クラン・コラ・ブログ(アイルランド音楽の森)

 アイリッシュ・ミュージックなどのケルトをはじめ、世界各地のルーツ音楽を愉しむブログです。そうした音楽の国内の音楽家も含みます。加えて主宰者の趣味のグレイトフル・デッド。サイエンス・フィクション、幻想文学などの話もあります。情報やメモ、ゴシップ、ただのおしゃべりなどもあります。リンク・フリーです。

タグ:タイムドメイン

・Timedomain light(タイムドメインライト)【送料無料】:    実家に行く。都心のマンションに転居して2週間。母もようやくおちついてきたらしい。浴室、トイレ、外気の取り入れ口にゴミ取りフィルタを貼る。
   
    もともと実家に置いてあったタイムドメイン・ライトをテレビにつなぐ。音を出すと母が驚く。しゃべっている言葉がよく聞こえる、という。家具も少く、壁にもなにもないので、以前の一軒家にくらべるとかなりライブな音空間だ。おかげで聴力が衰えた母には、テレビ・セットのスピーカーでは音が反響してしまい、聞きとりにくくなっていたという。タイムドメインはこういう時、強みを発揮する。
   
    テレビにわざわざ外部スピーカーをつなぐなど無駄だと冷やかに見ていた妹やカミさんも、えらいいい音だと納得している。
   
   
    せっかく都心に来たのだからと、帰途、秋葉原に出て、ダイナミック・オーディオ5555でヘッドフォンをあれこれ試聴。ESW9 も聴いてみたが、やはりオーテクの音はどうしても合わない。本来の音からズレているように聞こえる。ない音が聞こえて、あるべき音が消えているように感じられる。聞いていると背骨が歪んでくる気がする。AH-D5000 の方はそんなことはなく、まっとうな、質の高い音で、これならいつまでも聴いていられるなと思う。
   
    とはいうものの K26P + Edirol UA-3FX の音が実に魅力的で、この系統の音が自分は好きなのだ、とようやくこの頃わかってきた。ということで K450 の音を確認。この小ささがまた魅力。
   
    Monster Beats があったので、どんなものかと聞いてみるが、低音が響きすぎる。
   
    TEAC が新しく出した骨伝導ヘッドフォンは、従来品より高域がきれいに出るようになったとうたわれているが、うーむ、これできれいになったのだろうか。それともオレの頭蓋骨に罅でも入っているのか。まっとうな音になるのはまだ前途遼遠か。
   
    1時間近く、あれこれ聞いて、これで何も買わないのは悪いなあ、と後ろ髪をひかれながら出る。iGrado のイヤパッドは置いていなかった。
   
    新宿ジュンク堂で学研のアニメ・ヘッドフォン本を探す。さんざん探して、7Fの「芸術」の中のオーディオの棚に見つける。『新・萌えるヘッドフォン読本』の二番煎じそのままだが、「商品」の提示を先行させる配慮がイラストの構図に枠をはめているのはいただけない。だから一番面白いのは巻頭の架空のヘッドフォン集。このラインで1冊まるまる作ったら買ったのだが。(ゆ)

 ジプシー音楽の関口義人さんが主宰する
地球音楽のイベント「音樂夜噺」が、
4月から会場を目黒に移して再始動するそうです。

 今度はまたレストランで、
PAは日本METの協力で
BauXar Jupity 301
 を中心にしたものになる予定。
これまでより格段に質の良いサウンドで聞けるはずです。

 4月はピーター・バラカンさんと高橋健太郎氏がゲストとのことで、
かなりおもしろいものが期待できます。
ピーターさんにはイングランドをかけるようにそそのかしてみよう。

 以下、主宰者からの口上。

--引用開始--
 昨年12月以来、他のイベントとの関連などで事実上のお休みを
していた「音樂夜噺」が4月からオープンしたばかりの目黒のレストラン
/カフェ/ギャラリー"LUBERO"(ルベロ)に会場を移して再スタートします。
毎回土曜の開催で、これまでよりいくらか長めに間隔を空けて参加してくだ
さる方にも負担の少ない形を考えています。

