05月18日・水
急にインターステイトの歴史に興味が湧き、Wikipedia の記事から本を1冊注文。同年にもう1冊あるが、そちらは BookFinder でも見つからず。注文したのは、
Lewis, Tom
Viking
1997-10-01
もう1冊は
Hanlon, Martin D. (1997). You Can Get There from Here: How the Interstate Highways Transformed America. New York: Basingstoke. ISBN 978-0-312-12909-5
アマゾンでは2006-11-30に St. Martin's Press から出たことになっている。在庫無し。
Wikipedia によれば、アメリカのインターステイト・システムは1956年の法律で建設が開始され、1992年に完成宣言が出ている。もっとも、その前から道路建設はシステム化されているし、その後も拡張は続いている。'interstate' という名称そのものがまず面白い。'international' と似たような感覚ではないか。
アメリカにいた時にその存在を知り、毎日利用もして、インターステイトは面白いと思っていた。ジェリィ・ガルシアの両親がパロ・アルトに定着したのはインターステイト・システムによって起きた人口移動の一環だ、とどこかで読んで興味は増していた。それにデッドヘッドたちがショウへ通うにもインターステイトは絶大な役割を果している。バンドは飛行機で移動するのだが、聴衆はなぜか飛行機ではなく、車で移動した。若く、飛行機は高すぎたのか。トラヴェル・ヘッドたちも車で移動していた。インターステイトがなければ、グレイトフル・デッドは生きていけなかった。
今回興味が湧いたのはサンフランシスコとロサンゼルスの間の移動に、おそらくバンドは早い時期から飛行機を使っていただろうと気がついたからだ。飛行機なら1、2時間。5号線、Interstate 5 を飛ばしても6〜7時間はかかる。その5号線はインターステイトの西端だ。
インターステイトはわが国のいわゆる高速道路とはまったく異なるシステムだ。ヨーロッパの高速道路とも違うと、イングランドをちょこっと走っただけだが、思う。アメリカでは飛行機による移動も、商用自家用を問わずごく普通で、交通機関としてはたぶん列車よりも今は大きいだろうけれど、今のアメリカを造ったのはやはりインターステイトだ。19世紀が鉄道の時代とすれば、20世紀は自動車と道路の時代で、インターステイトはその最先端だ。どういう道路を何のためにどうやって造ったか、というのは歴史においてかなり大事な話だから、まっとうな研究もたぶんあるだろうけれど、まだ遭遇していない。ローマの街道は有名だけれど、道路はそれだけではないはずだ。上記の本がとっかかりになるか。
##本日のグレイトフル・デッド
05月18日には1967年から1977年まで5本のショウをしている。公式リリースは2本、うち完全版1本。
1. 1967 Awalt High School, Mountain View, CA
火曜日。3度高校でやっている、そのうちの1回。セット・リスト不明。音はひどいが録音もあるそうな。
マウンテン・ヴューはサンフランシスコ湾南端の街。高校は今は閉鎖されたようだ。
2. 1968 Santa Clara County Fairgrounds, San Jose, CA
土曜日。前日とこの日の夜はロサンゼルスの同じハコでショウをしている。サンノゼはサンフランシスコの近くで、こちらは昼のショウだが、そんな蜻蛉返りをしたのだろうか。40分弱のテープが残っているので、したらしい。もちろん出番が終ったらすぐ飛行機にとび乗れば、1〜2時間で着いてしまう。場合によってはチャーターも不可能ではない。飛行機をチャーターするのはアメリカでは簡単で、わが国のハイヤーか貸切バス感覚でできる。デッドの場合、セスナというわけにはいかないだろうが、中型機を持ってやっている独立の航空会社はいくらでもある。中型機が離着陸できる飛行場はもうそこら中にある。この会場の東1、2キロのところにも Reid-Hillview Airport がある。ロサンゼルスの方は会場の西12キロに Santa Monica Municipal Airport がある。つまり、やろうと思えばそう難しくはない。
DeadBase XI では "Northern California Folk-Rock Festival" なるイベントで共演は
The Doors
Eric Burdon & The Animals
Big Brother & The Holding Company
The Yardbirds
Electric Flag
Jefferson Airplane
Kaleidoscope
Country Joe & The Fish
Taj Mahal
という、この時期のカリフォルニアではもうおなじみの面々。テープは2本あり、1本は客席で手に持ったマイク1本のモノ録音。もう1本はステージに置かれたマイクで、ヨウマ・カウコネンによるそうだ。
3. 1968 Shrine Exhibition Hall, Los Angeles, CA
こちらは前日に続く2日目。これもヨウマ・カウコネンがステージに置いたマイクによる録音が残っているそうなので、同行したのだろう。ただ、セット・リストは不明。
4. 1972 Kongressaal, Deutsches Museum, Munich, West Germany
木曜日。12.30マルク。開演8時。ヨーロッパ・ツアー18本目。ドイツ最後のショウ。これで大陸を打ち上げ、この後はロンドンでの4日連続のショウでツアーを締めくくる。
《Europe ’72: The Complete Recordings》で全体がリリースされた。
この日はガルシアのギターの調子が、悪くはないが格別良くもなく、むしろ歌で勝負、というところがある。アンコールまできてやった〈Sing Me Back Home〉の出来がすばらしく、この歌のこれまでのベスト・ヴァージョン。その間奏のギターが飛びぬけている。この日のギターでは第一部終盤の〈Playing In The Band〉と並ぶ。それでようやく殻が破れたか、アンコール2曲目の〈One More Saturday Night〉間奏のギターもすばらしい。
〈Sing Me Back Home〉は初めはデッドがやるべき曲とも聞えなかったものが、回を重ねるごとに良くなり、ここに至って、最高の曲に思えるものになった。この曲があまり長く続かなかったのは、あるいはあまりに完成してしまって、それ以上展開する方向が見つからなかったからかもしれない。
〈Playing In The Band〉も順調に育っていて、この日の演奏はこのツアーのここまでのベスト。
〈China Cat Sunflower> I Know You Rider〉の成長はもう少しゆっくりしているが、この日の演奏はやはりすばらしい。
この日の第二部のジャム曲は〈Dark Star〉で、歌が出るまでの集団即興は楽しい。その後の〈Morning Dew〉のガルシアの歌唱がいい。
CD で再び3時間を超え、調子はまったく崩れず、ロンドンの4日間に突入する。
270 Fred Heutte
5. 1977 Fox Theatre, Atlanta, GA
火曜日。このヴェニュー2日連続の初日。
第一部5曲目〈Friend Of The Devil〉が2013年の、7曲目〈It Must Have Been The Roses〉が2014年の、第二部クローザー前の〈Stella Blue〉が2020年の、各々《30 Days Of Dead》でリリースされた。いずれ全体のリリースを期待。(ゆ)
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