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紅龍 @ ラ・カーニャ、下北沢
真黒毛ぼっくす vs ザ・ナスポンズ @ クロコダイル、原宿
ナスポンズ&玉響楽団 @ クロコダイル、原宿
みわトシ鉄心 @ Desture, 谷峨、山北町

セツメロ FES, Vol.1 @ツボ、千歳烏山
tricolor + Cocopelina @ 月見ル君想フ, 外苑前
ケルティック・クリスマス 2023 @ すみだトリフォニー・ホール
ジョンジョンフェスティバル + ジェ・ドゥーナ@月見ル君想フ
まず驚いたのはその音楽がすでに完成していることだ。メンバー各自の技量の高さは言うまでもない。時に舌を巻くほどに皆巧いが、若い人たちの技量が高いことは世界的な現象でもあって、今さら驚くことではない。少なくとも人前でやろうという程の人たちは、ジャンルを問わず、実に巧いことは経験している。駅前の路上で演奏している人たちだって、技術だけはりっぱなものだ。ジェ・ドゥーナの技術はまた一つレヴェルが違うが、伝統音楽やそれを土台にした音楽は、ジャズ同様、テクニックのくびきがきついので、それだけをとりだして評価すべきものでもない。
The Chieftains クラダ盤再発
みわトシ鉄心 w/ 中村大史@ Cafe Bond, 是政, 府中市
みわトシ鉄心
ほりおみわ: vocals, guitar
トシバウロン: bodhran, percussion, vocals
金子鉄心: uillean pipes, whistle, low whistle, vocals
中村大史: bouzouki, piano accordion
透明なトリニテの庭 @ Zimazine, 南青山
透明なトリニテの庭
壷井彰久: violin
北田学: clarinet, bass-clarinet
井谷享志: percussion
藤野由佳: accordion
shezoo: piano
Cocopelina @ 音倉, 下北沢
Cocopelina
さいとうともこ: fiddle, concertina, vocals
岩浅翔: banjo, whistle, flute, vocals
山本宏史: guitar, vocals
石崎元弥: bodhran, percussion, banjo
吉田文夫氏
Tim O'Brien Band
12月18日・土
この人もキャリアは長いが、自分の名前を冠したバンドは初めてのはず。それだけアンサンブルを重視しているのだろう。一応ブルーグラスの編成だが、音楽はオブライエン節でブルーグラスではない。この人はブルーグラスから出発していると思うが、その資質はもっと広く、根も深い。
そう、この人の歌は根が深い。個人よりもそれが出てきた背後の存在を感じさせる。アイリッシュと相性が良いのもそこではないか。
存在感としてはヴォーカルは別として、まずフィドル。そしてベース。
##本日のグレイトフル・デッド
12月18日には1965年から1994年まで4本のショウをしている。公式リリースは無し。
1. 1965 The Big Beat Club, Palo Alto, CA
Big Beat Acid Test。セット・リスト不明。
2. 1973 Curtis Hixon Convention Hall, Tampa, FL
このヴェニュー2日連続の初日。ポスターによると WFSO または WFJO というラジオ局が主催した「自転車に乗ろう」キャンペーンの一環らしい。ラジオ局の名前のロゴがどちらにも読める。どちらのラジオ局もタンパ、セント・ピータースバーグ一帯にかつて存在した。
翌日同様、すばらしいショウの由。
3. 1993 Oakland-Alameda County Coliseum Arena, Oakland, CA
3日連続のランの中日。
4. 1994 Los Angeles Sports Arena, Los Angeles, CA
開演7時半。第一部5曲目〈El Paso〉でウィアがアコースティック・ギター。(ゆ)
散歩の足裏の痛み
12月17日・金
散歩連続3日めで、ナイキのヒモつきのもので歩いても、左足裏の痛みは薄れてくる。あるいは筋肉痛のようなものか。
Top Floor Taivers, A Delicate Game
シンガーの Claire Hastings、フィドルの Grainne Brady、ピアノの Tina Rees にクラルサッハの Heather Downie が加わったカルテット。曲により Tia Files のパーカッションがつく。