 音樂夜噺は2005年の11月のスタートから大勢の皆さんに支持されて
「ワールド・ミュージック」として括られる世界の様々な音楽を紹介して
来ました。

 そして最初の年は渋谷、翌年は新宿と既に約2年間のささやかな歴史を
刻んできました。ここまでに60人にも及ぶそれぞれのジャンル・地域の
音楽に通じた論者の皆さんをお招きしてきました。

 さて4月に新たなスタートを切る「夜噺」は通算第26夜となります。
そして今回も再始動にふさわしい素晴らしいゲスト・スピーカーを
お招きしました。下記の通りです。

「新・音樂夜噺」スタート特別プログラム

「ワールド・ミュージックの向かう場所」

04/19(土)
会場:目黒レストランLUBERO
開場:14:20
開演:15:00(終演17:30)
料金:予約1,800円 当日2,300円 ともに 1 drink 付き

論者:高橋健太郎(音楽プロデューサー、音楽評論家)
   ピーター・バラカン(ブロードキャスター)
司会:関口義人(新・音樂夜噺 主宰)

 評論活動をはじめプロデューサーとしても幅広いお仕事をされ、
ポップ/ロックのフィールドからワールド・ミュージックにま
で広角的で鋭い視野を持たれる高橋健太郎さん。
 テレビ、ラジオで活躍され、夜噺の初回にもご参加下さった
世界中のポップ・ミュージックの熱心なリスナーでもある
ピーター・バラカンさん。
 かたやロック、ポップの視点から、またかたやソウルを初めとする
ブラック・ミュージック・リスナーの視点から。お2人によって
80年代後半から現在に至るまでのワールド・ミュージックの展開
やここから先、ワールド・ミュージックはどこへ向かうのか?を
予測なども含めて大いに語って頂きます。約2時間半の内容を予定
しています。

 既に会場の場所や詳細をアップしておりますのでHP
ご参照下さい。

 なお会場はそう広くありませんので予約をお店に入れて頂きたい
と思います。
--引用終了--

Thanx! > 関口さん

 日本METに Jupity301 を聞きに行ってきました。

 結論から言うと、

 タイムドメイン・サウンドのファンで

Yoshii 9 を持っていない人は全員が

買わねばならなくなるにちがいない。

 もちろん、物理的経済的あるいは心理的事情で
どうしても買えない方は多々おられると思いますが、
そういう条件が克服されたと仮定しての話です。

 たとえば小生はいま現在、経済的事情で買うことができません。
売払おうにもベンツは持っていないし、
質に入れようにも、かみさんはミンクのコートを持っていません。
カードローンの利息はいくらだ、と計算しはじめている自分を発見して、
いかんいかんと手を叩いている始末ですが、
しかし、この価格は安いです。
実力からすると最低でも2倍、
正直にいえば3倍の値段が妥当でしょう。

 ほかのオーディオ製品と比べるのはあまり意味がないと思うので、
タイムドメイン世界に話を絞ってですが、
Yoshii 9 の値段に対してそれだけの価値はあります。
つまり、それくらい迫っているということであります。
ただし、Jupity には「クラフト・シリーズ」は(まだ)ないわけですが。

 実物を見ると、
Marty101 よりずいぶん大きい感じがします。
背が高いのと、
脚部が大きく、
しっかりしているためでしょう。
この脚もポイントのひとつだそうで、
安定性が飛躍的に良くなった結果がサウンドにも現われているそうです。
実際、はじめテーブルの上において聞かせていただいたのですが、
こちらの方がいいんですよと床(絨毯敷き詰め)に下ろした途端、
もう元にもどせなくなりました。
台に載せるのなら、
それなりに振動対策をほどこしたものを持ってきたいところです。

 スピーカー・ユニットは Marty とまったく同一だそうで、
違うのは、
胴体の材質(プラスティックからアルミ)と
構造(張り合わせから一体成形)、
内部でのユニットの固定方法と
胴体の容積、
それに脚部。
むしろここで初めて、
このユニットの実力が発揮されているということでしょうか。

 まずわかるのは低域の余裕で、
ということは当然高域も余裕をもって伸びています。
打楽器などで高音の余韻がほんとうにきれいに消えてゆきます。
ルース・アンダーウッドのビブラフォンの美しさにはただため息。

 そしてヴォーカルが良く前に出てくれます。
うっかりすると伴奏が後ろに引込むぐらい。
スーザン・マッキュオンや Ria Soemardjo の声の倍音が快い。
大島保克さんの声も倍音がはいってるんですねえ。

