06月15日・水
UK の音楽雑誌 The Living Tradition が次号145号をもって終刊すると最新144号巻頭で告知。無理もない。これまでよくも続けてくれものよ。ご苦労様。
この雑誌の創刊は1993年で、Folk Roots 後の fRoots がその守備範囲をブリテン以外のルーツ・ミュージックにどんどんと拡大していったためにできた空白、つまりブリテン島内のルーツ・ミュージックに対象を絞った形だった。これは正直ありがたかったから飛びついた。
加えてここは CD の通販も始めて、毎号、推薦盤のリストも一緒に送ってきたから、それを見て、ほとんど片端から注文できたのもありがたかった。これでずいぶんと新しいミュージシャンを教えられた。The Tradition Bearers という CD のシリーズも出した。かつての Bill Leader の Leader Records の精神を継承するもので、音楽の質の高さはどれも指折りのものだったから、これまた出れば買っていた。優れたシンガーでもある編集長 Pete Heywood の奥さん Heather Heywood のアルバムも1枚ある。
本拠はグラスゴーの中心部からは少し外れたところだが、カヴァーするのはスコットランドだけでなく、イングランドやアイルランドまで拾っていた。ウェールズもときたまあった。アルタンやノーマ・ウォータースンのようなスターもいる一方で、地道に地元で活動している人たちもしっかりフォローしていた。セミプロだったり、ハイ・アマチュアだったりする人も含まれていた。
こういうメディアは無くなってみると困る。紙の雑誌はやはり消え去る運命にあるのだろう。fRoots もそうだったが、この雑誌も電子版までは手が回らなかったようだ。FRUK のように、完全にオンラインでやるのではなくても、紙版をそのまま電子版にして、定期購読を募る道もあったのではないか、と今更ながら思う。その点では英国の雑誌はどうも上手ではない。もっとも音楽誌はそういう形は難しいのだろうか。
とまれ、30年続けたということは、ピートもヒーザーももうかなりのお年のはずで、確かに次代にバトンを渡すのも当然ではある。まずは、心から感謝申し上げる。ありがとうございました。
%本日のグレイトフル・デッド
06月15日には1967年から1995年まで、8本のショウをしている。公式リリースは完全版が1本。
1. 1967 Straight Theater, San Francisco, CA
木曜日。このショウが実際にあったかどうかは疑問視されている。
この頃のショウは、テープ、実際に見た人の証言、ポスター、チケット、新聞・雑誌などに出た広告や記事などから推定されている。あるいは今後、UCサンタ・クルーズの The Grateful Dead Archives の調査・研究から初期数年間の活動の詳細が明らかになるかもしれない。もっとも未だに出てきていないところを見ると、バンド自らがいつ、どこで、演ったかのリストを作っていたわけではどうやら無いようだ。メンバーや周囲の人間でそういうリストを作りそうなのはベアことアウズレィ・スタンリィだが、かれも録音はして、それについての記録はとっても、自分が録音しなかった、できなかったものについての記録はとっておらず、その証言は記憶に頼っているようにみえる。
2. 1968 Fillmore East, New York, NY
土曜日。このヴェニュー2日連続の2日目。4ドル。早番、遅番があり、遅番ショウの開演8時。セット・リスト不明。
3. 1976 Beacon Theatre, New York, NY
火曜日。このヴェニュー2日連続の2日目。《June 1976》で全体がリリースされた。
4. 1985 Greek Theatre, University of California, Berkeley, CA
土曜日。このヴェニュー3日連続のランの中日。15ドル。開演5時。
DeadBase XI の Phil DeGuere によれば、三連荘は中日がベストになることが多いそうで、これもその一つ。ガルシアのギターが凄かったそうだ。
5. 1990 Shoreline Amphitheatre, Mountain View, CA
金曜日。このヴェニュー3日連続のランの初日。31.50ドル。開演7時。
第一部が特に良い由。
6. 1992 Giants Stadium, East Rutherford, NJ
月曜日。このヴェニュー2日連続の2日目。26.50ドル。開演7時。
良いショウで、スパイク・リーが客席にいた。この晩、月蝕があったそうな。
7. 1993 Freedom Hall, Louisville, KY
火曜日。このヴェニュー2日連続の初日。開演7時。
8. 1995 Franklin County Airport, Highgate, VT
木曜日。37.25ドル。開演6時。ボブ・ディラン前座。
夏のツアーの最後のレグ、07月09日シカゴまでの15本のスタート。ガルシアの状態はひどく、出来は最低という評価はおそらく「客観的」には妥当なところだろう。一方で、これが最初のショウである人びとにとっては、忘れがたい、貴重な記憶、宝物となっている。加えて、〈Box of Rain〉が Space の次に歌われたのは全部で4回しかなく、これがその最後の4回目になるそうだ。
前座のディランはすばらしかった。
DeadBase XI の John W. Scott のレポートは音楽そのものよりも、聴衆の質のひどさに幻滅している。チケットを持たず、持つ意志もない連中が多数詰めかけてフェンスを押し倒して入りこんだ。そうして入った連中はマナーもへったくれもなく、いうなれば「デッドヘッドの風上にも置けない」連中で、時に「フェイク・ヘッド」と呼ばれるような人間だったようだ。フェンスが押し倒されたとき、その支柱が何本か、トイレの個室の上に倒れ、中に閉じこめられた人びとが何人もいたという。(ゆ)
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