クラン・コラ・ブログ(アイルランド音楽の森)

 アイリッシュ・ミュージックなどのケルトをはじめ、世界各地のルーツ音楽を愉しむブログです。そうした音楽の国内の音楽家も含みます。加えて主宰者の趣味のグレイトフル・デッド。サイエンス・フィクション、幻想文学などの話もあります。情報やメモ、ゴシップ、ただのおしゃべりなどもあります。リンク・フリーです。

タグ:松平維秋

東京・四谷のいーぐるでのイベント準備篇。
    
    試みに99枚を地域的に分けてみる。英国・アイルランドが29枚で、日本の4枚を加えてちょうど3分の1。
    
    音源をまったく持っていないのが12枚。所有率87.8%。もっともその気になれば全部揃えることは多分可能だろう。これから集めようとすれば、一番入手しにくいのは英 Trailer のものかもしれない。つまりヴィン・ガーバットとディック・ゴーハンの2枚。それにゲイ&テリー・ウッズの《BACKWOODS》もCD化はされていないはず。

ブリティシュ・トラッド編
01. Albion Country Band,  BATTLE OF THE FIELD#
02. Albion Dance Band, THE PROSPECT BEFORE US
03. Frankie Armstrong, LOVELY ON THE WATER
04. Anne Briggs, THE TIME HAS COME
05. Shirley Collins & Albion Country Band, NO ROSES#
06. Shirley & Dolly Collins, THE SWEET PRIMROSES
07. Sandy Denny, THE NORTH STAR GRASSMAN AND THE RAVENS#
08. Donovan, H. M. S. DONOVAN#
09. Nick Drake, FIVE LEAVES LEFT
10. Marc Ellignton, RAINS/REINS OF CHANGE#
11. Fairport Convention, LIVE AT THE L.A. TROUBADOUR#
12. Fairport Convention, FULL HOUSE
13. Archie Fisher, WILL YE GANG, LOVE
14. Vin Garbutt, THE VALLEY OF TEES#
15. Dick Gaughan, NO MORE FOREVER#
16. ERNIE GRAHAM#
17. HERON
18. Jack the Lad, THE OLD STRAIGHT TRACK#
19. A. L. Lloyd, LEVIATHAN!
20. Shelagh McDonald, STARGAZER
21. The Oldham Tinkers, FOR OLD TIME'S SAKE
22. The Pentagle, BASKET OF LIGHT
23. Plainsong, IN SEARCH OF AMELIA EARHART
24. Steeleye Span, TEN MAN MOP
25. Dave Swarbrick, SWARBRICK
26. June Taobr, AIRS AND GRACES
27. TIR NA NOG#
28. Richard & Linda Thompson, I WANT TO SEE THE BRIGHT LIGHTS TONIGHT
29. Gay & Terry Woods, BACKWOODS#

