クラン・コラ・ブログ(アイルランド音楽の森)

 アイリッシュ・ミュージックなどのケルトをはじめ、世界各地のルーツ音楽を愉しむブログです。そうした音楽の国内の音楽家も含みます。加えて主宰者の趣味のグレイトフル・デッド。サイエンス・フィクション、幻想文学などの話もあります。情報やメモ、ゴシップ、ただのおしゃべりなどもあります。リンク・フリーです。

タグ:気候変動

日記 8月6日・金〜7日・土
 

 昼前、駅前まで出て、COVID-19 ワクチン接種2回め。ファイザー。接種直後は何も無かったが、夜半、ベッドに入る頃から微熱が出てきたようだ。そこから1時間毎にトイレに通う。毎回膀胱が満杯。7日土曜日夕方まで続く。トイレに通う間はまずまず眠れたが、土曜はやはり朦朧としている。朝には平熱。まったく何もせず。ベッドでごろごろ。時折り、眠る。


 金曜日は Bandcamp Friday なので、あれこれ注文。スイスのジャズ・ギター・トリオ Nova の The Anatomy Of Bliss が面白そうだ。バンド名もだが、「アルジャーノンに花束を」とか「ファウンデーション三部作」なんて曲をやっている。


 Grateful Dead, Dave's Picks, Vol. 39 着。1983年の完全版は4本め。レミューのライナーによれば、この年は出来不出来の差の大きな年で、全体とすれば "disastrous" の方が多い。その中でも、探せば宝石はあり、春のツアーの最終日の04-26、フィラデルフィアの The Spectrum はその宝石の一つの由。ボーナスで入っている前日の同じ会場、04-15のロチェスターの War Memorial Auditorium の二つは、SetList Program のコメントによれば、各々のショウのハイライトで、その他は公式リリースに値しない、ということらしい。1980年代前半の完全版公式リリースは少ないから、あたしなどは大喜びだが、この時期は不人気で、Dead.net ではまだ売り切れていない。1973年の Vol. 38 は数時間で売り切れていた。この辺りもひょっとすると昔からのデッドヘッドと、あたしのような新しいファンとの違いかもしれない。あたしはとにかく全期間にわたって、いい演奏は聴きたいわけだが、古くからのデッドヘッドの中には、自分がデッドの「バスに乗った」時期に固執する傾向があるように思える。



 FiiO M11Plus の国内販売がようやくアナウンス。しかし、発売は「今夏」って、もう立秋。夏も終るぜ。まあ、これでも十分ではあるし、AKM も魅力ではあるんだけど、ここはあえて M17 を待とう。


 M11Pro にインストールした Bandcamp アプリで聴くよりも、MacBook Air の Safari で Bandcamp のサイトを開いて再生し、AirPlay で M11Pro に飛ばして、Pure Music モードで聴く方が音が良い。断然良い。Pure Music モードの威力か。ところが iPhone からは Bandcamp のサイトでもアプリでも AirPlay に飛ばせない。ボタンが出てこない。iPad 用 Bandcamp アプリは前から役に立たない。Bandcamp on M11Pro よりも、iPhone の Safari 内の YouTube で再生、AirPlay > M11Pro の Pure Music モードの方がやはり音はいい。



 湾流 The Gulf Stream つまり、メヒコ湾からヨーロッパに流れる暖流が近い将来消滅する可能性があるとドイツの研究者が発表したことがIrish Times で報じられている。これも温暖化の影響だそうな。アイルランドやブリテン、イベリア半島、あるいは遠くフェロー諸島まで、湾流のおかげを蒙っているから、これが無くなれば、ヨーロッパ北西部一帯の気候は格段に厳しくなる。ダブリンがトロント並みになる。当然、この一帯の農業には大打撃のはずだ。


 湾流の消滅は湾流だけの話ではなく、世界的な海水移動に影響があるから、どういう結果になるかは軽々には言えないと、アイルランドの学者は言うが、全体的に平均気温が下がることは確実だ。


 湾流と並ぶ暖流である黒潮はどうなのだろう。(ゆ)


