アイルランド共和国政府は昨日10月7日付けで発表した次年度政府予算案の中で、試験運用中の「芸術家のためのベーシックインカム制度」を恒久的に導入することを発表しました。

 この制度は2022年に試験運用が始まったもので、アイルランドで活動している 2,000人の芸術家に週325EUR を支給しています。2年間の試験運用の後、1年延長されて来年終了予定です。これを支給枠を拡大し、かつ永続する制度として確立することが予算案に盛りこまれました。

 試験運用の支給対象は芸術活動で収入を得ている、または得ようとしている人で応募者のなかから抽選で選ばれていました。恒久制度の支給対象をどう決めるかはまだ未定です。芸術家対象のアンケートでは収入の必要度に応じるというものと、活動実績に基くというものが拮抗しています。

 「芸術」の範囲は広く、音楽、美術、パフォーマンス、映像、文学も含みます。ゲーム製作や YouTube や TikTok などでの活動まで含むかは調べていません。基本的にはその活動だけで収入を得られるようになることが難しく、時間がかかる分野が主な対象でしょう。また、試験運用では支給対象に国籍条項はないようです。

 所轄の文化・コミュニケーション・スポーツ担当大臣の Patrick O'Donovan は発表の中で、「この制度は世界の羨望の的となり、アイルランドにとっては巨大な実績となっており、将来長きにわたって持続可能なものとしなければならない」と述べています。

 JOM によれば、同じ予算案の中で音楽関係としては、来年創設75周年を迎える CCE への追加助成60万 EUR、独立のヴェニューやアーティストを助成する「草の根音楽会場サポート制度」に100万 EUR、Culture Ireland の海外ツアー助成が80万 EUR 増額、それに National Concer Hall 再開発も盛り込まれています。(ゆ)