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オーディオ・チェック
02月10日・木
サウンド・ジュリアのクラウン IT5000アンプのデモ動画は、設定を1,080p にしてオーディオ・チェックに使える。キーボード主体のフュージョン・バンドの演奏で、録音超優秀、演奏は一級で、楽曲が退屈なのが、チェックにはかえって都合がいい。チェックに適当な箇所も明瞭。
最近手に入れた HiFiMAN HE-R9 とだいぶこなれてきた Tago Studio T3-01 を聴き比べる。T3-01 のモニタ用としての実力がわかる。HE-R9 の方がずっと空間が広い。反応のスピードは T3-01 の方がやや勝るか。ただ、T3-01 は音の下がりも速くて、余韻に欠けるところもある。モニタ用とはそういうもので、立上りと収束が共に速いことが必要なのだろう。
HE-R9 の Bluemini R2R も試す。iPad と有線でつなごうとすると、必要な電力が多すぎて使えないよ、と出る。Bluetooth でも、これだけで聴いていれば何の不満もない。大したものだ。Himalaya チップを使った DAC が出れば試したい。
Dave's Picks, Vol. 41 着。1977年05月26日, Baltimore Civic Center, Baltimore, MD の全体。それに、昨年最後の Vol. 40 で入りきらなかった1990年07月19日, Deer Creek Music Center, Noblesville, IN のアンコール〈U. S. Blues〉を収録。
アマゾンは近刊予約をしろと言っておきながら、いざすると、今度は出たのにいつまで経っても送ってこない。予約時点より価格がかなり下がると知らんぷりするらしい。
##本日のグレイトフル・デッド
02月10日には1979年と1989年の2本のショウをしている。公式リリースは無し。
1. 1979 Soldier's And Sailors Memorial Hall, Kansas City, KS
このヴェニュー2日連続の2日目。9ドルと10ドル。開演7時きっかり。カンザス州では12回ショウをしているうち、このヴェニューが8回。この年12月にも戻っている。なお、ミズーリ州のカンザス・シティとは別。カンザス川をはさんで西がカンザス州カンザス・シティ(人口15.6万)、東がミズーリ州カンザス・シティ(人口50万弱)。ここまでミズーリ川に沿って南下してきた州境は、ミズーリ川に西からカンザス川が合流する、その合流点から直線で真南に伸びる。なお、ミズーリ州カンザス・シティではデッドはやはり8回ショウをしている。ミズーリ州では32回ショウをしていて、これはセント・ルイスでのショウが多いため。
ここは1925年オープンの多目的ホールで、収容人数は3,500。デッドが最も好むサイズ。集会、コンサート、スポーツなどに使われている。1965年国の史的建造物に指定された。
2. 1989 Great Western Forum, Inglewood, CA
ロサンゼルス国際空港の東にある会場での3日連続の初日。19.50ドル。開演8時。まずまずのショウの由。(ゆ)
黒船来航
12月19日・日
かつて黒船はそれとすぐわかるものだった。ペリーの艦隊は、それまで軍艦や異国の船など見たこともない漁民にも、黒船だとわかった。得体は知れないが、何かとんでもないものがやってきて、自分たちの暮しが根底からひっくり返ろうとしている、とわかった。
今の黒船は見ただけでは、それとはわからない。しかし A&C オーディオのヒッポさんのような慧眼のプロにはわかる。
むろん、中華製の安くて質の良いオーディオ機器は今に始まったことではない。アマゾンを見れば溢れかえっている。ただ、その中のどれが黒船かは、あたしなどにはわからない。ユーザ・レヴューの数が多くて星の数が4以上なら、なにせ安いし、試してみてもいいかと思うが、それにしても多すぎる。音楽や本のように、試聴試読してみるわけにもいかない。それに本や音楽と違って、機械は実物を見て触って動かしてみてナンボのものだ。
しかし、ヒッポさんのような人がこれは黒船だと言うならば、話は違ってくる。ああいうスピーカーを作る耳の持ち主が言えば、まちがいない。最新の Dolphin は聴いていないが、その前のモデルは聴いている。スピーカーの置き場所がなくて、今のところ買う予定はないが、スピーカーを買うなら Dolphin と決めている。Dolphin を買うために、なんとか置き場所を作れないかとさえ思っている。
黒船はやって来た以上、来なかったことにはできない。そして黒船は一度来れば終りではない。ペリーは翌年またやって来て、幕府は否が応でも不平等条約を結ばされる羽目になった。
オーディオの黒船も、後から後からどんどんやって来よう。ヒッポさんも全てを試したわけではあるまい。他にも来ているにちがいない。既存のメーカーはどんどん撤退に追いこまれよう。
もっともそれは必ずしも悪いことではない。新しいプレーヤーたちの登場に道を開くからだ。黒船は幕府という賞味期限がとっくに切れていた体制が退場するきっかけとなった。つまり、賞味期限が切れていないかどうかは、黒船をチャンスにできるかどうかでわかる。
さて、あたしとしてはこの黒船を契機にして、Dolphin 導入に踏み切るか。
だけど、ホントに場所が無いのよ。買ったはいいけど、部屋の隅に箱のまま積んどくことになりかねない。同じツンドクでも、こちらはいただけない。
##本日のグレイトフル・デッド
12月19日には1969年から1994年まで5本のショウをしている。公式リリースは1本。
1. 1969 Fillmore Auditorium, San Francisco, CA
三連チャンの初日。3ドル。開演8時。2時間弱の一本勝負。冒頭4曲はガルシアとウィアの2人だけでアコースティック・セット。休憩無しに5曲目〈Mason's Children〉からエレクトリック・セット。
アコースティック・セットの冒頭3曲〈The Monkey And The Engineer 〉〈Little Sadie〉〈Long Black Limousine〉はこれが初演。
このアコースティック・セットはデッドとしては初のものとされるが、レシュが何らかの事情で遅刻したために、即席で行われたものらしい。4曲だけだが、演奏は一級のものだった、と Ross Warner が DeadBase XI で書いている。
2. 1973 Curtis Hixon Covention Hall, Tampa, FL
2日連続の2日目。この年最後のショウ。第一部後半の4曲と第二部2曲を除く全体が《Dick’s Picks, Vol. 1》としてリリースされた。さらに第一部クローザー前の〈Ramble on Rose〉が2012年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。曲数で全体の5分の3、2時間10分強がリリースされたことになる。
3. 1978 Memorial Coliseum, Mississippi State Fairgrounds, Jackson, MS
7.50ドル。開演8時。聴衆がずいぶんと少なかったらしい。が、音楽は一級。DeadBase XI の Rob Bertrando は後半は特に良かったと言う。
4. 1993 Oakland-Alameda County Coliseum Arena, Oakland, CA
24.50ドル。開演7時。このヴェニュー三連チャン最終日。この年最後のショウ。
5. 1994 Los Angeles Sports Arena, Los Angeles, CA
開演7時半。このヴェニュー4本連続の最終日。この年最後のショウ。
第一部6曲目〈When I Paint My Masterpiece 〉でウィアはアコースティック・ギター。(ゆ)
今年のつくつく法師がついに終ったか
9月28日・火
FiiO の K9Pro、THX-AAA アンプ、AK4499採用で直販9万を切る DAC/amp。4pinXLR、4.4、3.5のヘッドフォン・アウト、3pinXLR x 2 のラインアウト。Bluetooth はあるが、WiFi は無し。惜しいのう。音は聴いてみたいが。
watchOS 8.0 になってから、登った階段の階数の数え方が鈍い。まあ、最近、階段の数字は気にしていないからいいようなものだが、気にならないわけでもない。
今日はつくつく法師をついに聞かない。今年の蝉も終ったか。
##9月28日のグレイトフル・デッド
1972年から1994年まで5本のショウをしている。うち公式リリースは2本。
1. 1972 Stanley Theatre, Jersey City, NJ
3日連続最終日。料金5.50ドル。出来としては前夜以上という声もある。冒頭、1、2曲、マイクの不調で声が聞えなかったらしく、そのために公式リリースが見送られたのだろうという説あり。
2. 1975 Golden Gate Park, San Francisco
ライヴ活動休止中のこの年行った4本のライヴの最後のもの。《30 Trips Around The Sun》の1本としてリリースされた。
ゴールデンゲイト公園はサンフランシスコ市の北端に近く、短かい西端を太平洋に面し、真東に細長く延びたほぼ長方形の市立公園。ニューヨークのセントラル・パークとよく比較されるが、こちらの方が2割ほど大きい。1860年代から構想され、元々は砂浜と砂丘だったところに大量の植林をして19世紀末にかけて整備される。この公園での音楽イベントとしては、2001年に始まった Hardly Strictly Bluegrass が有名。またポロフィールドでは後にビル・グレアムとガルシア各々の追悼コンサートが開かれた。
リンドレー・メドウ Lindley Meadows は中心からやや西寄り、ポロフィールドの北にある、東西に細長い一角。ここでのデッドのショウは記録ではこれ以外には 1967-08-28 のみ。この時は Big Brother & the Holding Company との "Party For Chocolate George" と称された Chcolate George なる人物の追悼イベントで月曜午後1時という時刻だった。Deadlist では2曲だけ演奏したようだ。
60年代にデッドが気が向くとフリー・コンサートを屢々行なったのは、ゴールデンゲイト公園の本体から東へ延びる The Panhandle と呼ばれる部分で、このすぐ南がハイト・アシュベリーになる。
この公園についてガルシアは JERRY ON JERRY, 2015 のインタヴューの中で、様々な植生がシームレスに変化しながら、気がつくとまったく別の世界になっている様に驚嘆し、これを大変好んでいることを語っている。デッドがショウの後半で曲をシームレスにつないでゆくのは、これをエミュレートしているとも言う。デッド発祥の地サンフランシスコの中でも揺籃時代のデッドを育てた公園とも言える。一方で、ガルシアはここでマリファナ所持の廉で逮捕されてもいる。公園内に駐車した車の中にいたのだが、この車の車検が切れていることに気がついた警官に尋問された。
このコンサートは San Francisco Unity Fair の一環。1975年9月27〜28日に開催され、45のNPOが参加し、デッドとジェファーソン・スターシップの無料コンサートがあり、他にもパフォーマンスが多数あって、4〜5万人が集まったと言われる。このイベントの成功から翌年 Unity Foundation が設立され、現在に至っている。
冒頭〈Help on the Way> Slipknot!〉と来て、不定形のジャムから〈Help on the Way〉のモチーフが出て演奏が中断する。ウィアがちょっとトラブルがある、と言い、レシュが医者はいないか、バックステージで赤ん坊が生まれそうだ、と続ける。ガルシアがギターの弦を切ったこともあるようだ。次に〈Franklin's Tower〉ではなく、〈The Music Never Stopped〉になり、しばらくすると「サウンド・ミキサーの後ろに担架をもってきてくれ」と言う声が聞える。なお、この曲から入るハーモニカは Matthew Kelly とされている。
