クラン・コラ・ブログ(アイルランド音楽の森)

 アイリッシュ・ミュージックなどのケルトをはじめ、世界各地のルーツ音楽を愉しむブログです。そうした音楽の国内の音楽家も含みます。加えて主宰者の趣味のグレイトフル・デッド。サイエンス・フィクション、幻想文学などの話もあります。情報やメモ、ゴシップ、ただのおしゃべりなどもあります。リンク・フリーです。

タグ:ベスト

 ラティーナ電子版の "Best Album 2022" に寄稿しました。1週間ほど、フリーで見られます。その後は有料になるそうです。

 今年後半はグレイトフル・デッドしか聴かなかったので、ベスト・アルバムなんて選べるかなと危惧しましたが、拾いだしてみれば、やはりぞろぞろ出てきて、削るのに苦労しました。

 ストリーミング時代で「アルバム」という概念、枠組みは意味を失いつつある、と見えますけれども、いろいろな意味で便利なんでしょう、なかなかしぶといです。先日、JOM に出たアイリッシュ・ミュージックに起きて欲しい夢ベスト10の中にも、専門レーベル立上げが入ってました。

 もっとも、あたしなんぞも、CD とか買うけれど、聴くのはストリーミングでというのが多くなりました。Bandcamp で買う音源もストリーミングで聴いたりします。

 とまれ、今年もすばらしい音楽がたくさん聴けました。来年も音楽はたくさん生まれるはずで、こちらがいかに追いかけられるか、です。それも、肉体的に、つまり耳をいかに保たせるかが鍵になります。年をとるとはそういうことです。皆さまもくれぐれも耳はお大事に。(ゆ)

 恒例の MG ALBA Scots Trad Music Awards 2021 が先週土曜日に発表になりました。この賞は Simon Thoumire がやっている Hands Up For Trad が中心になって設けているもので、スコットランドの伝統音楽の優れた業績に与えられます。最近はネット上でのノミネーションと投票によって決まります。


Original Work of the Year sponsored by PRS for Music

Calum MacPhail – 7 Years Old


Community Project of the Year sponsored by Greentrax Recordings

Riddell Fiddles’ Two Towns Housing Estate Youth Musical Outreach Programme


Event of the Year sponsored by VisitScotland

Celtic Connections


Gaelic Singer of the Year sponsored by The Highland Society of London

Kim Carnie


Musician of the Year sponsored by The University of the Highlands and Islands

Iona Fyfe


Online Performance of 2021 sponsored by Gordon Duncan Memorial Trust

Norrie “Tago” MacIver Live Streams


Citty Finlayson Scots Singer of the Year sponsored by Traditional Music and Song Association

Ellie Beaton


Trad Video of the Year sponsored by Threads of Sound

Doddies Dream – Bruce MacGregor


Trad Music in the Media sponsored by Sabhal Mor Ostaig

Ceol is Cradh (Mental health in musicians’ documentary) (BBC ALBA)


Up and Coming Artist of the Year sponsored by Royal Conservatoire of Scotland

The Canny Band


Music Tutor of the Year Award sponsored by Creative Scotland’s Youth Music Initiative

Craig Muirhead, Director of Piping and Drumming at Strathallan School


Album of the Year sponsored by Birnam CD

Where the World Is Thin by Kris Drever


 ノミネーションされたアクトのリストなどはこちら。各々のアクトへのリンクなどもこちらにあります。


 あたしなどはとても追いかけきれていませんが、これを機会に聴いてみようと思います。(ゆ)