ヘイスティングスは2015年度 BBC Radio Scotland Young Traditional Musician 受賞者。リースもアイリッシュ・ダンサーだが、ピアノで2010年度の最終候補となっている。ダウニーはハープで2015年の最終候補。ブレディだけはキャヴァン出身のせいか、この賞には縁がない。もっとも彼女も現在はグラスゴーがベース。
という、若手トップの「スーパー・グループ」のデビュー・アルバム。この人たち、巧いだけでなく、センスもいい。アレンジの才もある。トンプソンの〈1952 Vincent Black Lightning〉がまるでスコッチ・バラッドに聞える。いずれもかなり個性的な音を出すが、アンサンブルとしてのまとまりは大したものだ。
全篇歌のアルバムなので、ヘイスティングスの シンガーとしての器の大きさが耳を惹くとはいえ、これまでのソロ・アルバムに比べれば、バンドとして機能していて、これからが楽しみ。見事なデビュー。
##本日のグレイトフル・デッド
12月17日には1970年から1993年まで4本のショウをしている。公式リリースは1本。
1. 1970 The Matrix, San Francisco, CA
このヴェニュー2日連続の2日目。残っているテープによると5曲45分強のショウ。これも前日と同じくデヴィッド・クロスビー、ガルシア、レシュ、ハートによるものらしい。デッドのショウとは言えないだろう。
2. 1978 Fox Theatre, Atlanta, GA
セット・リスト以外の情報無し。
3. 1986 Oakland-Alameda County Coliseum Arena
16.50ドル。開演8時。ガルシアの昏睡からの復帰三連チャンの最後。Drums に Babatunde Olatunji が参加。
ガルシアは楽屋でもたいへん元気でご機嫌だった由。
4. 1992 Oakland-Alameda County Coliseum Arena, Oakland, CA
このヴェニュー5本連続の千秋楽でこの年の千秋楽。第二部クローザーとアンコールの各々2曲ずつが《Dick’s Picks, Vol. 27》でリリースされた。
見事な締め括り。〈Throwing Stone> Not Fade Away〉、そして〈Baba O'Reily> Tomorrow Never Knows〉というアンコール。全員がすばらしい演奏をしている。そしてアンコールでのウェルニクは讃えられてあれ。こういう演奏、歌唱を聴くと、この人も凡庸なミュージシャンではなかった。バンドによって引っぱりあげられた部分はあるにしても、引っぱりあげられるだけのものは備えていたのだ。
5. 1993 Oakland-Alameda County Coliseum Arena, Oakland, CA
この年最後のラン、このヴェニューでの三連チャン初日。24.50ドル。開演7時。(ゆ)
ホテル宿泊料金の二極化
10月02日・土
仕事で横浜に出る。自主ロックダウンが解けた最初の週末、天気も上々とて、人手はたくさん。訪問先がホテルだったので、結婚式らしい振袖姿の女性も複数いる。解除を見越していたのか。
今年2月、人間ドックのために泊まった新宿のホテルはがらがらで、値段はパンデミック前の半分に下がっていて、さらにチェックインの時、満室なので部屋をアップグレードさせていただきます、と言われる。一方で高級と言われるホテルは逆にパンデミック以前の倍あるいはそれ以上に値段を上げているそうな。それで稼働率3割の方が、半分にして満室にするより、利益率は高いし、高くても来る客は付属のレストランなどでカネを落としてくれるという計算。客が少なければサーヴィスの質を上げられて、来た客はよりいい気分になれるから、また来る。なるほど。
とはいえ、人間ドックの時は、朝早くて、朝食抜きだからホテルを使ったけど、普段は使うあてもないのよねえ。それ以外にこれまで都心のホテルに泊まったのは、仕事を除けば、自分たちの結婚式の時と、義父が年とってから年末年始をかみさんの一族と一緒に過ごした時だけだ。
##10月02日のグレイトフル・デッド
1966年から1994年まで10本のショウをしている。公式リリースは4本。
1. 1966 Commons, San Francisco State College, San Francisco, CA
トリップ・フェスティヴァルの3日目。この日、午後3時まで、ということになっていた。この日の録音は残っている。また、この日、Merry Pranksters の放送があり、ガルシアはそこでオルガンを弾いたようだ。
2. 1969 Boston Tea Party, Boston, MA