さらに〈They Love Each Other〉〈Beat It On Down the Line〉とやって、その次に〈Franklin's Tower〉にもどる。
〈They Love Each Other〉はここから姿ががらりと変わる。1973-02-09初演で、73年中はかなりの回数演奏されるが、74年には1回だけ。次がこの日の演奏で、ブリッジがなくなり、テンポもぐんと遅くなり、鍵盤のソロが加わる。以後は定番となり、1994-09-27まで、計227回演奏。回数順では59位。
休憩無しの1本通しだったらしい。後半はすべてつながっている。CDでは全体で100分強。
こういうフリー・コンサートの場合、デッドが出ると発表されないことも多かったらしい。問い合わせても、曖昧な返事しかもらえなかったそうな。
3. 1976 Onondaga County War Memorial, Syracuse, NY
《Dick’s Picks, Vol. 20》で2曲を除き、リリースされた。このアルバムはCD4枚組で、9月25日と28日のショウのカップリング。
後半は〈Playing in the Band〉で全体がはさまれる形。PITB が終らずに〈The Wheel〉に続き、後半をやって〈Dancing in the Street〉から PITB にもどって大団円。アンコールに〈Johnny B. Goode〉。こんな風に、時には翌日、さらには数日かそれ以上間が空いてから戻るのは、この曲だけではある。そういうことが可能な曲がこれだけ、ということではあろう。
〈Samson and Delilah〉の後の無名のジャムと、〈Eyes of the World〉の後、〈Orange Tango Jam〉とCDではトラック名がついているジャムがすばらしい。前の曲との明瞭なつながりは無いのだが、どこか底の方ではつながっている。ジャズのソロがテーマとはほとんど無縁の展開をするのとはまた違う。ここではピアノ、ドラムス、ウィアのリズム・セクションの土台の上でガルシアのギターとレシュのベースがあるいはからみ合い、またつき離して不定形な、しかし快いソロを展開する。ポリフォニーとはまた別のデッド流ジャムの真髄。
この会場でデッドは1971年から1982年まで6回演奏している。現在は Upstate Medical University Arena at Onondaga County War Memorial という名称の多目的アリーナで収容人数は7,000。1951年オープンで、2度改修されて現役。国定史跡。コンサート会場としても頻繁に使われ、プレスリー、クィーン、キッス、ブルース・スプリングスティーン、エアロスミスなどの他、ディランの1965年エレクトリック・ツアーの一環でもあった。ちなみに COVID-19 の検査、ワクチン接種会場にも使われた。
4. 1993 Boston Garden, Boston, MA
6本連続の4本目。ほとんど70年代前半と見まごうばかりのセット・リスト。
5. 1994 Boston Garden, Boston, MA
6本連続の2本目。30ドル、7時半開演のチケットはもぎられた形跡がない。
会場はニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン三代目の「支店」として1928年にオープンしたアリーナで、本家は代替わりしたが、こちらは1995年9月まで存続した。1998年3月に取り壊された。収容人数はコンサートで16,000弱。デッドは1973年に初めてここで演奏し、1982年までは単発だが、1991年、1993年、1994年と三度、6本連続のレジデンス公演を行った。計24回演奏している。うち、1974年、1991年、1994年のショウから1本ずつの完全版が出ている。
1995年9月にも6本連続のショウが予定されていて、千秋楽19日のチケットには〈Samson & Delilah〉の歌詞から "lets tear this old building down" が引用されていた、と Wikipedia にある。(ゆ)
東京インターナショナルオーディオショウ @ 東京国際フォーラム
それにしてもアキュフェーズがヘッドフォン・アンプを出してくれないか。DAC とかじゃなくて、純粋のヘッドフォン・アンプ。Luxuman P-750U のような、でももっとコンパクトなやつ。アキュフェーズが出したら、無理しても買っちゃいそうな気がする。(ゆ)
ヘッドフォン祭など
Jaben Online 日本語サイトの作成も手伝っているし、『ヘッドフォンブック2013』の英訳も同時進行で、こんなに忙しい思いをしているのは、もう何年もありません。
とゆーことで、Jaben 関係のお知らせとか情報とかは Facebook に移します。Jaben 関連以外のハードウェア、たとえば昨年秋に予約を入れて以来、心待ちにしている CEntrance の HiFi-M8 とかについてはこちらに書きますが、GoVibe、Hippo、Phonak その他、Jaben が扱うモノについては Facebook の Jaben Japan ページをご覧ください。今回のヘッドフォン祭で売ったり展示したりするモノについてもそちらに書きます。
それにしても KEF がヘッドフォン/イヤフォンを出したのには驚いた。(ゆ)
Jaben バランス・スペシャル・セット1
ちなみに、T1、T5p のバランス化は製品にするまではウィルソンおやじが自分でやってます。
本製品はヘッドフォンとアンプで構成されており下記の組合せがあります。ヘッドフォンは Beyerdynamic 社の T5p(32Ω)とT1(600Ω)を用意いたしました。それぞれに専用のバランスドライブができるよう改造を施し特性の4ピンXLRの高信頼性コネクタを装備しました。さらにオプションとしてクライオ処理を施した交換ケーブルも用意いたしました。ヘッドフォンアンプ “BDR-HPA-02” は JABEN の要求により本ヘッドフォン用にオーロラサウンが特別にチューニングしたもので4ピンXLRジャックによるバランス駆動、また標準フォーンプラグによるノーマル駆動ができるようになっています。また T5p と T1 というインピーダンスや感度が異なるヘッドフォンも適正な音量で駆動できるようにゲイン切り変えスイッチを(High/Low)を備えています。BDR-HPA02 仕様入力 RCA アンバランスラインレベル信号出力 4pinXLRバランスジャック x1 標準フォ-ンジャック x1周波数特性 5Hz -80kHz全高調波歪率THD+N 0.0046%最大出力 1500mW x2 @45Ω負荷 Highゲイン時ドライブ可能ヘッドフォン 16Ω - 600Ω High/Low ゲイン入り変え電源 AC100V 50-60Hz大きさ W230mm x D180mm x H80mm 突起物含まず
RudiStor に注文をされる際にご注意
日本から注文される方にお願いがあります。住所は英語で書いてください。電話番号を PayPal の注記欄に書いてください。
なお、英語の住所を登録するにはトップ画面で使用言語を英語に切り替えます。そうしておいて住所の登録に移動すると英語で入力できます。
ポタ研2013春
試聴された方にはいずれもかなり好評で、1BAドライバーの音とは思えない、というありがたい評価もいただきました。価格は1万円前後の予定です。この価格に驚かれる方も多かったです。なお、ポスターにあるコンプライ流のフォーム・チップがデフォルトですが、シリコン・チップも用意されてます。
Stereo 2013年1月号
付録は48KHz までサポートする USB-DAC 付きヘッドフォン・アンプで、Luxman 製ということで、少し期待したのだが、甘かった。USB電源のみで、入力も USB だけ。音は焦点がぼやけてもいるが、長所もない。
Stereo はいまだにヘッドフォンを「アクセサリー」扱いしていることからして、ヘッドフォン・アンプや PCオーディオなど使ったことのない読者にとっての入門が目的なのだろう。加えて、あたしのようなヘッドフォン・ファンを釣ることも目論んでいたはずだ。
もっとも、この雑誌の読者はまともなヘッドフォンなんて持ってないんじゃないか。もしそうなら、ここで持ち上げられている Shure とか、表紙のオーテクあたりに手を出すのであらふ。あたしなら Beyerdynamic T1 とか Final Audio Design Piano Forte XX を薦めるところだが、まあこんなところは見ていないわな。
Beyerdynamic T1
FinalAudioDesign Piano Forte X-CC
しかしなあ、Luxman のアンプってこーゆー音なの? いくら雑誌の付録とはいえ、基本的な性格は変わらんでしょう。まあ、ヴォーカルがしっかりきれいに聞こえるのはいいんですけどね。
結論はもう少し、使いこんでからと思うが、使っていてあんまり楽しくないのよねえ。
むしろ、いろいろ部品を交換していって、音が変わるのを楽しむアイテムというところ。んだが、そういうことをしているカネと暇があれば、1曲でも音楽を聴きたいと思う今日この頃である。
とはいえ、こういう雑誌でも収獲はあるもので、「私の特選! ミュージック・ファイル」というコーナーで OTOTOY が配信しているハモニカクリームズの新作《IN + OUT = SEA》がとりあげられているのは嬉しい(201pp.)。ただし、筆頭にあげられている、オールマンのフィルモア・ライヴの192KHz 音源がすでに OTOTOY のサイトから消えているのは、どちらが悪いのか。HDTracks で配信されているのは 96KHz なので、192だったら聴いてみたかった。
12/24訂正。オールマンのフィルモアを配信しているのは e-onkyo で OTOTOY ではありませんでした。失礼しました。それにしても、これは DSD マスターということなんだが、そのマスターをそのまま配信する計画はないのかね。これを DSD で聴けるなら、DSD 環境を整備するぞ。
ところで、これには1992年にプロデューサーのトム・ダウド自身がミックスしなおして、それまで未発表だった録音も入れて出しなおした《TNE FILLMORE CONCERTS》がある。これも良い録音で、むしろ空間の広さや楽器のバランスはこちらの方が好きだが、これのハイレゾというのは無いのか。
Fillmore Concerts
日本語のオーディオ雑誌を見ていつも思うけど、ソフトの扱いが軽すぎるよなあ。アメリカのハイエンド・オーディオ専門誌の雄、The Absolute Sound は全体の半分がソフトの話で、録音面だけでなく、音楽、演奏についても正面からとりあげていた。オーディオは「音」を聴くもんじゃない、聴くのはあくまでも「音楽」だ、という筋がどーんと通っていた。大部分はクラシックとジャズだったけど、ジェニファ・ウォーンズの《FAMOUS BLUE RAINCOAT》が出た時、当時の編集長自ら、シンガー本人とプロデューサーを招いて、長時間インタヴューをして特別記事を書いた。その原稿の質と量は、どんなハードウェアのものよりも多く、高かった。
ソング・オブ・バーナデット 〜レナード・コーエンを歌う
それはともかく、なによりもかによりも仰天したのは、「海外ブランド・インタビュールーム」の「アバンギャルド」というドイツのスピーカー・メーカーの頁(142pp.)。David Browne というインターナショナル・セールス・マネージャーが出ているのだが、
アイルランド出身で、アイリッシュ音楽の大ファン。かつて百人規模で踊るグループイベントのPA技術者として来日し、2ヶ月以上滞在したこともあるのだという。音楽業界の最前線でPAや録音機材と深く関わり、アバンギャルドの製品に惚れ込んだことがきっかけで、2011年秋セールス・マネージャーに就任。
な、な、何だって。『リバーダンス』のPA担当者が売っているスピーカー?
