は方法が変更になりました。点滴から服薬になり、一番強い薬がなくなりました。
1日3回、食事の前後1時間ははずす、というルールで飲むのは、慣れてしまえば気になりませんが、時にめんどうではあります。
この形で4週間服用、1週間休み。
ということでやったんですが、副作用がきつくなりました。
今年の夏の暑さのせいか、薬が蓄積されていたせいか、体のあちこちに発疹が出て、むしょうに痒くなる症状がひどくなりました。顔や手、腹など、真黒なできものが重なり、リンパ液がじくじくと滲み出るという状態。
服用を始めて5週間後の診察で、これを一目見た主治医は即座に、「一度抗がん剤治療を停止しましょう」。痺れを軽減するために飲んでいた漢方薬も停止。かゆみ止めの抗アレルギー剤が処方され、紹介状を持たされました。それを持って翌日近くの皮膚科へ。塗り薬が処方されました。かなり強力なものらしく、顔用には別の塗り薬。それをたっぷりと塗るようにと実例を示されました。
せっせと塗ったせいか、現在はかなり症状は良くなり、薬も中くらいの強さのものに代わりました。が、まだ体のあちこちがかゆくなる症状は続いています。皮膚科の先生によると、これが抗がん剤によるものかどうかは、もう一度抗がん剤を試してみないとわからない、もともと皮膚があまり丈夫な方ではないようだから、加齢によって現れたものかもしれない。ということで、とにかくかゆみがあらわれたら即座に薬を塗るように、との指示。この先生はあまり内服薬がお好きではないのか、抗がん剤治療中といういささか特殊な条件のせいか、内服は出ませんでした。正直言うと、出してもらいたいところでしたが、たしかに肝臓には負担がかかっているので、なるべく休ませてやるのも大事ではあろう、とあえて申請はしませんでした。
抗がん剤による痺れを軽減する漢方薬も停止になったので、痺れは少しもどってきました。
それにしても痒いというのは、まことに辛いものである、と今回思い知らされました。痛みは鼓舞される、というと言い過ぎかもしれませんが、まだ対抗のしようもある気がしますが、痒いのはひたすら意気を阻喪させられだけです。つっかえ棒になるものがありません。また、何かに集中することもできない。本を読む、音楽を聴く、ブログを書く、といったことにまるで意欲が湧きません。最低限、どうしてもしなければならないこと、メシを食う、クソを放る、先に延ばせない仕事をする。それものろのろとする。眠るのも体のあちこちが代わる代わる痒くなるので、寝入ることもできません。一番ひどい時は、夜中前に床についても、明け方まで輾転として、ふと気がつくと昼過ぎ、という状態が続きました。紫外線を絶対的に避けなければならないので、昼間外出できず、したがって散歩もできません。買物すら、日没後。吸血鬼生活です。
そんな中でまだしもそれほど消極的ではなかったのは料理でした。料理というより、食事のしたくをすること、と言うべきでしょう。適度に体を動かし、適度に頭も使うという点では、食事のしたくほどバランスのとれたものはそう多くない、と思いながらやっていました。
ここ2、3日、急激に気温が下がったおかげもあるのか、かゆみは軽くなってきています。今は顔が一番痒いかな。それと腹、腿の付け根と太股の裏側、尻、背中、臍、などが時おり無性にかゆくなります。それっとばかり薬を塗るわけですが、もう少し頻度が収まってくれないと、おちおち遠出もできません。ライヴの最中にいきなりシャツをめくって塗るわけにもいきません。
もうしばらくは吸血鬼生活を続けねばなりますまい。来月初旬、次の診察とエコー検査があり、その結果によってまた治療が再開されるかもしれず、そうなると痒みももどってくる可能性もあります。汗をかくことは少なくなりますから、痒みもそうひどくはならないのではないかと期待。
気温が下がってきて、夕暮に飛ぶこうもりの数が増えたようでもあります。飛ぶことに特化しただけあって、スピードも敏捷性も抜群。鈍重な蝉なんかよりもよほど飛ぶのがうまい。シートンの動物記に渡りをする大型のこうもりの群れが燕の集団を追いこす描写がありますが、さもありなん。一昨日あたりはまだつくつく法師ががんばってましたが、昨日はまったく聞こえませんでした。陽が落ちて、地表の虫たちの声がひときわ大きくなっています。(ゆ)