本誌の記事では触れませんでしたが、昨年一番嬉しかったアルバムはこれ。
デンマークの蛇腹とフィドルの若い女性のデュオのデビュー。新しい才能の出現に出会えた歓びとともに、彼女たちがデンマーク音楽に切りひらいた新たな世界もすばらしい。二人だけですが、デンマークのダンス・チューンをほんとうに生き生きと、みずみずしく聞かせてくれます。この国のダンス・チューンはケルト系の高速チューンに慣れた耳にはちょっとのんびり聞こえますが、この二人が演奏すると、ダンス・チューンの命は結局スピードではない、ビートなのだと実感します。一つひとつの音が跳びはねるのは、こういうことなのです。2曲ほど聞かせる唄ものびのびとうたっていて、ダンスの合間の切替に気持ちよい。録音としてはデビュー作ですが、演奏はすでに揺るぎなく、独自の型を完成しています。
二人ともカール・ニールセン・アカデミーの出身で、蛇腹のメッテ・カトリーネはもうすぐ来るハウゴー&ホイロップのハラール・ハウゴーの直弟子。フィドルのヘンリエッテ・ハンセンはモントリオールに2年住んだことがあり、ケベック音楽に漬かってたそうです。
オーゼンセにあるカール・ニールセン・アカデミーは、フランスでいえばコンセルヴァトワール、わが国でいえば芸大ですが、フィンランドのシベリウス・アカデミー同様、伝統音楽のコースがあります。近頃ではアイルランドでもコークやリマリックの大学に伝統音楽のコースができてます。伝統音楽を学校で教えられるのか、という議論もありましょうが、この二人の演奏を聞くかぎり、りっぱに成功している、というより、こういう人たちがどんどん出てくるようなら、大いに教えるべし、です。ハラールはじめ、教授陣が優秀でもあるのでしょう。
ハウゴー&ホイロップの音楽は生粋のダンス・チューンというよりは、もう一段昇華されていて、文字通り変幻自在にあふれてくる音楽に流されてゆく感覚です。この Kvasir の音楽は、ぼくらと同じ地上でいっしょになって踊っています。
ちなみにこの名前は北欧神話に出てくる、知らないことはない大賢者の名前。"Kvaser" というスペルもあり。ただし、このひと、無類のお人好しで、ドワーフにころりとだまされて殺され、宝物を奪われてしまいます。
普通のレコード店にはないと思います。デンマークの通販サイトをお試しあれ。英語ですが。
タムボリンにもあるかもしれません。(ゆ)
デンマークの蛇腹とフィドルの若い女性のデュオのデビュー。新しい才能の出現に出会えた歓びとともに、彼女たちがデンマーク音楽に切りひらいた新たな世界もすばらしい。二人だけですが、デンマークのダンス・チューンをほんとうに生き生きと、みずみずしく聞かせてくれます。この国のダンス・チューンはケルト系の高速チューンに慣れた耳にはちょっとのんびり聞こえますが、この二人が演奏すると、ダンス・チューンの命は結局スピードではない、ビートなのだと実感します。一つひとつの音が跳びはねるのは、こういうことなのです。2曲ほど聞かせる唄ものびのびとうたっていて、ダンスの合間の切替に気持ちよい。録音としてはデビュー作ですが、演奏はすでに揺るぎなく、独自の型を完成しています。
二人ともカール・ニールセン・アカデミーの出身で、蛇腹のメッテ・カトリーネはもうすぐ来るハウゴー&ホイロップのハラール・ハウゴーの直弟子。フィドルのヘンリエッテ・ハンセンはモントリオールに2年住んだことがあり、ケベック音楽に漬かってたそうです。
オーゼンセにあるカール・ニールセン・アカデミーは、フランスでいえばコンセルヴァトワール、わが国でいえば芸大ですが、フィンランドのシベリウス・アカデミー同様、伝統音楽のコースがあります。近頃ではアイルランドでもコークやリマリックの大学に伝統音楽のコースができてます。伝統音楽を学校で教えられるのか、という議論もありましょうが、この二人の演奏を聞くかぎり、りっぱに成功している、というより、こういう人たちがどんどん出てくるようなら、大いに教えるべし、です。ハラールはじめ、教授陣が優秀でもあるのでしょう。
ハウゴー&ホイロップの音楽は生粋のダンス・チューンというよりは、もう一段昇華されていて、文字通り変幻自在にあふれてくる音楽に流されてゆく感覚です。この Kvasir の音楽は、ぼくらと同じ地上でいっしょになって踊っています。
ちなみにこの名前は北欧神話に出てくる、知らないことはない大賢者の名前。"Kvaser" というスペルもあり。ただし、このひと、無類のお人好しで、ドワーフにころりとだまされて殺され、宝物を奪われてしまいます。
普通のレコード店にはないと思います。デンマークの通販サイトをお試しあれ。英語ですが。
タムボリンにもあるかもしれません。(ゆ)