リリースとは順番を換えて、録音の新しいものから古いものへと聴いてみます。


 この日のオープナーの2曲。〈Feel Like A Stranger〉は昨年の《30 Days Of Dead》でリリースされましたが、今回は2曲目の〈Bertha〉を加えてのリリース。

 このショウはマジソン・スクエア・ガーデンでの6本連続のランの楽日。ここでの最後のショウ。翌年も予定はされていましたが、ガルシアの死去で実現しませんでした。開演は午後7時半。料金30ドル。

 これで秋のツアーを打上げ、この後は11月末のデンヴァー、12月中旬にオークランドとロサンゼルスで一連のランを行ってこの年を締めくくります。

 MSG は特別なヴェニューとされていますが、デッドにとってもお気に入りの会場で、1979年正月以来計52本のショウを行っています。1988年には当時の記録となる9本連続のランもしました。公式でも今年のビッグボックス《In And Out Of The Garden》はじめ、《30 Trips Around The Sun》や《Dick's Picks, Vol. 09》のショウ丸ごとの完全版も出ています。

 1994-10-19 のショウの SBD は出ておらず、Internet Archives にあるのも AUD のみです。もっともこの頃になるとデジタル録音なので、AUD でも音は良いです。

 この出だし、バネの効いたビートに乗ったジャムが良いですねえ。ガルシアは調子がだんだん良くなり、弾きやめたくない感じが出ます。これが出るのは本当に調子が良い証拠。

 〈Bertha〉はビートは速いですが、ガルシアの歌唱はゆったりしています。調子はよく、歌詞を自在に伸ばします。最後のヴァースを歌うガルシアは実に楽しそう。もっとも途中で一瞬途方に暮れた顔になった、という話もあります。この時期になると、好調が続かなくなっていたようです。それでも AUD で聴くとコーラスでは会場大合唱。間奏のギターもまだまだというように長い。3番の後もソロを続けて、この曲だけで9分は長い方です。ラストの "anymore" のリピートは8回。会場の反応のおかげか、恢復したのでしょう。

 いや、これは良いです。波はありますが、良い時は本当にすばらしい。(ゆ)