クラン・コラ・ブログ(アイルランド音楽の森)

 アイリッシュ・ミュージックなどのケルトをはじめ、世界各地のルーツ音楽を愉しむブログです。そうした音楽の国内の音楽家も含みます。加えて主宰者の趣味のグレイトフル・デッド。サイエンス・フィクション、幻想文学などの話もあります。情報やメモ、ゴシップ、ただのおしゃべりなどもあります。リンク・フリーです。

タグ:ライヴ

 毎年恒例、11月一杯かけてグレイトフル・デッドの未発表のライヴ音源を毎日1トラックずつ公式サイト Dead.net で MP3 ファイルでリリースする《30 Days Of Dead》が今年も無事終りました。今年で15年目。なお、この30本は来年も《30 Days Of Dead》があれば、それが始まる前日の10月31日までダウンロード、またはウエブ・サイト上でストリーミングで聴くことができます。できるはずです。



 2025 年は
1969-08-30, Family Dog at the Great Highway, San Francisco, CA
から
1994-10-15, Madison Square Garden, New York, NY
までのショウから選ばれています。

 合計8時間43分25秒。昨年、一昨年に続く歴代3位。

 一昨年以来、1本のショウから複数曲を選ぶ形が増えました。かつては途切れなしに続くものにほぼ限られていたんですが、間が切れているものも選ぶようになりました。今年は単一の曲が9回。

 登場したショウの年別本数。
66 0
67 0
68 0
69 1
70 2
71 2
72 2
73 2
74 0
76 0
77 2
78 0
79 2
80 1
81 3
82 0
83 0
84 2
85 1
86 0
87 0
88 1
89 4
90 1
91 2
92 1
93 0
94 1
95 0

 これも一昨年あたりから80年代のショウが増えています。一昨年は11本、昨年は9本、今年は13本。1989年の4本が突出してます。60年代がほとんど無いし、70年代も減っています。使える音源がなくなってきているのでしょう。

 最短のトラック
Jack-A-Roe, 1989-12-30, Oakland-Alameda County Coliseum Arena, Oakland, CA; 04:25

 最長のトラック
2日目、He's Gone> Truckin’> Drums> The Other One> Stella Blue, 1972-11-22, Austin Municipal Auditorium, Austin, TX 51:16

 ですが、これは昨年最終日に既に出ているので、今回に限れば、
20日目、Dark Star> Eyes Of The World> Stella Blue, 1973-06-30, Universal Amphitheatre, Universal City, CA; 44:06

 従来登場した曲とダブったのは5回。
5日目、Terrapin Station> Lost Sailor> Saint Of Circumstance> Jam 1979-12-11, Soldier's And Sailors Memorial Hall, Kansas City, KS
の後半〈Saint Of Circumstance> Jam〉が2023年に、

8日目、Bird Song 1981-02-26, Uptown Theatre, Chicago, IL は2016年に、

9日目、Truckin’> New Speedway Boogie, 1991-03-17, Capital Centre, Landover, MD は2017年に、

11日目の上記、He's Gone> Truckin’> Drums> The Other One> Stella Blue,1972-11-22, Austin Municipal Auditorium, Austin, TX が昨年に、

17日目、China Cat Sunflower> Doin' That Rag, 1969-08-30, Family Dog at the Great Highway, San Francisco, CAが2018年に、各々《30 Days Of Dead》に登場しています。

 今回初めて録音が《30 Days Of Dead》に登場したショウは以下の12本。これらは《30 Days Of Dead》のみならず、何らかの形の公式リリースとしても初めてです。
1970-02-06, Fillmore West, San Francisco, CA
1971-10-23, Easttown Theatre, Detroit, MI
1973-06-30, Universal Amphitheatre, Universal City, CA
1977-04-23, Springfield Civic Center Arena, Springfield, MA
1979-11-25, Pauley Pavilion, University of California, Los Angeles, CA
1984-10-05, Charlotte Coliseum, Charlotte, NC
1985-11-07, Community War Memorial Auditorium, Rochester, NY
1988-09-05, Capital Centre, Landover, MD
1989-02-07, Henry J. Kaiser Convention Center, Oakland, CA
1989-08-05, Cal Expo Amphitheatre, Sacramento, CA
1989-12-30, Oakland-Alameda County Coliseum Arena, Oakland, CA
1990-02-27, Oakland-Alameda County Coliseum Arena, Oakland, CA

