今年のライヴ納め。別に選んだわけではなく、たまたまだが、このバンドで1年を締めくくれるのはめでたいことではある。ちなみに来年のライヴ開きは、この日アナウンスのあった中村大史さんのホメリでのソロ・ライヴになった。

 今年のグルーベッジは何といっても林正樹氏との共演が強烈だったが、バンドにとっても節目になったように見える。あれから2度見たわけだが、その前とはギアの入り方が変わった。この位のレベルになると、個々の技量は完成の域に達しているので、問題はバンドとしての練度、アレンジとアンサンブルのつながり方の密度、そしてその日の調子ということになる。ハコや聴き手の状態も作用するが、今のグルーベッジにはどんなハコでも、どんな聴き手でも自分たちの世界に巻きこんで持ってゆく力がある。その力の保有量と出し方のコントロールが、林氏との共演の後で違ってきたのだ。バンドとして備えている蓄電池の容量がまず増えた。そしてそこからいつどこでどのように力を流すかのコントロールがより適確に自在になった。

 もともと高かったバンドとしての練度がより上がった。というよりも、内部でのつながり方がより緊密になり、互いの反応速度が速くなっている。アレンジを毎回変えているように聞える、その流れがごく自然で滑らかだ。2曲目の〈タイム・トラベル〉は互いに雰囲気のまったく異なる短かいフレーズをつなげて、めまぐるしく色調が変転するのが、アンサンブルのフットワークが軽いから、聴く方も身も心も軽くなって、一緒に飛んでゆく。こういう快感は他では味わったことがない。

 各々の調子が良いのは3曲目、ゆったりしたレゲェのビートにのせた〈水槽の中の人魚〉でソロを回すところに出る。このたっぷりとタメをとったテンポはとてもいい。もっと聴きたい。

 その調子の良さとアンサンブルの密度の高さは5曲目の〈水模様〉でハイライトになる。中間部のフリーの即興がたまりまへん。それぞれが勝手なことをやるのがそのまま集団即興になり、密度を保ったまま曲にもどる。このフリーの集団即興はもう少し聴いていたかったが、こういうものは少し物足りないくらいがちょうどいいのであろう。

 後半はバンドとしても今年のライヴ納めもあって、アップテンポの曲を畳みかける構成で、これはこれで文句はないが、後半冒頭の〈mono etude〉のようなスローなバラードをじっくりと、それこそ延々と展開するのを聴きたくもある。このバンドに課題があるとすれば、こういう曲でアップテンポな曲とまったく同等に有無を言わさず聴衆を巻きこんで運んでゆくことだろうか。


 今年は行くライヴを絞ったつもりだったが、それでも平均すると毎週1本は行っていた勘定になり、貧乏人にはまだ多いなあ。来年はもう少し減らしたい。(ゆ)

Groovedge
中村大史[ギター・アコーディオン]
秦コータロー[アコーディオン・ピアノ]
大渕愛子[フィドル]
渡辺庸介[パーカッション]


Live Lab. Groovedge feat.林正樹 [DVD]
中村大史(g.)
アトス・インターナショナル
2019-11-27