クラン・コラ・ブログ(アイルランド音楽の森)

 アイリッシュ・ミュージックなどのケルトをはじめ、世界各地のルーツ音楽を愉しむブログです。そうした音楽の国内の音楽家も含みます。加えて主宰者の趣味のグレイトフル・デッド。サイエンス・フィクション、幻想文学などの話もあります。情報やメモ、ゴシップ、ただのおしゃべりなどもあります。リンク・フリーです。

タグ:シャープペンシル

 マルマンがスパイラルノート ベーシックに150枚の「厚い」ノートを11月22日に発売。



 これまで最大の80枚のほぼ2倍。ようやく出たかと買おうとしたら B5 は楽天、ヤフーの公式ストアで23日にすでに完売。A5はまだある。やはり需要はあるのだ。実験的に横罫だけ出したらしいが、方眼やもっと分厚い200枚も出してほしい。国産のノートはなぜかどれもこれも軽薄に傾いていて、持ち出すには便利ではあるが、メインで使うにはもの足らない。これまではせいぜいが100枚だ。つばめノートに200枚があるが、B5 と A4 だけだし、外装に艷気が無い。

 その昔UCLA門前町のウェストウッドの文具店に、300枚のリング・ノート、しかも安いものが山積みになっていた。紙にはこだわらず、横罫の罫も太くて、左から少し入ったところに1本赤い罫が縦に入っている。ポケット付き用紙が1枚ぐらいはさまるシンプルな作り。ボールペンやシャープペンシルでがんがん書くためのもの。むろん、40年前で、誰もがノートに手書きしていた頃の話だから、今もああいうノートがあるのかは知らない。Amazon.com を見るとスクール用は100枚が上限らしい。なぜか女性用として300枚のノートがある。そういえば日記には1日1ページで400ページ近いものが増えてきた。あれを使う手もあるが、スケジュールのページが邪魔。

 マルマンのサイトを見たら Lyra の代理店もやっている。しかし、今はシャープペンシルはもう作っていないようだ。あそこの  Comfort-Liner 56 は、何の変哲もない、むしろチープに見えるプラスティックの三角軸シャープで、実際値段も安かったが、これまで使ったあらゆるシャープの中でベストの1本。

Lyra Comfort-Liner56

 最高の鉛筆の一つである Art Design pencil はまだある。



 楽天のマルマン公式ストアに注文したスパイラルノート ベーシック A5 150枚着。150枚だがそれほど厚くない。これなら200枚は悠々行ける。300枚も欲しい。(ゆ)

 カネは無いはずだが、我ながらいじらしく何とか工面してはあれこれ買ったものである。中でこいつはいい買い物とよろこんだものたち。

Rupert Neve Designs RNHP



 RND はプロ用機器、スタジオで使われるミキサーやコンプレッサーやを作っているメーカーで、あたしには縁はない。無かった。これが出るまでは。これもプロ用で、したがって XLR のバランス入力はあるが、ヘッドフォン・アウトは標準のアンバランスのみだ。しかし一度は聴いてみたかった。ちょうど中古が出たので、ありったけのモノをかき集めて下取りに出して手に入れた。円安で新品は10万する。

 聴いてみて、顔がにやけた。まさにプロの音である。入っている音をそのまま出す。飾りなんかないし、「個性的」な音も皆無。YouTube を聴くと、これは圧縮されているなと素人耳にもわかる。それでいて全体の音は崩れない。ちょっと不思議だ。

 良い録音だと芯が1本、ビーンと通って、ひっぱたかれようが蹴っとばされようが、びくともしない音。小さくて繊細な音もそのままに芯が通っている。これで Tago T3-01 とか、Neumann NDH30 を鳴らすと、まあ、嬉しそうによく歌う。シングルエンドしかないグラドも大喜び。

 録音の良し悪しもモロに出るが、音楽そのものの良し悪しは録音とはまた別だ。最低の録音の音楽が最高ということもある。そして、そういうケースもこれはちゃんとそう聴かせてくれる。バランス・アウトなんぞ、要らない。

 サイズが小さい。しかも ACアダプターである。つまりセミ・モバイルなのだ。プロの現場は屋外だってある。どこにでも持っていける。

 そしてこの小さな姿からは想像もできないパワー。高インピーダンスとか平面型とか、いちいち気にする必要もない。あっさり鳴らしてしまう。小さな巨人でもある。

 これまでのリファレンスはマス工房の model 433 だったが、こいつが来てからは、433 の出番はなくなってしまった。まあ、いずれまたもどるだろうが、当面は RNHP さえあれば、ヘッドフォン・アンプは何も要らない。むろん、これはヘッドフォンのためのものだ。イヤフォンをつなぐものではない。