 登場した楽曲は、Drums、Jam も含めて延58曲。〈Weather Report Suite〉を3曲と数えれば60曲。うち2回以上登場は以下の4曲。昨年は延72曲で、2回以上登場が17曲でしたから、様変わりです。

He's Gone
Stella Blue
The Other One
Truckin’
Weather Report Suite を3曲と数えれば Let it grow も2回登場。

 うち
He's Gone
The Other One
 は3回登場。That's It For The Other One を個々に数えれば The Other One は4回です。

 重複を除いたレパートリィは50曲。このうち〈Keep Your Day Job〉と〈When Push Comes To Shove〉は《30 Days Of Dead》初登場です。以前は常連だった〈Playing In The Band〉は今回登場せず。

Alligator
Althea
Bird Song
Black Peter
Black-Throated Wind
Candyman
Casey Jones
Cassidy
China Cat Sunflower
Cumberland Blues
Dark Star
Deal
Dire Wolf
Doin' That Rag
Eye of the world
Eyes Of The World
Feel Like A Stranger
Foolish Heart
Franklin's Tower
He's Gone
Help On The Way
Jack Straw
Jack-A-Roe
Just A little Light
Keep Your Day Job (new)
Lazy Lightning
Let It Grow
Lost Sailor
Mason's Children
Might As Well
New Minglewood Blues
New Speedway Boogie
Picasso Moon
Ramble On Rose
Row Jimmy
Saint Of Circumstance
Slipknot!
Stagger Lee
Stella Blue
Supplication
Tennessee Jed
Terrapin Station
That's It For The Other One
The Music Never Stopped
The Other One
Throwing Stones
Truckin’
Victim Or The Crime
Weather Report Suite
When Push Comes To Shove (new)

 各々の日のショウについて簡単に。今年はなぜか忙しくて、じっくり聴いている閑がありませんでした。

01. Feel Like A Stranger> Might As Well; 1984-10-05, Charlotte Coliseum, Charlotte, NC
 初登場のショウ。秋のツアーの初日で、ここから10-20までの11本。南部、東部を回ります。

 この2曲は第一部のクローザー、というのは最後にウィアが休憩するぜと言っているのでもわかります。


02. Jack-A-Roe; 1989-12-30, Oakland-Alameda County Coliseum Arena, Oakland, CA
 続けて初登場のショウ。27日から大晦日にかけての年末恒例の連続公演の3本目。前日の29日は休み。

 曲は第一部の5曲目。


03. Tennessee Jed; 1971-10-23, Easttown Theatre, Detroit, MI
 3日連続で初登場のショウ。10-19に始まる秋のツアーの一環で、この前はシカゴで2日間やり、休み無しでここで2日間やって、ツアーそのものは月末31日まで続きます。なお、このショウは23日目でも登場します。《30 Days Of Dead》の同じ年に同じショウが2回登場したのはこれが2度目。2022年に1991-03-24が二度登場しました。また2016年に1974-02-22、23と連続したことがあります。

 こちらは第二部3曲目。この頃はまだ第二部に Drums> Space のパートがありません。またこのショウの第二部は曲がつながっていません。


04. Candyman; 1980-04-01, Capitol Theatre, Passaic, NJ
 このショウは《30 Days Of Dead》2度目の登場。前回は2020年、第一部6曲目の〈Friend Of The Devil〉でした。この曲は第一部3曲目です。

 この年は01-13にオークランドでショウをした後はまた休んで、03-30からこの日までの三連荘が本格的な始動です。この後5日に Saturday Night Live に2度目に出演しています。


05. Terrapin Station> Lost Sailor> Saint Of Circumstance> Jam; 1979-12-11, Soldier's And Sailors Memorial Hall, Kansas City, KS
 今年最初の大物、30分超。前述のようにこのメドレーの後半は2023年の《30 Days Of Dead》に登場していますが、今回はその前からの区切り。Terrapin Station は第二部4曲目で、ここからラストまで切れ目なくつながってます。

 このショウは10-24から始まる長いツアーの千秋楽。


06. Victim Or The Crime; 1990-02-27, Oakland-Alameda County Coliseum Arena, Oakland, CA
 今年4本目の初登場のショウ。この年始動の三連荘の最終日。この後03-14から、あの黄金の春のツアーに出ます。そのためのウォーミング・アップ。曲は第一部4曲目。

