クラン・コラ・ブログ(アイルランド音楽の森)

 アイリッシュ・ミュージックなどのケルトをはじめ、世界各地のルーツ音楽を愉しむブログです。そうした音楽の国内の音楽家も含みます。加えて主宰者の趣味のグレイトフル・デッド。サイエンス・フィクション、幻想文学などの話もあります。情報やメモ、ゴシップ、ただのおしゃべりなどもあります。リンク・フリーです。

タグ:三味線

 唄の山本謙之助、三味線の山中信人のお2人による津軽民謡と津軽三味線のライヴはすっかり Winds Cafe 春の定番になって、毎年楽しみだ。通えるかぎりは通いたい。年齡からいえば山本さんが最年長だが、ますますお元気で、この方を前にするとあたしの方が先に行きそうな気がしきりにする。唄をうたうことは身心の健康に良いと言われるが、その生きた証がここにおられる。

 前半は例によって山中さんのソロ。今回はいつもとはいささか趣を異にして、演奏というよりは講演。山中さんは今年50歳になり、入門した時の師匠・山田千里の年齡60歳まであと十年。60歳の時の師匠に追いつけるか、これからの十年が正念場と言う。そこでまず山中さんが師匠を「発見」した〈あいや節〉。津軽三味線名演を集めたテープの中の1曲。その鄙びた味わいに惹かれたのだそうだ。この演奏はむろん師匠へのオマージュだ。

 山中さんは立って弾く。楽器を吊るす紐などはない。三味線の音は実に切れ味が良く、勢い良く飛びだしてくる。犬皮でなく、プラスティックを張っていると後で明かされる。繊細な響きとパワーが同居している。弦を撥が弾く音と、撥が胴に当たる音がほとんど同時に鳴る。

 この楽器は能登の人が使っていたもので、地震でとても三味線は弾けなくなったから処分してくれ、とボランティアで行った山中さんの友人が託された。その友人から山中さんが預る形で今使っているそうだ。ペグは黒檀。

 最近の傾向への批判も飛びだす。ネット上の動画などで、他の奏者の演奏が沢山、簡単に見られるようになった。そのせいで、どの奏者もスタイルが似てきている。昔は皆ローカルでやっていたから、独自の奏法をもっていた。と言って、高橋竹山や木田林松栄のスタイルで弾く。竹山は木の撥を使っていて、折れないようにやさしく弾く。林松栄は鼈甲の撥なので派手だ。

 他人の演奏を簡単に視聴できるようになって、伝統芸能の演奏スタイルが似てくることは津軽三味線だけではない。アイリッシュ・ミュージックの世界でも起きていて、ネット以前からやっている人たちはどこでも危惧している。もっともテクノロジーの導入が伝統音楽の奏法やスタイルに影響することは今だけの話でもない。SP盤が現れた時も、ラジオ放送が始まった時も、同様のことは起きた。今回は規模が違うから自信をもって言えるわけではないが、そう悲観することもないだろうとあたしは思っている。何らかの表現をする人間は最後のところでは他人と違うところを出したいはずだからだ。みんな似ていると感じるのも、やっている人間の絶対数が増えているからということもあるのではないかとも思う。当然凡庸な演奏者が大部分なわけで、そういう人たちは誰かのコピーをするので精一杯だろう。もちろんこれもすべてがそうだとは言えないが、伝統音楽の世界では、演奏者の絶対数は増えているだろう。なにしろ接するチャンスが飛躍的に増えている。音楽伝統やその背後の文化とは無縁の人たちが増えていることはまた別の問題だ。

 それはそれとして、他の人たちのように東京に行かず、津軽からついに出なかった山田千里の流儀を伝えていこうという山中さんの志には共鳴する。〈黒石よされ〉を東京流と山田流で弾きわけたのは面白かった。さらに山田流の〈じょんがら節 中節〉もいい。

 そうして山中さんの本領が出たのが最後の〈さくら〉。フリーリズムのおそろしく凝ったイントロから、デフォルメしまくり、インプロに展開し、ロック・ギターのストローク奏法を自乗したような奏法が炸裂する。弦を皮の上で指をそろえた左手で押えて出す音がたまらん。このスピードは三味線でしか出せないだろう。単なる速弾きというのではない、細かい音がキレにキレながらすっ飛んでゆく。近いものといえばウードだろうか。


