10月10日・日
岩波文庫『梵文和訳 華厳経入法界品』中巻、梶山雄一による解説。初期仏教思想の中に「入法界品」を位置づける試み。
仏教は太陽系、銀河、全宇宙、という概念を、我々のものとは違うとしても持っている。全宇宙まで視野に入れている。この地球というよりインドの中に、全宇宙が入る、ことを考える。キリスト教とイスラームの視界には地球以外の世界は入っていないように見える。天国はあるが、それは地球と無縁、切り離された遥か彼方にあるわけではない。遙か高く、直接行けないにしても、我々人間の頭上にある。地獄は足許の地下深くにある。それだけだ。世界の外、地球の外は埒外だ。そこに何かがいて、何かが起きているとしても、それは神とその僕たる人間の関知するところではない。というよりも、世界の外、地球の外ということを思いつかない。地球と人間の世界、それが全て。ユダヤ教にいたってはパレスティナだけが全てで、それ以外のことは関わりが無い。しかし、仏教も時代が下るにつれて、だんだん地球のことだけに関心の対象を絞るように見える。
##本日のグレイトフル・デッド
10月10日は1968年から1994年まで、7本のショウをしている。公式リリースは3本。
1. 1968 The Matrix, San Francisco, CA
3日連続の最終日。この3日間は情報が錯綜していて、事実確定が難しい。セット・リストは一応あるが、"Jam' とされたトラックが3つもあり、その他の曲もタイトルに "jam" がついていて、まっとうな演奏ではないようだ。メンバーも一部でポール・バターフィールドがハーモニカを吹いているとされ、いや、それは違うという説もある。前2日同様、ウィアとピグペンが不在または一時的に外されていて、Mickey & the Hartbeats という名義だったとも言われる。
2. 1970 Colden Auditorium, Queens College, New York, NY
4ドル。大学の在学生は3.50ドル。夜7時開演。テープとセット・リストは残っていて、それによると1時間半の一本勝負。招聘に関わった人物によると、バンド・メンバーの半分が空港からタクシーでどこかへ行ってしまい、実際のスタートは夜11時を過ぎていた由。
3. 1976 Oakland Coliseum Stadium, Oakland, CA
前日に続いて The Who とのダブル・ビル。デッドが先の演奏。全体が《Dick’s Picks, Vol. 33》でリリースされた。
4. 1980 Warfield Theater, San Francisco, CA
15本連続の12本目。第一部アコースティック・セット全体が前日のものとともに2019年のレコードストア・ディ用タイトルとしてアナログとCDでリリースされた。このアルバム・タイトルが《The Warfield, San Francisco, California, October 9 & 10, 1980》という、身も蓋もないもの。3曲目の〈Jack-A-Roe〉は《Reckoning》にも収録。第二部の7、8、ラストの〈Row Jimmy〉〈New Minglewood Blues〉〈Jack Straw〉と第三部の3曲目〈Samson And Delilah〉が《Dead Set》でリリースされた。〈Row Jimmy〉〈Jack Straw〉は2004年の《Beyond Description》ボックス・セットで追加。
《Dead Set》は全体の印象は散漫だが、個々の曲を聴くとすばらしい。この一連のレジデンス公演はショウの質は高く、そこから選びぬいているので、当然ではある。アルバム全体として愉しめないのは、一本のショウとして聴けるようにならべてあるとはいえ、良いショウには必ずある流れが現れてこないためだ。デッドの場合、各々の曲が作品というよりも、1本のショウがひとつの作品なのだ。
5. 1981 Stadt Halle, Bremen, West Germany
この年2度目のヨーロッパ・ツアー。オープナーの〈Shakedown Street > Bertha〉が2020年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。
演奏は良いのだが、音のバランスが悪く、ガルシアのギターが遙か遠くで鳴っている。何か接続が悪いらしく、時折り、瞬間的にオンになるが、すぐ遠くなる。ヴォーカルはしっかり入っている。
6. 1982 Frost Amphitheatre, Stanford University, Palo Alto, CA
12ドル。午後2時開演。80年代ベストのショウの一つという声もある。
7. 1994 USAir Arena, Landover, MD
30ドル。夜7時半開演。この頃は出来不出来の差が大きいが、全員がそろってダメというのも少ないようだ。どこかしら良いところがあり、人によってはベストとも言う。このあたりも面白い。(ゆ)