07. Alligator> Drums> The Other One> Mason's Children; 1970-02-28, Family Dog at the Great Highway, San Francisco, CA
 これも25分を超える大物。このショウは2022年から毎年登場していて、全体の半分以上が公開されました。

 ショウは2時間弱の一本勝負で、今回登場したのは昨年登場の〈Casey Jones〉に続く14曲目から。この後もラストまでひとつながりです。

 このショウはここでの三連荘の中日。02-23にこの年最初のツアーから戻っています。この後はサンタ・モニカ、アリゾナ、ニューヨーク、フロリダ、オハイオと飛びまわります。


08. Bird Song; 1981-02-26, Uptown Theatre, Chicago, IL
 2016年に登場済み。第一部4曲目。見事な演奏なので2度登場も無理はなし。9年前というのはまた別世界でもあります。ただ、ガルシアは喉を痛めているようで、声が出しにくそうです。

 このショウはこれまでに2011、2015、2016年の《30 Days Of Dead》に登場しています。この年最初のショウで、ここでの三連荘の初日。03-14まで東部を回った後、ロンドンに飛びます。


09. Truckin’> New Speedway Boogie; 1991-03-17, Capital Centre, Landover, MD
 2017年に登場済み。第二部5、6曲目。このショウはこれまでに2017、2018、2020年に登場。

 春のツアーの初日。ブルース・ホーンスビィ参加。セント・パトリック・ディでもあり、デッドはセント・パトリック・ディ記念のショウをしていますが、この時はポスターには特に謳われていません。ツアーは04-09まで続きます。


10. He’s gone; 1981-03-24, Rainbow Theatre, London, England
 8日目のシカゴのショウの後に飛んだロンドンでの4本連続の最終日。2013年に第二部オープナーの〈Shakedown Street〉が登場しています。曲は第二部4曲目。この第二部はオープナーを除いて全部つながっています。

11. He's Gone> Truckin’> Drums> The Other One> Stella Blue; 1972-11-22, Austin Municipal Auditorium, Austin, TX
 《30 Days Of Dead》史上最長のトラックで、昨年の最終日11-30に登場しました。このショウの初登場でした。2年連続で出したのは何らかの意図がありそうですが、なにせデッドのことですから、あまり深い意味を勘繰るのは時間の無駄でしょう。まあ、何度聴いてもいいものではあります。

 ショウは11-13からの秋のツアーの第2レグの1本。


12. Stagger Lee; Black-Throated Wind; 1994-10-15, Madison Square Garden, New York, NY
 最後のマジソン・スクエア・ガーデン連続公演、6本連続の3本目。09-24から始まる秋のツアーの仕上げです。曲は第一部3、4曲目。後者でウィアはこの時期の慣例でアコースティック・ギターを弾いています。

 このショウからはオープナーの〈Shakedown Street〉が2018年の《30 Days Of Dead》に登場しています。


13. Jack Straw> Keep Your Day Job; 1984-10-15, Hartford Civic Center, Hartford, CT
 前日のちょうど10年前のショウ。10-05から11-03の秋のツアーの一環。このヴェニュー2日連続の2日目。このショウからは2018、2021、2022年と《30 Days Of Dead》に登場。今回は第一部クローザー。

14. Deal; 1985-11-07, Community War Memorial Auditorium, Rochester, NY
 初登場のショウ。10-25から11-11までの秋のツアーの一環。このヴェニュー2日連続の初日。曲は第一部クローザー。

15. Weather Report Suite; 1973-11-25, Feyline Field, Tempe, AZ
 2013年以来、2度目の登場のショウ。10-19に始まる秋のツアー第2レグの千秋楽。第2部3曲目から。この組曲全体が演奏されるのは1974年10月の大休止までで、復帰後はパート3の〈Let it grow〉が独立して演奏されます。

16. Help On The Way> Slipknot!> Franklin's Tower; 1992-03-21, Canada, Copps Coliseum, Hamilton, Ontario
 デッド最後の国外遠征となったカナダでの2日連続、このヴェニューでのショウの2日目。つまりデッドが最後に国外で演奏したショウ。2017、2019、2021に続いて4度目の登場。曲はもちろんオープナー。

