クラン・コラ・ブログ(アイルランド音楽の森)

 アイリッシュ・ミュージックなどのケルトをはじめ、世界各地のルーツ音楽を愉しむブログです。そうした音楽の国内の音楽家も含みます。加えて主宰者の趣味のグレイトフル・デッド。サイエンス・フィクション、幻想文学などの話もあります。情報やメモ、ゴシップ、ただのおしゃべりなどもあります。リンク・フリーです。

タグ:ヘッドホン

 Drop が Axel Grell とのコラボで設計製造したヘッドフォン OAE1 が注文から2ヶ月かかって到着。DHL で発送された荷物を追いかけていたら、ドイツへ行ってしまったので、あれあれと思っていたら、無事やってきた。国際便はドイツで仕分けしてあらためて送るらしい。

 とりあえず、開封。外観。


OAE1box

 中の函を開ける。

OAE1case

OAE1caseinside



 説明書、実測図、ヘッドフォン本体、OFC ケーブルがアンバランスとバランス各々1本ずつ。アンバランスは3.5mm に6.3mm プラグがかぶさって、ネジってはめる。左右のユニットにつなぐ。バランスは4.4mm で、左右どちらかにつなぐ。ヘッドフォン側はどちらも2.5mm4極。長さはどちらも1.8m。

OAE1can+cable

 左右の指示はケーブル接続口にあり。

OAE1left


 ハウジング内部。

OAE1housing


スペック
周波数特性: -3dB で12 - 32,000Hz/ -10dB で 6 - 44,000Hz
インピーダンス:38Ω
感度:106dB
最大入力限度:500mW
重さ:375g(ケーブル抜き)

 さて、どんな音だろう。(ゆ)

07月21日・木
 Neumann NDH 30 は気になる。アクセル・グレルが関わっているというだけで気になる。そうなると Sennheiser HD400 Pro が色褪せる。まあ、一度聴き比べてはみたい。このあたりのオープンバックのモニタ・ヘッドフォンをどばっと買って、とっかえひっかえ聴き比べてみたい。

2022-07, Neumann NDH 30; 120/104
2022-03, Sennheiser HD400Pro; 120/110
2021-11, Beyerdynamic DT900PRO X; 48/100
2021-10, Austrian Hi-X65; 25/110
2015-03, Audio-Technica ATH-R70x; 470/98
2013-09, AKG K712 PRO-Y3; 62/93
2011-12, Shure SRH1840; 65/96
2008-04, Roland RH-A30; 40/95.5

 この他に
2021-02, Focal Clear MG Pro; 55/104
があり、
2022-08, Audeze MM-500; 18/100
が予定されているが、どちらも他からとびぬけて高いから、まあ別扱いですね。MM-500 は国内販売されるのか不明だが、アメリカでは08月発売。1,700USD。
 インピーダンスでは R70x がダントツ。ゼンハイザー、ノイマンの 120Ω も高い方だ。R70x より古いものは能率が低いのも面白い。新しいものはインピーダンスは高いが、能率も高いから、スマホでも聞けないことはないかもしれない。DAP やポータブル録音機なら問題ないだろう。しかし、MM-500のインピーダンス18Ω ってなんやねん。イヤフォン並みじゃ。
 こうして並べると、R70x から間が空いている。この間、モニタ・ヘッドフォンの新作はたくさん出ているが、どれもクローズド。2018-02 の Focal Clear Professional を除いて、オープンが無かった。それがここへ来て、タイミングを図ったようにわらわらと出てきたのは面白い。需要が出てきたということなんだろう。オープンのモニタは録音そのものよりも、ミキシングやマスタリング用と思われる。ストリーミング用やいわゆる空間オーディオ用の音源はミキシングやマスタリングがより重要になり、そのための専用の機材が求められているということだろうか。
 モニタ用ヘッドフォンはさすがに寿命が長い。一番安くて古いローランドからして現役だ。案外、これが一番いい、なんてことになるかもしれん、と思ったりもする。
 それにしてもヘッドフォンを作るのは簡単では無いらしい。イヤフォンでは存在感の大きい中華製が無い。HiFiMAN ぐらいだ。あそこもモニタ用は出してない。ソニーがオープンをずっと出していないけれど、来年くらいに出すかな。Tago Studio も期待してます、とエールを送っておこう。Phonon は SMB-01L、SMB-02G ともにセミオープンにはできるな。


%本日のグレイトフル・デッド
 07月21日には1967年から1994年まで、6本のショウをしている。公式リリースは2本、うち1本は準完全版。

1. 1967 Continental Ballroom, Santa Clara, CA
 金曜日。2.50ドル。このヴェニュー2日連続の初日。セット・リスト不明。見た人のメモのセット・リストがある。二部制で、第一部2曲、第二部6曲。二部の3曲、タイトル不明。
 Sons of Champlin、the Phoenix、Congress of Wonders 共演。
 Congress of Wonders はサンフランシスコ・サウンドの一角を成すコメディ・バンドらしい。1970年と1972年にアルバムがある。

2. 1972 Paramount Northwest Theatre, Seattle, WA
 金曜日。このヴェニュー2日連続の初日。
 オープナー〈The Promised Land〉を除いて全体が《Download Series, Vol. 10》でリリースされた。
 第二部2曲目〈Weather Report Suite Prelude〉は独立で演奏され、これがデビューとされる。きちんとした演奏というよりは、ティーザーに近いと聞えた人もいる。
 〈Weather Report Suite Prelude〉はこの後、4回、単独で演奏された後、第一部が1973年04月02日に加えられ、第2部〈Let It Grow〉が同年09月07日に初演され、翌08日に三部からなる組曲として初演。ただし、1973年04月02日の第一部は10秒ほどの断片。実質的には09月08日がデビュー。組曲としては1974年10月18日が最後で、以後は〈Let It Grow〉のみが1995年07月まで演奏される。〈Let It Grow〉 はそれ以前には1974年05月25日に一度だけ単独で演奏されている。組曲としての演奏回数は46回。スタジオ盤は《Wake Of The Flood》収録。
 この序曲はたとえばジョン・レンバーンあたりが弾きそうな、中世・古楽風の曲で、〈St. Stephen〉の "William Tell bridge" と並んで、デッドのレパートリィの中で最もクラシックに近い風味だ。こういう曲を作るあたり、ウィアも相当に幅広く音楽を吸収している。

3. 1974 Hollywood Bowl, Hollywood, CA
 日曜日。マリア・マルダー、コマンダー・コディ、ポール・バターフィールド前座。ガルシアとウィアがバターフィールドとジャムをした。
 アンコール〈U.S. Blues〉が2016年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。
 これは面白い。アンコールなのに、いつも終るところでガルシアが終らせず、ギターをがんがん弾きはじめ、他のメンバーは一瞬あっけにとられるが、すぐにフォローする。そして延々とジャムを繰り広げる。録音が途中で切れるのがまことに惜しい。このままなら公式リリースは無理だろう。これからしても、すばらしいショウであることは想像がつく。

4. 1984 Ventura County Fairgrounds, Ventura, CA
 土曜日。開演2時。このヴェニュー2日連続の初日。
 妹に無理矢理連れていかれて、第一部3曲目〈Althea〉の途中で「捕まった」人がいる。
 あたしはこの曲の良さがわかるのにずいぶんかかった。

5. 1990 World Music Theatre, Tinley Park, IL
 土曜日。開演7時。このヴェニュー3日連続のランの初日。
 ヴェニユーの音響がひどかったらしい。デヴィッド・レミューも《Dave's Picks, Vol. 40》のライナーで、このシカゴの3日間はその前のディア・クリークに比べると落ちると言っている。とはいえ、それは実際に何十本もショウを見た人間の意見であって、これしか見ることのできなかった人間にとっては最高のショウだった。という見方もある。

6. 1994 Deer Creek Music Center, Noblesville, IN
 木曜日。24.50ドル。開演7時。このヴェニュー3日連続のランの楽日。
 第一部6曲目〈Me and My Uncle〉でウィアはアコースティック・ギター。(ゆ)

04月13日・水
 玉川を大山に向かってゆくと、手前から登ってゆく緑色の斜面に点々と薄いピンクの斑点が散らばっている。下界では散っている桜。下界ではさつきが開きだした。早くも開いている藤もある。

 デッドを聴くのに最もふさわしいと愛用している Grado The Hemp Headphones, Ver. 2 の右のユニットがヘッドバンドから外れて落ちてしまった。音場はそう広くないが、音に弾力があり、デッドを娯しく聴かせてくれる。何より、麻というその材料は、まさにデッドを聴くために作られたのではないか。販売会社に修理に出してみよう。


##本日のグレイトフル・デッド
 04月13日には1969年から1989年まで、9本のショウをしている。公式リリースは2本。

1. 1969 Ballroom, University of Colorado, Boulder, CO
 日曜日。大学施設三連荘の楽日。会場は「グレン・ミラー・ボールルーム」の方が通りがよい由。
 それにしてもアリゾナ、ユタ、コロラドと連日州をまたいでいる。この後がネブラスカ、ミズーリ、インディアナ、そしてマサチューセッツと、すべて飛行機での移動だろう。27日のミネソタまでツアーが続く。

2. 1971 Scranton Catholic Youth Center, Scranton, PA
 火曜日。アンコール〈Uncle John's Band〉が2020年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。

3. 1982 NBC Studios, New York City, NY
 ガルシアとウィアが David Letterman Show に出演し、レターマンとおしゃべりし、2曲、アコースティックで演奏する。すばらしい演奏。全体で15分。YouTube にあり。

4. 1983 Patrick Gymnasium, University of Vermont, Burlington, VT
 水曜日。学生15.50ドル、一般16.50ドル。開演7時半。
 第一部8曲目〈Far From Me〉が2015年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。

5. 1984 Hampton Coliseum, Hampton, VA
 金曜日。このヴェニュー2日連続の初日。10.50ドル。開演7時半。第二部冒頭〈Scarlet Begonias> Fire On The Mountain〉で、映像に城が現れ、〈Fire On The Mountain〉では跳ね上げ橋が降りて向こうからドラゴンが出てきて火を噴いた。一方、ハートがドラムをもって前に出て、ガルシアと掛合いをした由。

6. 1985 Irvine Meadows Amphitheatre, Laguna Hills, CA
 土曜日。このヴェニュー2日連続の初日。16ドル? 開演7時。

7. 1986 Irvine Meadows Amphitheatre, Laguna Hills, CA
 日曜日。このヴェニュー2日連続の2日目。17.25ドル。開演7時。

8. 1988 Rosemont Horizon, Chicago , IL
 水曜日。このヴェニュー3日連続のランの初日。開演7時半。

9. 1989 Rosemont Horizon Arena, Rosemont, IL
 木曜日。このヴェニュー3日連続のランの楽日。開演7時半。キャンディス・ブライトマンによる照明はブルーで統一されていた由。(ゆ)

 伝聴研ニュース36号が来て、聴覚トレーニングのツールがついにCDからメモリ・プレーヤーになり、ヘッドフォンもモデル・チェンジするとの予告。正式発表は2月予定。プレーヤーには音楽も追加できるそうで、なにせここの DenDAC やヘッドフォン・アンプはやたら音が良かったから、これは楽しみだ。そのヘッドフォン・アンプは小型で、本来携帯用ではないけれど、 DAP と一緒に携帯している人をヘッドフォン祭で見たこともある。

 ボックス・セットは持っているけど、CDP が必要なのはやはり面倒で、トレーニングはあまりやってない。やればいいことはわかっている。筋肉のように鍛えることで視覚や聴覚の老化を遅らせることはできない。伝聴研の聴覚トレーニングは、あたしには効果があって、やると聞こえが良くなる。音楽をよりよく聴けるようになる。老化が遅れているように感じる。時には逆転したとさえ思える。ミュージシャンにはもっと実際的な効果、リズムのとり方が良くなるとか、音程が良くなるとかがあるそうだ。あたしはもちろんそこはわからん。