アメリカン・ミュージック編
01. Eric Anderson, BLUE RIVER
02. Andwella, PEOPLE'S PEOPLE
03. BALDWIN & LEPS
04. The Band, MUSIC FROM BIG PINK
05. David Blue, STORIES
06. Borderline, SWEET DREAMS & QUIET DESIRES
07. David Bromberg Band, MIDNIGHT ON THE WATER
08. CARP
09. Bobby Charles, BOBBY CHARLES
10. Guy Clark, OLD NO.1#
11. Gene Clark, WHITE LIGHT#
12. Bruce Cockburn, HIGH WINDS WHITE SKY
13. Leonard Cohen, THE BEST OF
14. Ry Cooder, INTO THE PURPLE VALLEY
15. Karen Dalton, IN MY OWN TIME
16. Bob Dylan, BLONDE ON BLONDE
17. Bob Dylan, DESIRE
18. Eggs Over Easy, GOOD'N CHEAP
19. FLOATING HOUSE BAND
20. FREEMAN & LANGE#
21. Donnie Fritts, PRONE TO LEAN
22. Alan Garber, ALAN GARBER'S ALBUM
23. Gerry Goffin, IT AIN'T EXACTLY ENTERTAINMENT#
24. ANDY GOLDMARK
25. GREASE BAND
26. Norman Greenbaum, PETALMA#
27. Arlo Guthrie, LAST OF THE BROOKLIN COWBOYS
28. Happy & Artie Traum, DOUBLE BACK
29. Bryn Haworth, SUNNY SIDE OF THE STREET
30. JOHN HERALD
31. Michael Hurley, HAVE MOICY!
32. JAMES & THE GOOD BROTHERS#
33. Eric Kaz, IF YOU ARE LONELY
34. CHRISTOPHER KEARNEY
35. The Kinks, MUSWELL HILBILLIES
36. Tony Kosinec, BAD GIRL SONGS
37. Lonnie Knight, SONGS FOR A CITY MOUSE
38. Lonnie Lane, ANYMORE FOR ANYMORE
39. Ken Lauber, COMTEMPLATION (VIEW)
40. Bob Martin, MIDWEST FARM DISASTER
41. KATE & ANNA McGARRIGLE#
42. Murray McLaughclan, ONLY THE SILENCE REMAINS#
43. Van Morrison, MOONDANCE
44. Mud Acres, WOODSTOCK MOUNTAINS#
45. Larry Murray, SWEET COUNTRY SUITE
46. Geoff Muldaur, IS HAVING A WONDERFUL TIME
47. Randy Newman, GOOD OLD BOYS
48. Don Nix, IN GOD WE TRUST#
49. OILY RAGS#
50. PACHECO & ALEXANDER
51. Dan Penn, NOBODY'S FOOL
52. Bonnie Raitt, GIVE IT UP
53. Leon Redbone, ON THE TRACK
54. SEANOR & KOSS
55. Chris Smither, DON'T IT DRAG ON
56. Rosalie Sorrels, ALWAYS A LADY#
57. Bruce Springsteen, GREETING FROM ASBURY PARK, N.J.
58. Guthrie Thomas, I
59. Loudon Wainright III, ATTACHED MUSTACHE
60. Tom Waits, CLOSING TIME
61. SAMMY WALKER
62. Jerry Jeff Walker, MR. BOJANGLES
63. Tony Joe White, HOME MADE ICE CREAM
64. Kate Wolf, BACK ROADS#
65. Steve Young, ROCK, SALT & NAILS#
66. TOWNES VAN ZANDT

日本編
01. あがた森魚, 噫無情
02. 荒井由美, ひこうき雲
03. 岡林信康, 金色のライオン
04. 雪村いづみ, スーパー・ジェネレイション#

    もちろん、これ以外にもブラック・ホークのコレクションを象徴するアルバムはたくさんあって、例えば Dirk Hamilton の《YOU CAN SING ON THE RIGHT OR BARK ON THE LEFT》とか、パチェコ&アレクサンダーのトム・パチェコの《SWALLOWED UP IN THE GREAT AMERICAN HEARTLAND》とか、J. J. Cale の《OAKIE》とか、Roger Tillison《ROGER TILLISON'S ALBUM》とか、マイク・ブルームフィールドの《ANALINE》とか、The Amazing Rhythm Aces の《STACKED DECK》とか、Garland Jeffry 率いる《GRINDER'S SWITCH》とか、Chilli Willi & the Red Hot Peppers の《BONGOS OVER BALHAM》とか、《THUNDERCLAP NEWMAN》とか、Jean Ritchie の《NONE BUT ONE》とか、ジャクソン・ブラウンの《LATE FOR THE SKY》とか、Ralph McTell の《STREETS...》とか、ポール・バターフィールドの《PUT IT IN YOUR EAR》とか、ボズ・スキャグスの 1st とか、《DANIELL MOORE》 とか、ドクター・ジョンの《GUMBO》とか、デイヴ・メイスンの《ALONE TOGETHER》とか、《BUTTS BAND》とか、これらは比較的新しめのところではある。英国、アイルランド、ワールド方面については書ききれない。
    
    要するに「もう一つの99選」も軽くできる。というのは当然ではある。当時のブラック・ホークのスタッフあるいはスモール・タウン・トーク編集部(松平さんは「99選」掲載号の発行当時、すでに店を離れていた)の意図は、99枚という数字に意味を持たせるのではなく、ここを入口として、その奥の世界に入ってきて欲しいということだったはずだ。
    