 後半の歌伴の楽器は本来の犬皮と象牙のペグ、鼈甲の撥。全然違いますね。こちらの方が響きが深い。うーむ、あたしはこっちの方が好きだなあ。

 山本さんが Winds Cafe に出るようになって今年は十年。それもあってか、この日はすばらしかった。十回全部見られたわけではないが、見た中では文句なくベストの歌唱。川村さんも同意見だったから、これまででベストの出来だったことは確か。声の張り、響きの充実、コブシの回しと粘り、それに力を抜いて声が細く消えてゆくところが見事だ。津軽民謡といわず、伝統歌謡といわず、人の唄として最高だ。

 三味線とのかけあいもぴったりというより、三味線が乗せ、それに唄も乗ってゆく、その呼吸が絶妙というしかない。山中さんは唄のイントロでもはじけていて、唄う方の気分をかきたてる。

 他の唄と変わっていたのが6曲目〈やさぶろう節〉。実話を元にしたバラッドで、歌詞は本来15番まであるそうな。嫁いびりがひどく、10人の嫁を息子にとって全部いびって追いだした婆さんの話。これを山本さんはコミカルに唄う。笑わせよう、笑ってくれというのではない。この唄はどうしてもこうなるという自然な感じだ。だからよけい可笑しい。

 ラストの〈山唄〉とアンコールの〈あいや節〉で山中さんは尺八を吹く。これもお見事。音楽のセンスの良さがこういうところに現れる。

 母の不在の感覚がだんだん強くなっていて、ともすれば落ちこんでいたところに、たっぷりと元気をいただいて、感謝の言葉も無い。93歳という年齡から、いつ、どういう形で来るか、いつも冷や冷やしていたから、ついに決着がついたことでほっとした部分は否定できない。一方で、もう二度とその存在を実感できない喪失感は、時間が経つにつれてむしろ強くなっている。日常のふとした折り、たとえばやっていることが一段落して次に移る転換の時に、その二つの想いが対になってじわっと湧いてくることがある。すると、しばらくそこから離れられない。やるべきことはすべてやっていたかと思ったりもする。そうしてすがるようにして音楽を聴く。本は読む気になれない。ここしばらくのライヴはどれもずっと前からスケジュールに入れていたものだが、まるで図っていたかのようなタイミングでその日がやってきて、おかげで何とか保っている。気もする。

 山本&山中デュオは来年も Winds Cafe で演ることが決まった。会場は変わるが、やはり元気をもらえるだろう。ありがたや、ありがたや。(ゆ)

http://tatsutoshi.my.coocan.jp/WindsCafe316.html

 いつものように早めに着くと、3階のホールの扉が開いていて、三味線の音が聞える。なにか、すごく響きがいい。この日は晴れて空気が乾いており、こういう時は三味線は音が良くなるのだそうだ。

 響きが良く聞えたのはもう一つ理由があって、山中さんが2本持ってきた三味線の片方が、プラスティックを張ったものだったこともある。こちらはまったく音を吸わずに反射するから、響きがシャープで明朗になる。もう1本は従来の犬の皮を張ったもので、弾き比べをすると、明らかに音が柔かく、音程も低めになるように聞える。あまりいい例ではないだろうが、フラット・ピッチのイリン・パイプのようだ。なぜ、プラスティックの楽器を持ってきたかは後で書くが、撥も鼈甲とプラスティックとがあって、犬の皮の楽器をプラスティックの撥で弾いても、プラスティックの楽器を鼈甲の撥で弾いても、やはり音が変わる。さらには、同じ撥でも、張りだした上の両端がまったく同じではなく、どちらを使うかで音は変わるのだそうだ。

 山中さんはパンデミックが始まる前は、1年365日のうち360日近く、何らかの形で仕事をされていた。公演やリハーサルや、あるいは教授などで、三味線を弾かない日はなかったそうな。それが、ある日を境にぱったりと無くなった。そうすると、ゲームばかりやっていたという。たまに三味線を弾いても、まったく面白くない。音楽家、演奏家といわれる人たちは、人前で演奏することが止まるととたんに腕が落ちる由だが、それはたぶん、モチベーションが落ちて、演奏することが楽しくなくなるからではないか。

 山中さんはそこで尺八をあらためてやり始めた。うたもうたい始めた。そうして尺八やうたが上達するにつれて、ようやく三味線も再び楽しくなり、また上手くなっていった。ということで、この日は1曲、尺八で高橋竹山の〈竹〉という曲をやる。竹山も尺八を吹いた。雨の日はカドヅケで三味線は弾けない。代わりに尺八を吹いたわけだ。