 新しいヘッドフォンも写真ではツラがいい。またオーテクの OEM だろうが、ベースはどれだろう。形からすると ATH-M60x かな。ATH-770XCOM からマイクを取りはずした形にも見える。



##本日のグレイトフル・デッド

 1209日には1966年から1994年まで9本のショウをしている。公式リリースは3本。うち完全版2本。


1. 1966 Fillmore Auditorium, San Francisco, CA

 4日連続の初日。共演 Big Mama Mae Thornton Tim Rose。セット・リスト不明。

 ビッグ・ママ・ソーントン (1926-1984) はよく知られたリズム&ブルーズのシンガー。後にプレスリーがカヴァーする〈Hound Dog〉が最大のヒット。〈Ball and Chain〉の作者。女性ドラマーのパイオニアの1人。

 Tim Rose (1940-2002) はワシントン、D..出身のフォーク・シンガー。後にママス&パパスに参加する Cass Eliot やジミヘンと The Big 3 というバンドを組んでブレイクする。Bonnie Dobson が書き、デッドがカヴァーした〈Morning Dew〉の作者クレジットに自分の名前を勝手に加えたことで知られる。ドブスンはローズの貢献を全否定している。


2. 1971 Fox Theatre, St. Louis, MO

 開演7時。2日連続の初日。全体が今年のビッグ・ボックス・セット《Listen To The River》でリリースされた。

 セント・ルイスには3月に続き、この年2度目の登場。3月のショウは2日目が《30 Trips Around The Sun》の1本でリリースされている。

 9月に入院したピグペンが復帰した。

 第二部がやけに短く、全体としてもこのショウのみ他より1時間短かい。が、事情がわからない。ライナーにも書いていない。


3. 1979 Kiel Auditorium, St. Louis, MO

 デッドは移動日でショウの無かった前日にジョン・レノンが射殺された。


4. 1981 Activity Center, University of Colorado, Boulder, CO

 12.65ドル。開演7時。全体が《Dave’s Picks, Vol. 20》でリリースされた。

 この年のツアーの打ち上げ。この後は1212日にサンフランシスコの南のサン・マテオでジョーン・バエズとの公演をした後、年末恒例の年越しショウに向けての5本連続になる。

 第一部が〈China Cat Sunflower> I Know You Rider〉で終り、第二部が〈Scarlet Begonias> Fire On The Mountain〉で始まるという黄金の組合せ。第二部はその後も黄金の並び。


5. 1988 Long Beach Arena, Long Beach, CA

 開演8時。

 セット・リスト以外の他の情報無し。


6. 1989 Great Western Forum, Inglewood, CA

 同じヴェニュー2日連続の2日目。開演8時。第一部クローザー前の〈Bird Song〉が《Without A Net》でリリースされた。

 セット・リスト以外のその他の情報無し。


7. 1990 Compton Terrace Amphitheatre, Chandler, AZ

 21ドル。開演1時。2日連続の2日目。

 セット・リスト以外のその他の情報無し。


8. 1993 Los Angeles Sports Arena, Los Angeles, CA

 25ドル。開演7時半。

 第二部 Drums にアイアート・モレイラが、Space にアイアート・モレイラ、フローラ・プリムとオーネット・コールマン、その後の〈The Other One〉からクローザーの〈Turn On Your Love Light〉まで、オーネット・コールマンが参加。


9. 1994 Oakland-Alameda County Coliseum Arena, Oakland, CA

 4本連続の2本目。27.50ドル。開演7時。第一部半ば〈El Paso〉でウィアがアコースティック・ギター。この曲はウィアがアコースティックをまた演るようになって復活した。

 この頃になると、チケットが売り切れなくなり、前の晩は空席が目立ったらしい。この日はほぼ満杯。SBD で聴くかぎり、第一部は音が良くない。初めはドラムスとヴォーカルだけで、ベースは終始聞えず、ウィアのギターはスライドを演っているときだけ。ガルシアは時々歌詞を忘れ、ギターでカヴァーする。もっともそのギターは歌詞忘れを補って余りある。第二部はがらりと音が良くなり、まずオープナーの〈Scarlet Begonias> Fire On The Mountain〉がベストの出来で、しかも長い。長いといえば、この日の Drums> Space はひどく長く、その後は〈Box of Rain〉とアンコールの〈Johnny B. Goode〉のみ。DeadBase XI Mike Dolgushkin David Greenberg のレポートによる。(ゆ)


1014日・火

 クラン・コラの原稿を書いた他はデッド関連。読書。とにかく安静にしていろ、というのにしたがう。病院によっては、大腸カメラでポリープをとると、二泊三日の入院というところもある。


 デッドを聴くヘッドフォンとして Grado The Hemp 2 はやはりなかなか良い。レシュのベースがもう少し欲しいので、ヘッドフォン・アンプをかましてみよう。


 先日亡くなったパディ・モローニについてあらためて調べていたら、なんと、誕生日がジェリィ・ガルシアと同じ8月1日。モローニはザッパとは親しく、ザッパのスタジオ、ユーティリティ・マフィン・リサーチ・キッチンもよく使わせてもらっていた。しかし、デッドとの接点は今のところ、浮上していない。ガルシアがチーフテンズの録音を聴いていた可能性は大いにある、というより、聴いていなかった可能性はまず無いだろう。

 デッドは中国の春節に合わせたショウとともに、セント・パトリック・ディに合わせたショウも行っている。1988年3月17日のオークランド、ヘンリー・J ・カイザー・コンヴェンション・センターでのショウでは Trip To Sligo というパサデナをベースとするバンドが前座を勤めた。このバンドのメンバーは

Jerry McMillan (fiddle)

Paulette Gershen (tin whistle)

Judy Gameral (hammered dulcimer, concertina, vocals)

Gerry O'Beirne (six- and twelve-string guitars, vocals)

Janie Cribbs (vocals, bodhran)

Thom Moore (vocals, twelve-string guitar, bodhran)

というもの。ジェリィ・オゥベアンとトム・ムーアはこの時期、アメリカに移住していたらしい。2枚アルバムを出しているが、未聴。


##本日のグレイトフル・デッド

 1019日には1971年から1994年まで9本のショウをしている。公式リリースは5本。うち完全版2本。


1. 1971 Northrup Auditorium, University of Minnesota, Minneapolis, MN

 キース・ガチョーのデビュー・ショウ。ピグペンは不在。また一気に5曲の新曲が披露された。〈Tennessee Jed〉〈Jack Straw〉〈Comes A Time〉〈One More Saturday Night〉〈Ramble On Rose〉。〈Comes A Time〉を除き、いずれも定番となる。

 〈Tennessee Jed〉は1995-07-08シカゴまで計437回演奏。演奏回数順では10位。

 〈Jack Straw〉は1995-07-08シカゴまで計478回演奏。演奏回数順では8位。

 〈Comes A Time〉は66回演奏なので定番とは言いがたいが、1994-10-09メリーランド州ランドーヴァーまでぽつりぽつりと演奏された。

 〈One More Saturday Night〉は1995-07-08シカゴまで計342回演奏された。演奏回数順では29位。これは元々はロバート・ハンターの詞にボブ・ウィアが曲をつけたものだったが、ウィアが歌詞を勝手に変えた上、〈U.S. Blues〉と改題することを提案したため、ハンターはこの曲との関係を絶った。さらに、ウィアが歌詞を勝手に変えて歌うことに対して、ハンターは1971年2月堪忍袋の緒を切らし、以後ウィアと共作することを拒否し、代わりにジョン・バーロゥをウィアの共作者として指名した。なお、バーロゥはウィアの高校以来の盟友としてデッド・ファミリーの一員だった。

 〈Ramble On Rose1995-06-27ミシガン州オーバーン・ヒルズまで計319回演奏。演奏回数順では35位。

 このショウはFM放送されたため、音質の良いブートが出回っている。


2. 1972 Fox Theatre, St. Louis, MO

 3日連続最終日。出たばかりの《Listen To The River》で完全版がリリースされた。
 


3. 1973 Fairgrounds Arena, Oklahoma City, OK

 前売4ドル、当日5ドル。開演7時。《Dick’s Picks, Vol. 19》で完全版がリリースされた。珍しくもトリプル・アンコール。


4. 1974 Winterland Arena, San Francisco, CA

 5日連続の4本目。オープナー〈Mississippi Half-Step Uptown Toodeloo〉、前半8曲目〈Black-Throated Wind〉、前半最後〈Big River〉、そしてアンコール2曲目の〈U.S. Blues〉が《Steal Your Face》で、前半9曲目〈Scarlet Begonias〉、1213曲目〈Eyes Of The World> China Doll〉、後半3曲を除く全部、アンコール1曲目〈One More Saturday Night〉が《The Grateful Dead Movie Sound Track》でリリースされた。〈Eyes Of The World〉は《So Many Roads》でもリリースされている。全体の3分の2がリリースされたことになる。

 〈Black-Throated Wind〉は復帰後も復活せず、次に演奏されるのは1990年3月になる。それ以後は最後まで継続して演奏された。


5. 1980 Saenger Theatre, New Orleans, LA

 2日連続の2日目。一部アコースティック、二部・三部エレクトリック。

 次は3日空けて、ニューヨークのラジオシティ。


6. 1981 Sports Palace, Barcelona, Spain

 このヨーロッパ・ツアー最後のショウで、スペインでの唯一のショウ。ツアー掉尾を飾る見事なショウの由。


7. 1989 The Spectrum, Philadelphia, PA

 3日連続中日。前半最後から2曲目〈Cassidy〉が《Without A Net》でリリースされた。

 この3日間の中ではベストと言われる。


8. 1990 Internationales Congress Centrum, Berlin, Germany

 前半2曲目Shakedown Street〉が2017年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。

 ベルリン2日連続の初日。会議室のような会場で、座席はテーブルとアームレスト、カップホルダーのついた折り畳み椅子。だが、ショウはこのヨーロッパ・ツアー最高と言われる。

 チケットが詰まったブリーフケースが立体交差した上の道路から放りなげられ、チケットが文字通り、降りそそいだ、という報告もある。


9. 1994 Madison Square Garden, New York, NY

 6本連続千秋楽。同時に秋のツアー千秋楽。デッドが次に東部に戻るのは翌年6月下旬で、東部ではこれが最後のショウというデッドヘッドが多かったようだ。(ゆ)


1005日・火

 Moon Audio がしきりに Dan Clark Audio の新フラッグシップ Stealth を薦めてくる。この値段では不見転では買えないし、聴いてはみたいが、日本で聴こうとすれば買うしかない。こんなもの買いそうな知合いもいない。代理店が無いから、イベントでも出てこない。まあ、EtherC Flow から予想するに、悪いものであるはずはないが、ここまでくると好みの音かどうかではあるのだ。それに EtherC Flow との違いが、ほんとに聞きとれるかどうか。もっとも EtherC Flow も不見転で買って、良くなるまで、結構苦労したからなあ。一時は叩き売ろうかとも思った。1.1にアップデートしてようやく真価が現れた。



##
本日のグレイトフル・デッド

 1005日は1968年から1994年まで4本のショウをしている。公式リリースは2本。


1. 1968 Memorial Auditorium, Sacramento, CA

 1968-10-04 The San Francisco Chronicle に「明日の晩、Memorial Stadium(サクラメント):グレイトフル・デッド、ヤングブラッズ」という告知があることによる。詳細不明。

 このヴェニューではこの年の0311日にクリームとのダブル・ビルでやっていて、そちらは一部ではあるはずだがセット・リストもある。この後は197219781979年と計6回演奏している。

 会場は座席数3,867の多目的ホールで、1927年にオープン、1986年に閉鎖。改修後1996年に再オープンされた。コンサートの他、高校の卒業式などのイベントに使われている。2007年、シュワルツェネッガー州知事就任式の会場となる。国の史跡。


2. 1970 Winterland Arena, San Francisco, CA

 前日に続くイベント。セット・リストがはっきりしない。このショウのサウンド・ボード録音は The Vault には無い、とのことだったが、《DOWNLOAD SERIES: Family Dog》で後半に演奏されたといわれる〈Dancing In The Street〉がリリースされた。

