クラン・コラ・ブログ(アイルランド音楽の森)

 アイリッシュ・ミュージックなどのケルトをはじめ、世界各地のルーツ音楽を愉しむブログです。そうした音楽の国内の音楽家も含みます。加えて主宰者の趣味のグレイトフル・デッド。サイエンス・フィクション、幻想文学などの話もあります。情報やメモ、ゴシップ、ただのおしゃべりなどもあります。リンク・フリーです。

タグ:スカンディナヴィア

 フィドルとハーダンガーフェーレの酒井絵美さんと各種笛の Morten J. Vatn さんのデュオ、ノルカル Tokyo の渋谷タワーレコードでのインストア・ライヴはいつものこの手のライヴとはちょっと手触りが違った。ゲストに高梨菖子さんと長濱武明さんが加わっているので、楽器編成としてはそう変わらないのだが、やはりスカンディナヴィアの素材のせいだろうか。それともモーテン・ヴァテンさんのご家族、友人が大挙して来ていて、客層ががらりと違っていたせいだろうか。ありていに言えば、いつもは基本的にいけいけのノリでお祭りの雰囲気なのが、じっくりと曲に聴きいってしまうのだ。

 まだ生後1年にならない息子さんに捧げた子守唄も良かったが、ハイライトは唯一のスウェーデンの曲。ヴァテンさんがピアノで繰り出すブルーズ・ビートに酒井さんがフィドルで弾くのだが、楽曲の良さとともに、このブルーズとの組み合わせがすばらしい。BGMがかかっていたり、人が通ったりで、わさわさしている会場が静まりかえった感覚。

 6階のインストア・ライヴの会場は昇りエスカレーターからフロアへの入口の脇だから、インストア・ライヴ目当てではないお客さんも通る。ライヴが始まると、その人たちが半分くらいはその場で足を止めて聴いている。ほとんどがそのまま最後まで聴いていた。

 酒井さんもヴァテンさんも、おしゃべりはあまり得意ではなく、MCはなめらかではないが、それがかえって雰囲気を作る。音楽そのものも手探りで作っていて、ライヴもまた手探り。必ずしもはじめからぴったり合っているのではなく、むしろ一緒にやれるところを確かめながらやっているようなのが、面白くもあり、楽しくもある。といってひとまずここもでできましたという未完成でもない。一瞬一瞬、できあがってくるのを、本人たちも驚き楽しんでいるふぜい。ことばの本来的な意味で「生」なのだ。

 北欧というと、かっちりすっきりと完成された美学に律せられた世界という印象がここではだいぶ崩れている。破綻しそうでしないバランスが、スリリングというよりは笑ってしまう。アルバムのタイトルになっている神話の山羊は、北欧神話よりもアイルランドの田舎にでも出てきそうだ。こういうユーモアの隠し味はたぶんヴェーセンなどでもあるのだろう、と気づかせてくれる。そうしてみれば、ノルカル Tokyo というユニット名自体がとぼけているではないか。

 ノルカル Tokyo としてのライヴはしばらく無いそうだが、このユニットはぜひ続けてほしい。これからどうなっていくのか、まったく予想がつかないところがなんとも楽しい。ひょっとするととんでもないものになる可能性もある。とりあえずは実は丹念に作られたデビューCDを繰り返し聴いてゆきましょう。(ゆ)



Heidrun ヘイドゥルン
ノルカルTOKYO
ロイシンダフプロダクション
2016-03-13


 満開の染井吉野は、周りをとても静かにしますね。

 昨年第2回が開かれた北欧とケルトの伝統音楽のフェスティヴァルが今年も開かれるそうです。

期日:06/07(日)
場所:上野公園不忍池水上音楽堂
時間:10:15開場 12:30開演
入場無料、雨天決行

出演(予定)
あんじょん
小松崎健&あらひろこ
カンテレアンサンブル ilmalaiva
豊田耕三フルートアンサンブル
Musikanterna
東京ヨハンソン
Noboru Matsumoto & alternative bloods

 出演ミュージシャンは随時公式ブログに発表されるはず。

 場所は屋外ではありますが屋根がありますので、雨でもだいじょうぶ。
もっとも、雨合羽ぐらいはあるといろいろ便利。

 昨年の様子はたたとえばこちらをどうぞ。

 昨年は熱を出して行かれませんでしたが、今年は万全を期して臨みます、はい。(ゆ)

 フィンランドの超絶技巧ハーモニカ・カルテット、スヴェングが5月に来日しますが、東京は05/19の代官山・晴れたら空に豆まいての他に、翌20日(日)、武蔵野スイング・ホールでの公演があります。そのチケット発売は明後日5日の月曜日の午前10時です。あそこはいつもあっという間に完売するのでご注意。チケットの申込みについてはこちら

 スヴェングについてはこちらをどうぞ。

 ハーモニカ4台のカルテットですから、例によってノーPA(のはず)のスイング・ホールでの響きはきっと最高でしょう。

このページのトップヘ