Bonzo Dog Band とのダブル・ビル。会場は1967年から1970年まで運営されたコンサート会場で、DeadBase XI によれば定員1,500。この時期、名の通ったロックやブルーズのアクトは軒並ここに出ている。フィルモア・イーストのボストン版というところ。このヴェニューは元々の場所が火事にあったため、この時期はかつてのライヴァル The Ark の場所に移っていた。デッドがこの年4月に出た同じ会場で、今回はヴェニューの名前が変わっていたわけだ。ここにはこの10月と年末ぎりぎりの2度、どちらも3日連続で出ている。
当時のライヴ評によればガルシアはペダルスティールを弾き、トム・コンスタンティンがオルガンを弾いている。
ちなみにボンゾ・ドッグ・バンドはまだ『モンティ・パイソン』が放映されていなかったアメリカでは、まっとうに受けとめられなかったらしい。
03. 1972 Springfield Civic Center Arena, Springfield, MA
秋のツアー前半の最終日。前半5曲目〈Bird Song〉が2012年の、後半2曲目の〈He's Gone〉が2018年の《30 Days Of Dead》で、各々リリースされた。
どちらも見事な演奏。とりわけ後者。ブリッジのハーモニーがよく溶けあっている。始めのうち、トラブルかウィアのギターが聞えないが、コーラスには参加している。後半、演奏を延々と続け、コーラスが再度入る。この2度のコーラスをはさんでガルシアのソロが三度。どれも愉しい。
後者、演奏の前に、後ろから押されて前の方の客が潰されそうになっている、と言って、ウィアがおれが Step と言ったら、みんな一斉に一歩下がってくれ、とアナウンス。バンドのバックとともに掛け声を出す。後に、"Step back game" と名付けて、恒例の行事となる。座席がなかったり、あるいは聴衆が座席を無視して、前に押しかけていたのだろう。
04. 1976 Riverfront Coliseum, Cincinnati, OH
後半オープナーの〈The Music Never Stopped〉が2016年の、後半の後半〈The Other One> Stella Blue> The Other One> Sugar Magnolia〉の30分を超えるメドレーが2017年の《30 Days Of Dead》で、各々リリースされた。
いずれも質の高い演奏で、この日は調子が良い。いわゆるオンになっている。
05. 1977 Paramount Theatre, Portland, OR
2日連続の2日目。この2日間の録音は Betty Board tapes の一部。ということは、今後公式リリースされる可能性が大きい。
〈Casey Jones〉でガルシアがブリッジを歌いだすタイミングをとりそこね、長いジャムをやって再度ガルシアが入るところへもどったため、この歌のベスト・ヴァージョンの一つが生まれた、そうだ。
06. 1980 Warfield Theatre, San Francisco, CA
15本連続の6本目。第三部、エレクトリック・セットの後半2〜4曲目〈Comes A Time> Lost Sailor> Saints of Circumstances〉が2016年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。
この秋の一連のレジデンス公演からは《Reckoning》《Dead Set》の二つのライヴ・アルバムが作られ、アコースティック・セットもエレクトリック・セットもともに非常に質の高い演奏であることは明白だ。全貌をボックス・セットの形でなるべく早くリリースしてもらいたい。と、この3曲のメドレーを聴くとあらためて思う。この2枚の50周年記念は2030年なわけで、それまで生きているかどうか、自信は無いのだ。
07. 1981 Rainbow Theatre, London, England
ロンドンでの4本連続の初日。
08. 1987 Shoreline Amphitheatre, Mountain View, CA
3日連続の初日。後半冒頭からの3曲〈China Cat Sunflower> I Know You Rider; Man Smart, Woman Smarter〉の映像が《All The Years Combine Bonus Disc》でリリースされた。
このボックス・セット、数年前に買ったまま、今だに見ていない。これを機会に見ようとしたら、再生装置が無かったのだった。つくづく、あたしは映像人間ではない。
09. 1988 Shoreline Amphitheatre, Mountain View, CA
3本連続の最終日。
10. 1994 Boston Garden, Boston, MA
6本連続の5本目。前日の余韻はまだあったようだ。(ゆ)
今年のつくつく法師はついに終ったか