 後に比べるとぐんとゆったりのんびりしたテンポ。ウィアのヴォーカルは低い声を出す。コーラスのアレンジもまったく違う。はじめ、右のハートが聞えない。ガルシアのギターもゆったりと音を置いてゆく。ジャズ的。技術的にはシンプル極まることをやりながら、繰返し聴いて飽きないフレーズを編みだしてゆく。ギタリストの人気投票などでは決して上位にはこないが、これほど抽斗が多くて、多彩な音、語彙、表現を自在に操っていたギタリストは他にはいない。途中からテンポが上がっていて、ガルシアのギターも切迫感を備え、〈Eye of the World〉を連想させる演奏になってゆく。後の〈Dancing In The Street〉とはまるで別物の演奏。同じ曲では無いよ、もう、これは。ヴォーカルのもどりがいささか唐突に響く。凄い。


3. 1984 Charlotte Coliseum, Charlotte, NC

 13.50ドル。夜8時開演。〈Promised Land〉に始まり、〈Johnny B. Goode〉に終る。良いショウでないはずがない。


4. 1994 The Spectrum, Philadelphia, PA

 30.00ドル、夜7時半開演。3日連続公演の初日。後半3曲目からの〈Playing in the Band> Uncle John’s Band> Jam〉のメドレーが2016年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。

 ボストン後半からの好調は続いていて、これと翌日も引き締まった、良いショウだったようだ。

 そのことは30分近いこのメドレーを聴いてもわかる。やや遅めのテンポ。1976年頃の感じ。PITB のジャムの後半、ほとんどフリー・ジャズに踏みこんでいる。ザッパもここまではやらなかった。混沌としているが、どこかで崩れずに踏みとどまっている。1本の筋が、まっすぐではないにしても、通っている。混沌の中からまたビートが現れ、UJB になりそうでなかなかならない、そこがまたいい。歌が始まり、大歓声が湧くのもまったく同感。ガルシアのギター・ソロ、まだまだ霊感の泉は満々とたたえられている。ガルシアの声もたっぷりの響き。さんざん聴きなれた曲のはずなのに、この演奏にはじっとしていられなくなる。人を鼓舞し、立ちあがらせ、動きださせる力がある。30年、後ろをふり向かず、ひたすら前だけを見つめてやってきた、その末に手に入れた力。その後のジャムガルシアは MIDI でギターの音色を変化させる。またフリーの領域に踏みこむが、先ほどよりもテンポが速く、緊張感がみなぎる。デッドとして最もアグレッシヴな音。さらに Space を先取りする。ガルシアのデーモンが殻を破って現れんとしているけしき。ウェルニクの踏ん張りも貢献している。ここにいてうたっている、演っているのが楽しくて、嬉しくてしかたがないのだ。他のメンバーによって引きだされ、引きあげられている部分はあるにしても、それに応えるだけのものは持っている。(ゆ)


8月20日・金

 Dan Clark Audio から新フラッグシップ・ヘッドフォン、Stealth の告知。4,000USD。どうせ、国内販売は無いから、買うなら直接だが、食指が動かないでもない。とりわけ、クローズドはいい。とはいえ、EtherC Flow 1.1 があるからなあ。そりゃ、良くはなっているだろうけれど、価格差には見合わねえだろう。




 M11Plus LTD 発売日がようやくアナウンス。Shanling M6 Pro Ver.21も発表。こちらは面白みまるで無し。M17 はまだ影も形も無いなあ。


 Grim Oak Press のニュースレターで、COVID-19 のおかげで紙が不足しはじめているのと、昨年刊行予定のタイトルが今年に延期されたことから、印刷・製本がボトルネックになって、出版が滞りだしている由。以前は印刷所にファイルを送ってから本が届くまで長くても10週間だったのが、今は4ヶ月〜半年かかる。新規の印刷を受け付けないところも出てきた。この事情は Grim Oak のような小出版社だけではなくて、Big 6 も同じだそうだ。わが国ではどうなんだろう。


 Tor.com に記事が出ていたGwyneth Jones の Bold As Love のシリーズは面白そうだ。とりわけ、メイン・キャラの一人が Aoxomoxoa and the Heads というバンドのリーダーとあっては、読まないわけにはいかない。Gwyneth Jones はデビュー作 Devine Endurance を読んではみたものの、さっぱりわからなかった記憶がある。今なら読めるかもしれん。

 


 それにしてもこのシリーズのタイトルは、コメントにもあるように、ジミヘンがらみばかりで、作品の中にもジミヘンへのオマージュが鏤められているらしい。ジミヘンもひと頃、集めようとしたけど、まあ、やはり Band of Gypsy のフィルモア・イーストでのライヴに留めをさす。完全版も出てるけど、あたしには抜粋の2枚組で十分。デッドやザッパとは違う。


ライヴ・アット・ザ・フィルモア・イースト
ジミ・ヘンドリックス
ユニバーサル インターナショナル
2000-12-13



 音楽がらみのサイエンス・フィクションとしては Kathleen Ann Goonan のナノテク四部作もあって、積読だなあ。


 ECM の Special Offer で Around The World in 80 Discs というのが来る。見てみると、ほんとに世界一周かなあ、と思ったりもするが、それなりに面白い。知らないのも多々あって、勉強にもなる。聴いてみましょう。ECM は全部 Tidal にあるし、Master も多い。この Special Offer はいつまでなんだろう。(ゆ)




5月27日・木

 ゼンハイザーの民生部門の Sonova への売却についてのささきさんの ASCII の記事を読んで思う。結局これはヘッドフォン、イヤフォンというものが、従来の「アクセサリー」の範疇から飛びだして、スマホと同じマスプロ、マスセールスの製品になったということの現れだろう。

 ゼンハイザーはあくまでも「オーディオ・アクセサリー」としてのヘッドフォン、イヤフォンを作っていた。だから家族経営でもOKだった。しかし今や、Apple がヘッドフォンまで作るようになった。音楽鑑賞のメインはストリーミングとイヤフォンのルートになり、しかも無線接続がデフォルトだ。そしてイヤフォンの市場は Apple が圧倒的シェアを持ち、これに次ぐのも Anker などの大企業だ。これはオーディオというようなニッチな、趣味が幅を利かせる範疇ではもはや無い。イヤフォンとヘッドフォンは、スピーカーを中心としたオーディオを完全に飛びこして、かつてのテレビやラジオ、今ならスマホやタブレットのレベルの製品群の一角に座を占めたということだ。そして、ゼンハイザーはそのことをいち早く看てとり、もはやつきあってはいられない、と民生部門を切ったのだ。

 スタジオやライヴなどのロの分野では職人芸がまだ生きている、活かせる。プロ用機材のメーカーに大企業はいない。なれない。そこなら家族経営でまだまだやれる。そういう読みと判断ではないか。

 もう遙か昔、まだ iMac にハーマンのスピーカーが付属していた頃、タイムドメインのライセンス製品を出していたメーカーがそのスピーカーを Apple に売りこんだことがある。音質などの条件はクリアしたが、最低で月100万セット納品できるかと言われて、退散したそうだ。その頃ですでにそういう規模だった。ゼンハイザーはそういう世界からは足を洗うと宣言したのだ。

 民生撤退の理由はおそらくもう一つある。Apple が Dolby Atmos に舵を切り、ソニーも360度サウンドを出し、民生用の音楽再生は DSP が必須になった。それも音の出口のところでだ。これまではただ物理的に音を出していればよかったヘッドフォン、イヤフォンにチップが入った。それも無線接続のためのものに限らず、音楽再生の根幹に関わるものがだ。デジタルはハードウェアだけでは役に立たず、ソフトウェア開発もついてまわる。ゼンハイザーはこれを嫌ったのだ。嫌ったというより、対応できないと潔く諦めたのだ。こういう潔さ、フットワークの軽い転身も家族経営ならではだろう。

 ハイエンド・ヘッドフォン、イヤフォンはまだこれからも出るだろう。が、それを担うのは新しい、たとえばゼンハイザーに比べれば「駆け出し」の HiFiMAN のようなメーカーだろうし、あるいはハイエンドだけを狙った新しいブランドだろう。

 ついでに言えば、スピーカーにも DSP が入って、オーディオの常識がひっくりかえっているなあ。Alexa や Home Pod は AirPods ファミリーに相当するものだが、いわゆるオーディオファイル用のジャンルでも Airpulse A80 や KEF LS50 のようなアクティヴ・スピーカー、そしてその先を行く Genelec の SAM システムによる音場補正は、「使いこなし」とか「セッティング」を無意味にしようとしている。

 もちろん、そんなに簡単にできてしまうのはイヤだ、あれこれ試行錯誤するのが愉しいのだ、という人がいなくなることはない。ヘッドフォン、イヤフォンだって、ケーブルを替え、チップやパッドを替え、クローズドにオープン、セミ・オープン、ダイナミックに静電型、平面型など様々なタイプを使いわけるのを愉しむ人がいなくなることはない。ただ、それはますますニッチな趣味の世界へ入ってゆくだろう。本当に趣味の世界は何でもニッチなものではあるが。(ゆ)

 「21世紀をサヴァイヴするためのグレイトフル・デッド入門」のために、デッドのライヴ音源を延々と聴くわけですが、それには何を使っているのか。

 あたしはスピーカーではまず聴かず、もっぱらヘッドフォンとイヤフォンで聴いてます。基本的に家ではヘッドフォン、外ではイヤフォン。なんだかんだで、知らないうちに増えていて、数えてみるとヘッドフォンは8本、イヤフォンも同じくらい。細かくて、正確にはもうわからん。取っ替え引っ替え使うわけですが、みんな均等にというのではなく、自分の中でも流行り廃りがあります。

 デッドのある曲を手許に溜まってきたライヴ音源の公式リリースから拾って聴いてゆくのは少々手間がかかります。一つのフォルダにまとめてこれを次々に再生してゆくのは、いつも使っている DAP は案外不得手で、これまでの経験で一番楽なのは MacBook Pro で再生する方法。ただし、Audirvana Plus はこういう時ほとんど役に立ちません。まずまず音が良くて使い勝手が良いのは Decibel。

 MacBook Pro から Chord Mojo に USB で出し、Analog Square Paper 製 STAX 専用真空管ハイブリッド・アンプで SR-L300 というのが最近の昼間の定番。だったんですが、選曲も佳境に入ったところで、朝、かぶろうとしたら SR-L300 のプラスティックのヘッドバンドがバキッと音を立てて真っ二つ。

SR-L300broken


 幸い、問い合わせたら修理できそうなのでほっとしました。ヘッドバンド交換だけですから、そんなに高くはないんじゃないかと期待。1本聴くごとに外したりかぶったりしていたからかなあ。

 マス工房 model 428 が来て以来、これで聴くことも多いんですが、デッドのライヴ音源は真空管をかませて聴きたいんですよ。デジタルでしか出ていないこの音源を聴くために『ステレオ』編集部が作った真空管ハーモナイザーをかますと、ヴォーカルやガルシアのギターがそれは艷っぽくなる。ところが 428 は入力がペンタコンだけなので、ハーモナイザーの RCA 出力からつなぐケーブルがまだありません。

 それと Decibel は最近アップデートしたんですが、それからどうも今ひとつ音にキレがなくなった感じ。ハイレゾ音源もちゃんと認識しないようだし。というんで、手持ちの機材をあれこれ組み合わせて落ちついたのがこのセット。

OPUS+Mojo+Phantasy


 OPUS#1s からは Reqst の光ケーブルで Mojo につなぎ、Mojo と PHAntasy はラダーケーブル製ラダー三段のミニ・ミニ・ケーブル。

 Listen Pro は Focal のヘッドフォンを何か使ってみたくて買ってみたもの。現行製品では一番新しくて、ダントツで安い。これはすばらしいです。箱から出したてで、100時間鳴らした DT1770 Pro とタメを張ります。DT1770 よりもすっきりした音で、この辺はドイツとフランスの違いですかね。Listen Pro に比べると DT1770 の方が粘りがあり、音場が丸い。Listen Pro の音場は広がりと奥行があって、円盤型。分解能も高いですが、細かいところまでムキになって出すのではなくて、各々の音量と位置をさりげなく、適確に示します。入っている音は全部出ているけれど、本来のバランスは崩れず、音楽に没入できます。ギアとして存在を主張するのではなくて、音楽を聴くツールに徹してます。モニターというのはそういうものでしょう。