##本日のグレイトフル・デッド

 1207日には1968年から1981年まで5本のショウをしている。公式リリースは2本。うち完全版1本。


1. 1968 Knights Hall, Bellarmine College, Louisville, KY

 前売3ドル、当日3.50ドル。開演9時半。ポスターには OxeorosThe KaleidoscopeStonehengeThe Waters の名前がある。

 わかっているセット・リストでは第二部がひどく短かい。テープに基くものらしく、全体ではおそらくないだろう。

 The Kaleidoscope はデヴィッド・リンドレーとクリス・ダロウがいたバンドとして知られる。その他は不明。


2. 1969 Fillmore West, San Francisco, CA

 4日連続最終日。だが、前日はオルタモントでキャンセル。2時間弱の一本勝負。オープナーが〈Black Peter〉なのは、オルタモントの翌日のせいかもしれない。

 なお、デッドもオルタモントには出る予定でいたが、現場の雰囲気があまりに暴力的だとして出演を見合わせた。


3. 1971 Felt Forum, Felt Forum, Madison Square Garden, New York, NY

 第一部9曲目の〈Brokedown Palace〉が2012年の《30 Days Of Dead》でリリースされた後、《Dave's Picks, Vol. 22》で全体がリリースされた。


4. 1979 Indiana Convention Center, Indianapolis, IN

 セット・リスト以外の情報無し。


5. 1981 Des Moines Civic Center, Des Moines, IA

 第二部オープナーの〈Mississippi Half-Step Uptown Toodeloo > Franklin's Tower〉が2017年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。(ゆ)


が発表になっている。

 Locus 執筆陣はじめ、編集者、書評家、ブロガー、批評家など、主に読みのプロのグループ約40名の合意によるリストだ。900を超えるタイトルから、サイエンス・フィクション、ファンタジィ、ホラー各々の長篇、デビュー長篇、ヤング・アダルト長篇、短篇集、アンソロジー、ノンフィクション、画集・アートブック、それにノヴェラ、ノヴェレット、ショートストーリィの部門で、各々20〜30本(中短篇は合計で124本)のタイトルがリストアップされている。英語圏のSFFの昨年の収獲としてはまずこれが土台になる。発表もいつもこの時期で早いから、ヒューゴー、ネビュラの候補作もこのあたりが中心だ。

 このリストは上記プロたちがそれぞれに出した推薦リストを擦り合わせたもので、当然、あれがない、これがないというものは多々ある。すでに最終候補が発表になっているフィリップ・K・ディック賞の候補6本のうち、ここにも入っているのは半分だけだ。

 このリストは同時にローカス賞の候補作リストでもあり、読者の投票で受賞作が決まり、6月に発表になる。今やヒューゴー、ネビュラに並ぶ賞になってきた。投票数からいえば、おそらく Goodreads のものが一番多いのだろうが、あちらは人気投票でベストセラーに票が集まる傾向がある。

 ざっと見て、中短篇のリストではオンライン・マガジンからのものが圧倒的なのはあいかわらずだ。今年のリストでは Beneath Ceaseless SkyUncanny Magazine の活躍が目につく。ここ2、3年、急速に内容を充実させてきていて、LightspeedClarkesworld と「四強」になってきた観がある。もう一つ Tor.com もあるが、これは基本無料なので別枠。他の4つもネット上でタダで読めるが、定期購読ないし各号ごとに販売している。これからも質の高い、愉しい中短篇が読めるように、ちゃんと払うものは払いましょう。直接でなくても、アマゾン、Apple Bookstore、楽天 kobo ストアでも買える。

 紙版からの三誌、AnalogF&SFAsimov's の質がとりわけ落ちたとも思えないが、オンライン・マガジンは今の時代、やはり目につきやすいということだろうか。この三誌も今や紙よりも電子版での定期購読の方が多いそうだが、ネット上での存在感が薄いことは否めない。F&SF の編集長が Shere Renee Thomas に変わることがどう出るか。


 あたしとしては中短篇にアリエット・ド・ボダールが4篇も入っているのは嬉しいが、ノヴェラ部門に2篇入っているのは、票が割れて、受賞には不利だろう。この2つはアリエットが書いている2つのシリーズ「シュヤ」と "Dominion of the Fallen" 各々に属するもので、どちらも優劣つけがたい。

 1人で4篇をこのリストに送りこんでいるのはアリエットだけで、続くのは上記 Shere Renee Thomas と  Usman T. Malik の各々3篇。アリエットの作品は玄人受けするところがあるとも言えよう。確かに Seven of Infinities などは、フランスの心理小説を読んでいる気分になるところもあって、英語圏SFFとしては珍しい部類かもしれない。