「私が購入したアバンギャルドの製品は、ウノG1 です。繊細さと生々しさに圧倒され、強く惹かれました。特に低域のレスポンスが最高、しかも小音量再生に強い。また、その音は生音にきわめて近い性質を持っていて、大音量再生中でも普通に隣の人と会話ができる。そんなことは他社製スピーカーではありえません」
聴いているのは、当然アイリッシュ・ミュージックが多いはず。その人がこう言うとなると、気にするなという方が無理だ。おまけにだ。
そこまで話したあと、彼は意外なCDを取りだした。まず、1956年録音のジャズボーカル・アルバム『エラ・アンド・ルイ・アゲイン』。そして、それが終わると次にジューン・テイバー『アップルズ』から「センド・アス・ア・クワイエット・ナイト」をかけた。
ぎょえー! スピーカーの試聴にジューン・テイバー! ちなみにこの曲は《APPLES》最後のトラックで、遠めで控え目のピアノ伴奏を文字通りバックにジューンが手前でゆっくりとうたう。途中から、ハイノートのドローンが入る。第2連だけ、ヴォーカルにわずかにリヴァーヴをかけている。確かに、よい録音ではありますよ。
アップルズ
代理店のエソテリックのスタッフが
「私たちが普段行なっているデモでかけないようなソフトが、かなり異なる音量で再生されました。こんな魅力もあったんですね」
と言うのも無理はない。
写真を見ると、ホーン・システムではないか。それにサブ・ウーファーを組み合わせたアクティヴ・スピーカー。値段もハンパじゃないが、スピーカー、サブ・ウーファー、アンプがセットと思えば、そんなに無法なもんじゃない。いや、そりゃ、買えるか、となると話は別。それにこうなるとセッティングにも気を使う必要がある。
avantgarde duo Ω (omega) G2
しかし、しかし、だ。このブラウン氏が惚れ込んで、製品の音決めにまで参加しているスピーカーとなると、聴かないわけにはいかないだろう。
どこかで聴けないか、と思ったら、かの吉祥寺の「メグ」のシステムに使われている。「いーぐる」の後藤さんによれば、首をかしげるところもあるらしいし、「メグ」では「いーぐる」とは違って、アイリッシュをかけてもらうわけにもいかないだろうが、試聴室よりは、実際に使われている形で聴いてみたい。
uno は G2 になっているが、エソテリックのサイトには Solo という、同軸ユニットを使ったさらに小型の製品がある。ただし、生産終了。後継機は出ないのか。(ゆ)
avantgarde SOLO
美しく青きHPA/DAC: GoVibe Porta Tube+ レヴュー
Big thank you to Nathan Wright who wrote the oritinal review for his kind permission to translate and put it up here.
ということで、ご注文はこちらへどうぞ。
ヘッドフォン祭2012秋 報告 #hpfes
ヘッドフォン祭御礼 #hpfes
ウィルソンおやじからも、心より御礼申し上げる、とのことであります。
今回は初めて晴れてスタッフのパスをもらいましたが、ブースの他にも仕事があり、両日ともブースからはずれている時間がありました。おかげで、初めて、少しは他の展示を見たり、試聴などする余裕もできました。
ということでいろいろあったんですが、まだくたびれていて、個人的な印象などはまた後日。
とりあえず、Hippo Biscuit と GoVibe MiniBox は大好評で、国内正式販売も近いか、という勢い。気になる方はフジヤエービックさんやeイヤホンさんやダイナミック・オーディオ5555さんはじめ、おなじみのお店にリクエストしてみてください。
すぐ欲しいという方は Jaben のオンライン・ショップでどぞ。Biscuit はまったく同じサイズの Cricri とのペアで買えます。
Mini Box 2012 edition
今回は新製品は少なかったんですが、来年はまたいろいろ新しい動きもあると思います。「ブーム」に浮かれずに、地道にコツコツと楽しみましょう(笑)。(ゆ)
ヘッドフォン祭1日目速報 #hpfes
『ヘッドフォンブック2012』英語版 #hpfes
Jaben ブースでの Biscuit と MiniBox の販売 #hpfes
Hippo Biscuit + GoVibe MiniBox #hpfes
マーティン・ジョセフが推薦しているだけあって、うたつくりもシンギングもギターもすぐれた人ですが、ここではチェロやもう一人の女性ヴォーカル、エレキ・ギターなどのサポートで、ゆったりとしながらも切れ味鋭いうたを聴かせます。この人の一番新しい CD も買ってみましたが、これをリッピングした FLAC ファイルを iPod touchでアンプを通して聴くよりも、Biscuit + MiniBox で聴くこのライヴ音源の方に限りなく惹かれます。スタジオが悪いわけではないんですが、演奏も音も、ライヴの方がより生き生きしています。
ちなみにこの抽選会には Jaben からもう一つ、バランス仕様の Beyerdynamic T1 も提供されます。
GoVibe Porta Tube シリーズのゲインの下げ方
その方法を Jaben のウィルソンおやじから教わりました。
「危ないから開けるな」とわざわざ印刷してあるくらいですから、感電などならさぬよう、よくよくご注意のほどを。開けただけで保証がなくなるとは思えませんが、自己責任ということでお願いします。
まず必要な道具ですが、トルクスのドライバーです。サイズは T6 です。トルクスは登録商標の由で、自転車方面などではヘックスとか、アレン・キーとか呼ばれているそうです。Mac で内蔵ハード・ディスクの交換をしたことがある方は使われたと思います。ホーム・センターなどで手に入ります。ヘッドフォン祭の会場では Jaben は先端が交換できる方式のものを使ってました。
前後のパネルを止めている四隅のネジをゆるめて抜き、パネルをはずします。
ヴォリューム・ノブが邪魔でしたら、ネジをゆるめるとはずれます。
後ろからプリント基盤を押して、基盤を前に出します。すると真空管のうしろにジャンパ・スイッチが見えてきます。
下の写真では真空管と緑色のバッテリの間、赤い素子の上に見えます。
Porta Tube と Porta Tube+ では、ジャンパ・スイッチの位置は同じですが、向きが違います。
ゲインを下げるには、
Porta Tube ではジャンパを右に移します。
Porta Tube+ ではジャンパを下に移します。
スペックとしては 6dB 下がるそうです。
お楽しみを。(ゆ)
ヘッドフォン祭2011秋 御礼 #hpfes
今回は前回の Porta Tube のようなセンセーションはありませんでしたが、新製品ではやはり平たい GoVibe Vest が人気でした。DAC 付きと無しとあり、やはり音が違うようですが、ありが良いという方、無いが良いという方、双方がいらしたのは面白かったです。DAC は 24/192 まで対応で、価格は DAC 付で3万以下ですから、結構お買い得ではないかと思います。
Porta Tube ユーザの方も結構いらして、人気の高さを実感しました。Porta Tube+ は DAC を付けた他、アンプ部は Porta Tube とまったく同じだそうですが、ただゲインを下げているそうです。プラスの方が音が良いと思われる(ぼくだけではなく、何人かいらっしゃいました。)のはそのせいでしょうか。
プラスでは、中を開けてジャンパ・スイッチを切り替えることでさらにゲインを下げられます。では Porta Tube はどうしようもないのかというとさにあらず。このジャンパ・スイッチはすでに搭載されているので、Porta Tube もこれを切り替えることでゲインを下げられます。その方法は別記事に書く予定。
本体には、危ないから開けるな、と書いてありますが、ブースでも開けた状態の Porta Tube を展示してあったくらいですので、開けたら保証がなくなるというものでもないでしょう。
ACS の新製品 T15 も、気軽に使えて音が良いというので、なかなか人気でした。ER4 と比べられますが、あちらは「音」を聴く装置、これは「音楽」を聴くツール、とおっしゃった方がいて、なるほど、と思いました。ウィルソンおやじによれば、国内での正式発売が決まったそうです。めでたい。
イヤフォンではもう一つ、5ドライバのIEMの試作品も持ってきていました。後半はどこか切れるかしたか、調子が悪かったようですが、午後のはじめに試聴された方には好評でした。ドライバの構成は2ベース、1ミドル、2ハイの由。
なお、今回展示してあったものは Porta Tube と Porta Tube+ を除き、どれもまだ試作品段階で、これから細かい調整をするそうです。それでも来月には発売とのことで、国内に入ってくるのは来月後半から12月はじめぐらいでしょうか。
Porta Tube+ だけはすでに発売になっており、国内でももうすぐ発売になるそうです。価格は Porta Tube の150USDプラスとのことですから、6万円代半ばというところでしょう。DAC だけで150ドルというのはやはり結構良いものを使っていると思われ、実際、ウィルソンおやじの MacBook Air で試聴された方には好評でした。
個人的には Hippo Pipe が今回のヒット。たぶん世界最小のヘッドフォン・アンプ。E3 のようにイヤフォン・ジャックから直接つないで、プレーヤー側で音量調節します。すでに発売されている Hippo Box+ と同じ傾向の、元気の良い音で、聴いて楽しくなります。ハイレゾ音源をどうとかでなく、ヘッドフォン・アンプの入門とか、iPod Shuffle などでMP3音源を気軽に聴くにはもってこいでしょう。