 DT1770 と比べてどちらがベターというよりは音の性格の差でしょう。オールマンなら DT1770 で、デッドなら Listen Pro というと近いか。フェアポートなら DT1770 で、スティーライなら Listen Pro かな。まだ、試してないけど。ジャズならハードパッブは DT1770 で、ECM は断然 Listen Pro。ルーツ・ミュージックだと、ソロの歌や演奏は DT1770 の方が案外合うかもしれませんね。でもハイランド・パイプのピブロックのような倍音系は Listen Pro で聴きたい。

 先ほどの組合せに戻ると、ヘッドフォンやイヤフォンのテストに使っているアウラの〈アヴェ・マリア〉を、きちんと聴かせてくれました。ベスト盤の《ルミナーレ》にも入っているこの曲は、ソプラノ3人がめいっぱいハイトーンで唄っていて、たいていのヘッドフォン、イヤフォンでは、少なくとも2ヶ所でビビります。スピーカーではまったく問題ないんですが、ソプラノが上の方で2人、3人と重なるところは、小さな振動板にはきついんでしょう。

ルミナーレ
アウラ
toera classics
2017-06-25



 いわゆる「カッシーニのアヴェ・マリア」と呼ばれるこの曲は、実際はソ連の作曲家 Vladimir Vavilov の作品で、ただ「アヴェ・マリア」を繰り返すだけですけど、アウラのこのヴァージョンでは歌詞を加えていて、そこがまた良い。オーディオ・テスト用だけではなく、演唱としてすばらしいので、ヘッドフォン・マニアの方は持っていて損は無い曲でしょう。

 というわけで、今日の本番ではこれを使って PHAntasy の代わりに真空管ハーモナイザーを経由して店のPAにつないでみようと思ってます。問題は音量調節なんですが、それは現場で担当の方と相談。(ゆ)

 今回はウィルソンおやじが張り切って、いろいろやったり売ったりしようというので、てんてこまいしてます。

 Jaben Online 日本語サイトの作成も手伝っているし、『ヘッドフォンブック2013』の英訳も同時進行で、こんなに忙しい思いをしているのは、もう何年もありません。

 とゆーことで、Jaben 関係のお知らせとか情報とかは Facebook に移します。Jaben 関連以外のハードウェア、たとえば昨年秋に予約を入れて以来、心待ちにしている CEntrance の HiFi-M8 とかについてはこちらに書きますが、GoVibe、Hippo、Phonak その他、Jaben が扱うモノについては Facebook の Jaben Japan ページをご覧ください。今回のヘッドフォン祭で売ったり展示したりするモノについてもそちらに書きます。

 それにしても KEF がヘッドフォン/イヤフォンを出したのには驚いた。(ゆ)

 RudiStor のルディさんから久しぶりにメールが来ました。

 日本から注文される方にお願いがあります。
 住所は英語で書いてください。
 電話番号を PayPal の注記欄に書いてください。

 という伝言です。

 RudiStor のサイトの注文は PayPal 経由ですが、PayPal でふだん使う言語を日本語に設定してあると、注文者の連絡先もデフォルトでは日本語で表記され、何もしないとそのまま日本語で相手先に送られます。

 相手に日本語がわかる人がいればいいわけですが、RudiStor には日本語のわかる人はいません。したがって注文の処理ができません。

 PayPal で海外に注文する場合には、最低でも英語の氏名、住所、電話番号を登録しておいて、こちらに切り替える必要があります。

 海外に注文する場合には、送金先の読める表記にするよう、アラートが出るはずですが、気がつかないことも多いと思われます。

 なお、英語の住所を登録するにはトップ画面で使用言語を英語に切り替えます。そうしておいて住所の登録に移動すると英語で入力できます。

 RudiStor に注文したのに反応が無い場合には、こういう事情ではないかと疑って、問い合わせてみてください。(ゆ)

*MacBook Pro を Luxa のノート用冷却台にのせていて、どうも脚がすべったり、こたつの天板に傷がついたりする。ハンズへ行ってみたら、ハネナイトシートというのがある。ノーソレックスゴムという、普通のゴムよりも振動を吸収する材質を使った丸くて平たく黒いモノ。オーディオ機器などの下に貼りつけて、本体が動かなくするためのもの。ためしに脚の下に敷いてみると、がっちりと安定して使いやすくなった。

 驚いたのは MacBook で再生する音の解像感と明瞭感がツーランクぐらいアップしたこと。ケーブルを換えるとか、DACを換えるとかよりも、はるかに効果が大きい。Audirvana Plus + DRAGONFLY + Porta Tube+ + TH900の真価を初めて見る。なるほど、よけいな振動をおさえると音が良くなるのはこういうことかと納得。

*『ヘッドフォンブック2013』を眺めていると、ヘッドフォンの新製品にオープン・タイプが少ない。普及価格帯には皆無。安いのは KOSS PortaPro KTC くらいで、これは旧製品にリモート/マイクを付けただけ。本体は変わっていない。新製品はみなアッパーからハイエンドばかり。これから出るとアナウンスされているものも、オンキョーもADLもクローズド。昨年の Shure のモニター・ヘッドフォンが特異にみえる。

 そりゃ、ヘッドフォンはもともとの目的からするとクローズドが基本だが、選択肢が狭くなるのはなんだかなあ。このムックには「オープン型ヘッドフォンの魅力」という記事もあるが、ここにあげられているのも、どれも安くはない。単純に安いオープン型に良いものがないのか。

 それに、どれもでかいんだよね。気軽に持ってでかけて、散歩のお伴というわけにはどうもいかない。その意味では同じ記事の最後にある HD414 現代版を、という声には双手を挙げて賛成。

 ちなみに 414 は低域が出ない、とここにも書かれているが、どうもみんな低域低域と言いすぎるような気もする。録音ではない生の音楽で、そんなに低域がドンドン出ているかね。ピアノの最低音だって27.5Hzだよ。これでダブル・ベースの最低音より低いんだぜ。それに「重低音」は別として、普通に聴くには十分な低域は出ているし、ヘタなクローズドよりよほどタイトだ。まあ、「重低音」というのは実際の周波数ではなくて、量とトーンなんだろうけど。

 それよりも 414 は何よりも聴いていて楽しい。言い換えれば、中域が充実しているとか、バランスがいいとかいうことになるのだろうが、とにかくこれで音楽を聴いていると楽しくなってくる。いつまでも聴きつづけていたくなる。良い音楽、良い演奏、良い録音はさらに良くなるし、それほどでもないものでも、あれこんなに良かったっけと思わされる。

 そして、あのカジュアルさ。気軽にひょいとかけてお散歩に出られるし、はずして首にかけても邪魔じゃない。唯一ちょと邪魔なのは3メートルのケーブル。短かいのが欲しい。って、他のゼンハイザー用のは使えるのかしらん。

 という悩みも含めて、現代版 414 は欲しい。音とかは変える必要はないし、デザインもそのまま。リモコンも付けなくていい。ケーブル着脱もそのままに、端子だけは今のやつ。それで1.5万ぐらい。頼むよ、ゼンハイザー。

*娘がアメリカに二週間でかけて、本を数冊買ってきた。もちろん英語の本だ。本は好きな娘だが、英語の本なんぞ買ったことはこれまでなかった。それもおみやげだけじゃない、自分用にも買ってきた。

 本屋のアルバイトも嬉々としてやっている本好きではあるから、向こうでも本屋があれば覗きたくなったらしい。そこでならんでいる本、紙の本を見て、手にとり、買う気になった。

 これはたぶんモノの威力だ。たとえばデジタルの、タイトルだけがならんでいて、そこでダウンロードできます、というような店がたとえあったとしても、おそらく買う気にはならなかっただろう。文字を印刷した紙を束ねた本というモノだけが人に買わせるオーラをまとう。本はたしかに読んでナンボだが、まるで読めなくても持っていたいと思わせる本はある。その昔、アレクサンドル・グリーンを初めて知ったとき、ロシア語原書を求めて神保町のナウカまででかけたこともあった。

消えた太陽 (魔法の本棚)
消えた太陽

 もうひとつはモノがたくさんあること、というより、モノに囲まれている環境の力。これが他のモノにまじって、数点ならんでいただけならば、はたして買う気になったかどうか。状況によってはなったかもしれないが、本屋に入って、本に囲まれると、なんとなくなんぞ買おうかという気になる。このあたりは、ミニマルなインテリアにもうしわけのように商品がおいてあるブティックなどとは違うだろう。男性という条件付けもあるのか、あたしはああいう店では買う気は起きない。やはり「ドンキ」式に、モノがわっとある、はきちれそうな状態の方がわくわくする。図書館や古本屋で本に囲まれると、ようし、いっちょ読みましょうか、という気分にもなるのと同じ。とはいうものの、だからというか、「ヴィレッジヴァンガード」はちょと違う。

 これはやはりモノに囲まれて育った環境に適応している、ということか。生まれたときからモノといえば画面のあるものだけで、読むのも聴くのも見るのもデジタルという環境で育てば、反応はまた違うのかもしれない。(ゆ)

 なかば必要があって中古で入手した AK100 ですが、すっかりメインの再生装置になってしまいました。外出中はもちろん、家のなかでも大活躍で、MacBook Pro で音楽を聴く時間は激減してます。

 とりわけ、これも先日のポタ研でサンプルを展示した Hippo ProOne との相性が抜群で、これで音楽を聴くのが楽しくてしかたがありません。本が読めん。ProOne については、また別の機会に。しかし、これでシングルBAの奥深い世界にはまりそうです。

 AK100 は小さくて、軽くて、音が良い。ファイルを入れるのも、いちいち iTunes を立ち上げる必要がなく、Finder ですんでしまうのは楽。32GB と 8GB の micro SD カードを刺しているので、現在 72GB で、iPod touch より多い。

 もちろん不満もあって、その最大のものはファームウエア 1.30 現在ギャップレス再生がサポートされていないことです。

 で、あれこれ思案して思いついたのが、CD1枚を一つのファイルにリッピングすること。こうすると AK100 は全体を1曲とみなして再生します。AK100 は cue シートをサポートしていません。これを逆手に利用するわけ。

 トラックの別が消えてしまうので、あの曲だけ聴きたいというのは難しくなりますが、ギャップレスで聴きたいアルバムというのは、基本的には全部通して聴きたいので、それほど大きなマイナスではない。とにかくギャップレス再生を優先したい場合には使えるでしょう。

 ぼくは XLD を使います。リッピングの際に、メイン・ウィンドウの左上、デフォルトですと「すべてのトラックのプリギャップを含める」となっているプルダウン・メニューをクリックします。一番下の「一つのファイル(+cue)として保存」を選択。

 ここでリッピングしたファイルを置く場所をいつものところにして後でコピーもできますし、AK100 をつないでおいて、その中に直接入れることもできます。

 すでにトラック別にリッピングしてある場合。XLD のファイル・メニューから「フォルダをディスクとして開く……」を選択します。ダイアログで目的のCDのサウンド・ファイルが入っているフォルダを指定すると、メイン・ウィンドウにCDが表示されます。そこで左上のプルダウン・メニューで「一つのファイル(+cue)として保存」を選択、環境設定で出力先を AK100 に指定し、「変換する」をクリックします。

 この変換は逆にも使えます。すでに cue シート + 一個のファイルでリッピングしてあるものをトラック別に AK100 に入れられます。

 ご参考になればさいわい。(ゆ)



iriver Astell&Kern 192kHz/24bit対応Hi-Fiプレーヤー AK100 32GB ソリッドブラック AK100-32GB-BLK
iriver Astell&Kern 192kHz/24bit対応Hi-Fiプレーヤー AK100 32GB ソリッドブラック AK100-32GB-BLK

 TouchMyApps というサイトにはヘッドフォンのコーナーがあって、セレクションも個性的ですが、内容も微に入り細を穿ったもので、読み応えがあります。その中に GoVibe Porta Tube+ のレヴューがあるのを、最近、発見しました。これはもう「銘器」といってよいかと思いますが、なかなか情報が少ないので、著者の了解を得て邦訳してみました。お楽しみください。なお、元記事には美しい写真がたくさんありますが、著作権の関係でここには載せられません。また、後ろの方に出てくるグラフも同様です。これらは元記事をご覧ください。

Big thank you to Nathan Wright who wrote the oritinal review for his kind permission to translate and put it up here.


