1226日・日

 James Webb Space Telescope 打ち上げ成功。めでたい。これは楽しみだ。ハッブルは天文学の様相を根底からがらりと変えてしまったけれど、これでまた新しい宇宙が見えるだろう。月までの距離の4倍遠いラグランジュ点に置かれるから、ハッブルのように、人間が行って修理することは無理と言われているけれど、いずれそういうことも行われるはずだ。何重にもフェイル・セイフはされているだろうが、それでカヴァーできない故障はいずれ起きる。こういうものは一度できてしまうと無しにはすまされなくなる。必要は発明の母である。まあ、まず、ロボットを飛ばすかもしれない。



##本日のグレイトフル・デッド

 1226日には1967年から1982年まで7本のショウをしている。公式リリースは2本。うち完全版1本。


1. 1967 Village Theater, New York, NY

 このヴェニュー2日連続の初日。共演 Take FivePeggy Emerson。このヴェニューは翌年3月 Fillmore East となる。ポスターではデッドは1968年に出る新譜からの曲を演る、とある。

 共演者はともに詳細不明。

 この時、デッドはニューヨークのスタジオで録音をしていて、滞在費の足しにするため、22日から3日間、Palm Gardens に出て、その後がこの2日間。バンド・メンバーは飛行機で移動し、機材はラムロッド、クロイツマン、ボブ・マシューズが運転してトラックで運んだ。


2. 1969 McFarlin Auditorium, Sothern Methodist University, Dallas, TX

 料金は3〜6ドル、4種類。開演8時。クロイツマンが遅刻したため、最初の7曲、40分弱はガルシアとウィアがアコースティックでやる。やがて着いたところでそのままエレクトリック・セットになる。


3. 1970 Legion Stadium, El Monte, CA

 このヴェニュー3日連続の初日。ニュー・ライダーズ・オヴ・パープル・セイジ前座。Deadlist では第一部、第二部に別れているが、実際には長い1本のショウだった由。ただ、〈Beat It On Down The Line〉の後で、機器のトラブルのためちょっと休む、とレシュがアナウンスしているそうだ。

 6曲目〈Truckin'〉が《The Golden Road》収録の《American Beauty》のボーナス・トラックとしてリリースされた。さらに11曲目〈New Minglewood Blues〉が2010年の、7曲目〈Friend Of The Devil〉が2019年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。

 〈Truckin'〉はわずかにゆっくりなテンポで、ウィアもガルシアもひどく脱力した声。ほとんどなげやりにも聞えるが、歌はちゃんと歌っているし、ハーモニーもしっかりしている。ウィアのヴォーカルの合間にガルシアが入れるギターがいい。録音はあまり良くなく、ヴォーカルとギターの他は固まっている。

 〈Friend Of The Devil〉は録音はやや良い。ガルシアのヴォーカルはやはり肩の力が抜けていて、こちらはやや速い。

 エル・モンテはロサンゼルスの東、ダウンタウンのほぼ真東20キロほどのところにある。1950年代、ロックンロールはロサンゼルス市本体から追われ、市境のすぐ外にあるこのヴェニューが毎週末、ロックンロールのコンサートやダンス・パーティーが開かれる場所として人気を集めた。フランク・ザッパがレイ・コリンズと書いてペンギンズがヒットさせた〈Memories of El Monte〉はその記憶を歌う。


4. 1979 Oakland Auditorium Arena, Oakland, CA

 大晦日の年越しショウに向けての5本連続のランの初日。《Dick’s Picks, Vol. 05》で全体がリリースされた。このランからは2日後の12-28のショウも全体がリリースされている。

 第二部は〈Uncle John's Band〉に始まり、アンコールの2曲目にその結末部分が演奏される。〈Uncle John's Band〉ではさむのは珍しい。

 ウィアもガルシアもヴォーカルの入るタイミングを間違える。ガルシアは〈He's Gone〉と〈The Other One〉の2度も間違える。他のバンドでは考えられないだろうし、そんなミスをしたら完全にぶち壊しだろうが、デッドではまずまったくといっていいほど気にならない。聴いている方もあははと笑って終りである。緊張感が途切れない。それよりもその時に進行しているジャムの方がずっと大事だし、ずっと凄いことをやっている。とりわけ、このショウのような、トップ・クラスの出来の時はそうだ。ガルシアのギターはジャズ・ギターといっていいが、しかし難しいことはあまりやらない。むしろ、コピーするなら誰でも簡単にできるようなフレーズを連ね、繰返す。それがくー、たまらん。そのガルシアのギターをめぐって、他のメンバーが、一見各々まったく勝手なことをやっているように聞えて、しかし全体としてはちゃんと調和がとれていることをやる。時に明瞭なメロディも消え、不定形な形のまま続く。ジャズ的なのだが、ジャズのようにソロを回すことはせず、全員が演奏を続けながら続く。ジャズに聞えないのはそのせいか。しかし、ロックではまるでない。ロックとしてしかデッドの音楽を解釈できないと、こういうジャムが評価できない。一方、ここにこそデッドの本質がある。少なくともデッドをデッドたらしめているものの一部がある。そして、ここの出来が良いかどうかで、ショウの出来が決まる。ここでは〈Estimated Prophet〉の後のジャム、Drums の後の Space のジャム、いずれも見事。


5. 1980 Oakland Auditorium, Oakland, CA

 これも前年と同じく、大晦日の年越しショウに向けての5本連続のランの初日。


6. 1981 Oakland Auditorium, Oakland, CA

 3年連続で、大晦日の年越しショウに向けての5本連続のランの初日。

 Space のジャムの中で、ハートが〈The Eleven〉に行くのかと声に出さずにガルシアに訊ねていた、という証言がある。


7. 1982 Oakland Auditorium, Oakland, CA

 4年連続で、大晦日の年越しショウに向けての5本連続のランの初日。5本連続はこの年まで。1126日、ジャマイカの World Music Festival 以来、1ヶ月休んでいる。13.50ドル。開演8時。(ゆ)