クラン・コラ・ブログ(アイルランド音楽の森)

 アイリッシュ・ミュージックなどのケルトをはじめ、世界各地のルーツ音楽を愉しむブログです。そうした音楽の国内の音楽家も含みます。加えて主宰者の趣味のグレイトフル・デッド。サイエンス・フィクション、幻想文学などの話もあります。情報やメモ、ゴシップ、ただのおしゃべりなどもあります。リンク・フリーです。

タグ:ハーモニカ

6月17日・木

 市から介護保険料通知。昨年の倍になる。年収2,000万以上の金持ちはいくら稼いでも金額が変わらない。「不公平」だ。金があればあるほど、収入に対する保険料の比率は減るんだぜ。余裕のある奴はますます余裕ができる。その1割しか年収のない人間はちょっと増えると月額倍増って、そりゃないだろう。

 散歩の供は Ariel Bart, In Between
 Bandcamp で購入。ファイルは 24/44.1 のハイレゾ。

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 ハーモニカ・ジャズ。ピアノ・トリオがバック。チェロも数曲で参加。いや、いいですねえ。ハーモニカの音か、この人の音か、線は細いが芯はしっかり通っているというやつで、繊細な抒情と骨太な叙事が同居している。ハーモニカの音には軽さとスピードもありながら、鋭どすぎない。それにわずかに音が濡れている。文字通り瑞々しい。とんがったことをしないで、まあ普通のジャズをしている一方で、惰性でやっているのでもなく、故意にそうしているわけでもなく、自然にやっている感じが新鮮さを醸しだす。聴いていて、またか、とは思わない。はっと驚くようなこともないが、むしろじわじわと効いてくるするめ盤の予感。曲はすべて本人のオリジナル。愁いのある昏いメロディはあるいはセファルディム系だろうか。参加ミュージシャンの名前だけではアラブ系の人もいる。

 1998年3月生まれ。7歳からクロマティック・ハーモニカを吹いているそうな。The New School University in New York でジャズ演奏の学位を取得。ベーシストの William Parker と2枚、Steve Swell and Andrew Cyrille がポーランドのレーベル Not Two から出したアルバムに参加。本人のリーダー・アルバムとしてはこれが初めて。ようし、追いかけましょう。


 夜は YouTube の宿題をかたづける。MacBook Air (M1, 2020) から AirPlay で FiiO M11Pro に飛ばし、DSD変換して聴く。YouTube 側はノーマルでも聴くのは DSD だ。M11Plus は本家ではリリースされたが、国内販売開始のアナウンスはまだ無い。数が少なすぎて、回せないのか。やはり M17 狙いかなあ。

 スナーキー・パピーの Grount Up Records が提供する The Secret Trio のライヴ音源が凄い。凄いとしかいいようがない。ウードはアラ・ディンクジャンではないか。お久しぶり。お元気なようで何より。



 shezoo さんに教わった、行川さをりさんの YouTube 音源をあれこれ視聴。Asu とのデュオ Kurasika の〈写真〉。向島ゆり子さんがすばらしい。Kurasika と上田健一郎による、どこでもスタジオにしてしまう「旅するレコーディング」もいい。これはまさにクーキー・マレンコが言っていたものではないか。周囲の音も音楽の一部で、でかいせせらぎの音が歌とギターに耳を引付ける。うぐいすは絶妙の合の手を入れてくれる。引き込まれて、次々に聴いてしまう。(ゆ)






 今日の午前中、9月号を配信しました。未着の方はご一報ください。
23日配信予定にしていましたが、1日早くできあがったので、配信しました。

 配信設定をしておいて、すぐ家を出て、スヴェングのインタヴューに行ってきました。まず『CDジャーナル』に掲載されますが、その後、書ききれなかった分を本誌に掲載する予定です。

 二度目の来日ツアー中のスヴェングはこの後、明日は静岡・浜松の楽器博物館、26日金曜日は神奈川・厚木の市民文化会館、翌27日土曜日は札幌のコンカリーニョでの公演があります。