PortaTube-iPhone2


 チープなことは悪いことじゃない。ぼくはチープなものを食べて、チープなものを着て、チープな冗談を言っている。もうずいぶん久しい間、Jaben がぼくのまわりに送ってきていたのは、チープなアンプばかりだった。大量生産品だね、アーメン。ところが Jaben はとうとう好みを変えたらしい。いずれ慈善事業にも手を出すことになるんだろう。いやその前にまずは Porta Tube+ だ。iPad/Mac 向けの真空管ヘッドフォン・アンプ兼DAC だ。ブルジョアが聴くにふさわしく、王様にぴったりの音を奏でる。

 どこの王様かって。GoVibe 王国のだよ。

スペック
24/96kHz アップサンプリング DAC:CIRRUS CS4398-CZZ (24/192kHz)
真空管:72 6N16B-Q
USB コントローラ:Texas Instruments TIASIO20B
一回の充電で使用可能な時間:7-10 時間
驚異的な音

 Jaben 製品ではいつものことだが、スペックを知りたいとなると、あちこちつつきまわらなければならない。探しものが見つかることもあるし、みつからないこともある。付属の文書類はいっさい無い。Jaben 製品が使っている DAC チップが何か、まるでわからない。オペアンプもわからない。Porta Tube や Porta Tube+(以下 Porta Tube/+)が使っている真空管の種類然り。事実上、わかることはなにも無い。(セルビアの Zastava のブランド)ユーゴかトヨタの部品を寄せ集めて作った1990年型現代(ヒュンダイ)自動車の車を買うのによく似ている。部品が何か、知っているのは販売店だけだ。ありがたいことに、Porta Tube/+ には良い部品がふんだんに使われている。もうひとつありがたいことに、Jaben はありえないようなスペックをならべたてたりはしていない。ダイナミックレンジが 120dB だとかぬかしているアンプ・メーカーはごまんとある。嘘こくのもいいかげんにしてくれ。いやしくも音楽信号を扱うのに、そんなことありえるか。負荷がかかれば、なおさらだ。

 先へ進む前に、Jaben の Vestamp を覚えているかな。あれも GoVibe だ。GoVibe は Jaben のハイエンド・ブランドだ。そして、こと音に関するかぎり、GoVibe はハイエンドの名にふさわしい。そうでない製品も少なくはないが、たいていはハイエンドと呼ばれておかしくはない。


造りの品質
 アルミ製のアンプというのはどれもこれも皆同じだ。Jaben も例外ではない。そう、前後は4本ずつのネジで留められている。ネジはヴォリューム・ノブにもう1本隠れている。マザーボードは2枚の波形の板にはさまれ、三連 three-cell の充電池がかぶさっている。

 出入力用ポートはマザーボードにしっかりと固定されて、3個のきれいにくりぬかれた穴に首を延ばしている。パワー・スイッチは形がいい。がっちりした金属製で、ぴかぴかの穴から亀よろしく頭をのぞかせる。

 全部で28個の空気穴が世界に向かって穿けられている。上下半分ずつだ。内部は熱くなるから、この穴がなくてはいられない。冬にはあまり頼りにならない懐炉。夏にはまるで思春期にもどったようになる。とにもかくにも、ちゃんと作動していることだけはわかる。

 Porta Tube に傷があるとすれば、ゲイン切替装置だ。こいつは例の8本のネジを延べ百回ばかり回さないと現われない。調節そのものは難しくはない。ジャンパ・スイッチのジャンパを隣のスロットに移すだけのこと。ピンセットか小さなドライバさえあればいい。左右は別々に調節できる。簡単すぎて気が抜ける。ただし、だ。そこまでいくには、フロント・パネルの4本のネジを回してはずし、次にバック・パネルのネジも回してはずし、そしてマザーボードをそっと押し出さなければならない。つまり、百回は回さなければならないわけだ。だいたいそこまで行く前に、バック・パネルにでかでかと書かれた注意書きを見て、手が止まってしまうこともありえる。
 「警告! 高電圧につき、中を開けるな!」
ブザーが鳴ってるだろ。こうこなくっちゃウソだよ。ホント、イタズラが好きなんだから。このブログを昔から読んでる人なら覚えているだろう。Hippo Box+ のツリ用のウエブ・サイト。中身が何もないアレ。ベース・ブーストとゲイン・スイッチの表示が裏返しになっていたヤツでもいい。ったく、笑わせてくれるぜ。

 ジャンパ・スイッチを前の位置に移すとハイ・ゲイン・モードになる。笑いごとではない人もいるかもしれない。いきなりネジ回しを握っても、バック・パネルで諦める人も出てきそうだ。それはもったいない。というのも、Porta Tube と Tube+ のパワーはハンパではないからだ。IEM を使っているのなら、あり過ぎるくらいで、ゲインは低く抑えたくなるにちがいないからだ。最後にもうひとつ障碍がある。ゲイン・スイッチには何の表示もない。初歩的な電気の知識をお持ちなら、プリント回路をたどればおよその見当はつくだろう。電気のことはもうさっぱりという方に、切替のやり方をお教えしよう。

 ジャンパ・スイッチを二つとも動かすと、ゲインは高くなる。ジャンパ・スイッチを「前」の位置、つまり、アンプのフロント・パネルに近づけると、ゲインが高い設定になる。他の位置では、すべて、低くなる。左右のチャンネルはそれぞれ独立に設定できる。左右の耳で聴力に差があるときは便利な機能だ。バック・パネルのジョークを別にすれば、Porta Tube にはイラつくところは何もない。そこにさえ目をつむれば、これはすばらしいアンプだ。これだけ注目されるのも無理はない。

 音量調節はどうかって。すばらしいですよ。つまみやすいし、動きもなめらか。目印の刻み目は暗いところでも、どこにあるか、すぐわかる。


エルゴノミクスと仕上げ
 ブラウザで Porta Tube+ の写真がちゃんと見えるか自信がない。このマシンは美しい。ケースのブルーは両端のシルバーとみごとな対照をみせる。ブルーの LED ライトに比べられるものは、少なくともポータブル・オーディオの世界では他にない。このライトの明るさはそれほどでもないが、夜遅く、暗くした部屋の中では、アンプの正面にテープを貼るか、またはつまらないミステリー小説かなにかでおおっておきたくなるくらいだ。

 いろいろな意味で、美しさというのはごく表面だけのことだ。700ドルの値段が付いているのなら、隅から隅までそれにふさわしくなければならない。フロント・パネルの文字はレーザーで彫られていて、硬化鋼のネジの頭はちゃんと削られて突き出していないでほしい。マザーボードに組立て工の指紋が着いていたり、フロント・パネルにすり傷がある、なんてのも願い下げだ。ゲイン・スイッチを切り替えるにはバック・パネルを開けるしかないのに、そこには「開けるな」と書いてある、なんてのもないだろう。GoVibe Porta Tube+ ではそういうことが体験できる。それもパッケージのうちだ。これにそれだけ払うだけの価値があるかどうかの判断はおまかせする。

 もっともデコボコはあるにしても、プラスもある。もう一度言うが、ヴォリューム・ノブのなめらかさは完璧だ。入出力のポートの間隔も十分で、でか過ぎるヘッドフォン・ジャックやケーブルでも余裕で刺せる。もう一つ、ヘッドフォン・ジャックが二つ付いているのも大きい。スタンダードとミニと二つ並んでいるから、音量を変えないまま、同じ音源を二つのヘッドフォンで聴ける。Porta Tube も Porta Tube+ も、少々のことでは動じない。中を覗けば、洗練にはほど遠いかもしれない。しかし、全体としては、Porta Tube+ はけっして口下手ではない。


特長
 バッテリーの保ち時間は7〜10時間、充電機能内蔵、6.3 と 3.5ミリのヘッドフォン・ジャックを装備し、それに、外からは見えないスイッチでゲイン調節ができる。Porta Tube も Porta Tube+ も、本来の機能でがっかりさせることはない。Porta Tube に700ドル出すことで、手に入るのは大馬力だ。Porta Tube と Porta Tube+ をもってくれば、ヘッドフォンの能率やインピーダンスは関係なくなる。バランス出力や静電型ヘッドフォン用ではないが、それはまた話が別だ。

 + が付く方は 24/96 をネイティヴ・サポートし、192KHz までアップサンプリングする。コンピュータで音楽を聴いているなら、これだけで買いだ。ヴォリュームの位置がどこにあっても、ノイズは比較的少ない。これだけで National アンプ をしのぐ。そして、VestAmp+ を上回るパワーを出力ポートに注ぎこむから、耳が痛くなるような音量で鳴らしても、ヘッドフォンの音が歪むことはない。そうそう、あらかじめことわっておく。Porta Tube の音はでかいぞ。


音質
 Porta Tube を初めて聴いたのは新宿のカレー屋だった。耳には頼りになる Sleek Audio CT7  をつけていたのだが、自分の顔が信じられないという表情になるのがわかった。Porta Tube の 3.5mm ジャックに伸ばした手は、何十種類ものアンプに何百回となくプラグを刺しこんだものだ。その手も、昔は一刻も早く音を聴きたくて、震えていた。んが、その日は別に特別な日ではなかったし、目の前のアンプに大いに期待してもいなかった。Tube+ も他のアンプと変わるところはない。最初は背景ノイズのテストだ。指がヘッドフォン・ジャックにプラグを刺しこむ。ヴォリュームをゼロに下げる。スイッチを入れる。ノイズはない。適切な音量になるはずの位置まで回す。ノイズはない。ヴォリュームをいっぱいに回す。ようやくノイズが洩れてきた。だが、聞こえるか聞こえないか。たぶん、こりゃカレーのせいだ。

 それが今年の1月。

 それから約5ヶ月後。届いたばかりのアンプを机に置き、窓を閉めきったぼくは唸ってしまった。これだけの馬力を持つアンプとしては、Porta Tube+ のノイズはこれ以上小さくはできないだろう。音量ゼロの時のノイズとフル・ヴォリュームの時のノイズの差はごくごく小さい。というよりも、フルの時の Porta Tube+ のノイズは The National が4分の1の音量の時に出すノイズよりも小さい。こりゃあ、たいしたもんじゃないか。

 IEM 専用アンプなら、Porta Tube+ よりノイズの少ないものはいくらもある。だけど、そういうアンプで 600オームの DT880 のようなヘッドフォンを、耳がつぶれるくらいの音量で、いっさいの歪み無しに鳴らせるようなものはまずない。

 これがどれほどたいへんなことか、おわかりだろう。IEM ユーザは苦労している。HiSound が作った、あのピカピカのゴミと、ソニーがラインナップしているりっぱなウォークマンのなりそこないを除けば、ポータブルの MP3 プレーヤーのノイズはどれもごく小さいから、その音の質を上げるはずのポータブル・アンプのノイズの方が大きいのだ。Porta Tube+ も例外というわけではない。けれど、音量を最大にしたときですら、ノイズは驚くほど小さい。異常なくらいパワフルだが、これを IEM ユーザにも薦めるのは、何よりもそのためだ。

 日本では、Cypher Labs AlgoRhythm Solo か Fostex HP-P1 に外部 DAC、アンプ、それに場合によっては信号スプリッターまで重ねて持ち歩いているマニアがたくさんいる。そこに Porta Tube+ を入れているいかれた人間も少なくない。