 そして細部再現のすごさ。
もともとこれはタイムドメインの得意技ですが、
それがまた、これ以上細かく再現してくれても、
こっちの耳がついていけないよ、という感じ。
スーザン・マッキュオンの《BLACKTHORN》の冒頭、
アイルランド語の細かい発音、というよりも、
スーザンの唇や舌の動きまでみえる気がします。
田村拓志さんの新作では、うわあ、装飾音が全部「見える」。
 ぼくはフィドラーでもないのに。

 何度も繰りかえしていますが、
こういう細部は、
聞こうと神経を集中してようやく聴き取れるのではありません。
自然に向こうから聞こえてくるのです。
音楽を演奏している方が聞けば、
ぼくなどより何倍も細かい細部が、
文字通り手にとるようにわかるでしょう。

 実際、ギターの手の動きがよくわかると、
その場で買っていかれたベテランのロック・ミュージシャンもおられたそうです。

 こうなるとサウンド・ステージが広々としているのも当然で、
ライナー&シカゴ響の《シェヘラザード》はむしろ予想通り。

驚いたのはザッパです。
IN NEW YORK》をかけた途端、のけぞりました。
眼の前にステージがあるのです。
脇のほうで、観客の口笛があざやかに響きました。
ああ、ザッパはこんなにも良い音で録っていたのか、
とあらためて感嘆しました。
いや、むしろこれまで
「あんな貧弱な再生で聞いていて、もうしわけございません」
と平伏したくなりました。

 そんな具合で、
2時間近くの間、
あれこれ勝手に聞かせていただき、
これはもう買うっきゃない、
と決心をかためる他なかったわけです。
ああ、なにか売れるものはないか(爆)。

 最後に、
愛機 Go-Vibe 5 を経由してつないでみました。
これまでは全部 iPod touch への直刺しです。
それでこのクオリティなのです。
(ファイル・フォーマットは Apple lossless か AIFF 48KHz)
で、ヘッドフォン・アンプを通してみたらどうか。
この音には、Marty や Jupity を作られたエンジニアの栗田さんも唸りました。
ひょっとすると、将来、
タイムドメイン式ポータブル・ヘッドフォン・アンプが登場するかもしれません。

 それに、ヘッドフォン・アンプをお持ちの方は、
ライトやミニ、ひょっとすれば Yoshii 9 もつないでみると、
新しい世界が開ける可能性があります。
ヘッドフォン端子のあるプリ・アンプでも大丈夫かも。

 現在のぼくのリスニング環境のメインは iPod です。
EarPhone M が登場してからは、
ますますデスクトップで聞く時間は少なくなっていました。
正直言って、ミニやライト、いや Marty でも、
BGM 的な使い方しかしていませんでした。
Jupity301 を聞くと、
これでもう一度全コレクションを聞き直したい、
これで音楽をひたすら延々と聴いていたい、
という気になります。
iPod + EarPhone M は外出用、モバイル用という
本来の用途に使われるようになるでしょう。(ゆ)

 Bauxer EarPhone M がやってきて10日ほど。
 タイムドメイン式も、
バランスド・アーマチュア方式も、
エージングによってあまり音が変わらないそうですが、
やはり少しはあるようです。

 一番変わってきたと思えるのは、
音のディテール、
細部の表現力が増しているところ。

 ヴォーカルの息継ぎで息を吸う音、
というよりは音になる前の気配でしょうか、
あるいは声を絞って消え入るようにうたいおわるところとか、
フルートなどの笛の空気音、成分でいえばノイズのところとか、
アラブ系の打楽器でよくある、やはりノイズのような、
メインの音と同時に鳴るビビるような音。

 たとえていえば、そういう音がよく聞こえる。
聞こえていなかったわけではないのが、
いっそうリアリティを増して聞こえます。
どの音もはっきり、明瞭に、というのでもありません。
はっきり聞こえるべき音ははっきりと、
かすかに聞こえるはずの音はかすかに、
それぞれの音の特性、個性そのまま聞こえます。

