06月30日・木
老母の4回目のワクチン接種をネットで予約する。新宿区の集団接種会場の数はがくんと減っていて、前回までの近くの出張所ではもうやらない。一番近いのは区役所の分庁舎になる。4回目をやれやれと言う一方で、受け皿を小さくしている。
近くのクリニックでやってくれ、ということらしいが、老母は行ったことのない医者は嫌がる。町中の医者は中が狭くて、バリアフリーなど考慮していないところも意外に多い。今どき、歩行器ぐらいで眉をひそめるところはまず無いだろうが、おふくろの世代は「他人に迷惑をかけるな」と叩きこまれている。
%本日のグレイトフル・デッド
06月30日には1973年から1995年まで9本のショウをしている。公式リリースは1本。
ちなみに DeadBase XI によれば6月は最もショウの多い月で、253本。2位は3月、246本。3位10月、242本。最少は1月の90本。夏休みをとるので、7月8月は8位と9位。春と秋に活動し、夏と冬に休む、と言えそうだ。6月のアメリカは平均すれば初夏の、比較的良い気候なのだろう。
1. 1973 Universal Amphitheatre, Universal City, CA
土曜日。このヴェニュー3日連続のランの中日。
最高のショウの1本らしい。
ここは当時屋根が無かったが、この日はそよとの風も無く、とんでもなく暑かった。第一部クローザー前の〈Black Peter〉でガルシアが "Just then the wind came squalling through the door…(ちょうどその時、扉から一陣の風が吹きこんできた……)" と歌ったところで、涼しい風が場内に吹きこんできて、客席から一斉に息を呑む声があがった。それから終演まで、そよ風が吹きつづけた。と Louis Woodbury が DeadBase XI で書いている。
2. 1974 Springfield Civic Center Arena, Springfield, MA
日曜日。6ドル。開演6時半。
セット・リストがごく珍しい、稀な組合せで、こういう時は調子が良い。この年のベストの1本にも数えられるそうだ。
05月12日に始まった初夏のツアーの打ち上げ。3週間休んで、07月19日から夏のツアーに出る。
3. 1979 Portland International Raceway, Portland, OR
土曜日。10ドル。開演午前10時。マッギン、クラーク&ヒルマンとデヴィッド・ブロンバーグ・バンドが前座。
2つの前座とデッドの第一部の間、雨が降っていた。
第二部6曲目〈He's Gone〉は前日に亡くなったローウェル・ジョージに捧げられた。
4. 1984 Indianapolis Sports & Music Center, Indianapolis, IN
土曜日。12.50ドル。開演8時。
かなり良いショウらしい。
ヴェニューは全米クレー・コート・テニス選手権も行われた屋外テニスコートで、収容人員は5,500。
5. 1985 Merriweather Post Pavilion, Columbia, MD
日曜日。16ドル。開演6時。
第二部オープナー〈Shakedown Street〉がデッド史上最高の演奏の一つの由。
6. 1986 River Bend Music Center, Cincinnati, OH
月曜日。16.50ドル。開場正午、開演7時。雨天決行。ディラン&トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズとのツアーの1本。
7. 1987 Kingswood Music Theatre, Maple, ON, Canada
火曜日。開場3時半、開演6時半。
第二部4曲目〈Eyes Of The World〉の後、ウィアとミドランドの2人でジャムをする。
かなり良いショウのようだ。第二部冒頭から〈Scarlet Begonias> Fire On The Mountain> Estimated Prophet> Eyes Of The World〉と続くだけでも悪いはずはない。
8. 1988 Rochester Silver Stadium, Rochester, NY
木曜日。18.50ドル。開演7時。
第二部5〜7曲目〈Believe It Or Not; Truckin> He's Gone〉が2019年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。
第二部オープナー〈Green Onions〉はこれが最初で最後の演奏。オリジナルはブッカーT&MG's の1962年のシングル。初めB面としてリリースされ、数ヶ月後、ABを引っくり返して再リリースされ、ポップ・チャートで3位、ソウル・チャートで1位となる。クレジットは Steve Cropper/ Al Jackson/ Booker T. Jones/ Lew Steinberg。
〈Believe It Or Not〉はハンター&ガルシアの曲だが、7回しか演奏されなかった。この演奏は06月23日に続く2回目で、後半、ガルシアは熱唱、かなり良い演奏だ。悪い曲ではなく、演奏しにくそうでもなく、定番にならなかったのは惜しい気もする。
〈Truckin> He's Gone〉、前者はきっちりした演奏で、歌の後のギター・リフの登り詰めも十分に高く、その後のドーンも決まる。快感。その後、ジャムに行かずに後者に移る。これはまた明るいヴァージョン。やつが消えてせいせいした、よかったよかった、万歳と歌う。コーダの "Nothing gonna bring him back." のリピートもいかにも楽しげで、戻ってくるなよー。メロディもどんどん変えてゆく。これほど表情が変わる曲は珍しい。この3曲を聴いただけでも、ショウが非常に良いとわかる。
9. 1995 Three Rivers Stadium, Pittsburgh, PA
金曜日。32.50ドル。開演6時。Rusted Root 前座。第一部5曲目〈When I Paint My Masterpiece〉でウィアがアコースティック・ギター。
Rusted Root は1990年にピッツバーグで結成されたワールドビート・ロック・バンド。1994年に《When I Woke》がヒットする。
第二部の最初の一音が鳴ると同時に激しい雨が降りだした。そのため第二部は〈Rain〉〈Box of Rain〉〈Samba in the Rain〉〈Looks Like Rain〉と続いた。〈Looks Like Rain〉の途中で雨が止んだ。
最悪と言われるこの夏のツアーの1本でも、これが最初で、そしてまずたいていは最後のショウになった人たちにとっては人生を変える体験にもなりえた。最悪のショウでも、デッドのショウは他のものとはまったく異なる体験なのだろう。
クローザーの〈Standing on the Moon〉、アンコール〈Gloria〉はこれが最後。(ゆ)
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