 もちろん問題はノイズだけじゃない。ダイナミック・レンジはどうだろう。それに空間表現も大事だ。Porta Tube シリーズの中域と高域はすばらしい。明るく、張りがあって、奥行が深い。これまで聴いた中では、タイプに関係なく、こんな明晰なアンプは他にない。明るいといっても、ぎらついたところや刺さるようなところは皆無だ。どこまでも透明で、解像度も高い。楽器の分離もすばらしく、ことに中域、高域ではっきりしている。フルオケよりは小規模コンボの方が位置関係がよくわかる。どんなヘッドフォンと組み合わせても、一つひとつの楽器の位置が手にとるようにわかる。ただ、中低域から低域にかけて、ほんの少し、にごる。このにごりと真空管特有の歪みのおかげで、温かくやわらかい音になる。

 このアンプはエネルギッシュで明るいという一方で、これはまた人なつこい音でもある。音楽性のとても高いこの二つの特性が合わさって、GoVibe Porta Tube の音は蠱惑的といっていい。

 明るさというのは、真空管特有の歪みにもめげず、高域がはっきりくっきりしている、というのが一番あたっているだろう。どんなイヤフォン、ヘッドフォンを刺しても、聞こえてくる音は実にきれいだ。高域を削ってしまうような信号やノイズをぼくは嫌いだというのは、このサイトをお読みの方はご存知と思うが、ぼくはとにかく高域に弱い。そのぼくにとっては、中域から高域へのつながりが完璧ということで、Porta Tube+ に比べられるものはなかなかない。マッシヴ・アタックの〈I Spy〉でのシンバルは、微妙な綾まで生々しい。音像は正確だ。頭の前方から出て、ゆっくりと包みこみ、後ろへ抜けるが、遠すぎもしない。つまり、中くらいの広さの部屋で、きちんとセッティングしたスピーカーで聴いている具合だ。焦点はスピーカーのドライバーにぴったり合っている。けれど、壁や家具からの微妙な反射が忍びこんで、ごく自然に硬いところがほぐれてるのだ。

 念のためくりかえすが、真空管特有の歪みと、中央にまとまって押し出してくる低域はむしろプラスに作用している。聞こえるのは、どこまでもなめらかで、ほんの少しやわらかく、気持ちよく伸びている音だ。インピーダンスの低いグラドでも完璧にドライブしてくれる。グラドでライヴの生々しさを感じとりたいと願っている向きは、Porta Tube をガイドに立てればまったく不満はなくなるだろう。ぼくのような、表情が豊かで音場の広い DT880 の大ファンにとっても、これはうれしい。DT880 はときどき高域がきいきいいうことがあるが、それがぐっと抑えられて、しかも他のアンプを通すよりもみずみずしくなる。デスクトップのシステムよりも官能的にすらなる。Porta Tube+ は、あまりに真空管真空管していないからだ。

 オーディオにはまりこんで20年になるが、その間に聴いたうちでは、Wood Audio WA3+ が、一番真空管らしい音のヘッドフォン・アンプだった。人なつこさではとびぬけているが、代償も大きい。持っているうちで、これで聴きたいと思うヘッドフォンは半分もない。Porta Tube はそれとはまるで正反対だが、良質の真空管アンプのやわらかい音は健在だ。

 音楽にもどろう。Protection のタイトル・トラック〈Protection〉では、低域ど真ん中のベースが重く正面に立ち、ドラム・マシンがシンプルにきざみ、まるで気のない女性ヴォーカルがのる。その後のトラックはどれも同じように始まるが、男性ヴォーカルが加わり、ベース・ラインはさらに重く低くなる。今度は気合いのこもった、コクのある女性ヴォーカルがゆっくりと入る。ジャズか、マッシヴ・アタックがプロデュースしているようで、リスナーはその魔法から逃れられない。これは、前にも書いたにごりのおかげだろうか。だとしても、それだけではなさそうだ。原因はもうどうでもいい。DT880 と組合せても、CK10 と組合せても、K701 が相手であってすら、Porta Tube はこの録音が秘めている艶をあますところなく描きだす。

 上にあげたのはどれもハイエンド・モデルだ。Sennheiser HD650、HD600、Fischer Audio FA-002W といった中堅どころも、Porta Tube に組み合わせる次点候補にちょうど良いだろう。これが高域のディテールを完璧に再現してくれることはもう一度念を押しておくが、その音はソリッドステートのアンプに比べれば、ほんの少しやわらかい。それをにごりと言うか、歪みと言うかは微妙なところだ。今あげた中堅モデルもこのアンプとよく合うだろう。ただし、これらのヘッドフォンのもつ、やや暗い、囲いこむような性格がいくらか強く出ることもあるかもしれない。

 このアンプには人を中毒にさせるところがあるから、一番のお気に入りのヘッドフォンでじっくり試聴されることを薦める。2、3分でも聴けば、いや2、3時間でもいいが、聴いてしまえば、この青くてかわいいやつを抱え、財布の方はだいぶ軽くなって店を出ることになるのは、まず確実だ。それだけの価値はある。


グラフについてのおことわり
 このレヴューにつけた RMAA のグラフには、iPod touch につないで、Beyerdynamic DT880 と Earsonics SM2 を鳴らした際の違いがあらわれている。ぼくの手許の装置で測っているから、他の装置で測ったデータと直接比べても意味はない。このデータはアンプのヘッドフォンやスピーカーのドライブ能力を示している。


周波数特性
 どんなヘッドフォンをもってきても、Porta Tube/+ は高いレベルの解像度で鳴らす。SM2 は質の劣るアンプだとありとあらゆる形の歪みを聴かせてくれるが、Porta Tube では何の悪さもできない。低域と高域の端が少し落ちているのがおわかりだろうが、これは元々の音楽信号がそうなっているので、アンプのせいではない。Porta Tube のせいで現われるような小さなレベル(-1.5dB)は、犬の耳でも持っていないかぎり、わからないはずだ。

負荷ノイズとダイナミック・レンジ
 Porta Tube+ のダイナミック・レンジは 90.5 dB で、CDクオリティに 6dB 足りない。ノイズ・レベルは −90.5 dB で、やはりCDレベルに届かないにしても、これはひじょうにクリーンだ。なんといっても真空管アンプなので、一筋縄ではいかない歪みとノイズが真空管の魅力を生んでいるのだ。

  真空管アンプのメリットのひとつはここにある。それで得られるのは安定した、気持ちの良い歪みで、しかも音源には左右されない。この歪みはやわらかいとか、心地良いと呼ばれることが多い。どちらもその通りとは思うけれど、Woo Audio 3 の場合とはわけがちがう。GoVibe Porta Tube の音は普通のアンプにずっと近く、ソリッドだ。入力でも出力でも歪みははるかに小さい。それでもリングはあるし、かわいらしいしみもあちこちにある。真空管の常として IMD も THD も高い。

スケーリング
 Porta Tube+ は VestAmp+ と同じ規則にしたがう。USB 入力からの信号が一番小さい。ポータブル音源からのライン入力は USB より大きい。デスクトップまたは AlgoRhythm Solo のような質の高いポータブルからの入力が一番大きく、ノイズも少なくなる。

 このアンプの増幅率はとてもいい。DT880 600Ω のようなヘッドフォンでも、入力がしっかりしてゲインが低いから、フェーズエラーはほとんど起こさない。ハイ・ゲインにするとフェーズエラーは増えるが、増えるのはとんでもなく大きくて危険な音量での話で、そんな音量で聞こうという人はいないはずだ。Porta Tube はパワーの塊だと言えば十分だろう。ALO の National とならんで、デスクトップのアンプとまったく遜色ない。

DAC として使う
 ここ2、3年、USB オンリーの DAC が花盛りだが、ぼくはあまり好きではない。ひとつには USB DAC ユニットの実装がライン入力のそれに比べると劣るからだ。実際、Porta Tube+ はライン入力の時に最高の力を発揮する。チャンネル・セパレーションも良くなり、ノイズ・フロアも低く、ダイナミック・レンジも広くなる。

 とはいえ、コンピュータとつなぐときには威力を発揮する。いやらしい USB ノイズはまったく聞こえない。プラグ&プレイも問題なく、MacBook Pro につないだとたんに認識される。USB モードでは、デスクトップを音源にする時より出力がかなり低くなる。IEM ユーザーにはグッドニュースだ。もっとも出力が低くなるとはいっても、これまでつないだヘッドフォンでパワーが足りないなんてものはひとつもない。

 面白いことに、USB 入力とライン入力は同時に使うことができる。ということはライン入力と USB 経由の音楽信号は Porta Tube+ 内部を平行して流れ、、同時に出力されているわけだ。どちらかだけを聴く時は、使わない方のソースは忘れずに抜いておこう。

iPad で使う
 Porta Tube+ を iPad 用 USB DAC として使うこともできる。ただ、ぱっとみて使い方がわかるというわけではない。iPad の USB から出力される電圧では Porta Tube+ 内蔵の DAC を動かすには足らない。これは内蔵バッテリーで動いているわけではないからだ。DAC を動かすには Porta Tube+ 付属の電源アダプタをつなぎ、 iPad をカメラ接続キットにつないでから Porta Tube+ につなぐ。つなげばすぐに使えるし、音も他と変わらずにいい。ただ、ポータブルにはならない。

 Porta Tube+ はデスクトップと言ってもいいくらいのものだから、携帯できないことはそう大きな問題ではないだろう。ただ、純粋なバッテリー駆動でクリーンな音が欲しい場合には、iPad では無理だ。ノートでは Porta Tube+ は電源につながなくても使える。

ポータブル・アンプとして使う
 正直言って Porta Tube/+ は相当に重い部類のアンプだ。かさばって、重くて、しかも熱くなる。それでもカーゴジーンズもあるし、アンプ・バッグも、肩掛けかばんもある。内蔵バッテリーは7〜10時間もつということは、このアンプさえ持っていれば、日中はだいたい用が足りるわけだ。おまけに背景ノイズは低くて、ヴォリューム・ノブのバランスもとれているとなると、能率のよいイヤフォンがあればばっちり、ということだ。

 実際、SM2 を鳴らしても、DT880 を鳴らしても、歪みや IMD は変わらない。何を刺しても、聞こえる音は同じだ。これができるアンプはめったにあるもんじゃない。Porta Tube+ は合わせるイヤフォンを選ばない。こいつはちょっとしたもんだぜ。

 少しばかり重くなることがイヤでなければ、ポータブル・オーディオとしては Porta Tube 以上のものはない。


結論
 ALO と Vorzuge という手強い競争相手はいるが、ポータブル・アンプとしてぼくは Porta Tube+ を選ぶ。闊達で人なつこいサウンドは、たいていのヘッドフォンと完璧なペアになるし、明るくてディテールを追及するタイプのヘッドフォンと組み合わせると、特に騒ぐこともなく、その実力を十二分に引き出してくれる。ご開帳ビデオで Jaben がグランプリをとることはないだろうが、連中はそれを目的にしているわけじゃない。目的を絞って、かれらはホンモノの、世界でもトップクラスのヘッドフォン・アンプ/DAC を生み出してみせた。見る目のあるオーディオ・マニアなら、これに目を丸くしないやつはいないにちがいない。


プラス
*とんでもなくパワフル
*すばらしく細かいディテール、やわらかいサウンド
*イヤフォンを選ばない
*色が美しい
*つなぐ装置をグレードアップすれば、それだけ良くなる

マイナス
*いただけない仕上げ
*無理難題な警告
*スペック、アクセサリー、マニュアルいっさいなし


 ということで、ご注文はこちらへどうぞ。

    フジヤエービックさんのブログで知りましたが、ゼンハイザー社創業者のフリッツ・ゼンハイザー氏が 05/19 に亡くなったそうです。享年98歳。元の英文記事
   
    わが愛機 HD414 の生みの親。エンジニアとしてももちろん優秀なのでしょうが、こういう音を良しとするバランス感覚、音楽を聞くツールの設計者としての耳の確かさに、敬意を表します。この人は心底音楽が好きだったにちがいない。
   