 スティック型 DAC/amp のハイエンドが花盛りである。DAP が製品として行き詰まりを見せていることの反映だろう。一昨年出た Lotoo PAW S2 を皮切りに、昨年3機種、そして今年どっと出て、モバイルの主なメーカーで出していないのは SONY くらいになった。

 DAP を出しているところは、そのトップエンド・モデルの技術を注ぎこんでいる。最新の iBasso DC-Elite はロームの DAC チップはじめ、DX320 Max に採用したテクノロジーや部品やデザインをほぼそのまま使っている。

 RU7 も Cayin N7 と同じ 1-bit DSD DAC を積んでいる。さらにバランスのラインアウトがあるのがユニークなところ。これなら試さないわけにはいかない。貯めこんでいた楽天のポイントを注ぎこんで、これまた定価の6割ぐらいでゲット。

 スティック型は小型であることもウリだが、その中でもこれは小さいし、軽い。小さいながらディスプレイもついているが、軽いのである。

 で、音はこれまたすばらしい。ふわあと開放されて、滑らかな音がすんなりと体に入ってくる。これなら N7 も欲しくなる。DAC としての優秀さは、RME の ADI-2 Pro FS R と比べてまったく遜色ないレベルだ。

 あたしはこれを主に iPad mini と USB でつないで、ストリーミングを聴くのに使う。iPad mini は今年春に出た第6世代。とりあえずどんなものか聴いてみる時には無線で、つまり AirPods Pro や final ZE8000 Mk2、あるいは HiFiMAN HE-R9 + bluemini R2R で聴くこともあるが、本腰を入れる時には RU7 とヘッドフォン、あるいはラインアウトでヘッドフォン・アンプに入れて聴く。こいつのバランス・ラインアウトから上記 RNHP にバランスで入れて、クローズドならば T3-01、オープンならば NDH30 で聴くと、もうこれでいいじゃん、他に何が要るの、と思う。真剣に思う。わざわざストリーマなんて要らないよ。

 iPad mini 第6世代で聴くストリーミングは、MacBook Air の M1 とか、iPhone SE 第3世代とかで聴くよりもだんぜん音が良い。ストリーミングの音が良いのは、どこがどう効いてるのかわからないけれど、とにかく、手持ちの機器では一番新しいモデルであるこれが一番良い。このことに気づいてからストリーミングで聴くことが格段に増えた。レコードを持っていないものはもちろん、持っていても、ストリーミングで聴くようにもなった。


 新たな展開の見えない DAP で、DAC の方式は最新にして、他は原点回帰に活路を見出そうとしたのがこの RS2。チップではない、抵抗を並べた R2R DAC、メーカーが Darwin と呼ぶシステムである。USB DAC としても使えて、その時には、ソースの機器から電気をとらないモードがついている。RU7 が来る前は、これを iPad mini によくつないでいた。

 Darwin の音は好きである。透明度が高く、滑らかで自然に響き、押しつけがましいところが無い。Darwin の音はどんなだろうと買ってみて、当初はちっぽけなディスプレイ画面とか、データベースが日本語の扱いが不得意とかがあって、失敗したかな、と思ったのだが、聴いていくうちに、すっきりと雑味のない音が好きになっていった。そうなると、画面が小さいとか、日本語がまともに扱えないなんてことは枝葉末節になる。そしてマイクロSDカードを2枚同時に挿せる、無線が一切何も無いという潔さにあらためて惚れなおした。このクリーンな音は無線をばっさり切って棄てたおかげとも思える。

 よく見ると、このサイズ、小さなディスプレイ画面、マイクロSDカード2枚挿し、いずれもこんにちの DAP 隆盛のきっかけとなった、あの懐しき AK100、AK120 へのオマージュではないか。




 MA910SR は発売前に試聴して一発で気に入って予約した。広い音場ときっちりした定位、自然に軽やかに伸びる低域、そして明るいキャラクター。バランスにリケーブルするために、REB Fes 02 @ 川崎であれこれ試聴した中で、あたしにはベストの組合せとして、これに落ちついた。Black Back はちょっと硬くて太めではあるが、この音なら許せる。

 この少し前に qdc の folk を買って、かなり気に入っていたのだが、こいつが来たおかげですっかり霞んでしまった。folk を買ったのは、こんなモデル名をつけられたら、買うしかないじゃないか。実際、ヴォーカルは実に良い。ギター、フィドル、蛇腹、笛などの生楽器もいい。ただ、ダブル・ベースがちと軽すぎる。そこで MA910SR + AIMS を使うことが増える。