 山中さんの尺八がまた実によいのは、やはり音楽家としてのセンスが抜群なのだろう。巧いことは巧いがセンスの無い人というのはいるものである。そういうのに当ると気の毒にもなるが、聴かされる方はたまらない。困ったことに、センスというのは鍛えてどうなるというものではない。多少、磨くことはできるだろう、たぶん。

 いつものようにまず前半は山中さんのソロとおしゃべり。上に書いたようなことをおしゃべりしながら、即興をやる。初めはなにか新しい作曲かとも聞えたが、聴いているうちにだんだんこれは即興だろうと思えてきた。かなり長い演奏で、 津軽三味線の様々なテクニック、フレーズを次々に展開してゆく。時折り、そこから外れて、をを、と声をあげたくなる瞬間もある。見事に締めてから、「今のは適当にやりました」。とはいえ、こういう風に弾いていると、かれこれ35年間弾いてきて、初めて出現したフレーズがあるとも言う。

 前半の締めは〈じょんがら節〉。プラスティックの楽器を鼈甲の撥で弾く。確かに、プラスティックの楽器+プラスティックの撥と犬の皮の楽器+鼈甲の撥の中間の響きがする。

 後半、山本さんの唄は〈あいや節〉からで、伴奏は犬の皮の楽器。曲によって楽器を使いわける。1曲目からよく声が出ている。こりゃあ、今日は調子がいいぞ。山本さんの唄にはグルーヴがある。それが明瞭に出たのは3曲目〈よされ節〉。スピードに乗った速弾きの三味線伴奏に、唄はゆったりしたグルーヴでうねってゆく。これですよ、これ。

 4曲目〈鯵ヶ沢甚句〉からプラスティックの楽器の伴奏。山中さんが聴衆に手拍子をとらせる。これは初めての気がするが、悪くない。

 6曲目〈津軽山唄〉は尺八の伴奏。これがまたいい。

 7曲目〈津軽三下がり〉で犬の皮の楽器に替え、次の 〈りんご節〉で、またプラスティックの楽器。ここで山本さんの声に一段とハリが出る。中音域がぐわっと押し出してきて、圧倒される。

 9曲目の〈じょんがら節〉で、新節と旧節の違いを山中さんが説明する。新節はどんどん上に上がってゆくメロディ。旧節にまた新旧があり、新旧節は新節と対照的に下がってゆくメロディ。そして旧の旧節は踊りの伴奏で、とても速い。踊りの伴奏が速いというのは面白い。アイリッシュ・ミュージックでも同じで、同じダンス・チューンの演奏でも、ダンスの伴奏はとんでもなく速くなる。聴くだけの場合にはゆっくりになるのだ。

 メロディで音が上がってゆくのは、その方が華やかで明るくなるかららしい。歌謡曲やポップスに対抗して生まれてきたそうな。あたしはやはり下がってゆく、おちついたメロディの方が好み。

 お二人とも実に久しぶりに人前で演奏されるそうで、とりわけ、山本さんはパンデミックが始まって以来、ほぼ初めての由。そのせいか、この日は途中で歌詞を忘れることが再三ある。津軽民謡は歌詞で聴かせるものではなく、自由な即興の「はあ〜」や、歌詞の最後をコブシを回して延ばすところが肝なので、歌詞をまちがえたとて大勢に影響はないのだが、カラダに染みこんでいるはずの歌詞が出てこないのは唄っていて気分が悪くなるのだろう。とりわけ山本さんは稼ぐために唄うのではなく、唄うのが楽しいから唄うので、気持ちよく唄えないのはガマンならないのだ、きっと。リハーサルでは気持ちよさそうに唄っていたそうだから、この春80歳になったから物忘れがひどくなった、ということでもないだろう。

 聴衆が入っての本番はやはり緊張し、その緊張がやりがいを生む。今日はリハーサルでは乾いていた空気が、人が入るとやや湿り気を帯びる。その湿り気に気が引き締まる。しかし、本番の空白が長かったために、その緊張が仇となった、ということらしい。

 なので、来年春、捲土重来を期すことになる。あたしとしては、理由はなんであれ、このお二人の生が聴けるのなら、それもこのカーサ・モーツァルトのような小編成の生楽器や声を聴くには最高の環境で聴けるのなら、何の文句もなく、双手をあげて賛成する。