 それにも関連しますが、
EarPhone M は音源との距離が近い感じです。
きちんと聞きくらべたわけではありませんが、
K701 ですと、音場の全体像では似ているところがあっても、
音源から、つまり、ミュージシャンからの距離があります。
渋谷クワトロやAX、O-East あたりだと、フロアの中間から後ろ。
1,000人やそれ以上のクラスのホールだと、前から10から20列めぐらい。
頭や眼を動かさなくても、ステージ全体が視野の中に入っている感じ。

 EarPhone M ですと、どちらもかぶり付きです。
ソロの場合など、1メートル、あるいはもっと近い。
もちろん、録り方によって多少距離感は変わりますが、
総じて、ミュージシャン(たち)は目の前にいます。
大所帯のバンドだと、フロントが目の前で、
その後ろに他のメンバーが広がります。
左右の幅が広いものになると、
左右の端が自分の顔より後ろに感じるときもあります。
ここは好みが分かれるところかもしれません。

 ディテールが増すことと同じことかもしれませんが、
見通しがさらによくなってきました。
ベールがはがれるというよりは、
空中のほこりが少なくなった感じ、でしょうか。
嵐の後におだやかに晴れると空気が澄んで、
ものがはっきり見えますが、あれに似ています。

 ダブル・フランジもだいぶ慣れてきました。
はじめは、なぜか耳の上が締めつけられる感じもあったんですが、
聞こえる音楽の楽しさにつられているうちに、
その感じも消えるようになり、
この頃は、突っ込んだ直後もほとんど感じません。
まだ、他のイヤチップは試す時間がなし。

 屋外でも使っています。
遮蔽性はあまり高くないと前に書きましたが、
基本的な性能はあるので、
音楽が鳴っていると、
他の音は聞こえなくなります。

 これがちょっと不思議なくらいで、
極端に靜かな音楽の時や、
なにも鳴っていないとき、
音量を絞ったときには
電車の車内放送とか、車の走る音とか、子どもたちのはしゃぐ声とか
結構聞こえますが、
いったん音楽が鳴りだすと、
そういう音も聞こえなくなります。
聞こえていて、気にならないのかもしれませんが。

 それにしても楽しい。
音楽を聞くのが、ほんとうに楽しい。
タイムドメイン式の実力を発見した当初も楽しかったんですが、
スピーカーは慣れてしまうんですよね。
その音が、そういう鳴り方が当たり前になってしまう。
イヤフォンは、なんだか、日々新鮮。(ゆ)

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《LAS VEGAS》 良いだろうと予想はしていたのだが、
良し悪しを云々できるうちは
まだほんとうに良いとは言えない。

 いきなり、わし掴みにされた。
そして "Going on, going on" というコーラスに入ったとたん。

 陶酔
という表現があらわすものはこういうことだったのだ。
酒に酔うなどは陶酔とはいわない。
「感動!」とか「泣ける」とか、そんなものでもない。

 ほのかに悖徳の香りもする。
ここから先へは行ってはいけない。
とはいえ身動きもならない。
いまこの瞬間、地震がきたら、なすすべもなく死ぬだろう。
それもまたよし。
呵呵。
この声に陶酔しながらであれば、
地獄の底まで、
あるいは宇宙の果てまで、
運びさられようと
悔いはない。

 ということすらも雑念になる。
その時にはそんなことはなにも考えていない。
陶酔とは空白だ。
中身のぎっしりつまった空白だ。

 鬼束ちひろの新作《LAS VEGAS》の掉尾を飾る
〈everyhome〉を EarPhone M で聞く。
すぐ眼の前でかるくうたっている声にまず息を呑む。
日本語の美しさをひきたたせる声だ。
シュールレアリスムにまで踏み込もうとすることばの美しさ。
そして件のコーラスにかかったとたん。

 スピーカーで聞くと、
ここで少し奥へひくように聞こえる。
EarPhone M で聞くとそうではない。
高くなった声がなめらかに密度を増し、
もう少しでなまめかしいといえる艶を帯びる。
その声だ。
陶酔してしまうのは。
してしまうのか。
させられるのか。
共鳴か。

 身も心も弛緩している。
指一本動かない。
顔がほうけているのも、なぜかわかる。

 ピアノは徐々にはげしく、
全宇宙を満たそうと嵐を起こす。
日本語はますます美しく、
声はますます純粋になる。
欲望もなく、
希望もなく、
するとこれが涅槃なのか。