 気温は低いのだろうが、陽光が強くて、暖かい。

 散歩で下古沢の北側の縁を回ると、市が造っている新しい道の工事現場を見下ろす。道路本体ではなく、排水池らしい。このあたりは前は山林だったはずで、林業が行われていたのかどうか。踏みつけ道の脇に、無名の社があるので参詣。一応鳥居があり、それとは直角に社がある。どこにも名前はない。後でネットで調べても出てこない。扉は閉まっている。そこが一帯の頂上で、少し下った奥の方に、こちらは以前は畑だったらしい庭ともつかないところに桜の大きな樹があって、もうそろそろ満開。地上では2本に別れているが、地下ではつながっているのかもしれない。

 散歩のおともは The John Kirkpatrick Band, Welcome To Hell, 1997。あらためて聴くと、この人のシンガーとしての偉大さに打たれる。リチャード・トンプソンも長年精進して、今では第一級のうたい手だが、ジョンカークの前では色を失う。同世代ではもちろん、イングランドの伝統歌の男声のうたい手として、肩を並べられるのはマーティン・カーシィぐらいではないか。それに、こういう組立て、ドラムス、ベース、エレクトリック・ギターというロック仕立ての編成をバックにこれだけ堂々と歌えるのは、他には見当らない。ジョン・タムスもいいが、カークパトリックに比べてしまうと弱いと聞える。サイモン・ニコルはB級。男声女声の枠をはずせばイライザがかろうじてタメを張れるか。しかも、このアルバム、ほとんどがかれのオリジナル。いずれもイングランドの伝統に深く根差した佳曲。蛇腹の天才、シンガー、作曲家と天は三物をこの人に与えた。近年イングランドのダンス・チューンの名曲佳曲がぞくぞく発掘・復刻されているけれど、ここにはその先駆もあって、《Morris On》 以来、イングランドのダンス・リヴァイヴァルは常にこの人がリードしてきたことをあらためて思い知らされる。

 Graeme Taylor のエレクトリック・ギターは、分をわきまえて、かつカークパトリックの歌や蛇腹を強力にプッシュする。かつての耳をふさぎたくなるやり過ぎは完全に影をひそめた。Michael Gregory のドラムスもやはり進化はうかがえるもので、曲によってビートをきっちり叩き分けるし、何よりダンス・チューンでの躍動感はなかなかの水準。

 久しぶりに聴いて、傑作の観新た。ジョンカークの数多い録音の中でも五指に入る。

John Kirkpatrick: vocals, accordion, concertina
Dave Berry: bass, double bass, electric bass, tuba
Michael Gregory: drums, percussion
Paul Burgess: fiddle, recorder, keyboards, chorus
Graeme Taylor: guitar, banjo, mandolin, chorus


Complete John Kirkpatrick Band
Kirkpatrick, John Band
Fledg'ling UK
2013-08-06



 FiiO M11Pro は生産完了になっていた。そろそろ次が出る頃ではある。

 Elizabeth Hand, Glimmering 改訂版着。キム・スタンリー・ロビンスンの序文はこの作品そのものよりも、この作品が使っている近未来のディストピアという形、サブジャンルの効果、威力を説く。著者のまえがきによると、発表された1997年当初は近未来の警告の書としての性格が強かったわけだが、この2012年改訂版の数年前に、むしろ改変歴史ものとして読めるのではないかとイギリスのある批評家から示唆を受けたことで、復刊を考えはじめた。2009年後半に、気候変動についてした講演の聴衆の一人から改訂のアイデアをもらった。書いてから14年たって初めて読みなおし、改訂することにした。かなりのカットをほどこした上で、先の聴衆の一人で親しくなった人物の提言を受けて、ラストのトーンを初版よりもいくらか希望を持てるものにしている。

 ということで、予定していた順番をすべて捨てて、これを読みはじめる。なんといっても、破局が起きるのが1997年3月26日、メイン・キャラの一人 Jack の誕生日、ときては読まないわけにいかない。

Glimmering
Hand, Elizabeth
Underland Press
2012-06-26


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