もう一つ、英国のメーカー JustAudio という、A級動作のヘッドフォン・アンプもウィルソンおやじが持ちこんでました。写真はフジヤさんのブログにあります。大きい方はイヤフォン/ヘッドフォンのインピーダンス切替ダイアル付き。 Porta Tube よりもデカくて、重さも同じくらいという、ポータブルとしてぎりぎり限界ではないかと思われるものですが、ブースに来られたなかに3人、これを持っている方がいました。国内では未発売なので、直接に買われたもの。中のおひとりはシリアル番号が2番というツワモノでした。ちょっと聞いたかぎりでは小さい方がきびきびした音で買うならこちらかなと思いましたが、じっくり聴きたいものであります。
体力が無いこともあって、会場を回ることもしなかったのですが、ウィルソンおやじが引っぱってきてくれた音茶楽さんの「革命的」イヤフォン、フジヤさんのブログで紹介されていたアレをちょっと聴かせていただきました。これは凄いですね。とてもイヤフォンとは思えない。こういう音がスタンダードになれば、音楽の聴き方もまた変わるのでは、と思ってしまいました。ぜひ量産化していただきたいものです。応援します。
女性のお客さんはやはり少なくて、来場者が増えたこともあるのか、10対1ぐらいに見えました。たいていはカップルで、単独で来られていた方はごく稀でした。一人、カスタムIEMの交換ケーブルを探しにこられた方がいました。
放射能にもかかわらず、今回はこれまでになく外国からのお客さんが目につきました。出展側ではなく、ほんとうのお客の方です。Head-Fi 関係からも主催者はじめ幹部が何人も「遊び」に来ていたそうで、Moon Audio の主催者もいました。大陸や台湾からはこれまでにも出展者の他にプレス関係が来ていましたけど、アジアからのお客さんは、見分けがつかないこともありますが、どうなんでしょう。
これでぼくが見たのは4回目ですが、お客さんの「濃度」がだんだん濃くなる気がします。フルサイズのヘッドフォンをジュラルミン(?)のケースに入れて持ち歩いてる方もいましたし、カスタムIEM はもうデフォルト、接続コードもそれぞれに凝って、と感心するばかり。
イベント全体としても、最先端を示すことはもちろん意味がありますが、たとえばこれからヘッドフォンやイヤフォンをアップグレードしたいという人や、DAC やポータブル・アンプを買おうという方が来ても、何がどうなっているのか、まるでわからないのではないか、とも思いました。
来年の春の次回ヘッドフォン祭には、放射能ももう少し収まって、こちらの体力ももう少し回復して、楽しめますように。(ゆ)
欠席届け #hpfes
ぼくがいなくても、Porta Tube+ 単体の試聴や ACS T15 の試聴はできるはずです。T15 は他でも試聴できるかもしれません。これはほんとうに凄いです。一聴の価値はあります。というより、必聴でしょう。他にもいろいろ面白そうな製品があります。
お楽しみを。(ゆ)
Jaben の新製品追加 #hpfes
抗がん剤投与9回目
それでも回数が重なってくると薬が蓄積されてきて、副作用も強くなるようです。今回は吐き気が来ました。
点滴を受けはじめる水曜日の朝から3日間、イメンドという吐き気止めの薬を飲み、また点滴の最初に投与されるのは吐き気止めの薬です。そのおかげもあって、これまではせいぜい病院の食事を食べる気になれないくらいでした。
今回は2日めの木曜あたりから軽いものではありますが明確な吐き気が出て、土曜日までそれが続きました。病院では食慾はまったくありませんでした。食事が出るとほとんど無理矢理食べものを口に入れます。すると腹は空いているので、食べはじめると結局勢いで全部食べてしまいます。病院食ですから量も多くはありません。それでも3日め金曜の朝食、点滴入院中病院でとる最後の食事ですが、口に入れるには「努力」が要りました。
日曜日には空腹時には吐き気は感じなくなりましたが、腹に食物が入ると吐き気まではいかない不快感が出てきます。
また、退院してから出てくるダルさもこれまでになく重いものでした。倦怠感と書くとこの重みが抜けおちる気がします。
帰宅後は好きなものを食べられるわけですが、塩味の強いもの、酸味のあるものが食べたくなります。漬物などが嬉しいので、白菜のゆず漬けなど、一袋買ってきて1度に食べてしまったりします。醤油味の煎餅も、もともと好物ですが、無性に食べたくなる。今回は思いきって寿司を食べてみました。寿司飯の酸味がありがたかったです。
今日で点滴開始1週間ですが、まだ入院前の状態にはほど遠い感じです。3日間飲むイメンドはそれによって1週間効果が続くそうですから、明日あたりは不快感も軽くなってくれるかと期待。
病院ではほとんど眠っていました。眠ろうとするといくらでも眠れます。また水曜日の夜はトイレに起きるごとにその後1時間ぐらいは眠れないので、木曜日の昼間は眠い。この点滴には利尿剤も入っているそうですし、またイメンドが便秘を引き起こすので水分をなるべく多くとるようにしていますから、尿の量はハンパでなく増えます。多い時には30分ごとにトイレに通います。夜間も21時の消灯から朝6時の検温・血圧測定までの間に、最低2回、たいていは3回トイレに起きます。24時間に出る尿の量も計ります。ぼくの場合、これまでのところ4,000cc前後。
それでもさすがに眠くないときもあるので、そういう時には持っていった ACS T15 + GoVibe Porta Tune+ で音楽を聴いていました。これはまことにありがたかった。
この組合せはたまたま手元にそろったので試してみたわけですが、どんぴしゃにはまりました。詳しくは別に書くつもりですが、もともときわめて高い T15 の性能が Porta Tube+ で文字通り増幅されて、楽園に浮かんでいる気分。音楽が鳴っている間だけは何もかも忘れて没入できました。
T15 はサウンドステージがとんでもなく広くてステージというよりスペースと呼びたくなるほどである上に、分解能が高いというのでしょうか、ディテールがそれぞれ適切なヴォリュームで明瞭に聞こえます。フルオケのマッスになっても、フルートのような楽器の音も埋もれることがありません。一つひとつの音に芯があります。
またヴォーカルの表現が精密で、録音によってはうたい手の唇だけでなく、舌の動きまで見える気がします。コーラスでは一人ひとりのうたい手の声がはっきり聞こえるまま、しっかりハモっています。しかもハイレゾでなく、MP3音源でも変わりません。Jaben のウィルソンおやじは「オーディオの救世主」と呼んでいますが、そう呼びたくなる気持ちもわかります。
今週末のヘッドフォン祭では試聴機も用意されるとのことなので、ぜひぜひお試しあれ。
久しぶりにジョン・ドイルのソロ・ファースト《Evening Comes Early》を聴きましたが、ジョンのギターがいかに緻密か、あらためて脱帽しました。それに、ジョンとカラン・ケーシィのハーモニーの妙。
新発見では Mamia Cherif という人の最新作《Jazzarab》が面白い。この人はパリ在住のシンガーですが、出身はマグレブらしい。ここではタイトル通り、ジャズのコンヴェンショナルな語法を守りながら、アラブ音楽の風味を加えています。〈My favourite things〉をアラビア語でうたったり、〈Afro blue〉にアラビア語の歌詞を付けたりしていて、これも面白いですが、ギターの代わりのウード、それにアラブ的フレーズを展開するヴァイオリンが良い味。同時にジャズの本流に従うピアノもよくうたっています。
音質と音楽自体の良し悪しは比例しませんが、良い音で聴くとやはりいろいろと発見があり、新たな体験ができます。何よりそれはそれは気持ち良くなります。背筋を感動の戦慄が走りぬけるたびに免疫力が上がる気がします。
今週末のヘッドフォン祭までにはなんとか回復したいところ。同じく週末の下北沢の音樂夜話特別イベントも気になりますが、先週の経験からも、連チャンは無理でありましょう。(ゆ)
Jaben の新製品@ヘッドフォン祭 #hpfes
新製品の写真はここにまとめられています。
これは Jaben のオーストラリア支社がアメリカのロッキー・マウンテン・オーディオ・フェスティヴァルに出品するもの。RMAF はちょうど今開催されているところです。ここ数年、各社が力を入れている新製品を披露するので注目が高まってるようですね。
新製品はいずれも GoVibe のブランドで、全部で5機種あります。
GoVibe Vest
GoVibe Volante
GoVibe mini U-DAC
GoVibe mini box amp
GoVibe Porta Tube+
まず、Vest は御覧のように平たいアンプで DAC 付きと無しと出るそうです。DAC は 24bit/192KHz までのもの。全体としてはシンプルに出入力とヴォリューム・ダイアルだけ。今回出るものはどれもそうですが、ゲイン切替とか、ベース・ブーストとかは付いてません。それだけ、音に自信があるとも言えます。
次の Volante は小型のデスクトップ真空管アンプ。名前はサッカーの「ボランチ」と同じですが、もともとは音楽用語で「あまかけるように速く軽やかに」という意味。そういう音は聴いてみたい。
形もキュートで、ちょっとオーディオ・デバイスらしくないですね。これでパステルかメタリック調のカラー・ヴァリエーションが出たら、人気が出るんじゃないでしょうか(^_-)。
真空管を使ったものは Jaben では Porta Tube が最初ですが、あの出来栄えの見事さからすると、このデスクトップも音の面でも大いに期待できます。
U-DAC は DenDAC と同じく、USB端子付きのDAC兼アンプです。DenDAC は音は良いですが、ハイレゾ対応していないし、プレーヤーによって合わないものが出てきているので、これに替わるものができないかと頼んだらほんとに作ってくれました。詳細はまだわかりませんが、少なくとも 24/96 までの対応ではあるはず。
mini box amp は FiiO E3 と同じ形ですが、リチウム電池内蔵で、聴いた人間は皆 E3 より音が良いと言ってるよ、とはおやじの言。造りもよりかっちりしています。