 ところでプラスティックを張った三味線である。山中さんがこれを作って公演でも使っているのには主に二つ理由がある。一つはまずプラスティックの楽器の質が上がって、人前での演奏に使ってもまったく問題ないレベルになったこと。従来は、稽古にはともかく、とても人前で弾くには耐えられなかったのだそうだ。それがここ数年で急速に良くなってきた。これを促進したのは、犬の皮そのものの入手が困難になってきたことがある。

 もう一つの理由は、比較的最近、外国人の前で演奏した時、演奏の後の質疑応答で、いつまで犬の皮を使っているのか、という質問をされたことである。これから海外に演奏に行く際、動物由来の材料を使っていることが支障をきたす原因になりかねなくなる、という判断だ。撥の鼈甲もそろそろ危ないらしい。

 海外から来た聴衆の指摘に山中さんは素早く反応したわけだが、楽器、とりわけ伝統的な楽器の材質の問題は一筋縄ではいかない。実際、犬の皮の楽器のやわらかく、低めの響きは、プラスティックではまだ出ないし、ひょっとするとついに出ないかもしれない。楽器は形だけでなく、それを作っている材料も含めて成り立つものだ。バゥロンは山羊革が伝統だが、たとえばプラスティックに替えて、あの響きが出るのか。あるいはプラスティック三味線のように、響きが変わるだろうか。すると、それは同じ楽器と言えるのか。

 それにプラスティックそのものが、今や悪者扱いされている。レジ袋はダメだが、三味線はOK、というわけにもいかないだろう。

 倫理的問題の前に、犬の皮の供給が途絶える可能性もあるらしい。三味線に張られた皮は破れるのだそうだ。いつ破れるのかはわからない。張ったばかりですぐに破れることもある。いずれにしても、使っていればいつかは必ず破れる。だから、必ず予備の楽器か皮を持っている、と山中さんは言われる。

 ちなみに、棹の方はもっとずっと長く保つが、弾いていると弦の下がえぐれてくるそうだ。溝があまりに深くなると、鉋で削って平らにしてもらう。またえぐれてくぼむ。また削る。で、だいたい30年くらいでもうこれ以上削れなくなるほど薄くなり、その楽器は役目を終える。

 一応イベントについての制限もなくなったものの、患者数はまた増えていて、第9波という声も聞え、どうもすっきりしない。それでも、このお二人の音楽、地の底からどくどく湧いてくるような音楽を浴びせかけられると、言いようのない幸福感に浸される。生きていてよかったと心底思う。これからも生きてあるかぎりは、精一杯生きようとも思えてくる。ジャンルとか、形態とかは関係ない。お二人の人間としての存在の厚みが、そこを通ってくる音楽を太く、中身がみっちり詰まったものにしている。ありがたや、ありがたや。(ゆ)

山本謙之助: 唄
山中信人: 三味線, 尺八
 

 瞽女うたを現代に受けつぐ月岡祐紀子のライヴが来月9日、東京・三軒茶屋の Winds Cafe であります。こいつは見逃せない。

 月岡さんはCDもありますが、やはりライヴが圧倒的です。とくに Winds Cafe はノーPA、直近で体験できます。前回の「葛の葉の子別れ」はほんとうに素晴らしかった。楽しみであります。

 うっかりしていて、メルマガの方には載せ忘れてます。
 (ゆ)も行くつもり。

--引用開始--
 1997年1月にスタートした WINDS CAFE も、2007年には、ついに11周年目を迎え
ることになりました。これも、ご来場いただいた皆様、そして企画してくださった
方々のおかげです。2007年からは吉祥寺から三軒茶屋へと場所を変更いたしますが、
主旨に変更はございません。素敵な企画をたくさんご用意してお待ちしております
ので、どうぞお誘い合わせの上、お運びください。


           ● WINDS CAFE 129 in 三軒茶屋 ●

                          【ごぜ・うた・がたり】

                    月岡祐紀子(瞽女唄・民謡・三味線)

                  2007年9月9日(日) 午後2時開場

レンタルスペースSF 東京都世田谷区太子堂2-12-10 TEL 03-3419-5449

入場無料(投げ銭方式)/パーティー用の差し入れよろしく!(主にお酒や食べ物)

14:00  開場
14:30  開演
16:00 パーティ+オークション


▼プログラム

 「山椒太夫〜船別れの段〜」など


▼川村からひとこと

 昨年10月 WINDS CAFE 118【ごぜうたがたり】で、30分にも及ぶ段物「葛の葉の
子別れ」の一段目通しに挑戦した月岡さんに、ぜひまた聞きたいとのかけ声がかか
り、再演が決定しました。この1年、あたかも本物の瞽女(ごぜ)さんのごとく日
夜歌い続けてきたというのに、ここへ来て何やら思うところがあったそうです。
【ごぜうたがたり】から【ごぜ・うた・がたり】へのタイトル変更は、更なる飛躍
の兆しか、はたまた内省期開始のシグナルか。当日は何がおこってもおかしくない?