17. China Cat Sunflower> Doin' That Rag; 1969-08-30, Family Dog at the Great Highway, San Francisco, CA
 2018年に登場済み。オープナーの2曲。ショウはこのヴェニュー3日連続の最終日。

18. When Push Comes To Shove, The Music Never Stopped; 1988-09-05, Capital Centre, Landover, MD
 初登場のショウ。09-02にこのヴェニューでの4本連続で秋のツアーがスタートする3本目。曲は第一部クローザー。

19. Dire Wolf, Cassidy, Althea; 1981-03-02, Cleveland Music Hall, Cleveland, OH
 この年は02-26からのシカゴでの三連荘で始動、次がこのクリーヴランドでの2日連続。その初日。このショウからは昨年、第二部の〈Space〉からの3曲が登場。今年は第一部の3〜5曲目。

20. Dark Star> Eyes Of The World> Stella Blue, 1973-06-30, Universal Amphitheatre, Universal City, CA; 44:06
 初登場のショウ。06-09から07-01までの夏のツアー第一レグの一環。このヴェニュー3日連続の中日。曲は第二部後半から。

21. Row Jimmy, Let It Grow, 1989-08-05, Cal Expo Amphitheatre, Sacramento, CA; 23:51
 初登場のショウ。07-19で夏のツアーを打上げた後、8月はこのヴェニューとグリーク・シアターで三連荘をします。これはその1番めの三連荘の中日。曲は第一部クローザー。

22. Eye of the world, 1991-05-05, Cal Expo Amphitheatre, Sacramento, CA; 14:27
 前日と同じヴェニューの2年後。前年夏に急死したブレント・ミドランドに代わってヴィンス・ウェルニクが鍵盤とコーラス担当。

 このショウからは《30 Days Of Dead》最初の年2010年にオープナーの組曲が登場しています。


23. Casey Jones, 1971-10-23, Easttown Theatre, Detroit, MI; 06:17
 3日目の〈Tennessee Jed〉に続き、今回2度目に登場のショウ。これは第二部オープナー。

24. Picasso Moon, Just A little Light, 1989-10-20, The Spectrum, Philadelphia, PA; 15:43
 09-29から10-26の秋のツアーの一環。このヴェニュー3日連続の最終日。2004年のボックス・セット《Beyond Description》の CD12のボーナス・トラックとして第一部クローザーの〈California Earthquake (Whole Lotta Shakin' Goin' On)〉がリリースされ、昨年の《30 Days Of Dead》で第一部3曲目の〈Candyman〉が登場。今回はそれに続く2曲。

25. Lazy Lightning> Supplication, 1977-05-18, Fox Theatre, Atlanta, GA; 10:34
 黄金の春のツアーの一環。このヴェニュー2日連続の初日。このショウは2013年、2014年、2020年の《30 Days Of Dead》に登場している。今回は2014年に登場した〈It Must Have Been The Roses〉に続く、組曲で第一部の8、9曲目。

26. Throwing Stones> Foolish Heart, 1989-02-07, Henry J. Kaiser Convention Center, Oakland, CA 1st
 初登場のショウ。この年始動の三連荘の3日目。第二部終盤。この後はクローザーの〈Good lovin'〉。

27. New Minglewood Blues; Ramble On Rose, 1977-04-23, Springfield Civic Center Arena, Springfield, MA 1st
 これも初登場。25日目同様、黄金の春のツアーの一環。曲は第一部4、5曲目。

28. That's It For The Other One> Black Peter, 1970-02-06, Fillmore West, San Francisco, CA 1st
 初登場のショウが続く。このヴェニュー3日連続の中日。曲はクローザー前の2曲。

29. Cumberland Blues, 1972-07-16, Dillon Stadium, Hartford, CT
 夏のツアー第2レグの初日。このショウは2021年の《30 Days Of Dead》に登場。今回はその時の次の次の曲で、第一部12曲目。第一部は後まだ4曲やります。

30. He's Gone> The Other One, 1979-11-25, Pauley Pavilion, University of California, Los Angeles, CA,
 最後も初登場のショウ。サンディエゴ2本とロサンゼルスの3日間の最終日。曲は第二部中盤。この後〈Drums〉に続きます。。