    たとえばの話、この99枚を集めたとして、そこから英国やアイルランドの伝統音楽の世界へ入っていった人はどれくらいいるのだろう。逆にまた、ここからアメリカ白人マイナー音楽の世界に入っていった人はどれくらいいたのだろうか。
    
    ぼくのようにブラック・ホークで育った人間は両方を受け入れる素地はある。それでも、あそこに通っていた当時、アメリカものがかかっている間は本など読んでいて、ブリテン/アイルランドものがかかると耳を傾けるという聴き方をぼくはしていた。『ブラック・ホーク伝説』の船津さんの記事によれば、逆の聴き方をしていた人もいた。おそらくはそちらの方が圧倒的多数派だったはずだ。
    
    ブリテン/アイルランドものとアメリカものの間に通底するところはあるにしても、表現型としての音楽は相当に違う。匂いや肌合いが違う。両方を同程度に愛聴するのは、たぶんかなり難しい。その壁はなにか「努力」して超えられるようなものではない。
    
    それでもこの「99選」が無ければ、このような音楽にはまったく触れることもない人もいるのだろう。だから、たとえ本来の意図からはずれた形にしても、とにかく99枚のレコードに接することは出発点にはなる、とも言える。
    
    だから、いーぐるでのイベントとしては、できれば「99選」だけで終わるのではなく、その次のステップ、上に挙げたような「99選」には入っていないがすぐれた同時代の録音や、こうした音楽の現在形を提示するものを続けたい。
    
    皮肉かもしれないが、松平さんがブラック・ホークを辞められた後、1980年代が過ぎると、松平さんがブラック・ホークで示した価値観/美意識に合う音楽はまた息を吹きかえし、むしろかつて以上に盛んになってゆく。アイルランド、英国をはじめとするヨーロッパのルーツ・ミュージックだけでなく、北米でも進化/深化は顕著だ。
    
    1990年代半ばには明らかになっていたそうした流れをどう見ておられたか、松平さんに訊ねたかった、と今になって想う。(ゆ)

 この表紙をあらためて眺めていて、思うところあり。

 まず右端のこの青年は、やはり若い頃の松平維秋でしょうね。

 それから店の看板。上の "black hawk" の文字のその上は本来 "real jazz" でした。口絵 2pp. の写真参照。ちなみにこの店名は、サンフランシスコの有名なジャズ・クラブから借用したもの。

 下の看板に "British Trad" の文字がありますが、これも本物はなかったはず。

 それにしても、こういうイメージが定着しているとすれば、おそらくその原因は、当時「ブリティッシュ・トラッド」と呼ばれていた、ブリテン、アイルランドの伝統音楽とそれを元にしたロック、ポップス、あるいは同様の流れで展開されていたフランスや東欧の音楽を、公の場として、しかも日常的に聴けるところが「ブラック・ホーク」だけだったからでしょう。

 船津さんが書いているように、担当者によって避けられることはあったにしても、リクエストすれば断られはしませんでしたし、そもそも、こういうレコードがコレクションされていた店は他にありませんでした。

 「ブラック・ホーク」の「主流」だった、アメリカのルーツ志向のロック、ザ・バンドやスワンプ・ロック、カントリー・ロック、ニュー・グラス、シンガー・ソング・ライターといった音楽、あるいは英国でもキンクスやロニー・レーン、グリース・バンド、ヴァン・モリソンなどのアメリカ音楽をベースにしたものは、早い話、すぐ「お隣り」の「BYG」でもかかっていましたし、いまでも下北沢の「ストーリーズ」はじめ、何軒か、聞くことができる店はあるはず。いわゆるロック喫茶の看板を掲げていない、ごく普通の喫茶店や飲み屋で、聞けることもあります。ぼく自身、阿佐谷の飲み屋でトム・ウェイツの《クロージング・タイム》やエルトン・ジョンのセカンドを聞いたりした経験もあります。