▼月岡祐紀子さんからの手紙

 盲目の女性旅芸人の芸能、瞽女唄。語り物芸能の源流とも言える彼女達の芸能を、
実演を通してご紹介できればと思います。


▼プロフィール

月岡祐紀子(つきおか・ゆきこ):武蔵野女子大学(現武蔵野大学)文学部日本
文学科卒。第44期NHK邦楽技能者育成会終了。幼い頃より民謡を学ぶ。三味線を
本條秀太郎氏に師事。高校生の時、盲目の女旅芸人の芸能、瞽女唄、瞽女三味線と
出会い、感銘を受け新潟へ。最後の瞽女といわれる小林ハル氏、杉本シズ氏、難波
コトミ氏らの元に通い交流を重ねる。瞽女芸能の本場である上越市とのかかわりも
深く、「2002年度瞽女憲章記念公演」に出演を招かれて以来、年2回程度、市主催
の文化イベントに出演。大学卒業時、瞽女の旅を追体験しようと、三味線を奉納演
奏しながらの四国八十八ヶ所歩き遍路に挑戦。その様子が、ドキュメンタリー番組
「娘三味線へんろ旅」(愛媛県南海放送制作・ナレーション桃井かおり氏)として、
全国放送され、放送文化基金賞の出演者賞を受賞。この旅日記を朝日新聞四国版、
関西版に1年間連載、加筆後「平成娘巡礼記」として刊行。和楽器のオーケストラ
グループ「むつのを」メンバー。

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▼以下は WINDS CAFE 公式サイトでご確認ください。

 会場地図
 オークションについて
 予告編
 過去の企画

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 WINDS CAFE とは、1997年1月から、川村龍俊が、音楽を中心に美術演劇映画など
さまざまなジャンルの方々に企画していただきながら続けている、イベント+パー
ティーです。

 いわゆる「オフ会」ではありません。

 基本的に入場料は無料、出入り自由で、パーティーでの飲食は参加者のみなさま
からの差し入れを期待しております。

 ご来場にあたって予約は必要ありません。

 WINDS CAFE のコンセプトは、「好きなことやものを楽しんでいる人と一緒にい
るのはなんて楽しいことだろう」です。出演を依頼するときには、このコンセプト
を共有していただけることが条件になっています。

 第1回から第120回までは、現代陶芸家の板橋廣美氏の私邸である、東京吉祥寺の
空中庭園 WINDS GALLERY を会場として行ってきましたが、2007年1月の第121回か
らは、建築家の藤村貞夫氏の私邸である住宅街の隠れ家「レンタルスペースSF」に
て開催しています。
--引用終了--

 東京・吉祥寺の月刊イベント Winds Cafe の来月は瞽女の唄を受継ぐ月岡祐紀子さんのライヴだそうです。これはちょっと見逃せないでしょう。特に第二部。

 瞽女ってなんだ、という方は、とにかくこの2枚のCDを聞いてください。
瞽女うた 長岡瞽女編
瞽女うた 高田瞽女編



                    ● WINDS CAFE 118 ●

                            【ごぜうたがたり】

                       月岡祐紀子(民謡唄・三味線)
                  10月15日(日) 午後6時開場
   WINDS GALLERY 東京都武蔵野市吉祥寺本町3-4-11 7F *電話はありません
入場無料(投げ銭方式)/パーティー用の差し入れよろしく!(主にお酒や食べ物)
18:00 開場
18:30 開演
20:00 パーティー+オークション

▼プログラム
 第一部 広大寺節を追って 〜瞽女唄から民謡へ〜
 第二部 段物「葛の葉の子別れ」(一段目通し)

▼川村からひとこと

 昨年秋、鼓奏者の仙堂新太郎さん経由で、三味線奏者の吉澤昌江さんから、連絡
が入りました。吉澤さんの勤務先の盲学校の文化祭の資料室の展示コーナーに、月
岡さんがいらした、という内容なのですが、この先が面白い。曰く:「盲目の女旅
芸人ごぜ芸能の伝承者として活躍されている方のようです。(この方は若い晴眼の
方ですが。)こういう方の瞽女歌も WINDS CAFE でやったらいいのではと、ふと思
いました」とあるではありませんか。吉澤さん経由でさっそく打診してみたら、今
回の公演があっという間に決まりました。なんかもりだくさんなプログラムになり
そうで、今から大変楽しみです。課題図書(笑)も下の方にございますので、ぜひ事
前にご一読のほど。当日お持ちくださればもれなくサイン会(笑)。