 演奏はどれもすばらしいですが、一部録音が飛んでいたり、音がひずんでいたりして、CD としてのリリースは無理と思えるものがいくつかあります。(ゆ)

 Dead.net から今年のビッグボックス《Here Comes Sunshine 1973》の案内がきたので、早速注文。送料70ドル。計256.98USD。円安がまた進行しているし、送料は相変わらずだが、やむをえん。


 
 収録されるショウは以下の5本。CD17枚組とダウンロード。

1973-05-13, Iowa State Fairgrounds, Des Moines, IA
 第一部クローザー〈Playing in the Band〉が2010年の《30 Days Of Dead》でリリース。
 
1973-05-20, Campus Stadium, University Of California, Santa Barbara, CA

1973-05-26, Kezar Stadium, San Francisco, CA
 第二部6曲目〈Box or Rain〉が2021年の《30 Days Of Dead》でリリース。

1973-06-09, RFK Stadium, Washington, DC

1973-06-10, RFK Stadium, Washington, DC
 第一部クローザー前〈Bird Song〉が2011年の、第二部4曲目〈Here Comes Sunshine〉が2017年の《30 Days Of Dead》で、第三部オープナー〈It Takes A Lot To Laugh It Takes A Train To Cry〉が《Postcards Of The Hanging》で、各々リリース。

 この06-10のショウが独立でCD4枚組、LP8枚組で各々リリース。

 この5本は4月2日までの春のツアーと6月22日からの夏のツアーの間の時期で、この期間、ショウはこれで全部。

 RFK Stadium の2日間はオールマン・ブラザーズ・バンドとの双頭ヘッドで、ダグ・ザームとウェット・ウィリーが前座。9日はデッドが先、10日はデッドが後。10日第3部にはマール・ソーンダース、ディッキー・ベッツ、ブッチ・トラックスが参加。

 ライナー執筆陣の一人 Ray Robertson は《Dave's Picks, Vol. 45》に続いての登場で、あのライナーはなかなか良かったので楽しみ。(ゆ)

 デッドのスタジオ盤リリース50周年記念シリーズとして《American Beauty》が10月30日発売と発表になってます。CD3枚組でオリジナルのリマスターと 1971-02-18, Capitol Theater, Port Chester, NY のショウが完全収録されます。 

 CDの他に限定カラー・ディスク・アナログ盤とその他記念商品が Dead.netオンリーで出ています。いずれも予約可能。

 収録される1971年2月18日のニューヨーク州ポート・チェスターのキャピトル・シアター公演は、24日まで6夜連続のショウの初日。この日は一気に5曲もの新曲が披露されたことでも有名です。初披露の新曲は

Bertha(オープニング)
Loser(前半4曲め)
Greatest Story Ever Told(前半5曲め)
Wharf Rat(前半10曲め。〈Dark Star〉にはさまれる形)
Playing in the Band(後半2曲め)

 このうち、〈Bertha〉は前年末12月15日にサンフランシスコの The Matrix での演奏記録があり、これが公に演奏された初めと思われます。が、この時は Grateful Dead としてではなく、Jerry Garcia & Friends の名義、メンバーはデヴィッド・クロスビーとガルシア、レシュ、ハート。会場はデッドも草創期に演奏したことがある、「30人も入れば一杯の」小さなハコです。DeadBase 50 によれば定員104。

 この5曲はいずれもその後デッドのレパートリィの定番中の定番になりますが、グレイトフル・デッドとしてのスタジオ盤には収録されていません。〈Bertha〉と〈Wharf Rat〉は1971年の《Skull & Roses》が公式リリースとしては初出。つまりこの2曲にはスタジオ版が存在しません。〈Greatest Story Ever Told〉と〈Playing in the Band〉は1972年のボブ・ウィアの初のソロ《Ace》、〈Loser〉はジェリィ・ガルシアの初のソロ《Garcia》1972年に、それぞれ収録されます。

 ウィアの《Ace》については、参加メンバーが実質デッドなので、これをデッドのアルバムに含める向きもありますが、デニス・マクナリーのバンド公式伝記 A Long And Strange Trip によれば、録音の主導権は完全にウィアがとっているので、アルバムとしてはデッドのものとは別物とみるべきでしょう。