 しかし、やがてうたは終わり、
音が消える。
ふたたび時がながれはじめ、
胸は呼吸することを思い出し、
脳は各感覚器官からはいってくる情報を処理しはじめる。
涅槃からは覚めることはあるまい。
悟りは一方通行なのだから。

 煩悩の世界に帰って、
安堵する。
まだ、おれは生きている。(ゆ)

 イヤフォンMは EarPhone M なのか、それとも EarPhoneM なのか。
謎です。

 ネット検索でも、この二つでは違う扱いを受けるんで、
結構大事ではないかと思ったりもします。

 一昨日はこれを持って外に出ました。
バス、電車とも、問題ありません。
地下鉄でもOK。

 遮音性はそれほど高くありません。
とはいえ、Westone UM2 に比べれば、の話で、
あちらはやわらかいフォーム・チップを耳の奥までねじ込むわけですから、
比較するのが無理というもの。
感じとしては、Westone と、たとえば KP26 のような半密閉式の中間ぐらい。
音楽の方が靜かだったり、無音状態の時には、
車内放送とか、何を言っているのかわかります。

 ですが、音の輪郭がはっきりしているせいなのか、
音楽そのものは明瞭に聞こえます。
外の音がはいって来て
音楽を聞く邪魔になることはありません。
ここでもストレスフリーです。

 音もれはあまりないようです。
もっとも、ぼくが聞いているものは、
アコースティックな音楽が圧倒的に多く、
爆音もの(^_-)はありませんし、
ふだんから音量は絞りぎみなので、
一般的な参考にはならないかも。

 耳に入れる方向によって、音が変わるようです。
EarPhone M は円筒形で、音が出る線は一直線。
Westone のように途中で曲がっていません。
コードが真下に出るように突っ込むのが標準らしい。
それでも、耳の中で音の出る軸に添って円筒形を回転させると、
音が変わる気がします。
ただし、これは外耳道の形などによって
変わる人と変わらない人がいるんじゃないでしょうか。

 聞けば聞くほど、タイムドメインの音です。
タイムドメイン式のあの音を、
そのまま外に持って出られる。
あるいはスピーカーの置けないところでも聞ける。

 タイムドメインの音というのは、
タイムドメイン式に特有の音があるわけではなく、
ソースに入っている音をそのまま出してくるので、
ひどい録音は、情け容赦もなくひどく聞こえますし、
良い録音では、録音が良いとかいう意識も消えて、
ほれぼれと音楽を聞いてしまいます。
ついつい音楽の方には入り込んでしまうので、
試聴には向きません。

 音楽の良し悪しと、録音の良し悪しは
かならずしも一致しないわけですが、
そういう時タイムドメインはどうするかというと、
音楽の方を聞かせてくれます。
というより、
耳のほうで、つまりリスナーの心の中で、
悪い録音の中からそれでもよい部分を聴き取って
拡大するんでしょう。

 音楽が良いと、どんなにひどい録音でも
どこか1ヶ所か2ヶ所ぐらいはマシなところがあります。
タイムドメインはそういうところも正確に再現してくれるので、
聴覚が拾いあげることができる、
そういうことではないか。

 音楽を聞く時間が増えてます。
聞きたくなります。
このイヤフォンなら、あれはどう聞こえるだろう。
こちらを聞いてみたい。
すこし時間があると、
EarPhone M を耳に突っ込んでます。
いや、EarPhoneM か。
どっちだ!?(^_-)(ゆ)

 やりましたね
 ああ、しあわせ。
 朝一番で届いたのですが、
昼間は開ける暇がなく、
ようやく、この1時間ほど、聞いています。

 音が良いとか、解像度がどうのとか、低域中域高域のバランスとか
そういうことの前に、

まず 音楽がとびこんできます

いや、とびこんでくるものばかりではない。
靜かに満ちてくる音楽もあれば、
すうーっとすべりこんでくる音楽もある。
それぞれの性格なりに、しかしどれもどんどん流れこんでくる。
無理なところも、押しつけがましさもなく、ごく自然に。
この気楽さ。
ただひたすら音楽にひたれば良い。
ソースからあふれる音楽が、まんまの形で、そのままの音で、入ってきます。
というのは、タイムドメイン式のスピーカーを聞いている人には説明は不要でしょう。

