03月18日・金
午後、宅急便で Apple Store に注文したiPhone SE3, Red。古いモデルから新しいものへのモロモロの移行、設定は実に簡単。初め、古い方に SIM を残したまま同期を始めてしまったが、一通り終ってから両方終了させて SIM を移し、起動したら、問題なくつながる。古いものの中身を消すのに手間がかかる。Apple のサポート・ページにある方法に従ってやってやれやれ、と思っていたら、古いものの下取りの予約設定メールからリンクで跳んだ先のページに別の方法があるので、念のため、そちらでもやる。とにかく、全部消えたはず。
新しい iPhone で Numbers のファイルを開けた。古い方では起動しても即終了してしまっていた。
##本日のグレイトフル・デッド
03月18日には1967年から1995年まで11本のショウをしている。公式リリースは5本。うち完全版2本。
01. 1967 Winterland, San Francisco, CA
土曜日。このヴェニュー2日連続の2日目。サンドル。開演8時。共演チャック・ベリー、Johnny Talbot & De Thangs。第二部2曲目〈Cream Puff War〉が2010年の《30 Days Of Dead》で、〈The Same Thing〉が《So Many Roads》でリリースされた。
〈Smokestack Lightnin'〉がデビュー。〈Golden Road To Unlimited Devotion〉がライヴとして初めて演奏された。後者は前日に発売されたファースト・アルバムがお披露目。普通はまずライヴで披露して揉んでからスタジオ盤に収録するから、これは珍しい。もっとも、この曲は実際にはこの時と、05月05日の2回しか演奏されていない。その割には有名な曲で、各種コンピレーションに収録されているし、後にデッドの回顧ボックスのうち、前半を収めたもののタイトルとなった。
前者は Chester Burnette にクレジットされるブルーズ・ナンバーで、録音としてはハウリング・ウルフのものが有名。当初はピグペンの持ち歌。1972年03月25日、ニューヨークを最後に一度レパートリィから落ち、1983年04月09日、ヴァージニア州ハンプトンで復活。以後、散発的ながら1994年10月18日、ニューヨークが最後。計53回演奏。
〈The Same Thing〉は始まりはピグペンがヴォーカルをとるどブルーズなのだが、途中からフォービート・ベースのデッド流即興になる。あるフレーズを何度も繰返すのもおそらく意図してやっている。デッドが本当にやりたかった音楽はこういうものなのだと思わせる。全キャリアを通しても名演の一つ。
02. 1968 Outside of 50 Green St., San Francisco, CA
日曜日。放送局の KMPX のストライキ集会で午前3時に演奏した由。
03. 1971 Fox Theatre, St. Louis, MO
木曜日。このヴェニュー2日連続の2日目。全体が《30 Trips Around The Sun》の1本としてリリースされた。
かっちりとまとまって、熱気のあるさわやかなショウ。バンドの転換期で、大半の曲が発展途上にある。〈Playing in the Band〉も〈Sugar Magnolia〉も〈Bertha〉、〈China > Rider〉いずれも短かく、さらりとしている。一方、それぞれの曲のエッセンスはよくわかる。
〈The Other One〉は前後の〈Cryptical Envelopment〉が落ち、真ん中の〈The Other One〉のみが演奏されるようになり、ガルシアのソロが長くなり、ジャムが入ってくる。〈Wharf Rat〉の展開も伸びている。〈Not Fade Away > Goin' Down The Road Feeling Bad > Caution (Do Not Stop On Tracks) > Feedback〉というつなぎは、原始デッドとアメリカーナ・デッドの折衷の形。
インストルメンタルを展開するジャムよりも、歌を聴かせる、歌う姿勢が前に出ている。デッドは歌うバンドであることがはっきり打ち出される。この基盤、土台あっての即興、インストルメンタル展開なのだ。まず歌をしっかり歌うこと。ガルシアもウィアもピグペンも、きっちりと歌っている。この70年代前半、アメリカーナ・デッドの初期は、デッドが最も歌を重視し、演奏の中心に置いていた時期でもある。原始デッドでも、70年代半ば以降でも、器楽の比率が増え、ジャムの面白さがデッドの音楽の面白さの中心になってくる。ここに現れた曲のエッセンスとはつまり、歌である。