Brise Audio Accurate USB ケーブル



 RU7 の前にメインだったスティック型 DAC/amp は PhatLab Rio である。チップは ESS だが、およそ ESS らしからぬ、しなやかで丈夫な音で、商売を抜きにしても、お気に入りである。馬力もあるし、外部電源入力があって、ソース機器から電気を食わなくさせることもできる。

 これと組合わせる USB-C ケーブルをあれこれ試して、結局これがベストだった。つまり、手が届く範囲で、だ。ブリスオーディオはつい先日、USB-C ケーブルの新作を発表したが、17cm で20万ではどもならん。

 お金持ちではない、フツーの、むしろビンボー人にとって Accurate が限界である。とはいえ、これがあれば十分すばらしい。比べなければ、これで最高。今はこれと RU7 をつないでいる。


サウンド・ジュリア ミニ・ミニ・ケーブル
 サウンド・ジュリアは名古屋のオーディオ・ショップ。モバイルではない、スピーカー主体の昔ながらのオーディオ・ショップである。ブログが面白く、もう何年も前から定期的に覗いている。気に入った機器を空気録音して YouTube に上げることもあり、そこで使われる音楽がなかなか面白い。あまりに良いので問合せてレコードを買ったこともある。

 ほとんどは読むだけの機器だが、ときたま、面白くて比較的安いものがある。オリジナル商品の一つ、スーパーコンタクトオイルの効果は大きい。いくつか試した接点賦活剤で、明白に効果があったのはこれだけだった。



 ケーブルも自作する。ある日、車載用として注文を受けて作ったという両端ミニの、いわゆるミニミニ・ケーブルの写真が出た。これに一目惚れしてしまった。

 オーディオ製品はツラが第一である。良い機器はいかにも良い音が出そうなツラをしている。いわゆるデザインが良い、というのとは違う。Bang & Olfsen のように、音も良いかもしれないが、その音の良さよりもデザインの良さが先に立つものとは違うのだ。時には無雑作に、そこらにある材料を貼りあわせたようなものが、良いツラをしていたりする。上記の RNHP などもその例だ。いかにもプロ用の、むしろ実用を考えた、美しいとはお世辞にも言えないが、しかしその佇まいはいかにも良い音が出そうだ。それで聴きたいと思ったわけである。

 このケーブルもそれだった。車載用だからアース線がついている。ごつごつした太いシースがからまっている。ツラがいいというだけでなく、オーラまでたちのぼっている。まったく前後を考えず、気がついたときには、これでアース線の無いミニミニ・ケーブルができないか、とメールしていた。もちろんできる、車載用と同じ長さならいくらいくらと返事が来て、うーっと2日考えて注文した。ミニミニ・ケーブルはすでに Ladder7 に頼んで作ってもらったものがあり、もうこれ以上は要らないと思っていたことなど、すっかり忘れていた。

 それで作ったので写真をとりましたという記事がこれである。





 ステッドラーは日本支社が独自の製品、つまりブランドを借りた OEM をあれこれ出しているが、これはちゃんと本家から出たもので、さすがにデザイン、作りは一線を画す。お得意の三角軸で、この三角軸は他社も含めてこれまでで最高の握り具合である。これまで最高だったファーバー・カステルの Grip 2011や Lyra の Comfort Liner をも凌ぐ。握った瞬間に違いがわかり、書くにつれて、ますます良くなる。我ながらいい字が書ける。もう、がんがん書きたくなる。軸の太さ、表面加工、全体のバランス、すべて揃った傑作。芯径が 0.7 しかないのもよろしい。シャープペンシルの芯はすべからく 0.7mm であるべきだ。0.3mm など、人として使えるものではない。


 来年出るのを心待ちにしているのは final/REB がプロトタイプを REB fes に出していたイヤフォン。一つのボディでユニバーサルとカスタムを同時に可能というのがウリだそうだが、それよりもなによりも、音にやられてしまった。まるであたしのために作ってくれたような音、これまで聴いたどんなイヤフォンよりも良いと思える音、聴くのを絶対にやめたくない音なのだ。REB fes 02 で何の気なしに試聴して、とびあがった。

 もう一つ待っているのがあのアクセル・グレルが Drop とジョイントで作っているオープン・バックのヘッドフォン OAE-1。NDH30 もグレルが中心になって作ったというので聴いてみたものだ。今やわが家のオープン・タイプでは Stax SR-L300 Ltd と人気を二分している。NDH30は本来プロ用で、OAE-1はリスナー用だろうから、どう違うかも愉しみ。