一番下の Porta Tube+。これが今回の一番の目玉でしょう。Porta Tube にDACが付きました。チップはテキサス・インスツルメント製ですが、それ以上詳しいことはわからず。24/96までの対応です。
実は先日からサンプルを聴かせてもらってますが、これが単純に Porta Tube にDACを付けただけではありません。
一つはゲイン切替が可能になりました。ただし、中を開けてジャンパ・スイッチで行います。音量を6dB下げることができます。
そしてもう一つ。アンプ自体がアップグレードされてます。これは聴けばすぐわかるくらい、音が良くなってます。サウンドステージがさらに広く深くなり、音の分離がさらにクリアに自然になり、とにかく全体的にブラッシュアップされてます。
Porta Tube だけを聴くと、もう十分なくらい良質の音で音楽に没頭できます。これも質は相当高いでしょう。お披露目した前回のヘッドフォン祭の会場でも iQube より上という声もありました。iQuebe は一度アキバのダイナで試聴したことがあるだけですが、その記憶は鮮烈に残っています。その記憶に比べても、Porta Tube は優に肩を並べるか、場合によっては、つまり聴く音楽によっては凌ぐと思ってました。
Porta Tube+ は、それをあっさり超えてると思います。iQube には独得の艶、エロティックと言いたくなる艶があって、蠱惑的とも言えますが、時にそれが鼻につく、というか耳につくことがありました。Porta Tube+ はそういう艶はなく、音源に入っているものに「何も足さず、何も引かず」にそのまま出してきます。その出し方の質感が絶妙なのです。無色透明にかぎりなく近い。完全に無色透明ではないですが。
各社の製品と比べたわけではないですし、iQube も新版が出ますが、ぼくはもうこれ以上他には何も要らん、という気持ちです。
外観も変更になって、フロントとエンドのパネルはシルバー、ヴォリューム・ダイアルは黒、本体はブルーです。このブルーは Vulcan+ のものと同じ、群青色に近い色。それと、本体上側の通気孔のあいている部分は、Porta Tube では一段低くなっていましたが、+ では他と同じ平面です。USB入力はミニ・ジャックで、背面にあります。その他はサイズも含めて変更無し。
細かいことですが、ぼくの使っている Porta Tube のヴォリュームはやや軽すぎるところがありました。個体の問題かもしれません。Porta Tube+ のヴォリュームは適度に重く、調節がしやすいです。
せっかくですので、MacBook Pro を持ち込んで、会場でDACも含めた試聴ができるようにする予定です。ハイレゾ音源も少しですが、用意します。(ゆ)
日録
*エミリー・ジェイン・ホワイト《ODE TO SENTIENCE》
歌詞に特徴があるのだろうが、音楽自体はごく普通のアコースティック主体のアメリカ西海岸出身の英国調シンガー・ソング・ライター。その「英国」はアメリカ人の一部の想像の中だけにある王国だ。セーラ=ジェイン・モリスとか、パメラ・ウィン・シャノンあたりと通底する。アメリカよりもヨーロッパ、それも大陸で人気が高いらしいのも当然。ニック・ドレイクへの憧れもあるようだ。60〜70年代に生まれていれば「アシッド・フォーク」としてもてはやされたかもしれない。
*エミ・マイヤー《スーツケース・オブ・ストーンズ》
音楽的には前者とは比べものにならないほど高度なことをやっている。うたのうまさ、適度なポップさ、巧妙なジャズの風味。こーゆー音楽を聞きたくなる時もあるなと思わせる。ただ、毒が無い。
*デヴィッド・ウォルターズ《ホーム 〜JAPANESE EDITION(国内盤特典:ボーナスDVD付)》
どうしてこの人は英語でうたうのだろうか。アメリカで売るためか。カリブ訛のある英語がエキゾティシズムを呼ぶのか。音楽的にはかなり面白くなりそうなのを、「商品」に仕立てるためか、わざわざ一歩手前でやめている。昔は「オーヴァー・プロデュース」ということが言われたが、これは「アンダー・プロデュース」だろうか。本人の意志が入っているとしても、音楽が本来向かおうとするところを矯めているのは変わらない。だから英語以外の言語でうたっている曲が良い。ベスト・トラックは〈Lome〉。
口なおし、と言っては失礼になるかもしれないが、同じ志向ながら別の結果になったものを聴きたくなって、これを聴いてみる。
*マリアンヌ・フェイスフル《NORTH COUNTRY MAID》
久しぶりだが、やはり良い。この人がこういうアルバムを作ったというのは、やはり当時の時代の動きに人の創造力を増幅する働きがあったということではないか。ビートルズにしても、メンバーが凡人とは言わないが、それほど傑出した人間、たとえばレオナルド・ダ・ヴィンチとか、ソクラテスとか、司馬遷とか、あるいはモーツァルトとか、プルーストとか、ガウディとか、そういうあきらかに同時代の水準からかけ離れた才能と運命を担っていたとは思えない。
一方でそうした異才たちもまた時代の風に乗っていたわけだから、60年代という時代が持っていた創造力増幅効果が特異なわけではなかろう。ただ、凡人でもその増幅効果の恩恵を受けられるようになっているところは、それだけ「文明」が進んだと言えようか。かつてはチャンスさえ与えられなかった人びとが、とにもかくにもチャンスを掴む可能性を持てるようになったのだから。
話をもどせば、これを聴くとフェイスフル自身、うたい手として凡庸ではないこともわかる。誰もが知っていて、口ずさんだこともあるようなうた、あるいは録音をリリースするようなシンガーならどこかで一度はとりあげるようなうたを、相応の説得力をもって新鮮に聴かせるのは難しい。うたい手としての実力が剥き出しにされるからだ。うたい手として自信のない者は、エミリー・ジェイン・ホワイトのように、自分だけの世界に籠る。
このアルバムが傑出したものになっているのは、うたい手の力だけでなく、シンプルだが大胆なアレンジで盛り上げるバックのサポートも小さくない。この類のうたの伴奏としては、かなり実験的なこともやっていて、ジャズ的処理をしているのはペンタングル出現前夜ということもあって面白い。
1966年というリリース年代を差し引いても、十分時間の濾過効果に耐えて、今でもりっぱな音楽だ。
フェイスフルにはもう1枚、同様の趣向の録音があったと思うが、今、思い出せない。
*大塚の波切不動
ネットで検索してみると鬼平の場面しか出てこないが、『剣客商売』文庫版では『新妻』の巻収録の「いのちの畳針」にここが出てくる。このエピソードで初登場する小兵衞の弟子、植村友之助がこの鳥居前の茶屋の屋根裏部屋に住んでいる。茶屋をやっているのは御家人だった友之助の屋敷にかつて奉公していた女性の父親という設定。それにしてもあそこでの描写は『江戸名所図絵』そのままなのね。ここで主人公を張る友之助はその後何度か登場するが、チョイ役ばかりなのは残念。いいキャラだと思うんだが。金貸し幸右衛門から遺贈されて友之助に留守をさせている神田明神下の家を小兵衞が使う口実に使われるというパターン。
*iPhone 5
ケータイは要らないので持ってもいないが、iPod touch もそのうち無くなって、iPhone だけになるのではないかという一抹の危惧はある。電話機能の有無を選択可能で、価格も電話無しなら iPod touch と変わらないのであればいいが。
*HDTracks
ハイレゾ音源2枚のダウンロードにちょうど24時間かかった。片方は2枚組だからCD3枚分だが、それで24時間は無いよ。ユーザのネット環境によってかかる時間が変わるにしても、だ。
ここはファイルのアーカイヴ化もせず、生のファイルをダウンロードさせる。それも Java を使った独自アプリ。おかげでダウンロードが続いている間は Java を使う他のアプリは使えない。
結構面白いタイトルはあるし、ハイレゾではない、普通のCD音源も、生CDを買うよりも安い場合もあるから便利ではあるのだが、このままでは二度と使えん。
ただし、今回買った1枚、出たばかりの《マイルス・エスパニョール~ニュー・スケッチ・オブ・スペイン》は面白そうだ。 チック・コリアとか、ジョンスコとか、ディジョネット、ロン・カーターといった、ほんとの有名どころしかわからないが、ラビ・アブ=カリルがフィーチュアされてるし、スーザン・マキュオンの《Blackthorn》ですばらしいハープを聴かせるエドマー・カスタニェダが参加してるのは嬉しい。さらに〈Saeta/ Panpier〉にはクリスティナ・パトがパイプで入っている。24bit/88.2KHz のハイレゾの威力はどうか。
*GRAHAM SLEE Novo
をを、グレアム・スリーが入ってきたのかー(念のために書いとくが、「グレアム」だよ、「グラハム」ではないよ)。これは聴きたい。値段もまあリーズナブル。DAC はちょっと面白いものを手に入れたので、今は小型で質の良いデスクトップが欲しいところ。MacBook Pro の脇に置くので、小型でないとね。
実は MacBook Pro> JAVS nano/V > RudiStor RPX-33 というのも試してみて、RPX 33 の実力をあらためて思い知らされたのであります(今は改訂版の RPX-35)。このアンプはソースが良ければいくらでも音が良くなる。うーん、DSD 音源をこれで聴いてみたい。
んが、RPX-33 はさすがにほいほいと持ち歩くわけにはいかない。それに MacBook Pro の脇に置くわけにもいかない。アンプの上に MBP というのもねえ。というわけで、これに匹敵するのは無理でも、相当する小型デスクトップを物色中。
というわけで、NOVO はずーっと気になっていたのだった。
しかし、とゆーことは上級機も入ってくるのか。(ゆ)
ヘッドフォン祭2011春 #hpfes