04. 1977 Winterland Arena, San Francisco, CA
金曜日。このヴェニュー3日連続の初日。
〈Scarlet Begonias> Fire On The Mountain〉の組合せの初演。後者はこれが初演。〈Scarlet Begonias〉はハンター&ガルシア。1974年03月23日初演。このショウ以前は単独で演奏されて、そちらはそちらで名演も数ある。また若干だがこれ以後も単独で演奏されてもいる。トータル314回で38位。〈Fire On The Mountain〉はハンターの詞にミッキー・ハートが曲をつけた。このペアとして〈China Cat Sunflower> I Know You Rider〉と並ぶ人気曲となり、1995年07月02日まで、計230回演奏された。時に延々とジャムを展開し、両者合わせて30分を越えるようにもなる。このペアのベストの演奏はデッドの音楽を聴いていて最もスリリングな、最も幸せな時間だ。
05. 1988 Henry J. Kaiser Convention Center, Oakland, CA
金曜日。このヴェニュー3本連続の最終日。18.50ドル。開演8時。
06. 1990 Civic Center, Hartford, CT
日曜日。このヴェニュー2日連続の初日。20ドル。開演7時半。この2日間は当初ツアーの予定には入っておらず、直前に発表された。全体が《Spring 1990 (The Other One)》でリリースされた。
このショウはこの春のツアーの中でも一頭地を抜きんでている。まず冒頭の2曲がとんでもない。エネルギー漲り、音楽をやる歓びがあふれ出る。"Just gonna poke around" をガルシア、ミドランド、ウィアの3人が即興で言いかわし、その後ガルシアとミドランドが掛合い、続くガルシアのソロ、さらにミドランドのソロ、ともうじっとしていられない。さらにコーダ、ミドランドの叫び。
〈Shakedown Street 〉はきっちり終るが間髪を入れずにウィアがスライドを弾きだして〈Little Red Rooster 〉。触れれば血のほとばしるようなブルーズ・ナンバー。ウィアの声に気合いが入りまくり、その裏でガルシアが弾く音数の少ないスライド・ギターがそれはそれは美味しい。ヴォーカルをミドランドが引き継いで、今度はウィアがスライド・ギターでざくざくと斬りこむ。入れ替わりにガルシアがソロ。MIDI を使ってサックスの音を出す。ウィアがスライドを合わせ、ミドランドのハモンドがからむ。全身が総毛立つ。
この後も、ずっと同じテンションで突走る。アンコールの〈U.S. Blues〉まで、まったく隙が無い。できることは、その奔流に完全に身をゆだね、ただえへらえへら笑うことだけだ。
07. 1991 Capital Centre, Landover, MD
月曜日。このヴェニュー4本連続の2本目。22.50ドル。開演7時半。オープナーからの3曲〈Touch Of Grey; New Minglewood Blues; Ramble On Rose〉が昨年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。
ブルース・ホーンスビィが参加していて、〈New Minglewood Blues〉でいいピアノ・ソロを聴かせる。〈Ramble On Rose〉の MIDI を駆使したガルシアのソロが面白い。名演と言っていい。
08. 1992 The Spectrum, Philadelphia, PA
水曜日。このヴェニュー3日連続の最終日。開演7時半。
09. 1993 Capital Centre, Landover , MD
木曜日。このヴェニュー3日連続の最終日。開演7時半。第二部、アンコールまで含めてブルース・ホーンスビィ参加。良いショウの由。
10. 1994 Rosemont Horizon Arena, Rosemont, IL
金曜日。このヴェニュー3日連続の最終日。27.50ドル。開演7時半。
11. 1995 The Spectrum, Philadelphia, PA
土曜日。このヴェニュー3日連続の中日。開演7時半。クローザー前の〈Visions Of Johanna〉が《Fallout From The Phil Zone》でリリースされた。(ゆ)
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