 来年は上の二つ以外は今年買ったものをはじめ、手許にあるものをおちついて聴こう使おうと殊勝なことを心に決めたりもしているのだが、たぶん、またあれこれと新しいものに手を出してしまうのであろう。MEMS ドライバを使ったイヤフォンには期待している。Noble 製品の評判は良いが、Nuarl のものが出るのを待っている。根が新しもの好きなのは死ななきゃ治らない。(ゆ)

1115日・月

 ハイタイドのオンラインストアでふと目についた HMM Pencil を注文。こういう、良さげなシャープペンシルを見ると、むらむらと買ってしまう。こないだ、Kickstarter Wingback のものを手に入れて、気に入っていて、もうこれで打ち止め、と思ったのだが、やはりダメ。これが 0.5 だったら買わないところだが、おあつらえ向きに 0.7 なのだった。やはりハイタイドが出しているドラフト・ペンシルにも惹かれるが、0.5 だったので買わずにすむ。

 これも台湾製。台湾製の文房具が目につくなあ。
 


##本日のグレイトフル・デッド

 1115日には1969年から1987年まで4本のショウをしている。公式リリースは2本。


1. 1969 Lanai Theater, Crockett, CA

 Moratorium Day として知られるこの日のワシントン、D..でのベトナム反対大規模デモのための資金集め。休憩無しに2時間超演奏している。

 会場は685席の元映画館。1913年にオープン、1951年にラナイ劇場と改称。少なくとも1958年まで映画館として使用され、後、ライブハウスとなった。ここではこの1回のみ。

 クロケットはサンフランシスコ湾の北のサンパブロ湾東岸、オークランドからバークリー、リッチモンドと北上して、サンパブロ湾から東に伸びるカルキネス海峡の南側。


2. 1971 Austin Memorial Auditorium, Austin, TX

 開演午後8時。ニュー・ライダーズ・オヴ・パープル・セイジ前座。

 《Road Trips, Vol. 3, No. 2》で全体がリリースされた。後半ラスト〈Not Fade Away> Goin' Down The Road Feeling Bad> Not Fade Away〉のシークエンスが聞きどころ。71年版から72年版へ移ってゆくのが面白い、と言われる。

 《Road Trips》のシリーズは一連の複数のショウのハイライトを収録して、ランと呼ばれる一群のショウ全体像を提示しようという試みだったが、評判は悪く、売行もよくなかった。デッドヘッドはテープで1本のショウ全体を聴くのを好んだし、この前の《Dick's Picks》のシリーズは1本のショウ全体をリリースする方針だったから、失望されたのだろう。結局、1本のショウ全体をリリースする形になってゆく。


3. 1972 Oklahoma City Music Hall, Oklahoma City, OK

 後半5曲目〈Playing In The Band〉、8曲目〈Wharf Rat〉、10〜ラスト〈Not Fade Away> Goin' Down The Road Feeling Bad> Not Fade Away〉が《Dave’s Picks, Vol. 11》で、後半4曲目〈Brokedown Palace〉が昨年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。〈Wharf Rat〉は今年の《30 Days Of Dead》でもリリースされている。計6曲リリースされたことになる。

 30分を超える〈Playing In The Band〉がまずハイライト。30分間、バンド全員が一瞬たりともダレた音を出さない。緊張と弛緩の同居する集団即興が続く。ベスト・ヴァージョンの1本。最後にウィアが Thank you. Wharf Rat〉も、その後もすばらしい。まるでジャズの〈Not Fade Away〉から、だんだんスピードが速くなるロックンロール〈Goin' Down The Road Feeling Bad〉がコーダでぴたりと収まって、レシュのベース一発で〈Not Fade Away〉にぱっと戻る。今度はウィアがコーラスを繰返す。そこにガルシアがギターをかぶせて、エンディング。このエンディングだけで1分近くやる。

 こういうショウを連日やっていたこの年はやはりピークだ。全体を出さないのはテープの損傷か。せめて後半だけでも、全体の公式リリースが欲しい。録音はアウズレィ・スタンリィで、クリアそのもの。


4. 1987 Long Beach Arena, Long Beach, CA

 開演6時。日曜日のせいか、珍しく早い。

 この年ベストのショウの一つ、らしい。アンコールのハンター&ガルシアの後期の傑作〈Black Mudyy River〉は、デビューからちょうど1年経ち、最初の決定的演奏のようだ。(ゆ)


このページのトップヘ