 昨年のものとしてはあたしは Adrian Tchaikovsky の Firewalkers を大いに愉しんだので、長篇ないしノヴェラに出てこないのは不満ではあるが、この人はアリエットとは対照的で、いささかあざといところもあって、プロにはあまり評価されていない。ディック賞の候補になっている The Doors Of Eden もこちらのリストには無い。Firewalkers はそのあざとさが良い方に作用して、ラストのどんでん返しが見事に決まり、読後感の爽やかさは、近頃ちょっと珍しい部類。

 このリストにもどれば、もちろんあたしなどはほとんど読んでいないので、よりどりみどりなのだが、とりあえずぱっと目についたアンソロジーの A Sinister Quartet を注文した。Mike Ashley, C.S.E. Cooney, Amanda J. McGee & Jessica P. Wick の4人のノヴェラを集めたもの。冒頭クーニィのは長篇の長さのもので、デビュー長篇のリストにも上がっている。Amazon の読者レヴューではクーニィの1作でも5倍の値段の価値があるとも言われているから、期待しよう。


A Sinister Quartet (English Edition)
Wick, Jessica P.
Mythic Delirium Books
2020-06-09

 

 ローカス賞投票締切は4月15日で、それまでにどれくらい読めるかなあ。(ゆ)

 寒中お見舞い申し上げます。今年はいつも以上にのらりくらりとなるでありましょう。どうぞ、よしなに。

 オンラインになった『ラティーナ』の昨年のベストアルバムに参加しました。以下にリンクを張りました。来週火曜日19日までは無料で誰でも見られます。それ以後は定期購読者のみ、閲覧できます。

[2021.01]Best Albums 2020-1

[2021.01]Best Albums 2020-2

 あたしのはここにあります。
[2021.01]Best Albums 2020-3

 各アルバムには Spotify のリンクを編集部がつけてます。聴いてみて気に入ったら、ぜひ音源も購入しましょう。少しでもミュージシャンたちを支援しましょう。

 Grateful Dead の Dave's Picks, Volume 35 は試聴のリンクがありません。これは限定発売で、本家 Dead.net でも発売後は試聴できません。ふだんはこのシリーズはベストアルバムには選ばないんですが、収録された1984年4月のフィラデルフィアでのショウがあまりにすばらしく、Dave's Picks のみならず、デッドのアーカイヴ・ライヴ音源の公式リリース全体の中でも屈指の出来栄えなので選びました。こういうものも出ているというお知らせの意味もあります。

 あたしの選んだものは、デッド以外の海外タイトルはほとんどが Bandcamp で買えます。あそこで買うとミュージシャンへの見返りも他より大きいので、できるだけ Bandcamp を利用するようお願いします。CDを購入すると、すぐにファイルをダウンロードして聴くこともできます。時にはハイレゾ・ファイルが来ることもあります。

 昨年はスタジオでの録音も大きく制限されたでしょうから、今年は新譜の数は減ると予想されます。ライヴ配信、ライヴ音源の販売は増えるでしょうが、さて、どうなりますか。(ゆ)

