06月12日・日
 Ed McDonald の Raven's Mark 三部作の第二部 Ravencry を読みながら、スコットランドのファンタジー作家ってかれと Anthony Ryan の前に誰がいたっけと考える。
 アラスデア・グレイをファンタジー作家と呼ぶのはためらうが、ファンタジーは書いている。ジョージ・マクドナルドがいる。J・T・マッキントッシュはスコットランド人だが、どちらかといえばサイエンス・フィクションの人だと思う。イアン・バンクスはスコットランド人だった。ジョン・バカンの作品にもファンタジーはある。コナン・ドイルはエディンバラ生まれだが、スコットランド人と言えるか。ケネス・グレアムもスコットランド人だった。ロバート・ルイス・スティーヴンスンはエディンバラ生まれ。デヴィッド・リンゼイの両親はスコットランド人だそうだけど、本人ロンドン生まれで生涯イングランドで過ごしてるからなあ。大傑作『月に吹く風』のエリック・リンクレイターは正真正銘スコットランド人。ナオミ・ミチソン、エマ・テナント。比較的最近で、グレアム・マスターソン、ケン・マクラウド、ハル・ダンカン。そうそう『キャッチワールド』のクリス・ボイスもスコットランドだが、あれはまじりっけ無しのワン・アンド・オンリー・サイエンス・フィクション。

 バンクスはあんまりスコットランドの匂いがしない。リンクレイターはリンゼイに通じるところがある。

 それにしてもあの『月に吹く風』を『人間動物園』と改題したのはどう見てもおかしい。『月に吹く風』でいいじゃないか。原題 The Wind On The Moon そのままなんだし。

 リンゼイを読みなおすか。第2作 The Haunted Woman も良かった記憶がある。

 まあ、その前に Ed McDonald と Anthony Ryan を読みましょう。この2人の話には、どこかスコットランドの風が吹いているのよねえ。


%本日のグレイトフル・デッド
 06月12日には1967年から1992年まで8本のショウをしている。公式リリースは1本。

1. 1967 The Cheetah, New York, NY
 月曜日。このショウが実際に行われたかは議論のあるところ。DeadBase はあったとしている。セット・リスト不明。

2. 1970 Red Vest, Oahu, HI
 金曜日。このヴェニュー2日連続の初日。開演7時。クィックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィス共演、ニュー・ライダーズ・オヴ・パープル・セイジ前座。ポスターでは "Civic Auditorium" になっているが、実際にはこのヴェニューの由。セット・リスト不明。
 ハワイでのショウはこの年の1月とこの6月の各々二連荘の、計4本だけ。後にはハワイは休暇の際に行くところとなる。とりわけガルシアとクロイツマンはハワイでスキューバ・ダイビングに興じた。後にデッドのアーカイヴ管理人となるディック・ラトヴァラは一時ハワイに住み、ここでデッドのテープ文化に目覚めて熱烈なデッドヘッドとなる。

3. 1976 Boston Music Hall, Boston, MA
 土曜日。このヴェニュー4日連続の楽日。7.50ドル。開演7時。WBCN-FM主催。
 第一部6曲目〈Mission in the Rain〉、第二部オープナー〈The Wheel〉、8曲目〈Comes a Time〉、アンコールの3曲〈Sugar Magnolia> U. S. Blues> Sunshine Daydream〉の6曲が《Road Trips, Vol. 4, No. 5》で、第一部9・10曲目〈Lazy Lightning> Supplication〉が2011年の、3曲目〈The Music Never Stopped〉が2013年の、7曲目〈Looks Like Rain〉が2014年の、2曲目〈Row Jimmy〉が2019年の、各々《30 Days Of Dead》でリリースされた。曲数で全体の4割がリリースされたことになる。
 この一連のランの他のショウ同様、すばらしいショウの由。
 Jeff Briggs が DeadBase で書いている、当時のマサチューセッツ大学アマースト校の学生寮の様子が面白い。ここはデッドのメディア担当で公式伝記も書いたデニス・マクナリーの母校で、その頃はデッドヘッドの拠点の一つになっていた。ブリッグスが住んでいた寮 Pierpont Residence Hall は全米の学生寮の中でも最もサイケデリックなものの一つだった。ある棟のワン・フロア全体の照明が消され、赤外線ライトだけが点いていた。《Aoxomoxoa》のジャケットを拡大したものが壁に飾られていた。部屋のいくつかは間の壁が壊されて、四六時中、トリップしている人間が何人もいた。デッドが来ると寮の半分が空になり、いない時もデッドヘッドたちが常に出入りしていた。

4. 1980 Memorial Coliseum, Portland, OR
 木曜日。8.50ドル。開演7時。
 この日、会場近くのセント・ヘレンズ山がこの年05月18日の大噴火以来3度目の噴火を起こした。バンドが〈Fire on the Mountain〉を演奏している間だった。「スカベゴ・フィイア」が終るとウィアがマイクに「お山がまた噴いたらしいよ」と言った。終演後、外に出ると火山灰が降っていて、事情を知っている地元の人たちは車を諦めて歩いて帰った。火山灰は自動車のバルブやキャリブレーターに詰まる。
 この噴火が偶然とは思えないほどこのペアから始まった第二部はホットだった、と Gary Ross が DeadBase で書いている。

5. 1984 Red Rocks Theatre, Morrison, CO
 火曜日。このヴェニュー3日連続のランの初日。まずまずのショウの由。

6. 1987 Ventura County Fairgrounds, Ventura, CA
 金曜日。このヴェニュー3日連続のランの初日。A Weekend at the Beach と題されたイベント。ブルース・ホーンスビィ共演、ライ・クーダー前座。開演2時。
 このショウに引っぱって行かれてメタルとデッドの両方を愛するようになったファンもいる。

7. 1991 Charlotte Coliseum, Charlotte, NC
 水曜日。このヴェニュー2日連続の2日目。22.50ドル。開演7時半。長いジャムは無いが良いショウの由。

8. 1992 Knickerbocker Arena, Albany, NY
 金曜日。このヴェニュー2日連続の2日目。開演7時。DeadBase の John W. Scott の詳しいレポートによれば、この年指折りのショウ。(ゆ)