抗がん剤投与開始から1年経った結果は、異常無し、でありました。CTでは消化器官以外の臓器も映りますが、腎臓、膀胱、前立腺などもきれいでした。そうでないと困るよと思ってはいたものの、やはりホッとして、体の力が抜けたことであります。
1年めのハードルをクリアしてみると、その前はいかに暗い予想をしていたかがわかります。背中の重荷がふわっととれたと同時に、ぱあっと目の前が開けた感じがありました。あれもしよう、これもしよう、という意欲が、意識しなくても、意欲の方からじわじわと湧いてきます。それまでは、そういうことを考えてもしかたがない>考えない方がいい>考えると落ちこむ>……というような、ダウン・スパイラルに陥っていたようでもあります。自分では比較的達観していたつもりですが、やはり蓋をされていたのでありました。
とはいうものの、です。抗がん剤治療が終わるわけではありません。最低でも3年、できれば5年は続けるべし、というのが医師の言葉です。そして、副作用が耐えられないほどでないならば、一番効果の大きな方法、つまり点滴を続けるのがベスト、とも言われました。
現在受けている Folfox という抗がん剤治療は3種類の薬が使われます。このうち最も効果の強いエルプラートという薬は点滴でしか使えません。服用では残りの2種類を飲むことになります。エルプラートは強いだけあって、副作用もこれが一番強い。
Folfox の最も一般的な副作用は手足の痺れです。Folfox の基本では点滴は2週間おきですので、3ヶ月もすると手足が痺れて耐えられなくなるそうです。ぼくの場合は、痺れをとる漢方薬のおかげもあり、また点滴の間隔が長いこともあるのでしょう、比較的軽くてすんでいます。手の指先はしびれがあるとわかる程度。足の方が重く、指先は常にじんじんしびれている状態で、朝の起きぬけとか、寒さにさらされたりすると、親指の先が痛くなります。それでも歩くのには支障はなく、よく暖めたり、運動つまり歩いたりしていると、それほど意識しなくてもすんでいます。
ということで、今後も入院しての点滴を続けるということになりました。間隔はまた長くなって、5週間に1度。副作用が強くなって、耐えられなくなるようなら、その時点で服用に転換します。
今回は点滴そのものによるダメージは、まあいつもと変わらない程度ですみました。帰宅した日も、眠かったのですが、ここで眠るとかえって後にひきずるので、いろいろやりながら何とか夜まで保たせました。一番効くのは誰かとおしゃべりすることです。
それよりも季節の変わり目の気温の上下によるダメージの方が大きいものでした。まず、点滴入院の前の週に風邪をひきました。家人が職場でもらってきたのをまたもらった形で、久しぶり、というか、手術後の退院以来、初めて熱も出ました。さらに咳がしつこくとれない。
点滴入院までにはほぼ9割方、抜けるところまでいっていましたが、それにしてもきつかった。
さらに、入院2日めには雨も降って、病室が微妙に寒かったのです。これで下半身が冷えたらしく、いつもは2日めは便通がないのですが、トイレに通うことになりました。おまけにやたらしゃっくりが出るのにも参りました。冷えたのとともに、吐き気止めとして飲む薬の副作用の一つでもあったのでしょう。
帰宅後もなかなか気温が上がらず、できるだけ暖かくしたつもりですが、腹のゆるいのがずっと続きました。退院後1週間たってもゆるいままで、こうなると、遠出をする気にはとうていなれません。これまでなら1週間たてばほぼ「通常レベル」まで回復できていたのですが、今回はずるずると長引き、退院後2週間たってももどった実感が持てませんでした。
結局先日の日曜日、豊田さんたちのライヴのおかげと、その前後、少し散歩をしたせいでしょう、ようやく腹が締まってきました。
これからも気温の上下の変化は大きそうですし、暑くなればなったで今度は冷房の心配をしなければなりません。汗をかいてそれが冷えるのにも対策が必要です。
副作用の出方は大きくないものの、薬の蓄積は続きますから、小さくなることはありません。また、腹がゆるんだり、どことなくダルさを引きずったりするのも、薬が溜まってきて出てきた副作用のようでもあります。ひとつハードルを越えたことは何とも言えず嬉しいけれども、すぐにまた叩きつけられます。これもまた、病気をしのいでゆく過程と思うことにしました。何でもそうですが、上がったり下がったり、良い時もあれば悪い時もある、人間万事塞翁が馬、禍福はあざなえる縄のごとし。上がった時にはすなおに喜び、下がった時にはぶつぶつ言いながら、時にはわめきながら、のらりくらり耐える。その繰り返しではありますね。
前回のブログでリンクを張った、畏友川村龍俊氏のブログで紹介されているリラックス体操は、たしかに効き目があります。今回の点滴入院のための血液検査で、体操を始めて2週間ぐらいでしたが、肝臓の値が改善されていました。これまでずっと低空飛行で、危険なほどではないけれども、決して良くもならない値が続いていました。それが明らかに良くなっていました。これもまた嬉しいニュースで、川村さんとあの体操を考案した方々に感謝します。
次の点滴入院は来月下旬。05/20(日)には根津の古書ほうろうで『ギネスの哲学』発刊記念のイベントがあります。それが終わってからの入院。それまで、上記リラックス体操を毎朝毎晩続けて、少しでもベターな状態で入りたい。(ゆ)
ギネスの哲学――地域を愛し、世界から愛される企業の250年
著者:スティーヴン マンスフィールド