 今月2日に、第4回 The Scots Trad Music Awards が発表になりました。

 この賞はリスナーやファンの投票によるもので、今年は南アフリカ、ロシア、アルゼンチンを含む全世界から総数7万票の投票があったそうです。昨年の前回から1万票増加。

 結果は以下の通り。

Album of the Year: Heart of America - Donnie Munro
Club of the Year: Wick Accordian and Fiddle Club
Community Project of the Year: Feisean nan Gaidheal
Composer of the Year: Donald Shaw
Event of the Year: World Pipe Band Championships
Gaelic Singer of the Year: Kathleen MacInnes
Services to Industry Award: Johnny Mowat (Orkney Folk Festival)
Instrumentalist of the Year: Aidan O'Rourke(エイダン・オルーク)
Live Act of the Year: The McCalmans
Citty Finlayson Scots Singer of the Year: Sylvia Barnes
Scottish Dance Band of the Year: Marian Anderson Scottish Dance Band
Scottish Folk Band of the Year: Anna Massie Band
Scottish Pipe Band of the Year: Kintyre Schools
Up & Coming Artist of the Year: Jenna Cumming
Strathspey & Reel Society of the Year: Banchory Strathspey and Reel Society
McEwans Sessions Venue of the Year: The Lismore, Glasgow
Hamish Henderson Award: Robbie Shepherd.
(この賞の受賞者も自動的に Hall of Fame メンバーになります)
Hall of Fame Inductees:
 Jock Duncan
 Kenna Campbell
 Fergie MacDonald
 Donald MacPherson
 Aly Bain.
Posthumous Inductees
 Jeannie Robertson
 Sir Jimmy Shand

 詳しくはこちら

の最終候補が発表になっています。
 この賞はジャーナリスト、キャスター、フェスティヴァル・オーガナイザー、エージェント、プロモーターなど約150人が投票して決まります。まず自由に候補をあげて投票を行い、上位4組を最終候補として、再度投票します。現役ミュージシャンは投票できません。

 対象となるミュージシャンの範囲はBBCが放送している地域。なので、ブリテン島、つまりスコットランド、イングランド、ウェールズ等とノーザン・アイルランドまで。

 また、毎年、一つのカテゴリーを選び、聴取者からの投票を募ります。今年は「最優秀トラック」つまりアルバムの中の1トラックで最も優れたもののカテゴリーです。ウェブ・サイトからも投票できます。

 詳しくはこちら

 今年の候補は以下の通り。候補のアルファベット順です。
 最終発表とコンサートは来年2月5日、ロンドンの The Brewery にて行われます。


##Folk Singer of the Year
Tim van Eyken
Julie Fowlis
Seth Lakeman
Karine Polwart

##Best Duo
Martin Carthy & Dave Swarbrick
Nancy Kerr & James Fagan
Show of Hands
Spiers & Boden

##Best Group
Bellowhead
Salsa Celtica
Van Eyken
Waterson:Carthy

##Best Album
《BURLESQUE》 - Bellowhead
FREEDOM FIELDS》 - Seth Lakeman
GAME SET MATCH》 - Nic Jones
STIFFS LOVERS HOLYMEN THIEVES》 - Tim van Eyken

##Best Original Song
〈Daisy〉 - Karine Polwartfrom 《SCRIBBLED IN CHAALK
〈Jack Frost〉 - Mike Waterson (Performed by Waterson:Carthy)
    from《HOLY HEATHENS AND THE OLD GREEN MAN
〈Roots〉 - Steve Knightley (Performed by Show of Hands)
   from《WITNESS
〈Steelos〉 - John Tams (Performed by John Tams & Barry Coope)

##Best Traditional Track
〈Green Grows the Laurel〉 - Kris Drever from《BLACK WATER
〈Grey Gallito〉 - Salsa Celtica from《EL CAMINO
〈Barleycorn〉 - Tim van Eyken from《STIFFS LOVERS HOLYMEN THIEVES
〈The White Hare〉 - Seth Lakeman from《FREEDOM FIELDS

##Horizon Award(新人賞)
The Devil’s Interval
Kris Drever
Shona Kipling & Damien O’Kane
Martha Tilston

##Musician of the Year
John McCusker
Martin Simpson
Dave Swarbrick
Chris Thile

##Best Live Act
Bellowhead
Vin Garbutt
Seth Lakeman
Salsa Celtica


 確か病気で長期休養中のヴィン・ガーバットがベスト・ライヴに入っているのは、日頃のかれのライヴがいかにすばらしいかの証でしょう。

 結構重複が多いですね。もう少しばらけるかと思いましたが、それだけこの人びとが突出していたと言うことかな。

 確かにベスト・アルバムはどれもすばらしいものではあります。どれも10年の1枚クラスの出来です。

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