Jaben のブースに来られたお客さんの一人もおっしゃってましたが、あれだけいろいろ沢山のものがあると、単純に聞き比べていては、どれがどれだか、わやくちゃになりそうです。自分が好きな音、聞きたい音もわからなくなるんじゃないか。
今、どういうものが出ているのか、ひとわたり見渡すにはいいかもしれませんが、ある製品をじっくり納得できるまで試聴するのはちょと無理でしょう。Head-Fi のフェスティヴァルのように、ホテルを会場にして2日間かけると、たとえば夜の間に腰をおちつけて試聴するとか、ゆっくり話をするとかする余裕ができるのではないかとも思いました。あれだけの規模になるとなかなか難しいかもしれませんけど。
今回もウィルソンおやじはいろいろ面白いものを持ってきていました。Hippo Box+ はあいかわらず人気で、値段を聞いてびっくりされている方も結構いました。黒の他に赤とシルバーもあります。
出たばかりの GoVibe Vulcan+ と Vulcan++ も人気でした。++は USB DAC 付き。もうすぐ国内販売も始まるそうです。これも見本は黒でしたが、シルバーとブルーがあります。ブルーはなかなか品の良い色で、シンガポールでは品切れになるくらいの人気だそうな。
GoVibe では USB> S/PDIF コンバータの Xvert と Mini USB DAC もあります。Xvert は24Bit/96KHz まで。サイズは70×45×25ミリ。入力はUSB B で、出力は同軸と光。Mini DAC のサイズは64×25×12ミリで、片方に USB mini B ジャック、反対側にミニ・ヘッドフォン・ジャック。
Mac は標準で光出力が付いているので、Xvert はちょっと使い道がわかりません。標準の出力とはまた音が違うのか。ウインドウズ用かな。
ケーブルではピッコリーノの Mini to Mini、HD800用と UE/Westone/JH 用の交換ケーブルも出してました。これは近々、国内販売開始される由。
とはいえ、センセーションといっていいほどの一番人気はポータブル真空管アンプです。昨年春に試作機を持ってきていたんですが、秋にはあれはまだ時間がかかるよ、と言っていたもの。これが何ともすばらしい。
もちろんハイブリッドですが、真空管のメリットが最大限活かされてるんじゃないかと思います。生楽器、とりわけピアノとかギター、そしてヴォーカルの生々しさ。さらには広大かつ隅々まで見通しがよく立体的な空間表現。お客さんの一人がおっしゃってましたが、ポータブルの域は超えてしまっていると言ってもおかしくはありません。iQube より上だという声もありました。
ロック系を聞かれているという方もこれは良い、とおっしゃってましたから、ジャズやワールド・ミュージックやクラシック向けというわけでもないでしょう。
とにかく試聴された方の9割以上が、これは買いたい、または買うと宣言されたのには正直驚きました。1度ならず、3度もどってこられてじっと聞きこんだ方。予約したい、国内扱いはないのかと迫る方。いつまでも聞きたくなるとなかなか手放さない方。これはもう、扱うしかないでしょう>フジヤさん(^_-)。
サイズと重さはポータブルとして持てるぎりぎりですけど、それはやむをえないところ。造りはがっちりしていて、これまでポータブル真空管アンプのネックだった、ケースを叩くと真空管が共鳴するノイズも皆無。また、一日中入れ替わり立ち替わり試聴されていましたが、ケースが熱くなることはありませんでした。もっとも真空管の上には穴があいていて、これをふさぐと危いでしょうね。
ゲイン切替もなく、パワー・スイッチと出入力のジャックのみ。入力はアナログ。出力はミニ・ジャックとは別に標準サイズも付いています。電池は内蔵リチウム充電池で、1回の充電で10時間使用可能。真空管のローリングはできませんが、不良品や壊れた場合にはむろん交換可能で、真空管も Jaben から供給されます。
予価は600USD。GoVibe シリーズのひとつで、まだ正式名称も決まっていませんが、来月末までには出ます。
それと、GoVibe Magnum の電池問題ですが、今回はサンヨーのアルカリ9Vで鳴らしてました。Magnum 自体の充電機能にこだわらないかぎり、どんな電池でもいいようです。Magnum もカラー・ヴァリエーションが増えていて、赤もチャーミングですね。
もうひとつ、これも近々国内販売が始まる ACS のカスタム IEM。ACS はイングランドのメーカーで、ひじょうに柔らかいシリコンを使っているもの。40ショアというシリコンだそうで、たしかに押し込んでも圧迫感などはまったくありません。出していたのは3ドライバーの T1 というトップ・モデルで、これもすばらしい。価格も700GBP弱。
お隣りはささきさんの Music To Go で、こちらもこれから出るという HE-500 をちょっと聞かせていただきました。むろんご自慢のシステムでの高音質音源。別世界ですねえ、これはまた。ヘッドフォンで聞いてる感じではないです。スピーカーのレゾン・デートルが問われるんじゃないか。ヘッドフォンの欠点とよく言われる脳内定位もどこかに吹っ飛びます。
あと、ヴェトナム製というイヤフォンもいい音してました。Yuin の PK シリーズに似た音で、あれより安いらしい。
お客さんはあいかわらず若くて、20代後半から30代前半がメインかな。もう少し若かったかも。40代以上と見える方もぼつぼつおられたのは、同志ここにあり、という感じで嬉しかったです。
そうそう、若い方で真空管アンプを聞くのは初めてという方も結構いらしたのかもしれません。真空管は音が「暖かい」とか「焦点がぼける」とか言われることもありますが、今の真空管アンプ特にヘッドフォン・アンプは、トランジスタとのハイブリッドが普通で、むしろ音はクールでクリアです。もともと信号処理のスピードではトランジスタは真空管の敵ではありませんから、ハイブリッドの方が全部ソリッドステートよりも格段にハイスピードです。
真空管は古い技術ですけど、真空管自体が無くなることはないですし、デジタル時代でもっといろいろな可能性が開けてるんじゃないでしょうか。少なくとも今回の Jaben のポータブル真空管アンプを聞くかぎり、他からもいろいろ面白い製品が出てくるはず。
他に印象に残ったのは AlgoRythm Solo 率の高さと、Corda Stepdance のユーザの方が数人いらしたこと。実はあれ、気になってるんだよなあ。
ということで、ヘッドフォン、イヤフォンの世界はますます盛ん、復興の先頭に立って引っぱってる感じでした。関係者の方々、ご苦労さまでございました。
唯一つ、もう少し女性のお客さんが増えてほしい。まあ、これは全世界的な傾向ではありますが。(ゆ)
ヘッドホン祭2010春
もっとも、当日朝早く起きられる自信がなかったので、アンプは金曜の夕方、新宿のホテルに届ける。このアンプをまた引き取らねばならないので、会場には行かねばならない。天気も良し、きっと混んでいるだろうと、ゆっくりでかける。新宿で腹拵えし、会場に着いたのは3時過ぎ。エレベータの中でルディさんにばったり。時差ボケがつらそうだ。この人、今回初めて顔を合わせたけど、エンジニアらしく、ふだんは無口だが、関心のあることになるとおしゃべりになる。会社はアメリカだが、イタリア生まれで国籍はイタリア。RudiStor のアンプ群の製造もイタリアで行っている。
中野サンプラザ15階の宴会場フロアを全部借り切ってのヘッドフォン祭。立錐の余地もない、というのではないが、まっすぐ、自由には歩けない。ヘッドフォンなので、音楽は聞こえず、意外に静か。声高に話す人もいない。客の方は20代が圧倒的のようだが、皆さん、声は大きくない。穏やかに盛り上がっているというところか。
三っつある会場のひとつの真ん中の柱の前に Jaben と RudiStor のブース。というより、テーブルの上に製品が並べてある。ルディさんの今回の目玉は初のヘッドフォン Titanus MD1。ダイナミック型のオープン・タイプで、2セットをソリッドステート・アンプ(NX-03)と、真空管とソリッドステートのハイブリッドの DAC/Amp にそれぞれつないでいる。ソリッドステートは Chord のCDP、ハイブリッドは MacBook Pro がソース。
ハイブリッド DAC/Amp NKK-02 も新製品でまだ公式サイトにも上がっていない。12AU7 2本が上面に刺さっている。テーブルの前には誰もいなかったので、早速聞かせてもらう。セッティングのままと、自分の iPod touch + Linearossa W3 と両方聞いてみる。自分の顔がにやにやしてくるのがわかる。
写真はフジヤエービックのついったーに上がったから、いずれブログ等に載るだろうが、ぱっと見た感じは Grado のいとこというところ。音も似ているという人も出てくるんじゃないかとも思うが、Grado の音はもう忘れているので、断言はしない。明解で、空間が広い。個々の音や楽器などの要素はちょっときらびやかとも思ったが、当然エージングもされてないから、この辺は変わる可能性もある。なにせ、このヘッドホン祭が「ワールド・プレミア」、世界初公開なのだ。
〔後記〕ささきさんのブログに写真あり。
自然な、無理のない音は、後で試聴した平面プラナー・ヘッドフォン HE-05LE と遜色ない。あちらの方が音が軽い感じなのは、原理からして当然だろうが、うーん、音楽として聴かせるという点では、Titanus かな。HE-05LE も音楽的だけど、こう、理想に掲げている音楽の姿が、Titanus のほうが気品があると言おうか。いやだからといってロックやジャズが合わないというのではもちろんない。クラシックはなかったが、iPod に入っている音源をあれこれ聴いてみると、なかなかやばい。ついつい聞き入ってしまう。聞き入って、聞き慣れた曲にあらためて感動などしてしまう。
まあ、ヘッドフォンだけではなくて、アンプとの相乗効果ももちろんあるだろう。W3 もルディさんの製品だから、血筋はみな一緒。