9月30日・木
今日は比較的気温は暖かかったけれど、つくつく法師が聞えなかった。昼過ぎから雨が降ったせいか。明日も雨の予報で、台風が去った後、復活するか。もっとも、もう10月。今まで残っていた方が遅いくらいではある。
##9月30日のグレイトフル・デッド
1966年から1993年まで10本のショウをしている。公式リリースは2本。
01. 1966 Commons, San Francisco State College, San Francisco, CA
サンフランシスコ州立カレッジ、キャンパスでのトリップ・フェスティヴァル。アシッド・テストのひとつ。金曜日午後3時から日曜日の午後3時まで。チケットは2ドル。共演は Mimi Farina, The Only Alternative, The Committee & Congress of Wonders。つまり、イベント全体はノンストップで続く中、デッドとこういうミュージシャンたちが、順番にステージに立っては一定時間演奏していたのだろう。
アシッド・テストなので、セット・リストは無し。
02. 1967 Straight Theater, San Francisco, CA
2日連続の2日目。
03. 1969 Cafe Au Go Go, New York, NY
3日連続の2日め。
〈China Cat Sunflower > I Know You Rider〉の組合せが初めて演奏された。〈China Cat Sunflower〉はメキシコにいたロバート・ハンターがガルシアに送った一群の詞の一つで、スタジオ版は《Aoxomoxoa》収録。1968-01-17, Carousel Ballroom で初演。〈I Know You Rider〉は1966-03-12、ロサンゼルスの Danish Center で初演。この二つは以後最後までほぼ組み合わせて計533回演奏された。〈China Cat Sunflower〉単独では557回。〈I Know You Rider〉単独は548回。回数順では組合せでも各々単独でも6位。
04. 1972 Reeves Field, American University, Washington, DC
学生ユニオンが主催した屋外でのフリー・コンサート。天気はよく、演奏も上々だったそうな。
05. 1976 Mershon Auditorium, Ohio State University, Columbus, OH
6.50ドル。夜8時開演。前半最後の〈Scarlet Begonias〉が《Live At Cow Palace: New Years Eve 1976》のボーナスCD《Spirit of '76》でリリースされた。が、持っていない。後半冒頭の〈Lazy Lightnin' > Supplication〉が2014年と2018年の2度、《30 Days Of Dead》でリリースされた。
Supplication でのジャムがいい。デッド流ポリフォニーになったり、ピアノとウィアのリズム・セクションを土台に、ガルシア、レシュ、2人のドラマーが各々にリードをとったり、一瞬の弛みもなく変化してゆく。その中を貫いてゆくガルシアのギターがまた絶好調。
06. 1980 Warfield Theatre, San Francisco, CA
15本連続の5本目。第一部アコースティック・セット、最後から2番目の〈Oh Babe It Ain't No Lie〉が《Reckoning》でリリースされた。原曲は Elizabeth Cotton。
ガルシアのヴォーカルはあまりにソフトで、歌詞がほとんど聞きとれない。この歌はデッドとしては15回、1980年の一連のレジデンス公演の後、翌年3回、1984年に1回のみ。なお10-23 Radio City Music Hall でのヴァージョンが2004年の《Reckoning》再発の際、ボーナス・トラックとしてリリースされている。
スタジオ盤はガルシアのソロ《Reflections》1975 のアウトテイクが、2005年の《All Good Things》ボックス・セットでのリリースの際に収められた。ガルシアの個人プロジェクトのアコースティック・セットでは何度も歌われている。他のヴァージョンも聴くと、歌詞はいくらかはっきりしているが、どうやら、声はできるだけ出さずに、歌詞もできるだけ明瞭に発音しないように、つぶやきとして唄おうとしているようだ。歌よりも、シンプル極まりない、ただ、のんびりとポロンポロン弾いているようで、妙に耳が惹きつけられるギターがメイン。