    聴く相手は筆者とは違っていたでしょうが、何を聴くにしても、これで聴けばその音楽の「肝」を聴くことができる。ゼンハイザーの作るものならば、その芯が一本通っていて、安心して使うことができる。そういう信頼を抱けるのはありがたいことであります。
   
    英文記事によるとゼンハイザーはいまだに同族会社だそうで、製品のポリシーを受け継ぐ点では、むしろこれから有利かもしれません。
   
    とまれ、ご冥福、というのはクリスチャンでしょうから当たらないかもしれませんが、無事天国に行かれることをお祈りいたします。合掌。(ゆ)

    RudiStor からの新作、真空管ハイブリッド USB DAC & ヘッドフォン・アンプ。使用チューブは 12AU7 2本。今朝、ルディさんからメールが入って、モデル名を NKK02 ではなく、NKK03 にするとのこと。理由はまだわかりませんが、そういうことでなにとぞ、よしなに、各位。
   
    NKK01 は小型の DAC & ヘッドフォン・アンプの初代で、ここに写真と説明があります。

    これはバッテリー駆動で一度の充電で100時間以上稼動した由。これはこれで聴いてみたいですが、製造コストが高すぎて、現在は廃番。
   
    NKK03 は正面は NKK01 とほぼ同じようですが、奥行は3倍ぐらいでしょうか。中央上面にチューブ・ソケットがあります。背面は電源、USB端子、RCA 端子。
   
    正面の大きな音量ダイアルの左のスイッチを入れると、ダイアルの周囲が光ります。12AU7 は内部の光はごく小さく、火が入っているかどうかわかりにくいです。

    ソースは MacBook で、USB につなぐとシステム環境設定の「サウンド」では Burr-Brown Japan PCM2702 の表示が出ます。ヘッドホン祭の時に置いてあった仕様ではこれだけではなかったと思いますが、窓口がこれ、ということでしょうか。

    再生ソフトは Taply。Taply はフリーの Mac用音楽プレーヤーで一番音が良いと思います。本当のベストは XLD なんですが、これの再生機能はあくまでもおまけなので、使い勝手からすると常用にするのはちょっと。Taply は再生オンリーの小さな巨人です。

    真空管というと昔は「ぬくもり」とか「艶」が音質を表現する言葉として使われたものですが、それももちろん無いことは無いけれど、それよりも今のものは反応のスピードの速さと肌理の細やかさの方をより感じます。ハイブリッドということもあるのかもしれません。音の立ちあがりと減衰の美しさ、音の襞の奥まできちんと濃淡のままに聞かせてくれる。ですから、音楽の中のノイズ成分、ヴァイオリンの弦のこすれる音とか、フルートの息が漏れる音がとてもきれいに、快く聞こえます。加えて倍音の再生はやはり真空管で聞きたい、と思わせます。
   
    それと、沈黙、静寂の部分ではほんとにきれいに音が無い。音が途切れるところだけではなく、背景、楽器同士の間なども真黒です。もっともこれは RudiStor のアンプに共通の性格でもあるらしい。ウエブ・サイトでは、どのモデルでもそのことが強調されてます。
   
    ルディさんの真空管アンプは、スイッチ入れてすぐ使えるよ、四六時中電源入れっぱなしにしないでくれ、省エネになるんだから、とサイトでは書かれてます。とはいうものの、NKK03 では暖まるまで30分はかかります。電源を入れて30分ぐらいたつと、すーっと音が澄んできます。ただ、これはアンプ自体のエージングがまだまだということでもあるかもしれません。いま手元にあるのはヘッドホン祭の会場で展示していたモノで、正確にはわかりませんが、まだ作動50時間は超えていないでしょう。
   
    ヘッドフォンはいつものゼンハイザーHD414。なんですが、これの限界を初めて感じました。まあ、ヘッドホン祭でルディさんの新作ヘッドフォンを聴いてしまっていることもあります。一番の欠点は、左右の広がりは良いのですが、前後上下が浅い。NKK03側のエージングで変わるかどうか。
   
    それでも音楽を楽に魅力的に聴かせてくれることでは文句はなく、あらためて能力の高さを認識しました。

    こうなるといろいろなヘッドフォンを聴いてみたくなります。ハイエンド・ヘッドフォンのレンタルって、あるのかな。T1 とか、受注生産だと難しいでしょうねえ。まず聴いてみたいのは HE-05LE ですね。

    本日の試聴曲。ああ、しかし、止まらねえ。

El Relampago    Lila Downs    En Paris: Live a Fip
El Relampago    Lila Downs + the Chieftains    サン・パトリシオ
La Iguana    Lila Downs + the Chieftains    San Patricio
La Iguana    Lila Downs    En Paris
Albion Sunrise    Albion Country Band    Battle Of The Fields
Morris Medley    Albion Country Band    Battle of the Field
La Mujjer De Terah    Ana Alcaide    Como La Luna Y El Sol
Down In The Tube Station At Midnight    Bad Shepherd    Yan Tyan Metheral
Le Vent M'emporte    Cécile Corbel    Songbook 1
Symphony No.40 In G Minor, K550 (2nd Ver.) I Molto Allegro    Christopher Hogwood & Academy of Ancient Music    モーツァルト:交響曲第40番第41番&ジュピター
Only time will tell    Billy Bang    Tribute to Stuff Smith
Take Five> Take 11    Farmer's Market    Speed/ Balkan/ Boogie
1. The Sea & Sinbad's Ship    Fritz Reiner & Chicago Symphony Orchestra    R.コルサコフ:シェエラザード
Moot    Glen Moore    Nude Bass Ascending
    ラストの細かい音で上昇と下降をするところから後をもっと聞きたくなる。ここで絞るなよう。ライヴでは続けていたのか。

Late for the sky    Jackson Brown    レイト・フォー・ザ・スカイ
    リンドレーのギターの音色が美しい。

Song for Bernadette    Jeniffer Warnes    Famous Blue Raincoat
    ジェニファのヴォーカルの工夫が手にとるようにわかる。深いとは思っていたけど、こんな細部にまで降りていたのか。あらためて脱帽。

Well, well, well    Ben Harper & The Blind Boys Of Alabama    There Will Be a Light
Isle of France    Ian King    Panic Grass & Fever Few
    あ、これ、こんなに細かい録音を重ねていたのか。

With the trees    José Neto    Mountains and the Sea
Camila's Song    Kaila Flexer & Gari Hegedus    Teslim
Intro: Conditional Discharge    Long John Baldry    It Ain't Easy
Don't Try To Lay No Boogie Woogie On The King Of Rock & Roll    Long John Baldry    It Ain't Easy
Motherless child    The Blind Boys of Alabama    Spirit of the Century
Der Blinde und der Lahme    Ougenweide    All Die Weil Ich Mag
The Buckfast 5> Wired To The Moon    Michael McGoldrick    Wired
太陽は笑い月を呼ぶ    桃梨    歓喜~結成10周年記念大感謝祭~
Like a hurricane    Niel Young & Crazy Horse    ライヴ・ラスト
陽炎    鬼束ちひろ    DOROTHY
    聴けば聴くほどに名曲の想い新た。コーダのアコースティック・ギターの響きがことの他映える。

The gold ring    Padraic O'Reilly    Down the Ivory Stairs
ヒロくん    谷川賢作    ピアノソロVol.4
Oh the Grand Old Duke of York    Tim Hart & Friends    My Very Favourite Nursery Rhyme Record
Locura    Yasmin Levy    La Juderia
    ぐわわ、冒頭、ネイの音一発でもっていかれる。真空管アンプの試聴会には最適。

安里屋節    新良幸人    月虹(げっこう)
    新良さんの声の倍音がすごい。

Manamanamwnci> Jig Esgob Bango    Calan    Bling
The Golden Glove    Chris Foster    Jewels

 問い合わせがあったので、ぼくが FiiO E5 を買ったやり方を書いておきます。

 買ったのはアメリカの Head-Direct。ニューヨークに事務所があるらしい通販専門店。中国系で独自の品揃えです。Yuin は兄弟会社か、独占代理店らしい。

1. トップ・ページの左のメーカー一覧で "Fiio" をクリック。
2. "E5" の "ADD TO MY CART"  をクリック。
3. "Select Your Location"「場所を選んでください」というウインドウが開くので、右側の "Outside of America" をクリック。
4. "My Cart" ページが出ます。この時点ではまだ下の "Ordered Prodcucts" の欄が "Empty.." になっていると思います。そこで、上の "Add to My Caft" 欄の右の方にある "Add to My Cart" をクリック。
5. "Ordered Products" のページになり、"Product" 欄に "Fiio E5 headphone amplifier" とあるのを確認します。下の方に PayPal のロゴが出ているのでそれをクリック。
6. PayPal で決済。

 PayPal のアカウントがなければ、作ってください。Head-Direct の支払いは PayPal 経由だけです。PayPal は今は日本語で表示されますので、後はそちらの指示にしたがってください。PayPal そのものの決済はぼくはクレジット・カードでやってます。他にもあるかと思います。

 Head-Direct の価格は商品そのものが 23USD に送料が 10USD かかって、計 33USD です。今現在のレートでは3,000円弱です。

 Head-Direct はこれまで数回買っていますが、いつも迅速な対応です。商品の発送元は上海だったかな。発送通知後1週間前後で来ます。なお、もうすぐ旧正月セールをやるよ、と Head-Fi で言ってました。まあ、E5 はもう十分安いですが。

 FiiO 本家のサイトには他の販売店もあがってます。値段だけとるとニュージーランドの店が最安値のようです。ここも決済は PayPal 経由です。韓国とタイの店のサイトは読めないのでわかりません。不悪。


 アメリカ、カナダの住所からしか注文できない本家サイトの通販でしか買えない KSC35 ですが、ロスをベースにする Mac 関係の通販会社 Vintage Computer が先日 Shure のイヤフォンの扱いを始めたので、これも扱ってもらえないか、と問い合わせてみました。すると、購入代行という形で扱う、という返事が来ました。注文はこちら

 なんですが、そうなるとやはり相当高くなってしまうわけです。この価格に送料と税金が加わると1万円を超えるわけで、そこまで出す価値があるか、となると考えこんでしまいます。

 確かに後継機種にはない独自の魅力があるのは確かで、それを自ら認めているからこそ、通販のみという形でもディスコンにしていない。それにその後の新製品を見ていると、どうやら KOSS はクリップ・タイプを 75 で打ち止めにする気配ですし、するとますます 35 の価値は高まります。

 それに自分でむこうまで買いにいくことを考えれば、そりゃ安い。誰か知りあいや友人に頼んで買って送ってもらうにしても、手間賃とか謝礼とか考えれば、やはりこのくらいにはなる、とも思えます。KOSS の代理店の TEAC が正規に輸入してくれればいいわけですが、検討します、の答え以後は梨のつぶてですし、また KOSS の方で許可しようとしていないことも考えられます。

 一方で Yuin からクリップ・タイプが出て、こちらは上位機種の G1 が送料込みで15,000円ですし、これから出る G2 は、どうやら 5,000円前後というところ。Yuin のものなら音質だけとればおそらく 35 をも凌ぐでしょう。G1 はアンプ必須なので G2 と比べるとしても、G2 の音がよほど不満で、やはりどうしても 35 でなければダメだ、となるかどうか。

 とまあ、せっかく扱いを始めてくれた Vintage Computer には悪いんですが、ここは G2 のリリース待ちかな、と思ってるところです。(ゆ)

 Go-Vibe Petite(以下 GVP と略称) には DAC 付きとアンプ単体がある。はずだが、何も言わないと DAC 付きが来る。DAC の入力は USB で、小さな台形のジャックが裏側にある。裏というのは音量ダイアルのある側を表にしてだ。ごくふつうの USB 接続コードが付属する。