 ライセンス商品ではないといっても、
タイムドメインの魂はしっかりこめられていて、
とにかく空間が広い。
頭の中というより、頭を包んでいる空間全体で鳴っている感じ。
その空間は、球形ではなく、
頭の両側に膨らんだ、
扁平な円盤型らしい。
Ultrasone の S-Logic に感じが似ていなくもないですが、
もっと自然で、無理がない。
時にはリード楽器、
たとえば《ZAPPA IN NEW YORK》の〈拷問は果てしなく〉での
ザッパのギターが、前方から聞こえるようなこともあります。

 しかも、その空間は空気が澄みきっていて、
個々のミュージシャンの位置はピンポイントでわかります。
どれくらいの音量で演奏しているのか、
録音によっては、立っているか、座っているかもわかります。
そういう一つひとつ「キャラの立った」音が
つながりあい、からまりあって、
時々刻々と生み出してゆく音楽、
その音楽の全体と細部の両方が同時に聞こえてくる。

 イヤフォンというものの性格からでしょうか、
細部の再現力がまず目につく、いや耳につきます。
クリスティ・ムーアの《AT THE POINT》のライヴでは、
近くで歓声をあげている聴衆の一人ひとりが聞きわけられます。
クリスティの声のあや、ニュアンス、息継ぎが、
手にとるようにわかる。
何の苦労もなく。
歌詞も明瞭で、リスニング能力が上がったように錯覚するほど。

 という、最初のリスニングは iPod touch に直にさして聞いてます。
ファイルは Apple Lossless 以上。
それでこのように聞こえるということは、
アンプをはさむとどうなるんでしょうか。
というお楽しみは明日以降。


 さあ、明日は、いやもう日付が変わってしまったから、

今日はフリーフォートだ。

3回目の来日で、「ますますすごいことになってる」らしい。
会場の北とぴあは良さそうなホールのようで、さらに楽しみ。

 ヴェーセンに続く、北欧ルーツ・ミュージックの真打ち。
いや、ヴェーセンを前座というつもりはさらさらないが、
ヴェーセン、特にアンドレのパーカッションの入ったヴェーセンは、
北欧云々よりも、唯一無二のヴェーセンなのです。

 北欧ルーツ音楽の王道はやはりフリーフォートに留めを刺します。
フリーフォートって何だ、という方はまずこちらから、動画とライヴ音源をどうぞ。
(動画ではまず「ポルスカ2」がお薦め)
これですこしでも面白そうだとおもったら、北とぴあに行きましょう(^_-)。
当日券もあるはず。
これを逃したら、当分は見られないでしょう。

 そうそう、アンドレの入ったヴェーセンのスタジオ録音
VARDENS VASEN 2007》を EarPhone M で聞いてたまげました。
アンドレがやっていることが全部わかります。
それ自体も凄いのだが、
アンドレがいかにとんでもないヤツか、
あらためて脱帽。(ゆ)

 川村さん@Winds Cafe から教えられてウェブ・サイトを見てみる。物欲そそられますなあ。

 Marty 101 の後継機種。アルミ一体成形の筐体で、脚の形と支持方式も一新。サイズは背の高さが9センチ、脚部の奥行きが2センチ増えた。電源を強化し、アンプの出力を3ワットから5ワットへ。ユニットは変わらないらしい。重さは倍以上。価格も倍以上。

 リニア電源というのは、でかくて重いが、「出力電圧の精度は良く,リプルやノイズはほとんど発生しない」そうで、そうすると音は良くなるから、オーディオ用としてはベターだろう。Go-Vibe も V6 からリニア電源のアダプタを別売していた。

 ひとつだけ気になるのは、Marty ではユニットの真下、脚の間に吸音材を敷くのが常法なのだが、この形でもやはり敷いた方が良いのか。それとも、この形にしたということは、敷かないことが前提なのか。

 いずれにしても、どこかで聞く機会を見つけよう。(ゆ)

 タイムドメインの由井社長が京都大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリーで今月2回にわけて行った講義録が、同社のサイトで読めます。

 今のところ前半のみですが、タイムドメインがどういうものか、これまでで一番わかりやすい説明だと思います。

 特に「このスピーカーで低音は出ているのか」という質問から後が面白い。

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