このジェリィ・ガルシア・バンドやジェリィ・ガルシア・アコースティック・バンドのライヴ音源を聴いていると、アコースティックの編成はこちらの方がふさわしく、やりたいこともでき、デッドの面子でアコースティックでやる意義はあまり無い。とガルシアは判断したのかもしれない、と思えてくる。ベース一つとっても、ジョン・カーンとフィル・レシュではまったく別世界なのだが、レシュのスタイルはやはりエレクトリックで真髄を発揮するものではある。デッドをメリー・プランクスターズのバス "Further" に喩えれば、アコースティックのデッドはロバの挽く四輪馬車ともいえて、それはやはりカッコ悪い。というより、つまらない。愉しくない。とバンドが考えたとしてもおかしくはない。デッドがデッドになるためには、最低限のスピードは必要なのだ。
07. 1981 Playhouse Theatre, Edinburgh, Scotland
この年2度めのヨーロッパ・ツアー初日。チケット5ポンド。開演7時。スタンリー・マウスのポスターがすばらしい。
08. 1988 Shoreline Amphitheatre, Mountain View, CA
3日連続の初日。
09. 1989 Shoreline Amphitheatre, Mountain View, CA
3日連続の中日。この年の最短と思われる短いショウ。MIDI を本格的に導入して、新しいおもちゃで遊んでいるけしきだったらしい。
10. 1993 Boston Garden, Boston, MA
6本連続、千秋楽。(ゆ)
グレイトフル・デッドで過ごす1日
9月18日・土
##本日のグレイトフル・デッド
9月18日には1970年から1994年まで11本のショウをしている。うち公式リリースは5本。しかも完全版が2本ある。これを全部聴いていると、それだけで1日が終る。残念ながら、生きてゆくためには、そんなことはできない。しかし、一度やってみたいよ、朝から晩まで1日デッド三昧。ただ、完全版2本はちょときつい。
01. 1970 Fillmore East, New York, NY
このヴェニュー4日連続の2日め。第3部の14曲め〈Operator〉が2015年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。ピグペンのオリジナルのクレジット。ピグペンのヴォーカルはかれにしては自信がなさげ。右でギロをやっているのは誰だろう。NRPS の誰かか。
三部構成だったが、第1部は2曲だけ。アコースティック・セット。ただし2曲目〈Black Peter〉の途中でガルシアがいきなり演奏を止め、すまないが、こんなのやってられねえ、と言って、そのまま第2部の New Riders Of The Purple Sage のステージに移った。そのためこのセットは1時間。ガルシアはペダルスティール。3曲でウィアがヴォーカル。第3部エレクトリック・デッドはアンコールまで入れて2時間超。
02. 1973 Onondaga County War Memorial, Syracuse, NY
このショウは存在が疑問視されている。チケットの売行が思わしくなかったためにキャンセルされたという説もあり、元々予定に無かったという説もある。DeadBase XI ではキャンセルされた可能性とある。
03. 1974 Parc Des Expositions, Dijon, France
2度目のヨーロッパ・ツアーもフランスに入り、ディジョンでのショウ。《30 Trips Around The Sun》の一本として完全版がリリースされた。元はアルルに予定されていたが、Wall of Sound を収められる会場が無かったらしい。録音はキッド・カンデラリオ。
04. 1982 Boston Garden, Boston, MA
東部ツアーの一貫。料金12.50ドル。この会場では合計24回演奏しているが、この次にここに戻るのは9年後の1991年9月。その時にはここで6本連続でやっている。なぜ、これだけ間が空いたかという理由として、この日、火事の際の非常口でバンド(のクルー?)がロブスターを焼いているのを見つかり、2度と来るなと言われたという説がある。
05. 1983 Nevada County Fairgrounds, Grass Valley, CA
屋外のショウで開演午後2時。料金14.00ドル。会場は松の木に囲まれた芝生の由。
06. 1987 Madison Square Garden, NY
5本連続のレジデンス講演の真ん中。午後7時半開演。料金18.50ドル。前日は休みで、NBC のテレビに出演。《30 Trips Around The Sun》の一本として完全版がリリースされた。デヴィッド・レミューはこれをこの年のベストのショウと言う。