販売元:英治出版
(2012-03-20)
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1年めのハードルをクリアしてみると、その前はいかに暗い予想をしていたかがわかります。背中の重荷がふわっととれたと同時に、ぱあっと目の前が開けた感じがありました。あれもしよう、これもしよう、という意欲が、意識しなくても、意欲の方からじわじわと湧いてきます。それまでは、そういうことを考えてもしかたがない>考えない方がいい>考えると落ちこむ>……というような、ダウン・スパイラルに陥っていたようでもあります。自分では比較的達観していたつもりですが、やはり蓋をされていたのでありました。
とはいうものの、です。抗がん剤治療が終わるわけではありません。最低でも3年、できれば5年は続けるべし、というのが医師の言葉です。そして、副作用が耐えられないほどでないならば、一番効果の大きな方法、つまり点滴を続けるのがベスト、とも言われました。
現在受けている Folfox という抗がん剤治療は3種類の薬が使われます。このうち最も効果の強いエルプラートという薬は点滴でしか使えません。服用では残りの2種類を飲むことになります。エルプラートは強いだけあって、副作用もこれが一番強い。
Folfox の最も一般的な副作用は手足の痺れです。Folfox の基本では点滴は2週間おきですので、3ヶ月もすると手足が痺れて耐えられなくなるそうです。ぼくの場合は、痺れをとる漢方薬のおかげもあり、また点滴の間隔が長いこともあるのでしょう、比較的軽くてすんでいます。手の指先はしびれがあるとわかる程度。足の方が重く、指先は常にじんじんしびれている状態で、朝の起きぬけとか、寒さにさらされたりすると、親指の先が痛くなります。それでも歩くのには支障はなく、よく暖めたり、運動つまり歩いたりしていると、それほど意識しなくてもすんでいます。
ということで、今後も入院しての点滴を続けるということになりました。間隔はまた長くなって、5週間に1度。副作用が強くなって、耐えられなくなるようなら、その時点で服用に転換します。
今回は点滴そのものによるダメージは、まあいつもと変わらない程度ですみました。帰宅した日も、眠かったのですが、ここで眠るとかえって後にひきずるので、いろいろやりながら何とか夜まで保たせました。一番効くのは誰かとおしゃべりすることです。
それよりも季節の変わり目の気温の上下によるダメージの方が大きいものでした。まず、点滴入院の前の週に風邪をひきました。家人が職場でもらってきたのをまたもらった形で、久しぶり、というか、手術後の退院以来、初めて熱も出ました。さらに咳がしつこくとれない。
点滴入院までにはほぼ9割方、抜けるところまでいっていましたが、それにしてもきつかった。
さらに、入院2日めには雨も降って、病室が微妙に寒かったのです。これで下半身が冷えたらしく、いつもは2日めは便通がないのですが、トイレに通うことになりました。おまけにやたらしゃっくりが出るのにも参りました。冷えたのとともに、吐き気止めとして飲む薬の副作用の一つでもあったのでしょう。
帰宅後もなかなか気温が上がらず、できるだけ暖かくしたつもりですが、腹のゆるいのがずっと続きました。退院後1週間たってもゆるいままで、こうなると、遠出をする気にはとうていなれません。これまでなら1週間たてばほぼ「通常レベル」まで回復できていたのですが、今回はずるずると長引き、退院後2週間たってももどった実感が持てませんでした。
結局先日の日曜日、豊田さんたちのライヴのおかげと、その前後、少し散歩をしたせいでしょう、ようやく腹が締まってきました。
これからも気温の上下の変化は大きそうですし、暑くなればなったで今度は冷房の心配をしなければなりません。汗をかいてそれが冷えるのにも対策が必要です。
副作用の出方は大きくないものの、薬の蓄積は続きますから、小さくなることはありません。また、腹がゆるんだり、どことなくダルさを引きずったりするのも、薬が溜まってきて出てきた副作用のようでもあります。ひとつハードルを越えたことは何とも言えず嬉しいけれども、すぐにまた叩きつけられます。これもまた、病気をしのいでゆく過程と思うことにしました。何でもそうですが、上がったり下がったり、良い時もあれば悪い時もある、人間万事塞翁が馬、禍福はあざなえる縄のごとし。上がった時にはすなおに喜び、下がった時にはぶつぶつ言いながら、時にはわめきながら、のらりくらり耐える。その繰り返しではありますね。
前回のブログでリンクを張った、畏友川村龍俊氏のブログで紹介されているリラックス体操は、たしかに効き目があります。今回の点滴入院のための血液検査で、体操を始めて2週間ぐらいでしたが、肝臓の値が改善されていました。これまでずっと低空飛行で、危険なほどではないけれども、決して良くもならない値が続いていました。それが明らかに良くなっていました。これもまた嬉しいニュースで、川村さんとあの体操を考案した方々に感謝します。
次の点滴入院は来月下旬。05/20(日)には根津の古書ほうろうで『ギネスの哲学』発刊記念のイベントがあります。それが終わってからの入院。それまで、上記リラックス体操を毎朝毎晩続けて、少しでもベターな状態で入りたい。(ゆ)

著者:スティーヴン マンスフィールド
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