05月01日・日
フジヤエービックのブログに載っている「声優・中村繪里子さんが語る Astell&Kern AK UW100 の魅力とは?」で中村氏が語っていることにちょと面白いところがある。
ほとんど終り近くだが、アンビエント・モードいわゆる外部音取込み機能の一種で、AK UW100 では「自分の歌声もマイクで拾って返してくる」ところが特徴らしい。これには「外音をちゃんと取り込めるので”自分の内側の世界と外側の世界が遮断されずに両立する”っていう良さがある」。
—引用開始—
中村:アンビエントモードにすると、ちゃんと音楽を聴いているんだけど、それを自分の中でBGMにすることができる。生活空間はみんなと共有しながら、自分の中だけに音楽を入れてあげられるんですよね。
音楽を自分の中に閉じ込める使い方じゃなくて、みんなと繋げていく、っていう時代にすごいマッチしているなあって思いました。
外音取り込みって、安全を確保したりする便利なツールのひとつだったと思うんですよね。だけど、音楽を楽しむための機構としてもとらえることができるなあと。たしかに生の音とは違うんですけど、音がクリアであるとかより生っぽいとかっていうことにこだわる意味とは違う、楽しめる機構としてこのアンビエントモードが搭載されている良さっていうのをすごい感じました。
--引用終了--
「音がクリアであるとかより生っぽいとかっていうことにこだわる意味とは違う、楽しめる機構」というのはポイントだ。これは「オーディオのめざす理想」とは一見対極なのだが、実のところ「音がクリアであるとかより生っぽいとかっていうことにこだわ」りながら、実現されているのは加工された、クリアでも生っぽくもない音であって、リスナーは各々のメーカー、ブランドによって加工された音を聴いている。ならば、むしろ音楽を楽しむことを目的に掲げた方が潔い。音楽を聴くのは音楽を楽しむためであって、機種やシステムによる音の違いを聞き分けるためではない。
もう一つ、面白いのはここ。
—引用開始—
アーカイブはいつでもウェルカム、にしてるんですけど、その分、わたし生放送とか生配信っていうのがすっごい好きなんですよ!
今しかないじゃないですか。もちろんアーカイブに残すこともできるんですけど、生み出されてる”いま”って今しかないじゃないですか。
その”いま”を共有できるものをもっともっと作っていきたいなあ、って。
--引用終了--
これはグレイトフル・デッドの態度なのだ。デッドがやっていたことはまさにこれ、「”いま”を共有」することなのだ。ライヴをするとはそういうことである。やったショウを聴衆が録音してアーカイブすることを、デッドは初め黙認し、やがて公認し、さらに暗黙に奨励さえした。聴衆はアーカイブし、したものを共有し、それによってコミュニティを作っていった。そのコミュニティがバンドを支えたのは当然の副産物なのだが、当初の目的はあくまでも「”いま”の共有」である。その時1回限りの”いま”の共有だ。アーカイブ録音は時空を超えてその共有を可能にする。アーカイブ録音を聴いているとき、我々は「そこ」にいる。”いま”にいる。それが何よりも楽しい。
##本日のグレイトフル・デッド
05月01日には1970年から1988年まで5本のショウをしている。公式リリースは1本。
1. 1970 Alfred College, Alfred, NY
金曜日。04月24日からの春のツアーの中で、ここから09日まで東部の大学7ヶ所を回る。この日の会場は体育館ないしいわゆる多目的ホールらしい。
この日は3部制で、第一部はアコースティック・セット。〈Me And My Uncle〉〈Mama Tried〉はニュー・ライダーズ・オヴ・パープル・セイジ参加。第二部はニュー・ライダーズ・オヴ・パープル・セイジで、ガルシアがペダルスティール。第三部がエレクトリック・セット。
第一部5・6曲目〈Me And My Uncle〉〈Mama Tried〉にニュー・ライダーズ・オヴ・パープル・セイジ参加。
第一部10曲目の〈New Speedway Boogie〉が《Fallout From The Phil Zone》で、クローザー〈Uncle John's Band〉が2012年の、4曲目〈Candyman〉が2014年の、2曲目〈I Know You Rider〉が2018年の各々《30 Days Of Dead》でリリースされた。
リリースされたものだけ聴いてもすばらしいショウであることはわかる。
2. 1977 The Palladium, New York, NY
日曜日。このヴェニュー3日連続のランの中日。8.50ドル。開演8時。
第一部クローザー前で〈Sunrise〉がデビュー。Donna Jean Godchaux の作詞作曲。1978-09-16エジプトまで30回演奏。
3. 1980 Greensboro Coliseum, Greensboro, NC
木曜日。
4. 1981 Hampton Coliseum, Hampton, VA
金曜日。8ドル。第二部が特に良い出来の由。
5. 1988 Frost Amphitheatre, Stanford University, Palo Alto , CA
日曜日。このヴェニュー2日連続の2日目。開演午後2時。KZSU で FM放送された。春のツアーの千秋楽。この後は06月17日から夏のツアーが始まるまで休み。
〈Box of Rain〉がオープナーという異例で、その後の第一部の曲順も尋常ではない。(ゆ)
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