 4本のハーモニカだけで、ありとあらゆる音楽をやってのけるスヴェングは、この楽器の可能性をとことんまで展開する、他に類例のない、世界で唯一のバンドです。しかもヴィジュアルも楽しい(^_-)。まだライヴを体験されたことがなければ、「親の葬式を延ばしても」見に行くべし。(ゆ)

 メルマガのほうは今日中に配信しますが、間に合いそうもないのでとりあえずのお知らせ。

 来日中のフィンランドの超絶ハーモニカ・カルテット、スヴェングフリー・コンサートが日本橋三井タワーで今日の夕方18:30からあります。約1時間。

 場所は日本橋・三越本店の2軒隣。

 昨日、ライヴを見てきましたが、「超絶」と言うのがまったく誇張ではない。ハーモニカ4本だけで、あそこまでやるのか。1本のハーモニカの両側に穴があき、それぞれ音階が違うので、これをくるりくるりとひっくり返しながらひとつのメロディを演奏したりなどという芸当が少しも凄く見えません。また、4本そろって「ハモる」と、不思議な倍音を生んで、快感そのもの。

 そして、そういうことはやはり枝葉末節なので、何より音楽そのものがすばらしいのです。あんな小さな楽器4本だけで、こんなにも多彩で、スリリングな体験ができるのかと、あらためて音楽の玄妙さを思い知らされたことであります。

 これがタダで体験できるのを見逃すのはもったいない。多少、他に用がある方も、そんなものは後回しにして見るべし。(ゆ)

 オーディオ雑誌を買うなどということはもう一生ないものと思っていた。しかし、付録のCDがすばらしい、それもガムランだとか、ベースだとかのオリジナル録音だと聞いては、買わないわけにはいかない。ところが日頃から雑誌を買うという習慣がないものだから、発売日がいつかも知らず、気がついた時にはすでに売切れを何度か繰りかえした。付録CDのおかげか、このところ毎号完売らしい。ようやく、今回は間に合ううちに気がついて、めでたくアマゾンで入手。で、付録はと見ると、をを、谷川賢作。Winds Cafe にも出ているが、不運にして行き違い、いまだに演奏に接していない。気にはなっていたのですよ。で、この Mitatake というのは何モノだ。へえー、まだ若いブルース・ハープとギターのデュオ。これが、本格的な初録音だと。初物好きとしてはいそいそと、聞いたと思いねえ。

 こりゃあ。
 めっけもんではないか。
 このふたり、ちゃんとおしゃべりしている。フットワークも軽いが、どこに立っているかは自覚している。立っている場所がどこかの自覚ではなく、どこであろうと2本の足で立っている。どこにほうり出されても大丈夫。
 そして音楽そのものについてはかなり頑固。音楽が生み出す空気が、ふちふなやハンバート・ハンバートあたりに似ている。そういえば、たてたかこにも通じそうだ。どこかで突き抜けている。それも上にというよりは、踏みしめている大地のほうへ突き抜けている。
 それにしてもこれだけの実力の持主がまともな録音をまだ出していないというのも、ひょっとすると自覚的かもしれない。録音にまつわるふたりの文章からも、しっかり距離を置いて自分を見られる人たちらしい。いわば慎重になりすぎて、なかなか録音を出さないかれらの録音を世に出すべく、谷川賢作が、あるいはエンジニアの小川洋氏とふたりで仕掛けた、ともいえそうだ。

 谷川賢作のピアノも師匠が佐藤允彦だけあって、懐が深く、抽斗も多く、幅が広い。さんざん虐待されている定番曲がこんなに新鮮に聞けるとは。最後の3人のセッションは、確かに谷川氏も書いている通り、 Mitatake 側が遠慮しているところ、こうした形のセッションの経験不足はあるが、それでも音楽としては立派なもので、ぜひトリオでフル・アルバムを作ってほしい。

 録音は300人定員の響きの良い小ホールで、2チャン、ワン・ポイント。むろん増幅は一切なし。ホールの空気も楽器として捕えられた、すばらしい音楽のすばらしい録音。

 例によって、ゼブラの Popstar 蛍光緑で縁を塗り、ユキムの除電ブラシ SFC SK-2 で盤面を拭き、録音は良いはずなので AIFF の48KHz にして iTune に取込み、初代 MacBook Kro の光デジタル出力から ONKYO SE-U55GX 経由エレキット TG-5882 に AKG K701をつないで聞く。至福かな。

