05月12日・木
 忘れものを取りに、関内のエアジンまで往復。その前の食事の時は忘れなかったのに、エアジンに忘れたのは、ワインを飲んでいい気分になっていたからか。こういうことが重なると、名札でも付けねばなるまい。関内に着いたのが早すぎて、馬車道のスタバで時間をつぶす。スタバはやはり高いのう。

 帰ると《Dave's Picks, Vol. 42》が着いている。今年2番目のリリースなので今年のボーナス・ディスクも一緒。1974年02月23日が本体でその前日がボーナス・ディスク。ここは22〜24日の三連荘、この年の始動のランで、3日目はすでに《Dave's Picks, Vol. 13》で出ている。その時、この23日とどちらを出すか、いかに悩んだかを、デヴィッド・レミューがライナーに書いている。無事両方出たから、結局は良かった。が、22日はこれで3分の1出たわけで、残りはどうなるのか。

 しかし、今は1977年春のツアーを聴くのが先なので、当分聴けない。


##本日のグレイトフル・デッド
 05月12日には1965年から1991年まで8本のショウをしている。公式リリースは3本、うち完全版1本。

1. 1965 Magoo's Pizza Parlor, Menlo Park, CA
 水曜日。実際に演ったかどうか、定かでない。

2. 1967 Marigold Ballroom, Fresno, CA
 金曜日。前売2.50ドル。当日3ドル。セット・リスト不明。このショウは05月11日という説もあり、DeadBase 50 はそちらをとるが根拠は示していない。残っているチラシの日付は12日で、21:45と23:45の2回ショウをした、という証言もある。The Lost Dead Live Blog は13日付け the Fresno Bee というローカル紙に掲載の短評から12日と結論している。
 チラシには
In The Land Of The Dark, the Ship Of The Sun Is Driven By The Grateful Dead
とある。

3. 1974 University of Nevada, Reno, NV
 日曜日。開演2時。三部構成。
 第三部7曲目〈Ship Of Fools〉が2014年の、第一部クローザー〈China Cat Sunflower> I Know You Rider〉が2019年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。
283 Mike Dolgushkin

4. 1977 Auditorium Theatre, Chicago, IL
 木曜日。このヴェニュー2日連続の初日。
 第一部クローザー〈Dancing In The Street〉と第二部の後半6曲が《Winterland June 1977: The Complete Recordings》のボーナス・ディスクでリリースされた後、全体が《May 1977》でリリースされた。
 幸福なツアーは続いている。オープナーの〈Bertha〉で最後の "anymore" のリピートが少ないのは肩透かしだが、その後は気合いの入った演奏が続く。ここでも前日同様、きっちりと新鮮な演奏だ。クローザー前の〈Mississippi Half-Step Uptown Toodeloo〉のユーモアはあらためてデッドならではと思うし、もっとこういうコントロールの効いたユーモアが欲しい。それともこれも70年代という時代の生むところなのだろうか。クローザーの〈Dancing In The Street〉はどちらかというと抑えた演奏で、最後も静かにしまう。
 が、第二部は熱気にあふれる。とりわけ後半〈Terrapin Station〉から途切れずに〈Playing In The Band〉につながるところから完全に離陸する。完全にジャズの領域を遊びまわるガルシアにクロイツマンが正面から応え、そこからの Drums ではハートとクロイツマンが対話し、そして2人がいきなりビートを叩きだして〈Not Fade Away〉。ここでもガルシアが中低域でユーモラスなフレーズを連ねるのに、今度はウィアが反応する。その次の〈Comes a Time〉が凄い。ガルシアのヴォーカルは、またしても差し手引き手の呼吸が絶妙。ギターがそれに輪をかけ、泣きのサウンドを連発する。ただ感情に負けて泣いているのではなく、感情を浄化するために泣いているような音。積極的な、ポジティヴな泣きというものがあるとすれば、これだろう。このあたりのギターの音、音色、テクスチャは、他のギタリストでは聴いたことがない。狼の顔のステッカーをガルシアが貼ったため、"Wolf" と呼ばれるこの楽器のおかげか。そこから〈Playing In The Band〉に戻るのだが、この曲の戻りは、どういう形でもカッコいい。ガルシアが弾く、なんということもないコードが歓びにあふれている。無事、帰ってこられたことを心底喜んでいる。
 アンコールの〈Johnny B. Goode〉のテンポがまた良い。遅すぎず、速すぎず、ノリノリながら余裕がある。
 この日は誰もシメの挨拶をしなかったのか。少なくとも録音には入っていない。

5. 1979 Alumni Stadium, University of Massachusetts, Amherst, MA
 土曜日。10ドル、開演午前11時と11時半の二つの表記がある。
 オープナーの〈Jack Straw〉が始まるとともに、群衆が入口を破ってなだれこみ、その中をバイクが1台、旗をひるがえして駆けぬけたそうな。
 ここは後にデッドのパブリシティ担当になるデニス・マクナリーの母校。

6. 1980 Boston Garden, Boston, MA
 月曜日。まずまずのショウらしい。

7. 1981 New Haven Coliseum, New Haven, CT
 火曜日。このヴェニュー2日連続の2日目。
 第二部5曲目〈He's Gone〉は前日に死んだボブ・マーリィに捧げられた。後半、すばらしいジャムになったそうな。

8. 1991 Shoreline Amphitheatre, Mount View, CA
 日曜日。開演5時。このヴェニュー3日連続のランの楽日。03月17日にメリーランド州ランドーヴァーから始まった春のツアーの千秋楽。ブルース・ホーンスビィ参加。この後は06月01日のロサンゼルスまで休み。
 オープナーの〈Picasso Moon〉が2016年と2017年の、第一部クローザー〈Black-throated Wind > Deal〉が2018年と2019年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。〈Picasso Moon〉は演奏は凄いが、あまりにタイトすぎて、デッドらしくもないと思える。〈Deal〉は BTW から間髪を入れずに転換する。確かにこれはベスト・ヴァージョン。
 第一部5曲目でディランの〈It Takes A Lot To Laugh, It Takes A Train To Cry〉が1973年06月以来18年ぶりに復活。1992年03月16日フィラデルフィアまで計7回演奏。オリジナルは《Highway 61 Revisited》収録。
 全体は水準以上のショウの由。(ゆ)