試聴した人はたいてい満足した顔をしていたと思う。なかにはその場を離れがたい様子の人もいた。
他に試聴できたのは、同じ一角でささきさんが店を広げていた HE-05LE と DACport だけだった。ルディさんもウィルソン親爺も日本語はからきしなので、通訳したり、自分で製品説明したりで結構忙しい。どちらのブースも、列ができるほどではないが、席が長時間空いていることもない。
Jaben は GoVibe シリーズのうち、Sharp、RKK を中心に展示。V7 も置いてはあった。これはオリジナル Go-Vibe シリーズ最終モデルの復刻で、V5 も同時復刻。V6 はやらない。復刻といっても筐体は新たに作っていて、なかなかスマート。また充電機能があるのも違う。来月発売だそうだ。もう一つ、ポータブルの真空管アンプの、まだ初期の試作品段階のものもあった。時間がなくて、きちんと聞けなかったが、ちょと面白い。
念のため説明すると、この GoVibe シリーズはもとはカナダの個人メーカーの製品で、安価で音が良いので評価が高かった。(ゆ)のヘッドフォン・アンプ、PHA の入門もこれである。記録を見ると2006年の秋に買っていて、当時送料込みで86USD、1万円強だった。これが V5 で、おかげで完全に PHA の世界にはまりこんでしまったのだが、個人のガレージ・メーカーで、筐体などは既製品でお義理にもカッコいいとは言えない。それにちょとヤワなところもあって、1年使ったら、入力ジャックがおかしくなった。
Go-Vibe(当時の表記)は V7 まで出たところでこのカナダの人が事情でアンプの製造販売をやめると宣言したのが確か2007年の半ばだったか。Head-Fi などでは惜しむ声も出ていた。その権利一切を買ったのがシンガポールの Jaben Network で、2007年の年末には早くも新製品を出した。ちょうど V5 がおかしくなっていたので、早速これを購入したのが、ウィルソン親爺とのつきあいのはじめ。Jaben はその後、GoVibe シリーズで怒濤の新展開をするわけだ。で、V5 と V7 を復刻するというのはやはり商売がうまい。筐体が変わるから音もやはり変わるはず。電源はオリジナルと同じ 9P バッテリー1個。
HE-05LE は良くなっていると思う。ハウジングも心持ち小さくなり、他にもなにかやったのだろう、少し軽くなった。パッドも改善されて、装着感は一新されている。値段も上がった。
DACport は自分の音源で聞けなかったので今一つ印象がはっきりしない。良いものではあるが、わずかに価格が高すぎる感覚。とりあえず、DenDAC があれば、今のところはいいかな。それにルディさんが、NKK-02 を預けてくれたので、当分これで遊べる。
RudiStor のすぐ向かいがエントリーのブースで、Comply を各種展示していた。しばしおしゃべり。EarPhone M には Comply は必須、と力説してしまった。マニア以外の人たちに存在を知ってもらうにはどうすればいいか、と聞かれる。うーん、「けいおん」ででも使ってもらいますか。多色展開も意識したことはなかったけど、左右で違う色にするのはアリかも。
リスナーだけでなく、メーカー(作る人の意)もいらして、いろいろ聞かれる。GoVibe シリーズの筐体の仕上げに感心していた。日本だと同じことをやろうとするとやたら費用ばかりかかるか、できませんと言われることが多いそうな。
5時を過ぎるとさすがに人も減ってきて、定刻の5時半には後片付けが始まる。もっとも粘っている人もちらほら。6時半前に会場を後にし、ルディ、ウィルソン、それに DACport のマイケルさん、ささきさんともう一方と、近くの台湾料理屋で食事。美味で安く、量も適当。ラムのコリアンダーいためなど。
というわけで、くたびれたけど、いろいろ面白い体験でした。ウィルソンは東京がすっかり気に入っていて、ヘッドフォン祭がある限り、参加しそうな勢いだし、ルディさんもまた来たそうな顔をしていたので、次回「秋」は10月かな、その時にはまた手伝いに行くことになるでしょう。(ゆ)
E5キラー (?) のLinearossa W1
ひとことで言うと、つきつめてます。小型、入出力1本ずつ、音量ダイアル付き、バッテリー駆動という条件の中で、これ以上のことはできないところまでつきつめている。
まずバッテリーは単四1本。9V2個使う GoVibe Sharps も出てますが、値段を別にして音だけで現時点でどちらか選べと言われたら、W1 です。電池が内蔵ではなく、市販のものを交換できるのも○。
当然軽い。仕様では45gになってますが、空っぽではないかと思えるくらい軽い。サイズは E5 を倍にして、厚さもほぼ倍ぐらいですが、むしろW1の方が軽いのではと錯覚するほど。
音量ダイアルは回転式で、E5 のような押しボタン式ではないので、連続可変が可能。このダイアルが少々回しにくいのが、欠点といえば欠点かな。
音は E5 と同じ傾向。妙な色付けをせず、ヘッドフォン、イヤフォンの特性をそのまま伸ばす。E5 をつなぐと、今まで使っていたヘッドフォンやイヤフォンがワンランク上がって聴こえますけど、あれがもっと徹底します。ツーランクか、場合によってはスリーランク上がります。というより、そのヘッドフォン、イヤフォンの能力の限界までつきつめられた感じです。どんなアンプを使っても、これ以上の音が出ることはありえない。そう感じられてしまう。
もっとも、言葉にするとこうなりますが、実際聴いているときにはただひたすら気持ち良いのです。否定的な感覚ではなく、ヘッドフォンやイヤフォンがよろこんで、のびのびとうたっています。あたしは、ぼくは、本当はこれだけの音が出せるんですよ、それを思いきり出せて、うれしい、ありがたい。
解像度がどうこうとか、サウンドステージうんぬんとか、低域がどうの、高域がどうの、なんてことはどうでもよくなってしまって、音楽の表現力がどーんと高くなります。ヘッドフォンやイヤフォンの音、ましてやアンプの音を聴いてるんじゃない、音楽を聴いている。聴きこんでしまう。
FiiO でも E7 がこれから出てくるわけですが、公式サイトにアップされているビデオを見ると、コンセプトが変わってきてます。まあ、E3 から E5 への路線をそのまま延長するのも芸が無いといえば無いので、これはこれでアリなんでしょうが、E5 で PHA にめざめたリスナーが次に手にとるものとしては、ずれる感じもあります。
ガジェットとしての、モノとしての興味は別として、とにかくできるだけ良い音で音楽を聴きたいのであれば、E5 からのアップグレード先として、W1 はまず筆頭にくるでしょう。価格からいえば E5 の 2.5倍ですけど、それでも今のレートで送料込で8,000円強。大事に使えば一生モノですし、「投資」に対する「見返り」としてはとんでもなく大きい。むしろ、Dock コネクタに贅沢した方が、さらに「見返り」が大きくなる可能性があります。
ちなみにぼくは Audiotrak のオーディオケーブルを使ってますが、これはCP高いです。
オヤイデのもCP高いですが、あちらは使用1ヶ月未満で、ミニ・プラグ側で断線したので、ちとモロい。Audiotrak のはまだひと月経たないのでわかりませんが、オヤイデより外見はがっちりしてますね。
音源の iPod touch 32GB 内のオーディオ・フォーマットは様々で、AIFF から MP3 128bps まで聴いていますが、圧縮音源の音を気持ち良く聴かせてくれる点でも、W1 は抜群です。圧縮とはまずわかりません。圧縮フォーマットの再生でこれに匹敵するのは、ぼくの試した中では DenDAC だけです。こちらはパソコンの USB 端子に直接挿しこんで使います。これについては別に書こうと思いますが、一見USBメモリみたいですけど、この値段は十分お釣りが来ます。
むしろ、圧縮でもここまでの音が入っているのだ、と改めて見直しました。圧縮フォーマットの音が良くないというのは、まだ再生側の「修行が足りない」、ハードやソフトがそこまでつきつめられていないのでしょう。
どういう音楽を聴いているのかは、Last.fm にトラック・リストがあります。iPod touch の中のファイルをシャッフルしてます。
というわけで、E5 のユーザは、よほど E5 に愛着があるのでないかぎり、アップグレードされれば、確実にはるかによりベターなリスニング環境が手に入りますし、これから E5 を買おうと考えておられるなら、E5 でワンクッション置く必要もないでしょう。
国内販売についてはわかりませんが、シンガポールの Jaben Network がワールドワイドのディストリビューターになっているので、正式販売される可能性はありますね。
それにしても、W1 でこの音なら、W3 はいったいどういうことになるのだ、と楽しみであります。もっとも W3 はDACが付いて、光と同軸とUSBの入力というフル装備なので、まるで違う製品ではあります。こちらは GoVibe の Vulcan mini との比較になりますか。むしろ上記の DenDAC との勝負かな。(ゆ)
配信しました。
昨日は Jaben Network の Uncle Wilson に半日つきあっていました。前回の来日の時にはそれを知ったのはもうかれが帰った後だったので文句を言ったら、6月にまた行くからその時会おうということで約束通り無事面会。写真では見てましたからすぐにわかりましたが、いや、おもしろいおっさんでした。
もっとも、着く前から、ホテルはどこがいいかな、とか、予約の返事がこないから電話かけて確認してくれ、とか、大切な預りものを引きとってホテルまでもってこい、とか、まあ傍若無人といえば傍若無人。おいおい、こっちはあんたのカスタマーだぜ。(爆)
