金曜日の午後、書庫兼仕事部屋で本を縛りなおしていた時だ。
本棚に入らない本は紐で縛る。以前は段ボール箱に入れていたが、どこに何が入っているのかわからなくなるので、縛ることにした。古本屋がやっている方法である。縛った時にある程度テーマや作家でまとめるようにしているのだが、急いでいたり、うっかりしていたりで、あちこちの束に束としては半端な本が1、2冊とか入っている。それを取り出して縛りなおす作業を時々やる。こうして何がどこにあるか、できるかぎりわかりやすいようにする。当面必要な本を取り出すこともある。
今回は作業対象の束が結構あって、作業空間、つまり空いている床が狭く、立ったまま前屈みになって縛る作業をしていた。この「立ったまま」がよくなかった。2本ほど縛って、収納場所に移した、その2本目を下ろそうとしたら腰が痛い。ひどく痛い。疲れたのかと椅子に座ってみた。座ると痛みはやわらぐ。が、立とうとすると痛くて立てない。前屈みになれない。なろうとするとずきんとくる。何かにつかまって、あるいは支えに手をついてようやく立てる。歩くのもそろそろだ。足が前に出ない。
あれ、こりゃあ、ぎっくり腰というやつではなかろうか。と気づいた時はすでに遅いわけである。
とりあえず、ベッドに寝てみた。寝ながら iPhone で検索をする、というのは今の時代の常道であろう。すると、ぎっくり腰というのは即効の治療法などはなく、自然治癒を待つほかない、とある。確かにかみさんが昔ぎっくり腰であまりに痛がるので救急車で病院に担ぎこんだ時も、痛み止めを注射されただけだった。さらに、寝たりしているよりも、普通の生活、動作をしている方が速く治る、とも書いてある。そういう結果が複数あるそうだ。
そこでこうしちゃいられない、と起きあがって、とにかくできるかぎり普通の生活をしようとしてみる。しかし、トイレに座るのさえ、やっとのことだ。幸い、トイレにはこういうこともあろうかと考えたわけではないが、なにせ高齢者が住むのだからと、リフォームの時にがっちりした手摺りをつけてある。トイレット・ペーパー・ケースの上の台も、体重を支えられるように作ってある。それで、何とか用を足す。
椅子に座っていると、立つのが辛くなる。えいやっと体をまっすぐにしてそろそろと足を出す。しばらく家の中を歩きまわると、楽になってくる。
前屈みになれないので、顔を洗えない。あたしの顔は油顔、真冬でも夜にはぬらぬらぎとぎとになるので、顔を洗えないのは結構辛い。うーむ、これも避難所生活のリハーサルととらえるか。しかし、いま大地震など来られた日にはたまらんぞ。
こういう状態で外出など考えられない。週末の予定は、「いーぐる」での佐藤英輔さんの著書発刊記念イベントも、横浜・山手ゲーテ館での木村、須貝、中村トリオのライヴも吹飛んだ。来週1週間でどこまで恢復するか。
要するに年をとったということだ。来年は古希だ。インターバル速歩のおかげで体調そのものは維持しているが、ふだん使わない筋肉は着実に衰えている。それをあらためて思い知らされた。(ゆ)
コメント
コメント一覧 (2)
なるべく動いたほうがいいというのはそのとおりです。じっと寝ていると治りません。ただ、良くなってきたかなという段階でもう一度やらかすともっとひどいことになります。
「中山式 腰椎医学コルセット」(一例です、バンテリンとかもあります)みたいな腰サポーターを使うのがお勧めです。日常生活の不安はなくなります。どうぞお大事に。
かみさんもやっていて、前屈みになるときはコルセットしてますので、見習おうと思います。