 しかし、こと「ブリティッシュ・トラッド」あるいは「トラッド」に分類される音楽は、自宅や友人の家以外のところで聞いたことがほとんどありません。例外は、何かのイベント、例えば、松平さんが数年ぶりにDJを務めて、南青山のふだんはラテン音楽のかかる飲み屋で開かれたイベントのような時だけです。アイリッシュ・ミュージック・ブーム全盛時ですら、例えばアイリッシュ・パブでセッションやライヴ以外の時にかかっている音楽は、せいぜいがポーグスまでで、ドロレス・ケーンは愚か、プランクシティやボシィ・バンドすら聞いたことがありません。むろん、ぼくの知らないところでかかっていた可能性はありますが、ぼくの少ない経験からしても、まずその可能性はかぎりなく小さいでしょう。

 ここまで書いて思いだしました。千葉の駅に近い喫茶店で、「ダルシマー」という名前だったでしょうか、トラッドも含めて「ブラック・ホーク」に近いセレクションで音楽を聞かせているところがあると聞いて、一度訪ねていった覚えがあります。「ブラック・ホーク」がレゲエの店になっていた頃だと思います。いまでも健在なのでしょうか。

 とはいえ、東京23区内では、気軽に入れて、いつでもその気になれば「トラッド」を聞くことができた店は、1970年代当時、「ブラック・ホーク」だけでした。

 ですから、このての音楽に親しみ、さらには演奏までする人間がこの列島に現われるという現象が始まったのが「ブラック・ホーク」であることはまちがいありません。

 あちこちで何度も書いてきたことですが、アイリッシュ・ミュージックははじめ「ブリティッシュ・トラッド」の一部として入ってきて、聞かれ、認識されていました。現在のように、アイリッシュ・ミュージックのほうがイングランドやスコットランドの音楽よりも遙かに知名度が大きくなるとは、当時誰にも想像もつかなかったことなのです。

 クリスティ・ムーアやポール・ブレディやアンディ・アーヴァインは、マーティン・カーシィ、ディック・ゴーハン、ニック・ジョーンズ、ヴィン・ガーバット、デイヴ・バーランドたちとまったく区別なく、聞かれていました。

 ドロレス・ケーンもトゥリーナ・ニ・ゴゥナルも、フランキー・アームストロングやシャーリィ・コリンズやアン・ブリッグスの仲間だったのです。

 プランクシティやボシィ・バンドに相当するバンドはイングランドにはありませんでしたが、ちょっと変わったペンタングルと思っていた人もいたでしょうし、スコットランドにはバトルフィールド・バンドやアルバ、タナヒル・ウィーヴァーズがいましたから、これまたアイリッシュを意識させる存在ではなかったのです。

 すべてがひとくくりに「ブリティッシュ・トラッド」と受け取られていました。

 さらにその認識の中には、オーストラリアのブッシュワッカーズ、カナダのスタン・ロジャースといった英語圏だけでなく、ブルターニュのアラン・スティーヴェルや、フランスのマリコルヌや、オランダのファンガス、ハンガリーのコリンダ、ムジュカーシュとマールタ・セベスチェーンといった人びとも、含まれていたのです。「ワールド・ミュージック」が流行する何年も前の話です。

 こんにちのアイリッシュ・ミュージックの隆盛、定着は、本国での事情もむろん寄与しているにしても、そもそも「ブラック・ホーク」がなければ始まらなかったことなのです。

 「ブラック・ホーク」は小さな店でした。50人もはいれば満員になりました。「銀座の一等地」にあったわけでもありません。全国展開したチェーン店などでもありません。セレブが通っていたわけでもありません。この本にもあるように、ここに通っていた人たちがその後、名を上げた例には事欠きませんが、当時はみな、ごく普通の若者だったはずです。少なくとも、特別の存在には見えなかったはずです。

 けれども、「発信力」は店の規模には関係ないのでしょう。それを一身に担っていた松平維秋が店を離れて30年経って、ようやく、その「発信力」の真の規模が現われてくるのを、ぼくらは眼のあたりにしています。(ゆ)


 新宿のディスクユニオン・ルーツ&トラディショナル館では、この本の出版を祈念して、11月中旬、トーク・ショーを企画しているそうです。

 こういうイベントでは、意外な話が出てくることもあり、やっぱり、行ってみるかなあ。(ゆ)