 このショウでは Ned Lagin がキーボードを担当しました。

 ここから始まる6本のキャピトル・シアターの連続公演(22日は休み)はデッドのショウの中でもベストのランつまり一連の連続公演の一つとしても名高いものです。これまでに2日め19日のショウが《Three From The Vault》2007として、4日目21日のショウがつい先日出た《Workingman's Dead》50th Anniversary Deluxe Edition に公式リリースされています。また最終日24日のショウのうち3曲が2010、2012、2013と2014年の《30 Days Of Dead》でリリースされています。4回で3曲というのは2012年と2013年が同じ曲のため。今回出る18日も2016年に〈Loser〉、2017年に〈Bertha〉がそれぞれ《30 Days Of Dead》でリリースされています。このランは《Skull & Roses》用にマルチトラック録音されているそうなので、他の3本もいずれ何らかの形で出るでしょう。

Three From the Vault (Dig)
Grateful Dead
Rhino / Wea
2007-07-17


Workingman's.. -Deluxe-
Grateful Dead
Rhino
2020-07-10



 《Skull & Roses》には結局この2月の録音は使われず、その後の4月のフィルモア・イーストでの録音が主に収録されました。ひょっとすると来年《Skull & Roses》50周年記念盤としてこれらの完全版が出るかもと期待しましょう。

 この連続公演はまたブルックリンの  Dream Laboratory に協力してテレパシーの実験が行われたことでも知られます。ステージ後方のスクリーンに映し出された図形を聴衆はテレパシーで Dream Laboratory に送るよう努めることを要請されました。実験の結果はテレパシーが成立したとされています。

 会場のあるポート・チェスターはマンハッタンから北東にロング・アイランド海峡沿いに約70キロほど行ったコネティカット州との境のすぐ前にある町。キャピトル・シアターは1926年に建てられた1,800人収容のコンサート会場です。当初は映画館として造られ、1970年代にコンサート会場に改修されました。今世紀初頭は使われる頻度が減りましたが、2011年に大改修されて、再び盛んにライヴが行われています。

 デッド以外にもジャニス・ジョプリン、パーラメント-ファンカデリック、トラフィック、デヴィッド・ボウイ、ストーンズ、フィッシュなどがここでライヴをしています。2011年の改修後の柿落しはディランでした。

 デッドはここで1970年3月20日から1971年にかけて計13日18本のショウをしています。その最後がこの6本です。

 1971-02-18のショウはまた、ミッキー・ハートがこれを最後に3年半、バンドから離れたものでもあります。

 デッドのマネージャーをしていたミッキーの父親の Lenny Hart (1919-1975) は、1970年3月、多額のバンドの金を持って失踪します。レニーは独自の教会の牧師もしていて、デッドが稼いだカネをそちらに流用していたのがバレ、責任を追求される直前に高飛びしたのでした。翌年6月サン・ディエゴで発見され、裁判で有罪とされて半年の懲役刑に服します。バンドは民事訴訟することはせず、代わりにハンター&ガルシアが〈He's Gone〉を作りました。この歌はレパートリィの定番となり、とりわけ、周囲の誰かが亡くなると追悼として演奏されました。

 この事件は当然ミッキーには大変なショックでした。もともと父親をマネージャーに薦めたのはミッキーでもありました。他のバンド・メンバーやクルー、スタッフがミッキーを責めることは一切ありませんでしたが、自責の念からショウに出ることもままならなくなります。1971年2月のツアーにも同行し、超能力実験をやった心理学者が催眠術をかけて、18日の初日にはステージに何とか上がりますが、終演後、ハートの状態を危ぶんだ心理学者はかれをロング・アイランドの実家に連れていきました。復帰するのは1974年10月20日、ウィンターランドでの、デッドがライヴ活動を休止する最後のショウでした。

 《American Beauty》は《Workingman's Dead》とともに、デッドのスタジオ盤としてはダントツに評価が高く、また実際、質も高いものであります。かの「ブラックホーク」にもこの2枚はありましたし、あたしがデッドにハマる前に聴いていたのもこの2枚だけでした。この2枚はまたピグペンのバンドからガルシアのバンドへというデッドの方向転換の軌跡でもあり、これを促進したものでもあります。

 この次のスタジオ盤は1973年の《Wake Of The Flood》になるので、50周年記念盤もしばらくは出ませんね。もっとも、デヴィッド・レミューの口振りでは、今年はもう一つ、隠し玉があるかもしれません。(ゆ)

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