04月11日・月
Sさん@サンシャインが返事をくれて、ベートーヴェンの7番はクライバー、ヤルヴィ、フルトヴェングラー、ホルストの惑星はボールトの他に、レヴァイン、ガーディナーがいいという。Tidal+AirPods Pro で聴いてみる。
惑星は木星ではなく、天王星の章を聴く。デュカスの影響は明らかだけど、一番好きな章。やはりイングランド人のガーディナーの方がまだいいが、それでも速すぎる。ボールトのリマスター版があったので聴いてみると、これこれ、このゆったりのったりしたテンポ。これですよ。これぞイングランド。ゆったりのったりの底にバネがある。モリス・ダンシングのあのバネに通じる。あたしにはあれがイングランドのビートではないかと思える。モリスに限らず、イングランドのダンス・チューンに通じる。こういうバネはケルト系のダンス・チューンにはあまりない。ホーンパイプやストラスペイはバネの種類が異なる。
ベートーヴェンはクライバーも悪くないが、ヤルヴィが抜群にいい。フルトヴェングラーは速すぎる。ヤルヴィとブレーメンのドイツ室内管弦楽団のものはちゃんと聴きたくなる。7番はアマゾンに中古が安く出ていたので注文。
ヤルヴィはエストニアの人で、興味が湧いて図書館で検索すると何枚か出てきて、面白そうなものを予約する。ボールトの惑星の CD もあったので、古いマスタリングだが予約。
加えてコンドラシン&コンセルトヘボウのシェエラザードがすごいというので、第4楽章を Tidal で聴いてみる。はじめ速過ぎと思ったのだが、異常なまでに速いテンポをオーケストラが軽々とさばいてゆくのに引きこまれる。おそろしく切れ味の良い演奏。3度ある、金管が細かいパッセージを急速に続けるところなど笑ってしまう。そして最後の、3度目に続く大爆発も迫力十分。図書館にCDがあった。
##本日のグレイトフル・デッド
04月11日には1969年から1989年まで8本のショウをしている。公式リリースは完全版が1本。
1. 1969 University Auditorium, University of Arizona, Tucson, AZ
金曜日。大学施設三連荘の初日。この会場は大学キャンパス内の The Centennial Hall だという証言もある。
2. 1970 Fillmore Welt, San Francisco, CA
金曜日。このヴェニュー4日連続の3日目。マイルス・デイヴィス、ストーン・ザ・クロウズ、クラウズ共演。長い一本勝負で最初の5曲と最後の4曲がエレクトリック、間にアコースティックで8曲演っている。
3. 1972 Newcastle City Hall, Newcastle-upon-Tyne, England
火曜日。1ポンド。開場7時、開演7時半。第一部の2曲目〈Deal〉と8曲目〈Sugaree〉、アンコールの1曲目〈Brokedown Palace〉が《Steppin' Out With The Grateful Dead》でリリースされた後、《Europe ’72: The Complete Recordings》で全体がリリースされた。ツアー3本目にして、3時間半弱。CD4枚組。第一部だけで18曲やっている。1990年代には全体でこれよりも曲数が少ないこともある。第二部は7曲で1時間半。アンコール2曲。
ロンドンの初発2本でもそうだったが、ここでは全体にさらにテンポがゆっくりになり、余裕がある。〈Deal〉や〈Looks like Rain〉のような曲は、後にはもっと速く演奏されるが、ここではじっくりと歌いこむ。前者では最後のリピートが少ない。コーダのリピートが少ないのはこの時期はどの曲にもいえる。〈Bertha〉や〈He's Gone〉など、何回繰返すか、数える愉しみはまだない。一方で新鮮、とれたてのみずみずしさがある。
ピグペンが元気で、随所でオルガンを聴かせるが、〈Good Lovin'〉が聴きもの。ひとしきり歌ってから、即興でほとんどラップのように歌を連ねてゆく。バンドもそれに呼応し、あるいは返し、あるいは支える。〈Chinatown Shuffle〉は地味だが、良いロックンロール。
バンド全体のジャムも油が乗ってきて、まず〈I Know You Rider〉後半のジャム、その次の〈Playing In The Band〉のジャム、そして〈Truckin'〉から〈Drums〉経由で〈The Other One〉にいたるメドレーが実においしい。ビートにのったガルシアのソロを核として全体のテンションが上がってゆくのは、最良のジャズ・ロックとも言えるが、その後、ビートが消え、静かなフリーのジャムになった後、再びビートが戻ると、今度は定まったメロディのない不定形の演奏。これこそはデッドを聴く醍醐味。こうなると、ジャズをやっているロック・バンドだ。
〈The Other One〉に入るとベースがリードして、それに押し上げられてガルシアのギターが翔け、バンドがその後を追う。どんなルールにもしたがっていないという意味でここはロック。ロックをやっているジャズ・バンド。歌が入って、その後がすばらしい。もう、ロックでもジャズでもない、グレイトフル・デッド・ミュージック。ドラムレスになってまた静かになり、そこから無秩序ないし非秩序ながら美しい情景が禍々しい混沌になる。テーマのリフが出て、2番の歌の後、締めのテーマで終りかけるが、終りきらないうちにガルシアがテーマを弾いて〈Comes a Time〉を歌いだす。ガルシアはこういう歌を歌うのが好きだし、また巧い。技術的な話ではなく、歌が備える感情を適切に歌に乗せる。感情を伝えるので、感傷に浸るのではない。今度はきちんと終って、少し間があって、ウィアがさりげなく〈Sugar Magnolia〉。これはあっさりと終って、アンコールにまず〈Brokedown Palace〉。もともとゆっくりした曲だが、ここではさらに遅く、丁寧に歌いこむ。ベスト・ヴァージョン。そしてしめくくりは3夜続けて〈One More Saturday Night〉。ガルシアのソロはこの3本の中では1番いい。
次はいよいよヨーロッパ大陸上陸。
4. 1978 Fox Theatre, Atlanta, GA
火曜日。このヴェニュー2日連続の2日目。開演8時。クローザーの〈Iko Iko> Sugar Magnolia〉とりわけ〈Iko Iko〉がすばらしい由。
5. 1982 Nassau Veterans Memorial Coliseum, Uniondale, NY
日曜日。このヴェニュー2日連続の初日。12.50ドル。「記憶に残らないショウ」の由。
6. 1987 UIC Pavilion, University of Illinois, Chicago, IL
土曜日。このヴェニュー3日連続のランの楽日。17.50ドル。開演7時半。なお、デッドがここでやったのはこの三連荘が最初で最後。前2日で精力を使いはたしたらしい。
7. 1988 Joe Louis Arena, Detroit, MI
月曜日。開演7時半。アンコール前にドラマーたちがハッピー・バースディを宣言した。そうだが、誰の誕生日か、分明でない。
8. 1989 Rosemont Horizon Arena, Rosemont, IL
水曜日。このヴェニュー3日連続のランの初日。開演7時半。ミドランドが光っていた由。(ゆ)
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