 使われているチップは Burr-Brown Japan PCM2702。ポータブル・アンプに付いている DAC はたいていこれを使っているらしい。このチップは動かすのにソフトウェアが不要とのことで、Mac でもつなげばそのまま使える。つなぐと システム環境設定>サウンド>出力 に Burr-Brown と出るので、そちらを選択する。当然選択しないとこちらから音は出ない。ちなみに GVP のパワーをオンにしなくても Burr-Brown の表示は出る。GVP 側では表、つまり出力ジャックの隣の入力ジャックを空けると DAC に切り替わる。ここに何かささっているとDACからの音は出ない。

 この DAC 機能はなかなか便利だ。何より実に簡単に Mac の再生音を高音質化できる。USB 接続してイヤフォンなりヘッドフォンなり、あるいは外付けのスピーカを GVP の出力ジャックにつなげば、Mac から出る音が全部 GVP の音になる。アラートやメールの送信音までやけにリアルになる。

 これが最も威力を発揮するのはまず DVD だ。今《TRANSATLANTIC SESSIONS 3》(以下 TAS3 と略称)にもろにはまっているのも、この「システム」のおかげかもしれない。もう DVD プレーヤーやTVなんぞ、要らない。Mac なら PAL でも何も言わずに再生するし、音楽ビデオはリージョン無しがほとんど。大きさも iMac の20インチで十分だ。人間が注視できる視野はそんなに広くないだろう。というのは、大画面TVを置けるスペースもない兎小屋に住んでる僻みももちろんあるが、「ディスカバリー・チャンネル」ならまだしも、音楽関係のビデオで広大な画面が必要なものはまず無い。まあオペラの一部ぐらいか。

 TAS3 で「発見」した一人に Darrell Scott がいる。なんといっても〈You'll never leave Harlan alive〉がもう最高。カレン・マシスンがハーモニーをつけ、ドナルド・ショウがアコーディオンを添えるのもこの企画ならでは。カレンの実に楽しそうな様子。それに向けるダレルの眼の優しさ。ここではミュージシャンたちは観客にむかってではなく、レコードの買い手のためでもなく、自分たちのためにうたい、演奏している。ジェリィ・ダグラスのドブロもいつものことながら冴えわたるけれど、その後、一度、アリィ・ベインのフィドルと主人公の二人だけになるところが泣かせる。このビデオを見てしまうと、公式サイトの写真は別人ではないか。

 DVD は読み込んでしまえば、iTunes でも再生できるのもうれしい。ビデオと音楽と同じインターフェイスで操作できるのは革新的とも言える。リッピングには Handbrake を使っている。こういうものがタダとは、ありがたや、ありがたや。

 で、この人の音源は他に持っていなかったかとiTunes のライブラリに検索をかけたら、ティム・オブライエンとの共作《REAL TIME》があった。これがまた良い。一昨年ティムの初来日に際してまとめて買ったものの1枚で、その時には通りいっぺんの聞きかたしかしていなかったらしい。ほとんど二人だけで、ギター、マンドリン、バンジョーを駆使しながら、オリジナルやハンク・ウィリアムスやトラディショナルをうたう。素材の出自よりも遥かに古い、アパラチアの山を造っている根っこまで降りていって、そこからうたっているように聞こえる。むろん、うたっている人もうたわれているうたも、山の斜面や谷にしがみついているにすぎないが、構想としては山の根を掘りおこし、そこに生きる根拠を見いだそうと努めている。つまるところそれを無視してアメリカの大地に生きることを許される道理がない。そうした切羽詰った想いがここには聞きとれる。いや、剥き出しになっている。ふたりの切迫感と資質がよく似ている。ほとんど双子といってもよいくらいだ。まったく対等でもある。かといって例えばアンディ・アーヴァインとディック・ゴーハンの 《PARALLEL LINES のように、平行線であることで価値を生むものとも違う。対決に逃げることも、馴れ合いに堕すこともない。これはなかなか珍しい部類ではあるまいか。

 今回はダレル・スコットの側から聞いているので、〈There ain't no easy way〉のようなうたが沁みる。TAS3 の〈Harlan〉も同じなのだが、低い声でささやくようなうたいだしに一気に引きこまれる。低いときのダレルの声は倍音が豊富なのか、響きが深い。GVP はこういう音が得意らしい。これもきっとあんな風に頭を左右に振りながらうたっているにちがいない。やはり一度生で見たい。

 というわけで、わが家の iMac + BauXar Marty10、MacBook + TIMEDOMAIN light は、GVP をかませるだけで現在最高の音楽視聴環境に変身する。しかも GVP は USB 経由の充電機能も備えているので一石二鳥でもある。ますます Long live the Go-Vibe! なのだ。(ゆ)

 昨年の秋から注文していた
KOSS KSC75 用のスペアのイヤパッドが到着。
KOSS では「イヤクッション」と呼ぶらしい。

 最初に輸入元のティアックに問い合わせたのが昨年の9月。
取り寄せは可能だが少々時間がかかるとの返事。
その後、もう少し待ってくれという連絡が10月に一度きました。
それっきり音沙汰がなくなり、
こちらも BauXar EarPhone M が出たりして、忘れていました。
Go-Vibe Petite で K701 を見直したのをきっかけに、
今月になって、そういえばと思いだし、問い合わせました。
向こうもどうやら忘れていた気配。
それでも今回は連絡して10日ほどで入荷の通知。
送金してすぐにモノが送られてきました。

 ちなみに価格は1個税込179円。ペアで358円。
本家サイトでの売価がペアで5ドルだから、良心的な価格でしょう。
本家で50ドルの PORTA PRO とは大違い(爆)。
送料630円。
銀行振込か代引。代引の場合はこれに手数料が加わります。

 問合せ先はティアック修理センター
TASCAM サイトの問合せページからも連絡可能。
というより、最初に連絡したのはこちら。

 これで銘機 KSC35 が復活だ。(ゆ)

 「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」協賛商品の iPod RED に8GB版が加わってました。ちょっと心惹かれます。

 一方アップル・ストアでもJBLが新しく出したヘッドフォンの取扱いが始まってました。60周年記念の製品だそうですが、ユニット周りなど、AKGの K26P にそっくり(^_-)。そういえば、両方とも同じハーマン・グループの傘下です。違うのはヘッドバンドで、それだけでJBLの方は価格が倍近い。はたしてどれくらい違うのか。Music TO GO! のささき氏が試聴のため借出されているはずですが、その評価やいかに。

 K26P は評判もいいんですが、ぼくの耳にはなぜか左右のチャンネルの音がはっきり別れて聞こえます。音場が自然に広がるのではなく、左右と中央に音が出るソースが分かれてしまいます。その中間から音が聞こえない感じ。例えば The Memory Band の《APRON STGING》だと KSC75 や K701 では左側の斜めから聞こえるフィドルが K26P では完全に左側に寄っています。一応密閉型ですが、音の遮蔽性はオープンの半分ぐらい。ただ、この点は耳の形状にも左右されるかもしれません。これは完全に耳を覆う形ではないですし、ヘッドバンドの締付けもごく軽いですから。

 その点がJBL版ではどう変わっているか。K26P の基本的な音は好きなだけに、ちょっと興味があります。あれが実際にAKGの OEM としての話ですが。ただ、ヘッドバンドだけで倍の金を払うのもなあ。ちょっと検索してみましたが、アメリカではまだ出ていないようです。なので、国内価格の海外との価格差はわからず。ひょっとして日本先行発売かも。ただ、日本では出ていない Bluetooth 対応の JBL Reference 601 というのがありました。

 The Memory Band はちょいとおもしろいイングランドのバンドで、2枚アルバムが出てます。かつてのネオ・アコースティックの流れをくむとも言えそうな、ミニマルでクールな味わい。MySpace のページはこちら

 買ってしまってからやばかったかなと思いましたが、後の祭り。これは禁断の世界です。一度入ったら抜けられません。そしてこの向こうにはオソロシイ世界が広がっています。

 思えば AKG K701 を衝動買いしたのが運の尽きだったのでありましょう。通常のオーディオはタイムドメインですっかり留めを刺されたのでありますが、幸いというか、不幸にもというか、タイムドメインはヘッドフォンは今のところ出す気がないようです(試作品はできてるらしい)。なので、まだオーディオとしての楽しみ、「音が変わる」というあの楽しみがヘッドフォンの世界では味わえます。メーカー、方式が変われば、同じ音楽も違って聞こえます。iPod 景気でヘッドフォンも活気が出てきていますし、それにつれてヘッドフォン自体のステイタスも上がってきたようであります。

 ぼくが現在使っているのは安い方から、KOSS KSC75同35iGradoWestone Labs UM2、AKG K701。実は KSC35 は 75 が出て一度引退していましたが、表題にあるヘッドフォン・アンプを買ったことでみごとに復活してしまいました。おかげで 75 が引退気味。

 気に入った録音をくり返し聞く際に、これらをとっかえひっかえします。その他にも電車やバスに乗る外出の際は UM2、散歩や家事の際は iGrado、就寝の音楽は KSC35 というメインの使用法があります。

 さて「音の違い」を求めて、情報をあさっているうちに見つけたのがここ

 まず目についたのが iPod 用にポータブルのヘッドフォン・アンプを使っているという話。これが安い。定価75ドル。送料入れても1万円でおつりが来ます。PayPal で注文したら、10日でやってきました。それがカナダのメーカー(と言ってもほとんど個人でやっているらしい)の Go-Vibe V5 です。

 オーディオ・テクニカのミニミニの接続ケーブル、ナショナルの 9V 6P 電池を用意し、聞いてみると……。

 上にあげた中で一番「音が変わった」のは、KSC75 と K701 でした。オーディオの世界で最高の賛辞である「別世界」という言葉はこういうことをさすのか。

 75 がこれだけ変わるのなら、35 はどうだ、と試してみたら、復活してしまったという次第。

 UM2 で違いが目立たないのはもともとの能力が高いからでしょうが、他の二つと比べて目立たないというだけで、音楽は格段に魅力的になります。聞くのが楽しくなります。

 iGrado はと言えば、使いはじめたばかりで、まだ音に耳も機械もなじんでいないからでしょう。おいおい楽しみです。

 K701 は、これがわたしの本来の能力なんだよ、と言われているようであります。質の高いヘッドフォンの能力を十分に引き出すには、専用のアンプが必要というのが納得されました。

 こうなると iPod に入れるファイルのフォーマットも問題になってきます。あくまで音質を最優先にするなら、AIFF ないし WAV で入れるところですが、そんなことをすればHDがいくらあっても足りません。入れる時はとにかく Apple Lossless で入れた上で、そこまでの必要なしと判断した録音は AAC 320kbps に落とすことにしました。フィールド録音やSPからの復刻ははじめから AAC320 です。もちろん、CDの縁はゼブラ Popstar の蛍光緑で塗ります。

 こうしてすっかりオーディオ・マニアにもどってしまったわけですが、その Go-Vibe が国内で正式に輸入・販売されることになったそうです。

 個人的にはすでに直接買ってしまっていましたが、こうしてルートができるのはありがたいことです。購入の時のメーカーとのやり取りで、もう少し薄くならないかとたずねたら、価格が高くなってしまうが検討してみるとのことでした。薄い筐体は高いのだそうです。もし実現したら多分また扱われるのではないでしょうか。

 この上はこのアンプ用として推奨されている電池と充電機、iPod との接続用のミニミニ・ケーブルも扱っていただきたいところです。電池は 6P の 9V ですが、これには実質電圧が 8.4V のものと 9.6V のものがあり、国産ではナショナルと東芝の 8.4V のものしかありません。アメリカから通販で買うことは可能ですが、やはり割高になりますし、充電器の不安もあります。

 アイルランドやスコットランドものは録音の良いものが多いですから、これで全部もう一度聞直したくなってきます。Linn のバーンズ全曲集などはちょっと聞いてみただけでも、いつまでもひたっていたくなりました。最近のではアイリス・ケネディやルナサ、それにケルクリで来るティム・オブライエンのものなども魅力です。

 さて、そうなると、ポータブルでこれなら、据置型のヘッドフォン・アンプはどうだろうと気になるわけです。そして、今聞いているのとはまったく方式の違う STAX で、ドロレス・ケーンやキャサリン=アン・マクフィーを聞いてみたくなってきました。(ゆ)


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