09月03日・土
 今日は歯医者の定期点検。今日はヒマと見えて、先生が雑談する。夜のホメリのライヴまで時間があり、たまたま見つけた喫茶店、カフェではなく、昔ながらの喫茶店に籠もって読書。コーヒーは旨いが、タバコがフリーで二度とは来ない。こういう喫茶店は好きなのだが、タバコをフリーにしないと客が逃げてやっていけないのか。

 読んだのは岩波文庫版ジャン・パウルの「陽気なヴッツ先生」。すばらしい。極端なまでの戯画化と思っていると、いつの間にか戯画のまま等身大の、愛すべき肖像になっている。ラストのヴッツ先生死去のシーンの美しさ。ほとんどファンタジィ、しかも書き手がファンタジィを意図しないのにファンタジィになっているところがいい。ジャン・パウルはやはり読まねばならん。

陽気なヴッツ先生 他一篇 (岩波文庫)
ジャン パウル
岩波書店
1991-03-18



 夜はホメリで梅田千晶さんと矢島絵里子さんのライヴ。昨日とはうって変わって、アイリッシュ抜き。ブルターニュ、スウェーデン、クレツマーとオリジナル。これまた極上のライヴ。これも別記。 


%本日のグレイトフル・デッド
 09月03日には1967年から1988年まで6本のショウをしている。公式リリースは5本、うち完全版2本。

1. 1967 Dance Hall, Rio Nido, CA
 日曜日。このヴェニュー2日連続の初日。"Russian River Rock Festival" と銘打たれたイベント。8曲のセット・リストがある。
 オープナー〈In The Midnight Hour〉が《Fallout From The Phil Zone》で、6曲目〈Viola Lee Blues〉が《The Golden Road》所収のファースト・アルバムのボーナス・トラックでリリースされた。
 《Fallout From The Phil Zone》のレシュのライナーによれば、聴衆は25人ほどだったが、全身全霊をこめて演奏した。なお、録音はモノーラル。

2. 1972 Folsom Field, University of Colorado, Boulder, CO
 日曜日。学生3.50ドル、一般4.50ドル。開場10時半、開演正午。雨天決行。ポスターには「5時間」の文字がある。
 第二部クローザー前の〈He’s Gone> The Other One> Wharf Rat〉が《Dick's Picks, Vol.36》でリリースされた。
 全体としてもすばらしいそうだ。

3. 1977 the Raceway Park, Englishtown, NJ
 土曜日。10ドル。開演2時。06月09日以来のショウ。ミッキー・ハートの交通事故による負傷で夏のツアーはキャンセルとなった。その「お詫び」のショウ。ニュー・ライダーズ・オヴ・パープル・セイジとマーシャル・タッカー・バンドが前座。WNEW で放送された。10万とも15万とも言われる人が集まり、デッド単独としては最大の聴衆。前夜には数万人がゲート前に集まり、混乱を避けるため、午前3時にゲートが開かれた。もっとも DeadBase XI の Ken Kaufman によれば15万人の6分の1はマーシャル・タッカー・バンドがお目当てで、デッドが出る前に立ち去った。さらに MTB とデッドの間の時間に、女性が出産した。医療ヘリが飛んできて、場所をあけてくれとアナウンスが繰返された。終演後、親子ともに元気と発表された。
 デッドはこの後また3週間休んで、月末から秋のツアーに出る。
 全体が《Dick's Picks, Vol. 15》でリリースされた。

4. 1980 Springfield Civic Center Arena, Springfield, MA
 水曜日。10.50ドル。開演7時半。
 全体が《Download Series, Vol. 07》でリリースされた。
 〈Althea〉〈Candyman〉〈Hight Time〉〈He's Gone〉〈Black Peter〉〈Brokedown Palace〉と「哀しい」曲が集中したショウ。

5. 1985 Starlight Theatre, Kansas City, MO
 火曜日。14.50ドル。開演7時半。
 第一部クローザー〈The Music Never Stopped> Don't Ease Me In〉が2011年の、オープナー〈Feel Like A Stranger > They Love Each Other〉が2020年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。
 第二部オープナーが〈Cryptical Envelopment> The Other One> Cryptical Envelopment〉で、〈Cryptical Envelopment〉はこの年06月に13年ぶりに復活してこれが復活後5回目の演奏で最後でもある。
 〈Feel Like A Stranger〉、最後のコーラスでウィア、ガルシア、ミドランドが歌いかわすのが見事。

6. 1988 Capital Centre, Landover, MD
 土曜日。このヴェニュー4本連続の2本目。
 アンコールの2曲目、ショウの最後に〈Ripple〉が演奏されて聴衆は狂喜乱舞した。1981年10月16日以来で、デッドとしてはこれが最後の演奏。この時の演奏はガンで死のうとしていた若者のリクエストに答えたもの。(ゆ)