1987年は〈Touch of Grey〉のヒットによってデッドの人気が爆発した年で、7月6日にリリースした《In The Dark》はこの9月までにミリオン・セラーを記録し、この月の間にゴールドとプラチナ・ディスクを獲得。旧作の《Shakedown Street》《Terrapin Station》もゴールドとなる。夏にはボブ・ディランとツアーをしたため、この年のレパートリィ数は150曲に上った。また Bob Bralove の協力でミッキー・ハートが MIDI を導入し、またたく間に他のメンバーにも広がる。これ以後のデッドのサウンドはがらりと変わる。
07. 1988 Madison Square Garden, New York , NY
9本連続の4本目。前日は休み。
08. 1990 Madison Square Garden, New York , NY
6本連続の4本目。ブルース・ホーンスビィ参加。Road Trips, Vol. 2, No. 1》にアンコールの1曲〈Knockin' On Heaven's Door〉、同ボーナス・ディスクに前半から3曲、後半から4曲収録された。ボーナス・ディスクは持っていない。後半の〈Foolish Heart〉の後の〈ジャム〉は《So Mony Roads》にも収録。
上記〈Knockin' On Heaven's Door〉ではホーンスビィはアコーディオン。冒頭や中間でいいソロも聞かせる。デッドのこの歌のカヴァーはみな良いが、これは中でも最もゆっくりしたテンポで、ベストの一つ。この時期のガルシアが歌うと、まるで古老が親しい友の葬儀で歌っているように聞える。
ジミヘン20回目の命日。
09. 1991 Madison Square Garden, New York, NY
9本連続千秋楽。
10. 1993 Madison Square Garden, New York , NY
6本連続の3本目。〈Drums〉の最中、クロイツマンがイッてしまう。ハートはスティックをヒップポケットに突き刺して、一瞬にやりとしてその姿を眺めたが、すぐにクロイツマンの背後に回って、大きく両腕をはばたかせた。そうだ。
11. 1994 Shoreline Amphitheatre, Mountain View, CA
このヴェニュー3日連続の最終日。後半2曲め〈Saint Of Circumstance〉が2017年の〈30 Days Of Dead〉でリリースされた。この時はこの曲は〈Iko Iko〉からのメドレー。ガルシアの調子はまずまずで、全体の演奏はすばらしい。ただ、以前ならガルシアのギター・ソロを待っていたようなところで、あえて待たなくなっているようにも思える。(ゆ)
ストーンズとデッド、FiiO FD7
9月8日・水
LRB のチャーリー・ワッツについてのブログに孫引きされた Don Was のコメントを読んで、Tidal で『メイン・ストリートのならず者』デラックス版の〈Loving Cup〉の正規版と別ヴァージョンを聴いてみる。まことに面白い。別ヴァージョンが採用されなかったのはよくわかるが、あたしとしてはこちらの方がずっと面白い。ミック・テイラーのギターもたっぷりだし、何よりもドン・ウォズが「リズムの遠心力でバンドが壊れる寸前」という有様が最高だ。こうなったのは、ワッツがいわば好き勝手に叩いているからでもあって、ストーンズのリズム・セクションの性格が陰画ではあるが、よく現れている。
対してデッドの場合も、ドラムスがビートを引張っているわけではない。この別ヴァージョンでのワッツ以上に好き勝手に叩くこともある。けれどもリズムが遠心力となってバンドが分解することはない。遠心力ではなく、求心力が働いている。ドン・ウォズの言葉を敷衍すれば、おそらくデッドでは全員がビートを同じところで感じている。だから、誰もビートを刻んでいなくても、全体としてはなにごともなくビートが刻まれてゆくように聞える。このことは Space のように、一見、ビートがまったく存在しないように聞えるパートでも変わらない。そういうところでも、ビートは無いようにみえて、裏というか、底というか、どこかで流れている。ジャズと同じだ。デッドの音楽の全部とはいわないが、どんな「ジャズ・ロック」よりもジャズに接近したロックと聞える。ジャズそのものと言ってしまいたくなるが、しかし、そこにはまたジャズにはならない一線も、意図せずして現れているようにも聞える。デッドの音楽の最も玄妙にして、何よりも面白い位相の一つだ。デッドから見ると「ジャズ・ロック」はジャズの範疇になる。
