08月16日・火
 先月末に Dead.net で買ったグレイトフル・デッド、1972年05月のロンドン4日間のファイルがダウンロードできなかったもの、再取得のお知らせがようやく来る。早速ダウンロードを始める。1本で2、3時間かかる。ファイルはリマスターはしているが、ハイレゾではない。CD音質。この点は期待していたので、がっかり。まあ、nugs.net で買うよりは安い。

 

 これのアナログ・ボックス・セットはまだ迷っている。高いことは高い。が、500円玉貯金をはたけば、買えないことはない。イングランドでは現物549.98USD + 送料98USD=87,143JPY、輸入消費税+通関料で93.17GBP=15,163JPY。計102,306JPY。こちらで買うのと似たようなものだ。


%本日のグレイトフル・デッド
 08月16日には1969年から1991年まで5本のショウをしている。公式リリースは完全版が1本。

1. 1969 Woodstock Music & Arts Fair, Max Yasgur's Farm, Bethel, NY
 土曜日。ウッドストック・フェスティヴァルの2日目。8ドル。開演午前10時。
 77分一本勝負のセット・リストが残っている。全体が先般出たフェスティヴァル全体の完全録音ボックス・セットでリリースされた。あたしは買わなかった。
 出来はひどいと言われる。デッドは映画にフーテージを使用する許可を出さなかった。一方、今聴けば立派だという声もある。演奏中、雨が降り、感電を恐れて、演奏が屢々中断したという悪条件もある。
 デッドはこういう多数参加のフェスティヴァル形式では良い演奏をするのが稀である。これに先立つモンタレーでも出来は良くないとされる。
 ひとつにはこの時もそうだが、演奏の環境がひどい。音響もひどく、機材トラブルが絶えなかった。加えてステージの作りも含まれる。この時もステージは巨大な帆船に似ていて、時折り強い風が吹くと全体が持ちあがるようだった。
 この時、楽屋にそっくり同じような楽器や機材のケースが並ぶのを見て、アウズレィ・スタンリィが区別のためにユニークなマークを付けることを思い立ち、稲妻を内包した髑髏のマークを考案する。

2. 1980 Mississippi River Festival, Edwardsville, IL
 土曜日。指定席9.50、芝生席7.00ドル。開演6時半。07月01日サンディエゴ以来のショウ。この年はこの7月一杯と8月前半が夏休みで、ここからまず09月06日まで中部・東部を回るツアーがスタート。その後半月空けてサンフランシスコ、ニューオーリンズ、ニューヨークのレジデンス公演。
 このフェスティヴァルはサザン・イリノイ大学エドワーズヴィル校で1969年からこの年まで開かれていたイベント。大学のサイトにアーカイブがある。
 第一部7曲目〈Looks Like Rain〉が始まった時には快晴だったが、終る頃には空が真黒になり、土砂降りの雨が降ってきた。が、バンドも聴衆も意気はまったく衰えなかった。もっとも、周囲には何度か落雷して、聴衆を驚かせた。
 第二部6曲目〈He's Gone〉はこの年07月23日に交通事故で死んだキース・ガチョー追悼。
 DeadBase XI で Tom Van Sant が、このショウの AUD=聴衆録音のすばらしさを書いている。とりわけ第二部オープナー〈C C Rider〉から〈China Cat Sunflower> I Know You Rider〉へのメドレーで、バンドの演奏に聴衆が反応し、それにまたバンドが反応する理想の形となって、場内全体が祝祭と化した。その様子が見事に捉えられている。
 全体としても、最高のショウの一つ。

3. 1981 McArthur Court, University of Oregon, Eugene, OR
 日曜日。北西部3日間の楽日。8.5ドル。開演7時半。次は27日からロング・ビーチ、アリゾナ州テンペ、ラスヴェガスと回る。
 第二部 drums にケン・キージィとジョン・バブズとサンダー・マシーンが参加。
 その前の〈Eyes of the World〉後半のジャムにガルシア不在。
 ショウはすばらしい。

4. 1987 Town Park, Telluride, CO
 日曜日。このヴェニュー2日連続の2日目。20ドル。開演2時。オラトゥンジ&ドラムス・オヴ・パッション前座。KOTO で FM放送された。
 この時のドキュメンタリーが YouTube にある。2時間超。演奏そのものよりも、周辺の情景や聴衆の様子がメインで、会場とそれを囲む全体や演奏に反応している人びとの様子がわかるのは貴重だ。バックには2日間の演奏の録音、おそらくは SBD が、音量を絞って流れる。音質はよいとはいえないが、演奏の質の高さはよくわかる。



5. 1991 Shoreline Amphitheatre, Mountain View, CA
 金曜日。このヴェニュー3日連続のランの初日。開演7時。ブルース・ホーンスビィ参加。
 第一部クローザー〈The Promised Land〉の前に〈Dark Star〉をやる。第二部オープナー〈Scarlet Begonias> Fire On The Mountain〉の間に〈Victim or The Crime〉をはさむ。デッドの実験精神、「やってみる」精神は健在だ。DeadBase XI の David I. Greenberg によれば、この3曲はすばらしいものだった。
 第二部 space 後の〈Playing In The Band〉は3本前、08月12日の Cal Expo 第二部3曲目の還り。
 このヴェニューはビル・グレアムが設計しただけあって、様々な工夫がされている。指定席は半円形にステージを囲み、床には傾斜がつけられていて、また列の間のスペースもあり、どこに座ってもゆったりとして視界が開ける。音も最後尾では若干劣るが悪くない。その外の芝生は傾斜は急で、ステージは遠く、バンド・メンバーは豆粒だが、中継タワーのおかげで音響は指定席よりむしろ良い。また、ステージの後のロビーはデッドのショウの時には販売する者に解放されるので、カーニヴァルの様相を呈する。ここにもスピーカーがあり、スペースもあるから、踊りに出てくる者も多い。指定券を持っていると、この3つの空間は自由に出入りできる。グリーンバーグは他ではあまりやらないが、この時は前から3列目の席をとっていたので、第一部5曲目〈Desolation Row〉の時にロビーに出た。とたんに〈Dark Star〉が始まったので、ちょっと後悔した。それで第二部は席にいた。(ゆ)