シンガポールのネイティヴで、お祖父さんが中国を離れ、父親はマレーシア生まれだそうですから、典型的な華僑ということになるんでしょう。頭のなかは、どうすればおもしろくカネをもうけられるか、常にくるくる回りつづけているようで、GoVibe のシリーズ化にも現われていますが、次になにをしようか、アイデアが湧いてきてしかたがないらしい。iQube がすごいと言ったらにやにやしはじめるし、一緒につきあってくれたB社のK氏がスタックスが好きだと言うと、さらに顔が笑いでしわくちゃになります。GoVibe シリーズの新製品もまた近く出るらしい。でかい Vulcan の後だから、今度は小さい方でしょうか。
面白いことに、シンガポールの女性たちはベースの音が大好きで、ベースが出ないヘッドフォン、イヤフォンには見向きもしないそうな。かれの店ではとにかく客に試聴させて選んでもらうのがポリシーですが、女性客は例外がないそうな。男性はそれに比べると中高域が良いモデルを選ぶ傾向がある。その理由として、女性は赤ん坊の泣き声に敏感だから、というのは納得できるところです。つまりもともと男性よりも中高域がよく聞こえる耳をもっている。
とすると、世界中の女性は皆ベースを強調するモデルが好き、ということになるわけですが、わが国の女性たちはどうなんでしょう。それとも、あまり聞き比べることをしないで選んでいるのか。
もっとも、かれの店でも女性客はやはりごく一部で、九割は男性客。したがって一番売れるのは Westone、Shure、UE だそうです。推薦モデルは何だと訊いたら、Westone との答え。ウィルソン本人の音の好みではなく、それを選ぶ客が一番多いためということです。とはいえ、ゼンハイザー800 は、と水を向けると、やたら売れてはいるが、評判ほどではないよ、バランス化した650の方がいい、もっとも800もバランスにしたらわからないから、今度ためしてみる、とのこと。
世はあげて大不況ですが、かれのところはまったく順調で、異様なくらいだそうです。シンガポールだけではなく、直前の CanJam で会ったアメリカの連中も同様の由。それだけまだニッチでマイナーな業界ということなんでしょうか。とはいえ、ヘッドフォン、イヤフォンと、ヘッドフォン・アンプはじめその周辺のハード、ソフトの世界が、今後ますます成長を続けることはまちがいない、と言われると納得するところです。
こちらとしてはむろんそんなカネはありませんが、一緒にいると刺激を受けて元気が出てくる、そういう人でありました。ということで、Jaben からはまだまだおもしろいものが出てきそうで、眼が離せません。(ゆ)
FiiO E5 その後
例えば、ソウル・フラワー・ユニオンの《カンテ・ディアスポラ》。音楽のイメージがよりはっきりします。Go-Vibe ではやや濁ってました。音が団子のところがありました。E5 では楽器のひとつひとつ、効果音のひとつひとつが自然に聴き分けられます。
加えて、ヴォーカルがより際立ちます。中川敬の声がセンター前面にしっかりと立ってます。コーラスも脇でやや退って、一人ひとりがはっきり聴こえます。
バッテリーの保ち時間はきちんと計ったわけではないですが20時間ぐらいでしょうか。切れるときはブチといきなり切れます。音が小さくなるとか、前兆はありません。
それから、バッテリーを充電した直後は音量が最大またはそれに近いヴォリュームになっています。最初の時は EarPhone M で聞いていたので、驚きました。
欠点も出てきました。この価格ではやはりどこかで手を抜かなくてはならないわけで、どうやらそれはコネクタ類のようです。入力用のミニ・ジャックが少しゆるんできたらしく、挿しこみっぱなしだと、左チャンネルの音が切れるようになりました。今のところはまだ、挿しこみなおすと治ります。
Go-Vibe V5、今の GoVibe ではなく、カナダの個人メーカーが作っていた頃の版ですが、挿しこみっぱなしでいたら、やはり入力用コネクタがゆるみました。最後には片方まったく音が出なくなってしました。Fiio E5もそうなる危険はあるとみて、とりあえず、使わないときは入力ジャックは空けるようにしています。
小さいことはいいこと、なんですが、iPod touch の裏にくっつけて使うにはちょっと小さすぎると感じるときもあります。全体の作りも華奢。もう少し大きくてもいいから、かっちりしていて、安心して使えて、音はこのままという上位モデルが出たら、買っちまうでしょう。価格が倍になっても6,000円ですからね。円高でもっと安くなるかもしれない。でも、その前に、この E5 をもう一個、買っちゃうかなあ。それくらい、この音は魅力です。(ゆ)
2009.01.13追記
上に書いた、左チャンネルの音が時々聞こえなくなる件ですが、E5 のせいではどうやらなかったようです。ドック・コネクタの DS-AUGpt がまずいらしい。それもアンプにつなぐミニ・ジャックのプラグ内部があやしい。今日、届いたばかりの PHA(これについてはまた後日)につないでみたら、E5 と同じ症状が出ました。Go-Vibe Petite につないだ時には出なかったんですが、そうするとあちらもまずいかも。
左チャンネルが聞こえなくなるのとは別に、iPod の再生音が時折り、一瞬切れる現象もしばらく前から出ていて、サウンド・ファイルが不完全か壊れたのかと思っていたのですが、ひょっとするとこれもドック・コネクタが原因であるかもしれません。
Go-Vibe 5 の時はまず最初に ALO のドック・コネクタを疑ったらアンプの方だったし、これはまたか、と思ったのですが、早とちりでした。代わりのドック・コネクタがないので、最終判断はまだですが、まずはお詫びと訂正をします。
Fiio E5
例によって第一印象は、
これで3,000円は「持ってけ、ドロボー」です。
正直、Go-Vibe Petite も Magnum(Jaben のサイトからは消えちゃったみたいですね)も、危うい。このちっぽけで薄っぺらいものがあれば、もう十分。
サイズは iPod shuffle をひと回り大きくした感じ。Minibox なんかよりもずっと小さいでしょう。一応数字をならべるとサイズ 44.2×38×12.6mm。重量30g。対応ヘッドフォン・インピーダンスは 16 -- 300オーム。
まあ実際 iPod shuffle がヒントになったんでしょう。クリップまで付いてます。要らないんですけど、といってもはずれない。上の厚みはクリップも含めて。
電池はリチウム・イオン充電池で、交換は不可能。充電はUSB経由でパソコンからしかできないみたいです。電圧は販売元サイトによれば 200mAh。
ロゴから見て上側に、右からヘッドフォン・ミニ端子、音量ボタン、パワー・スイッチ、ベース・ブースト・スイッチ。このベース・ブーストはデフォルトではフラット。外側に移すとベース・ブースト。クリップの軸の頭にランプ(LED?)があり、パワーを入れると青く光ります。切るときはパワー・スイッチの長押し。
音量ボタンは細長くて、ヘッドフォン端子に近いほうを押すと下がり、反対側を押すと上がります。ただ、途中でどーんと変化するところがあるのは、個体差か、全体的な欠陥か、わからず。上げる方の直後がちょうど良い大きさなので、今のところ様子見。ちなみに販売元では30日の返品、90日の交換を受けつけてます。
ロゴの下側、ヘッドフォン端子の直下に入力端子。左端に USB ミニ・ジャック。この入力端子はかたくて、DOCK★STAAR のオーグラインを突っ込むのに、はじめちょっと力が要りました。ヘッドフォン端子もちょっとひっかかりました。
最新アンプICだよ、S/N比もいいし、歪も小さいよ、というんですが、この辺も日進月歩なんでしょうねえ。Head-Direct のサイトによれば
Preamp Opamp: OPA2338UA
Poweramp Chip: TPA6130A
ということです。
マニュアルは四つ折りのものが一枚。片面英語、片面中国語。メーカー所在地は広州。
で、音なんですが、これが笑っちゃうくらい良い。背景は真黒。サウンド・ステージは広いし(Magnum より広いかもしれない)、奥行もあるし、分解能も立派。細かい、他の音に埋もれがちの音までちゃんと、それ相応の大きさで聞かせてくれます。というよりは、音楽が生きてます。音がみずみずしい。たった今、生まれました、ってそりゃ、音そのものは瞬間瞬間に生まれてるわけですが、それとは別の次元で、まあ、録音されたばかりのとれたての音楽。なんか、これを聞いてしまうと、Go-Vibe の音は古いんじゃないかとすら思えてきます。とにかく聞くのが楽しい。ベース・ブーストは、少くともぼくは要らないです。先に出ていた、もっと小さくて、音量調節もできない E3 はちょっと色づけがあるという話が、Head-Fi で出てましたが、この E5 に関してはごく少ないと思います。今のところ。
この音にくわえてこの価格となると、PHA の入門機としては最強でしょうし、まとめ買いして、個体差を楽しむなんていう猛者も出てきそうですね。
位置的にはイヤフォンの PK シリーズに相当するアンプかもしれません。とすると E5 は PK2 で、PK1 に相当する E7 なんてのも出るのかも。送料含めて1万円以内なら買っちゃいそう。
実際こうなると、1万円以上するPHAは、もう買う気が起きません。となると次に狙うのはペンギン・カフェ・アンプですね。
ちなみに環境は iPod touch 32GB w/ OS2.2 + DOCK★STAAR DS-AUGpt + E5 + EarphoneM + ComplyFoamTips P-Version。この Comply のチップは細長いやつで、T-100 同様に使えます。T-100 より奥まで入るので鼓膜に近くなり、音はよくなります。ただ、ちょっと太いので、人によっては痛くなったりするかも。音源は AIFF、Apple Lossless、MP3 320bps。今日、主に聞いていたのは、Solas《For Love and Laughter》 、 《スウェル・シーズン》、フリア・アイシ&ヒジャーズ・カール《オーレスの騎兵》。(ゆ)