ヒロインの野性が表に出る。モンタレーでのあのパフォーマンスを引き出すには、ビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニーのヘタさが必要だった、という気もする。つまり、ジャニスというロケットを地上から打ちあげるには、ヘタでもなんでも、闇雲なエネルギー、八方破れの突進が必要だった。しかし、それ以上に、シンガー本来の軌道に乗せるには、まったく能力不足だったわけだ。それはバンド以外の周囲の人間には誰の目にも明らかだったようでもある。今聴いても、それはわかる。
その本来の軌道の先に何があったか、ついにわからないのは、やはり惜しい。
ロケットの初段には闇雲な、八方破れの生のエネルギーが必要というのはデッドにも通じる。1960年代の「原始デッド」のショウに感じられるのは同じエネルギーだ。1970年代になると、生々しさ、八方破れな態度は後退し、代わってよりコントロールの効いた、質の高い音楽が現れる。
##本日のグレイトフル・デッド
02月15日には1968年から1973年まで3本のショウをしている。公式リリースは無し。
1. 1968 San Quentin State Prison, San Quentin, CA
前日のショウの最後に、明日の午後、サン・クエンティン刑務所でカントリー・ジョー&ザ・フィッシュ、デッド、ジェファーソン・エアプレイン、それに他にもいくつかのバンドのメンバーが演奏することが発表された。刑務所外の草の生えた丘の斜面で、トラックの荷台をステージにして、ガルシア、キャサディ、シャーラタンズのメンバー、CJ&F の Barry "the Fish" Melton が演奏した。刑務所の中では囚人たちのストライキが起きるか起きないか、一触即発になった。この草地には500人ほどのヒッピーが集まり、音楽に合わせて踊った。
2. 1969 Electric Factory, Philadelphia, PA
このヴェニュー2日連続の2日目。3時間近い。
3. 1973 Dane County Coliseum, Madison, WI
前売4ドル、当日5ドル。開演7時半。この年2本めだが、すばらしいショウの由。
会場は現在は Veterans Memorial Coliseum という名称で、Alliant Energy Center と呼ばれる複合施設の一角をなす多目的屋内アリーナ。1967年オープン、2003-2004年に完全改修されて、座席数10,231。デッドがここで演るのはこれが最初で、以後この年10月、1978、79、81、83年と、計6回ショウをしている。うち1978-02-03の一部が《Dick's Picks, Vol. 18》でリリースされた他、1981-12-03の〈It's All Over Now, Baby Blue〉が《Postcards Of The Hanging》で、1973-10-25の〈Dark Star> Eyes Of The World> Stella Blue〉が2021年の《30 Days Of Dead》で各々リリースされた。
ここから2月一杯、中部のミニ・ツアー。(ゆ)
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