8日リリースの〈New Speedway Boogie〉。ショウは 1992-06-12, Knickerbocker Arena, Albany, NY。この次に新しいのは前年03-24の同じヴェニューのショウからで、この辺りは意図的ではないかとも思えます。

 ショウはこのヴェニュー2日連続の2日目。06月06日からの夏のツアー後半で、このツアーでは各ヴェニュー2日ずつのランです。

 曲は第一部クローザー前。この後は〈The Promised Land〉でしめくくり、第二部は〈Scarlet Begonias> Fire On The Mountain〉からスタート。

 〈New Speedway Boogie〉はオルタモントの悲劇を歌った曲として知られますが、デッドのレパートリィとしてちょっと珍しい経歴をたどります。1969-12-20、フィルモア・オーディトリアムでの初演の後、翌年09-20のフィルモア・イーストまで25回演奏して一度レパートリィから落ちます。20年後の1991-02-19、オークランド・オルメイダ・カウンティ・コリシアム・アリーナ、この年最初のショウで復活。以後、回数は少ないながら、1995-07-02まで演奏されました。演奏回数は55回。スタジオ盤は《Workingman's Dead》収録。

 なお、フィルモア・オーディトリアムはフィルモア・ウェストの前にビル・グレアムがやっていたヴェニューです。もっともウェストを開いた後もしばらく平行してオーディトリアムも経営しており、デッドは両方に出ています。

 〈New Speedway Boogie〉のすぐ前にウィアが熱唱している〈Black-Throated Wind〉も似た経歴をたどります。1972-03-05 にウィンターランドでデビューし、1974年10月の大休止前まで100回以上演奏されますが、1976年の復帰後は演奏されず、復活するのは1990-03-16。1995-06-28まで、計160回演奏。復帰後はコーダがひき伸ばされます。

 ガルシアはこの夏のツアーが終った直後に倒れますが、この日は冒頭から好調で、〈New Speedway Boogie〉でもヴォーカルも力強く、いいギターを弾いています。コーダのコーラスのくり返しが粋。ここはそのまま途切れずに〈The Promised Land〉。冒頭から場内大合唱。ウェルニクもかなり良いピアノ・ソロをツー・コーラス聴かせます。

 1992年のショウは秋のツアーがキャンセルされて55本。それでも120万枚のチケットを売り、コンサート収入はU2に次ぐ2位でした。レパートリィは134曲。新曲は4曲。ハンター&ガルシアの〈So Many Roads〉。ハンター&レシュの2度目のコラボレーションから生まれた〈Wave to the Wind〉。ハンターの詞にウィアとハートが曲をつけた〈Corrina〉。そしてハンターの詞にウェルニクがボブ・ブララヴと曲をつけた〈Way to Go Home〉。この中では〈So Many Roads〉が、ガルシア晩年の絶唱を生んでいきます。(ゆ)