▼月岡祐紀子さんからの手紙

 瞽女(ごぜ)をご存知の方は、果たしてどれくらいいらっしゃるでしょうか。瞽
女というのは、盲目の女旅芸人のことです。三味線と唄を生きる杖に、女性のみの
集団で旅と芸に人生をおくりました。

 古くは室町時代の文献にも登場し、日本全国にいましたが、明治以降しだいに数
を減らし、新潟にわずかに残るのみとなり、ついに昨年、最後の瞽女となられた小
林ハルさんも亡くなられてしまいました。

 瞽女さんたちの芸の中心は、説経節の流れをくんだ「安寿と厨子王」などの長大
な物語歌の弾き唄い。そしてまた、民謡など当時のはやり唄を風のように運んでい
く伝播者でもありました。

 今回のライブでは、第一部では、瞽女さんがはやらせ、津軽のじょんがら節を生
み出したと言われる「広大寺節」の流れを歌で追ってみたいと思います。

 第二部では、物語唄「葛の葉の子別れ」一段目の通し演奏に挑戦します。一段が
約40分(全段で3段)と長いため、なかなか通し演奏の機会に恵まれないのですが、
今回 WINDS CAFE という自由な場を得て通しが実現しました。往時には集まった村
人が、一晩目は1段目、翌晩は2段目と、わくわくしながら聴いていったという、連
続ドラマのようであった物語唄。どうぞお楽しみに!

*「葛の葉の子別れ」ストーリー:しのだの森に住む化狐は、罠にかかっていると
ころを阿部保名というお侍に助けられる。保名に恋をした狐はいいなずけに化けて
嫁入りし、かわいい息子も生まれるが、ある日正体がばれ、泣く泣くしのだの森に
帰っていくのだった。


▼プロフィール

●月岡祐紀子(つきおか・ゆきこ):武蔵野女子大学(現武蔵野大学)文学部日本
文学科卒。第44期NHK邦楽技能者育成会終了。幼い頃より民謡を学ぶ。三味線を
本條秀太郎氏に師事。高校生の時、盲目の女旅芸人の芸能、瞽女唄、瞽女三味線と
出会い、感銘を受け新潟へ。最後の瞽女といわれる小林ハル氏、杉本シズ氏、難波
コトミ氏らの元に通い交流を重ねる。瞽女芸能の本場である上越市とのかかわりも
深く、「2002年度瞽女憲章記念公演」に出演を招かれて以来、年2回程度、市主催
の文化イベントに出演。大学卒業時、瞽女の旅を追体験しようと、三味線を奉納演
奏しながらの四国八十八ヶ所歩き遍路に挑戦。その様子が、ドキュメンタリー番組
「娘三味線へんろ旅」(愛媛県南海放送制作・ナレーション桃井かおり氏)として、
全国放送され、放送文化基金賞の出演者賞を受賞。この旅日記を朝日新聞四国版、
関西版に1年間連載、加筆後「平成娘巡礼記」として刊行。和楽器のオーケストラ
グループ「むつのを」メンバー。

平成娘巡礼記」(文藝春秋新書)
うらやましい人 '03年版ベスト・エッセイ集」(文藝春秋社)集録
遍路組曲」(東芝EMI)

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▼以下は WINDS CAFE 公式サイトでご確認ください

 会場地図
 オークションについて
 予告編
 過去の企画

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 WINDS CAFE とは、1997年1月から、川村龍俊が、現代陶芸家の板橋廣美氏の私邸
である、東京吉祥寺の空中庭園 WINDS GALLERY を私費で借り上げて、音楽を中心
に美術演劇映画などさまざまなジャンルの方々に企画していただきながら続けてい
る、イベント+パーティーです。いわゆる「オフ会」ではありません。

 基本的に入場料は無料、出入り自由で、パーティーでの飲食は参加者のみなさま
からの差し入れを期待しております。

 ご来場にあたって予約は必要ありません。

 WINDS CAFE のコンセプトは、「好きなことやものを楽しんでいる人と一緒にい
るのはなんて楽しいことだろう」です。出演を依頼するときには、このコンセプト
を共有していただけることが条件になっています。

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