FiiO から純粋ベリリウム製ドライバーによるイヤフォン発表。直販だと FD7 が7万弱。FDX が9万。同じ純粋ベリリウム・ドライバーの Final A8000 の半分。DUNU Luna も同じくらいだが、今は中古しかないようだ。FiiO のはセミオープンだから、聴いてみたい。FDX はきんきらすぎる。買うなら FD7 だろう。ケーブルが FDX は金銀混合、FD7 は純銀線。それで音を合わせているのか。どちらも単独では売っていない。いずれ、売るだろうか。いちはやく YouTube にあがっている簡単なレヴューによれば、サウンドステージが半端でなく広いそうだ。こんな小さなもので、こんなに広いサウンドステージが現れるのは驚異という。
##本日のグレイトフル・デッド
1967年から1993年まで8本のショウ。
1. 1967 Eagles Auditorium, Seattle, WA
シアトルへの遠征2日間の初日。ポスターが残っていて、デッドがヘッダー。セット・リスト無し。
ピグペン22歳の誕生日。当時ガルシア25歳。クロイツマン21歳。レシュ27歳。ウィア20歳。ハンター26歳。
ビル・グレアムは、この日デッドは Fillmore Auditorium に出ていた、と言明しているそうだ。
2. 1973 Nassau Veterans Memorial Coliseum, Uniondale, NY
前日に続いて同じヴェニュー。この日のショウは《Dave's Picks, Vol. 38》に完全収録された。残っているチケットによると料金は5.50ドル。
ガルシアのギターが左、ウィアのギターが右。
珍しくダブル・アンコール、それも〈Stella Blue > One More Saturday Night〉というまず他にない組合せ。さらに後半4曲目〈Let Me Sing Your Blues Away〉ではキースがリード・ヴォーカルをとる。この曲はロバート・ハンターとキースの共作でこの時が初演。同月21日まで計6回演奏。《Wake Of The Flood》が初出。〈Here Comes Sunshine〉とのカップリングでシングル・カットもされた。
〈Weather Report Suite〉も組曲全体としてはこの日が初演。
演奏はすばらしい。この年は前年のデビュー以来のピークの後で、翌年秋のライヴ停止までなだらかに下ってゆくイメージだったが、こういう演奏を聴くと、とんでもない、むしろ、さらに良くなっていさえする。もっとちゃんと聴いてみよう。
3. 1983 Red Rocks Amphitheatre, Morrison, CO
3日連続同じヴェニューでのショウの最終日。
4. 1987 Providence Civic Center, Providence, RI
3日連続同じヴェニューでのショウの中日。
5. 1988 The Spectrum, Philadelphia, PA
同じヴェニューで4本連続のショウの初日。
6. 1990 Coliseum, Richfield, OH
前日に続いて同じヴェニュー。後半3曲目〈Terrapin Station〉の後のジャムが《So Many Roads》に収録された。
7. 1991 Madison Square Garden, New York , NY
1988年に続いて MSG で9本連続という当時の記録だった一連のショウの初日。ブルース・ホーンスビィ参加。
8. 1993 Richfield Coliseum, Richfield, OH
秋のツアー初日で、同じヴェニューで3日連続の初日。(ゆ)
Grateful Dead; 1971-07-02, Fillmore West, San Francisco, CA
ガルシアのギターは超絶技巧を披瀝しないから、人気投票などでは上位に来ないが、ごくシンプルな音やフレーズを重ねてそれは充実した音楽を生みだしたり、起伏のない、明瞭なメロディにもならないフレーズを連ねて、身の置きどころのないほど満足感たっぷりの音楽体験をさせてくれる。ジャズやインド、アラブの古典音楽の即興のベストのものに並べても遜色ないレベルの演奏を聴かせる。音楽的な語彙が豊冨だし、表現の抽斗の数も多くて、中が深い。こういうギタリストは、ロックの範疇ではまず他にいないし、ジャズでも少ないだろう。ザッパはもっと超絶技巧的だ。むしろ、ザッパと共演したシュガーケイン・ハリスのヴァイオリンの方が近い気がする。
Listen To The River; Grateful Dead
それにしても半世紀前の録音がつい昨日録音されたもののように聴けるのはテクノロジーの恩恵ですなあ。これらのショウが行われていた当時、半世紀前の録音といえばSP盤しかなかったわけで、レコードを手に入れるのも、それを再生するのも、えらく苦労しなければなりませんでした。(ゆ)
夜の音楽 @ 横浜・エアジン
ドーナル・ラニィの Atlantic Arc
03-22: 燕、O'Jizo、ディレーニィ
3月14日 Show of Hands