 本日発売の『渋谷百軒店 ブラック・ホーク伝説』ですが、ぼくの担当したところで誤植がありました。本をお買い上げいただいた方は、お手数ですが、訂正をお願いいたします。


★110pp. シャーリィ・コリンズ&アルビオン・カントリー・バンド『ノー・ローゼズ』
3段目最終行
「それだけの[感性]を備えていたのでした。」→「それだけの[慣性]を備えていたのでした。」


★117pp. フェアポート・コンヴェンション『フルハウス』
レコード・ジャケット下、曲目リストの最後
「※オリジナル・アルバム収録曲=(1)〜(7)」→「(1)〜(6) (8)」

 オリジナル・アルバムにはこのリストでの (7) すなわち〈Poor Will and the jolly hangman〉は入っていません。そのため、全体の曲順も変わっています。ここでのリストの番号をそのまま使うと、オリジナル・アルバムの収録曲は以下の通りです。

Side One
(1) Walk awhile
(3) Diry linen
(4) Sloth

Side Two
(5) Sir Patrick Spens
(6) Flatback caper
(2) Doctor of physick
(8) Flower of the forest


★144pp. デイヴ・スウォーブリック『スウォーブリック』
下段後ろから4行目
「この[ファースト]・ソロ」→「この[セカンド]・ソロ」

 ファーストは1967年の《RAGS, REELS & AIRS》です。ここは、校正の時、後から気がついて追加で訂正を送ったはずなんですが、洩れてしまったようです。


 ああ、しかし、本になってみると、文章そのものもなおしたいところが山ほど目につきます。うー、いっそのこと、全部書き直したい。(ゆ)

ブラック・ホーク伝説表紙  音楽出版社からCDジャーナルムックの1冊として明日10/29発売です。
 B5判、160頁、定価1,905円+税。ISBN978-4-86171-035-3

 表紙のイラストは山下セイジ氏。ちなみに、右端の青年が抱えているレコードはニック・ドレイクの《FIVE LEAVES LEFT》。

 内容はまずこちらをどうぞ。

 細かいことは言いますまい。松平さんの「代表作」が活字で読めます。個人的にはボシィ・バンドの《OUT OF THE WIND, INTO THE SUN》のライナーがベスト。もっともこれは「すぎひらこれはる」名義なので、いつもの語り口とは様子が違います。むしろそれだけに、松平さんの詩人としての魂が爆発しています。

 「ブラック・ホークの選んだ99枚のレコード」の中のものも含めて、ぼくら(と言っていいと思う)はなによりも松平さんのこうした文章に導かれ、決定的な影響を受けていたのでした。店というハードウエアだけでは、「ブラック・ホーク」の影響力はありえなかった。松平維秋という「作家」、ソフトウェアがそこで動いていたからこそ、例えば「名盤探検隊」が生れ、「ブリティッシュ・トラッド」からアイリッシュのブームにつながり、そして、世紀が変わってからこういう本が生れたのです。

 この本で松平さんの文業の一端に触れ、もっと他のものも読みたくなった時には、こちらをどうぞ。ここには、およそ公に発表されたものが網羅されています。

 あれ、「すぎひらこれはる」名義のものが、一部抜けてるのかな。


 余談ですが、オーナーだった水上氏へのインタヴューの中で、「ブラック・ホークといえばトラッドという人がいる」趣旨の発言がありますが、巻末のエッセイで船津潔さんも強調しているように、「ブラック・ホーク」のなかでも英国やアイルランドのトラディショナル音楽はマイナーでした。「ブリティッシュ・トラッド愛好会」を松平さんや森能文さんたちが作ったのも、少数かつばらばらだったファンを集めようというのが意図の一つだったはず。「ブラック・ホーク」で聞ける音楽の主流はやはりアメリカン・ミュージックで、ザ・バンドやジャクソン・ブラウンが頂点にいたのです。

 ただ、「ブラック・ホークといえば(ブリティッシュ・)トラッド」というイメージが、もし世の中の一部にあるとすれば、それもまた興味深いことではあります。(ゆ)

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