 次号、夏号の付録CDはジェゴグだそうだ。正直、オーディオ話は読みたくもないんだが、当分、こういう形のCD付録が続くかぎりは買わねばなるまい。この号にはヘッドフォン・アンプのミニ特集もあって、わが TG-5882 も誉められていたので、まあいいか。これと K701 の組合せはこの頃、実に良いあんばいで、とろけるような音を聞かせる。1年ぐらいしたら、球をグレード・アップする予定。

 TG-5882 を誉めていたのは和田博巳氏で、この方、別のコーナーで、これまたひじょうに客観的なコメントを書きつけていたのが印象的だった。つまり、オーディオという趣味は簡単に音が出てはいけない、というのだ。タイムドメインがいわゆるオーディオ・マニアから評判が悪いのは、何よりもこのためだ。それに、前にもどこかで書いたが、タイムドメインにしてしまうと、終わってしまう。機械を変えて、あるいは「使いこなし」をして、音が変わる楽しみが無くなる。むろん、タイムドメインなりに音を突き詰めてゆくことは可能だし、公式サイトの掲示板にはその手の情報がごまんとある。実を言えばゼブラの Popstar も、ONKYO SE-U55GX も、SFC SK-2 もそこで教えられた。しかし、まるで別の音にがらりと変わってしまうスリルとサスペンス(良いほうに変わるとはかぎらない)は味わえなくなる。ああ、良い音を聞いているとは感じなくなる。良い音があたりまえになってしまうのだ。あとはもう、ひたすら音楽を聞くしかなくなる。これは「オーディオ・マニア」にとっては地獄だろう。

 しかし、オーディオ・マニアとは呼べなくても、なるべく良い音で聞きたいと願い、そのための手間を惜しまない人間はいる。要はここでもバランスだ。良い音で聞くために費やす資源と、音楽そのものを聞くために費やす資源のバランスである。聞きたい音源は無限にあり、資源、端的に言えばカネと時間は有限である以上、どこかで折合いをつけなければならない。

 一番最近に買った「オーディオ製品」といえば、ステップアップ・トランスということになる。KODEN JP-60FP で、100V を 120V に上げる。すると、アメリカの国内用電機製品が、日本のコンセントにつなげるようになる。これで何をつなぐかといえば、MAHA の 9.6V 6P 乾電池用充電器だ。9.6V の 6P 電池は国内ではどこも作っていない。しかたがないから、充電池と電池3個のセットを通販で買っておいた。先日、1個目が切れたので充電しようとしたが、やはり電圧のちがうものを直接つなぐのはヤバかろうと思い直し、ちょっと調べると、こういう人間はやはり少なくないらしく、ちゃんと昇圧トランスが売られている。これを購入しててまずは心やすらかにつないで充電すると、公称より多少時間はかかったが、無事充電終了。これで、わが Go-Vibe 5 は 9.6V で駆動できるめどがついた。Ver. 6 とか、Tomahawk とか、あるいは C&C Box とか、pha も花盛りだが、当面はなにしろ Westone 3 を買わねばならない。これまた、バランスの問題だ。それに Go-Vibe 5 とて、今のところこれといった不満はない。

 その Westone 3 はいよいよ今週には正式発売日が発表になるらしい。製品自体も β版は卒業して、FC 段階のようだ。今週末、アメリからカリフォルニアのサン・ホセで開かれるヘッドフォン・マニアのコンヴェンション HeadFest 2007 にはこの FC 版が出品されるそうだ。実際に手に入るのは、やはり早くて今月中、というところだろう。

 わが国では知る人ぞ知るの Westone だが、アメリカでは相当な人気で、IEM といえば、Etymotic、Shure、Ultimate Ears とともに、いわば四天王というところらしい。Shure は Westone の OEM とのことだが、音はまったく同じではないという。これに Future Sonic と V-Moda が追いすがっている、という構図か。もっとも、アンプと同じく、IEM 本体でも中国製が参入しているので、この辺もこれからまた百花繚乱になるかもしれない。(ゆ)

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