04月05日・火
1972-04-07, Wembley Empire Pool, London でのショウを聴く。72年ヨーロッパ・ツアーの開始。このツアーのショウは長いものが多いので、腹を据えて聴かねばならない。先日聴き終えた1990年春のツアーはだいたい1本2時間半弱というところだが、この72年ヨーロッパ・ツアーの各ショウは04-21ブレーメンのビート・クラブを例外として、すべて2時間半を優に超え、4時間近いものもある。こうなると CD で4枚組だ。
デッドのショウはもともと長い。コンサートの契約書には通常「最長演奏時間」の項目がある。どんなに長くても、これ以上は演奏しないよ、という決まりだ。デッドの場合、「最短演奏時間」が書きこまれた。最低でもこれだけは演奏させろ、というので、どれくらい長くなるかは契約の上では決まっていなかった。施設やその街などのローカル・ルールによっていた。会場の制限を破ることは常習で、機器のコンセントを抜かれたのも一度や二度ではない。1980年代になっても、「終演は午前零時で絶対厳守のこと」と、スケジュール表に書かれたりしている。開演は7時半や8時だ。かれらはとにかく一緒に演奏するのが何よりも好きだったのだ。この点でも、ロック・バンドというよりはジャズやアイリッシュ・ミュージックなどの伝統音楽のミュージシャンの仲間だ。
1972〜73年はショウの時間が最も長くなった時期で、CD でも3時間を超えるのがザラである。曲間や休憩などはカットしてその時間になる。ツアー開始の07日のロンドンは CD で2時間44分。翌日の同じ会場は2時間59分。このツアーは04月07日から05月26日までの50日間に22本という、かなりゆるやかなスケジュールではあるのだが、04月下旬からは1977年春のツアーが入ってくる。終りはほぼ同時。両方が重なる日もある。さて、どうしたものか。
それにしても、毎日、3、4本のショウの録音を2年間聴きつづけた、という猛者もいるのは見習うべきか。
##本日のグレイトフル・デッド
04月05日には1969年から1995年まで9本のショウをしている。公式リリースは3本。
1. 1969 Avalon Ballroom, San Francisco, CA
土曜日。このヴェニュー3日連続の中日。オープニングの2曲〈Dupree's Diamond Blues> Mountains Of The Moon〉でガルシアはアコースティック・ギター。続くジャムの途中でエレクトリックに持ち替える。第二部ないし遅番ショウが進んで〈I Know It's A Sin〉が終ったところで、ガルシアが客席に「あと10分、何が聴きたい?」と訊ねた。おそらくはヴェニューのステージ・マネージャーからあと10分と言われたのだろう。その後〈Alligator〉から20分近く演奏した。おそらくこのためであろう、翌日〈Viola Lee Blues〉の途中で、マネージャーはデッドの機器のコンセントを引き抜いた。
2. 1971 Manhattan Center, New York, NY
日曜日。このヴェニュー3日連続のランの中日。第一部6曲目〈Big Railroad Blues〉と第二部10・11曲目〈Not Fade Away> Goin' Down The Road Feeling Bad〉が《Skull & Roses》でリリースされた。
《Skull & Roses》のオリジナル版の収録曲は1曲を除いてニューヨークでのショウからとられている。この年の04月04日から29日までの春のツアー後半は、ニューヨークに始まり、マサチューセッツ、ペンシルヴェイニア、ニュー・ジャージー、ロード・アイランド、メイン、ノース・カロライナと回って、ニューヨークのフィルモア・イーストでの5日連続のランで締める。計20本のうち、最初と最後のニューヨークでのショウからの収録である。例外の1曲は03月24日のウィンターランドだ。
そうしてあらためて見てみると、アナログ時代のライヴ・アルバムに収録されているのはサンフランシスコかニューヨークか、どちらかでの演奏だけだ。例外は《Europe '72》と《Dylan & The Dead》である。後者はマサチューセッツ、オレゴン、それにカリフォルニアでもオークランドとアナハイム。とはいえ、これはやはり別枠だろう。すると《Europe '72》はデッドのスタジオ、ライヴ全てのアルバムでもユニークなものとなる。これだけはアメリカでの録音では無いのである。〈Touch of Grey〉がヒットするまでは、このアルバムがデッド最大のベストセラーだったのも興味深い。
デッドのような音楽にとっては、どこで演奏しているかは目立たないが、重要な要素だ。ジャズのレコードでは録音場所が記されているのが普通だ。それと同じ。ごく大まかに言っても、「ホーム」と「アウェイ」の違いはある。サンフランシスコとニューヨークが「ホーム」で、それ以外は「アウェイ」だ。ヨーロッパはさらに「ファー・アウェイ」になる。
つまり、現役時代のライヴ・アルバムは「ホーム」か「ファー・アウェイ」のどちらかで、中間の「アウェイ」での演奏からはとられていない。
第二部9曲目で〈Sing Me Back Home〉がデビュー。マール・ハガードの作詞作曲。1973-09-26まで計40回演奏。ハガードの原曲は1967年10月リリースのシングル。
3. 1980 NBC Studios, New York City, NY
土曜日。Saturday Night Live に出演し、〈Alabama Getaway〉と〈Saint Of Circumstance〉を演奏。火曜までニュー・ジャージー州パセーイクで三連荘をしていて、この日まで東部にいたらしい。次は04月28日アラバマ州バーミンガムから春のツアーを始める。
4. 1982 Spectrum, Philadelphia, PA
月曜日。このヴェニュー2日連続の初日。11.50ドル。開演7時。第一部4曲目〈Deep Elem Blues〉、クローザーの2曲〈Althea; Man Smart (Woman Smarter)〉、第二部オープニングからの4曲〈Bertha > Playing In The Band > Ship Of Fools > Playing In The Band Jam〉が《Road Trips, Vol. 4 No. 4》でリリースされた。計58分強。
5. 1988 Hartford Civic Center, Hartford, CT
火曜日。このヴェニュー3日連続のランの最終日。開演7時半。第二部3曲目〈Samson and Delilah〉が2012年の、オープナーからの2曲〈Hell In A Bucket> Sugaree〉が2019年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。
前日とはうって変わって、ガルシアの声は絶好調だった由。
6. 1989 Crisler Arena, University of Michigan, Ann Arbor, MI
水曜日。このヴェニュー2日連続の初日。開演7時。最高のショウの由。
7. 1991 The Omni, Atlanta, GA
金曜日。このヴェニュー3日連続の最終日。開演7時半。ブルース・ホーンスビィ参加。第二部 Space 後の〈The Other One〉のライト・ショウがすばらしかった由。
8. 1993 Nassau Veterans Memorial Coliseum, Uniondale, NY
月曜日。このヴェニュー5本連続の最終日。26.00ドル。開演7時半。
9. 1995 Birmingham-Jefferson Civic Center Coliseum, Birmingham, AL
水曜日。このヴェニュー2日連続の2日目。26.50ドル。開演7時半。第二部半ば〈Matilda, Matilda> Drums〉にネヴィル・ブラザーズのドラマー Willie Green が参加。良いショウの由。(ゆ)

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