クラン・コラ・ブログ(アイルランド音楽の森)

 アイリッシュ・ミュージックなどのケルトをはじめ、世界各地のルーツ音楽を愉しむブログです。そうした音楽の国内の音楽家も含みます。加えて主宰者の趣味のグレイトフル・デッド。サイエンス・フィクション、幻想文学などの話もあります。情報やメモ、ゴシップ、ただのおしゃべりなどもあります。リンク・フリーです。

タグ:ウード

6月25日・金
Adnan Joubran
 Shubbak フェスティヴァル出演のウード奏者。1985年生まれ。どこの出身か公式サイトにない。参加している兄二人とのウード・トリオ Le Trio Joubran の記事が Wikipedia にあり、ナザレ、ラマラ、パリを拠点とするトリオ。 

 長兄 Samir (1973-) 、次兄 Wissam (1983-)。サミルは一家を成し、ソロもある。2003年のサード《Tamaas》でサミルは弟のウィサムを誘ってデュオでやる。2004年夏、末弟アドナンを加えてトリオを結成。以来、現在までにアルバム7枚。6作めは Dhafer Youssef がゲストだ。兄弟の父親 Hatem はナザレを拠点とする、アラブ世界全体で有名なウード・メーカー。母親 Ibtisam Hanna Joubran は Muwashahat と呼ばれる、アラブ・アンダルシア源流の歌謡のうたい手。

 3人のうちウィサムだけ Wikipedia に独立項目がある。父親の後を追ってウード製作を幼少時から始め(6歳で最初のウードを作った、そうだ)、さらにヴァイオリンに興味を持ってクレモナのストラディヴァリウス学院に留学。ヴァイオリン製作でも一級とイタリアで認められる。現在はジューブラン家第4世代の製作者として演奏と二足の鞋を履いている。演奏はもっぱらトリオでのものらしい。

 トリオのアルバムは大部分 Tidal にあるが、サミル、アドナンのソロは無し。




 Penguin のサイトの The greatest walks in literature のセレクションが面白い。確かに『指輪』ではたいへんな距離をみんな歩く。はじめっからグワイヒアにフロドを運んでもらえばいいものを、というのもまったくその通り。『嵐ヶ丘』でキャシィとヒースクリフがおたがいを探してムーアを歩きまわる距離はたいへんなものだ、というのには大笑いする。ウルフのダロウェイ夫人はロンドンを歩きまわる。とすれば、ジョイスのブルームとディーダラスがダブリンを歩きまわるのもここに入れてもいいか。しかし、エディンバラかグラスゴー、あるいはカーディフを歩く話は無いのか。パリは山ほどありそうだ。東京と京都もたくさんあるだろう。もっとも、ダロウェイ夫人ほど歩きながら考えるのも珍しい。オースティンのエリザベス・ベネットが歩く3マイルが本当に長いかどうかは読んでみてのお楽しみだろうが、5キロ歩くのは今のわが国のほとんどの人間にとっては長すぎるだろうなあ。へー、コーマック・マカーシィの The Road はこういう話だったのか。と今さら知る。それにしても Patrick Leigh Fermor が無いのはおかしいという向きもあろうが、かれはもうみんな読んでるだろう、という前提か。この中でまず読むとすれば Rachel Joyce の The Unlikely Pilgrimage Of Harold Fry かな。65歳の男が手紙を投函しに出かけて、そのまま700マイル=1,127キロを87日間かけて歩くことになる、という話。同い年の男の話だし。いや、自分もそうなってみたい。邦訳もあるが、やっぱり原文だろうな。それから Raynor Wynn, The Salt Path、Robert MacFarlane の The Old Ways。マクファーレインの Mountain Of The Mind は滅法面白かった。



ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅
レイチェル・ジョイス
講談社
2013-08-27




The Old Ways
Macfarlane, Robert
Hamish Hamilton UK
2013-06-25


Mountains Of The Mind: A History Of A Fascination
Macfarlane, Robert
Granta Books
2017-11-09


4月17日・土

 ECM のニュースレターで Anouar Brahem が ECM デビュー30周年。Barzakh, 1991 は確かに衝撃だった。1998年の Thimar がつまらなくて、あれは日和ってるよねえ、と星川さんと意見が一致し、それに引き換え、Barzakh は凄いと盛り上がったこともあった。やはりあれが一番かなあ。The Astounding Eyes Of Rita は良かった記憶がある。もう一度、全部聴いてみるか。

Barzakh by Anouar Brahem
Anouar Brahem
ECM



Conte de L'Incroyable Amour (1991)
Madar (1994)
Khomsa (1995)
Thimar (1998)
Astrakan Cafe (2000)
Le Pas Du Chat Noir (2001)
Le Voyage De Sahar (2006)
The Astounding Eyes Of Rita (2009)
Souvenance (2014)
Blue Maquams (2017)


 2021 フィリップ・K・ディック賞は4月2日に発表になっていた。15日と思いこんでいた。結果は受賞作が

ROAD OUT OF WINTER by Alison Stine (Mira)
Special citation was given to:
THE BOOK OF KOLI by M. R. Carey (Orbit)

 では、スタインの本から読むぞ。しかし、これハーレクインの Mira からの刊行で、そこがまた面白い。Michelle Sagara の Chronicles of Elantra のシリーズも今は Mira から出ている。ハーレクインは邦訳もどんどん出してるようだが、昔ながらのロマンスもの中心にごく一部のみ。ディック賞獲ったからって、出さねえだろうなあ。

 New York Times のジェフ・ヴァンダミアのインタヴューで名前の出てくる作家は見事なまでにまったく知らない。まあ、ここで名前を知って読みゃあいいわけだが、それにしても、だ。いわゆるSFFプロパーの名前が出てくるとほっとする。でも、この部分はちょっとメジャーすぎないか、と思えるほど、他の人たちの名前をちらりと聞いたことすらない。いったい、どこでこういう本や書き手を見つけるんだろう。いや、もちろん、あたしなんぞとは次元が違うほど遙かに広く目配りはしてるんだろうけどさ。

 で、そのヴァンダミアが薦める The Traitor by Michael Cisco を注文。


 

 この本についてのヴァンダミアのブログ

 この人は一応ホラー中心に書いてるらしい。


 散歩の供はShow Of Hands, 24 MARCH 1996: Live at the Royal Albert Hall。

Live at the Royal Albert Hall
Show of Hands
Imports
2014-01-21


 あらためて聴くとシンガーとしてのナイトリィの良さが印象的。曲としてそれほどではないものでも、歌唱で聴かせてしまう。この頃のライヴではやはりかれのヴォーカルが人気を培っていったのだろう。これを小さな会場で聴けば圧倒的ではなかったか。もちろんそれを活かし、刺激を与えていったのはビアだったわけだが、本人の精進も相当なものだったはず。

 録音がすばらしい。ということは会場の音響も良かったにちがいない。

 Galway Farmer は Skewball のヴァリエーションで、わが走れコータローのいとこでもあるが、このストーリーはやはりウケる。

 女性シンガー、すばらしい、誰だっけ、と帰ってから見ると Sally Barker だった。そういえば、最新作を買うのを忘れてた。 

 それにしても四半世紀経ってしまった。(ゆ)

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