お足許の悪い中、標題のイベントにお越しいただき、まことにありがとうございました。無事、終えることができて、肩の荷を下ろした気分です。今回はいろいろな事情が重なって、準備に手間どり、バラカンさんをもやきもきさせてしまいました。
今回もいつものように、これまで聴いていないものということだけで、あまり考えずにパっと浮かんだ曲を聴いていったわけですが、どれもこれも段々長くなり、また長くなるほどに演奏が良くなり、加えてどれもこれも力演熱演名演のオンパレード。聴いている間は至福、聴いてから、さあどれにしようと七転八倒の繰り返し。
たとえば〈Scarlet Begonias> Fire on the Mountain〉は手許にあるものが50本。1976年までは〈Scarlet Begonias〉単独もありますが、これもやはり段々長くなります。つながると、ほとんどは20分、最長30分を超えます。トータル14時間半強になりました。
こういう時に限っていろいろなものが集中する間を縫って聴きます。さすがに1本がこれだけ長くなると、3本4本と続けるわけにもいきません。それに、今回聴いた曲はどれもそうなのですが、バンドがいかにも愉しんで、嬉しくてたまらない様子で演奏しているのがありありとわかります。これには引き込まれます。聴き終ってすぐ、よおし、さあ次、というわけにはまいりません。
というわけで、このペアの3本に絞った最終候補プラス「スカベゴ」単独の1本をバラカンさんに送ったのが1週間前。それからばたばたと他の曲を聴いては選びして、何とか前日までにセレクションを終えて滑り込みセーフ。
聴いた音源のソースをあらためて上げておきます。
Eyes Of The World
1990-03-29, Nassau Coliseum, Uniondale, NY
from Spring 1990 (The Other One)
Sugaree
1979-12-28, Oakland Auditorium, Oakland, CA
from Road Trips, Vol. 3 No. 1
The Music Never Stopped
1977-11-06, Broome County Veterans Memorial Arena, Binghamton, NY
from Dave's Picks, Vol. 25
Scarlet Begonias> Fire On The Mountain
1994-10-01, Boston Garden, Boston, MA
from 30 Trips Around The Sun
Mississippi Half-Step Uptown Toodeloo
1977-11-06, Broome County Veterans Memorial Arena, Binghamton, NY
from Dave's Picks, Vol. 25
ばたばたの余波で、前回聴いていたのを完全に忘れ、〈Ripple〉をアンコールにしようとしてました。一つには先日、この曲の面白いビデオを教えられたことがあります。世界各地のミュージシャンたちが、各々の居場所で各々に参加し、全員がネットでつながって全体としてこの曲を演奏しているもの。ドラムスがビル・クロイツマン。
名曲だあ、とあらためて思い知らされたわけですが、前回聴いていたのに気がついたのが昨日の朝で、別の曲に入れ換える余裕もなく、頭を捻って思いついたのがカヴァーを聴くことでした。
この曲は名曲ですが、デッドやガルシア本人の演奏は正直今一つピンとくるものが無いこともあります。むしろ他人がカヴァーしたものの方が圧倒的に良い。その一つを聴いたらどうだろうというので、本番前にバラカンさんに聴いていただいてOKが出たのがこのヴァージョン。
アカペラ・コーラス・グループ The Persuasion です。かれらはデッドだけでなく、U2の楽曲のカヴァーで1枚アルバムを作ったりしてます。このヴァージョンは録音もすばらしく、風知空知のタグチ・スピーカーの威力を十二分に発揮してくれました。
これに限らず、今回はこれまでの4回にも増してサウンドが良いという評価をいただき、多少ともこだわっているあたしとしては嬉しいかぎりです。あまり音が良いのでバラカンさんも思わずツイートしてしまったそうです。音源そのものの録音も良いものが多かったこともあります。77、79年はいわゆる「ベティ・ボード」。
昨日書いたことに反して、結局、MacBook Pro 13-inch 2016 で Audirvana+ でファイルを再生し、USB で Mojo、さらに真空管ハーモナイザーから店のPAに入れました。真空管ハーモナイザーがその威力をこれまた十二分に発揮してくれたんですが、それとともに USB ケーブルを USB-C から USB 2.0 の microB に直接つなぐものにしたのが大きいのではないかと思っています。これまでは Apple 純正の USB-C アダプター経由で iFi の iDefender 3.0 をかませて Mojo に入れてました。iDefender 3.0 の効果は大きいんですが、Apple の USB-C アダプターがおそらくボトルネックだったんでしょう。なお、30 Trips Around The Sun 所収の 1994年のみ 96/24 のハイレゾ・ファイル、他はCDからリッピングした 44.1/16 です。
この「21世紀をサヴァイヴするためのグレイトフル・デッド入門」のシリーズはこれで一応「休止」しますが、The Persuasions の〈Ripple〉から思いついて、デッドのカヴァー、つまりグレイトフル・デッドの楽曲を他のミュージシャンたちがカヴァーしたものを集めてみたらどうだろうということになりました。バラカンさんも乗り気で、お店からもぜひと言われたので、いつになるかはまだまったく未定ですが、まあ来年の春ぐらいでしょうか。デッドも「休止期」中の1975年にも4本だけですが、ショウをしてますし。
とまれ、これで年内の自分がやるイベントはすべて終了。書かねばならない原稿はまだ山のようにありますが、それは独りでしこしこやればいいので、気が楽です。今回のように相手がいる時はまだいいんですが、人前でしゃべるのは、だんだん億劫になってきました。やっぱり、見たり聴いたりする側にいるのが身の丈に合ってます。
まずは、バラカンさん、鈴木さん@アルテスパブリッシング、風知空知のスタッフの皆様、ありがとうございました。そして最後ですが最大の御礼を、おいでいただいて、グレイトフル・デッドという空前絶後のミュージシャンたちの名演をともに体験してくださったお客様に捧げます。(ゆ)