田川建三さんの講座で軽井沢往復。朝、出かける時はひどく寒くて、こりゃあ軽井沢では凍えるぞ、と文字通り慄えあがったが、着いてみるとそれほどでもない。昼間になって多少気温が上がったか。

 いつものかぎもと屋が臨時休業なので、その手前の喫茶店のインド・カレーを試す。味はまずまず。ナンが小さめ。カレーの量ももうちょっと欲しい。

 店主と客との会話で、「東京24区」という呼称があるのを知る。もっとも、元々が明治に別荘地として開発されたところではある。地方から東京に出てきた人たちの避暑地なわけだ。

 それにしても、この中軽井沢駅の駅舎に併設された図書館はなかなか立派だ。新幹線を通すことで得た金をこういう施設を造ることに使ったのは、エライものだと思う。これができるまでは、車でしか行けないところに小さなものがあっただけらしい。これだけ立派ならば、町の外から来る人もいるだろう。


 今日の田川さんも脱線に継ぐ脱線。最も印象的だったのは、ドイツへの留学試験を2年連続で落とされた話と、その後のフランス留学の話。『考える人』やその後の『はじめての聖書』でのインタヴューにも出てくるが、ご本人の口からあらためて聴くとまた格別。ドイツ語の実力は抜群の田川さんを気に入らないというだけで落としたドイツ語界の大物の名前も出てくる。まあ、あたしでも知ってる名前だ。こういうことが今でも無いとは言いきれないのが、わが国のアカデミアの哀しいところ。もっとも大物が1人ではなくなって、小ボスがたくさんいるのかもしれない。

 それにしても、方向転換で初級文法しかやったことのないフランス語を留学のため必死で勉強した5ヶ月は、あんな辛かったことはない、と言われる。しかし、それから2年半、つまりあらためて勉強しはじめて3年でフランス語で新約聖書学の博士論文を書くまでになるのだから、やはり語学の才能はあると言わねばなるまい。結局古代ギリシャ語はもちろん、フランス語、ドイツ語、英語、ラテン語に通じ、それにヘブライ語とアラム語もたぶんできる。今の文系学者は多言語を使えることがデフォルトになってきているけれど、田川さんは井筒俊彦と並んで、その先駆者の1人ではあろう。


1206日・月

##本日のグレイトフル・デッド

 1206日には1968年から1992年まで、7本のショウをしている。公式リリースは3本。


1. 1968 The Spectrum, Philadelphia, PA


2. 1971 Felt Forum, New York, NY

 3.50ドル。開演8時。4日連続の3日目。《Dave's Picks, Vol. 22》とこれに付属の《Dave's Picks Bonus Disc 2017》で第一部の3曲を除いて全体がリリースされた。


3. 1973 Public Auditorium, Cleveland, OH

 《Road Trips, Vol. 4 No. 3》ボーナス・ディスクで第一部の3曲と第二部の2曲がリリースされた。

 トラック運転手の組合 Teamsters のストライキで高速道路が詰まり、デッドの機材搬入も遅れる。8時開演のところを20分過ぎて開場となるが、中ではまだ Wall of Sound が設営中だった。9時、照明が落ち、バンドが出てきて演奏を始めるが、1曲ごとに長い機器の調整が入った。もっとも1曲やるごとに音は良くなっていった。第二部の〈Dark Star〉では、そばで「ちゃんと演奏しろよ」とわめく連中を近くの姉御が叱りつけた。当時のデッドヘッドでも〈Dark Star〉のジャムが音楽に聞えない連中はいたらしい。もっともあたしだって、CDのトラック・リストにそう書いてあるからわかる、ということはある。〈Sugar Magnolia〉で終ったところで深夜零時。アンコールは無し。以上 DeadBase XI での Dave Cubbedge のレポートによる。


4. 1980 Mill Valley Recreation Center, Mill Valley, CA

 アコースティック・セットのみ。


5. 1981 Rosemont Horizon Arena, Rosemont, IL

 10.50ドル。開演8時。昨年の《30 Days Of Dead》で第一部9曲目〈Jack-A-Roe〉がリリースされた。


6. 1989 Oakland-Alameda County Coliseum Arena, Oakland, CA

 20.00ドル。開演7時。1017日のロマ・プリータ地震救済のための資金集め。バックステージ・パスに "It's everybody's fault" と書かれているのがシャレている。「(誰かのせいじゃない)みんなのせい」という意味と「断層は誰も逃れられない」という意味をかけている。だから、お互い助けあおう、というわけだ。

 こういう時のデッドは良い演奏をする、というのはほとんどお定まりだが、実際すばらしいショウだったことは、DeadBase XI での Mike Dolgashkin のレポートでも明らかだ。オープナーは予想通り〈Shakedown Street〉だったとしても、聴衆の予測、期待を良い方に裏切りつづけるショウだった。第二部ではオープナーの〈Scarlet Begonias〉の後〈Sugar Magnolia〉が続き、その後半 "Sunshine Daydream" がクローザーとなる。

 第二部3曲目〈Ship Of Fools〉と Space からアンコールまで Clarence Clemons が参加。


7. 1992 Compton Terrace Amphitheatre, Chandler, AZ

 24.50ドル。開演午後2時。2日連続の2日目。雨天決行。セット・リスト以外の他の情報無し。(ゆ)