一家揃って妹の墓参り。ちょうど染井吉野が満開で、「桜の里」という名前の通りの花盛り。よく晴れて墓参りにはちょうどよい。町田駅にもどり、息子推薦の魚定食屋・魚恵に行く。なるほど旨い。
食べて解散。ロフトを覗き、ジェットストリーム・ライト・タッチ、ブルーブラックの単色ボールペンと先日銀座で長蛇の列のレジに恐れをなして買わなかった Kreid の小さめのノートを買う。ブルーブラックの替芯のケースは空っぽ。念のため訊ねてみるが、在庫無し。
ブルーブラックのおかげで、今まで見向きもしなかったジェットストリームに俄に関心がわく。油性ボールペンでブルーブラックのインクは初めてかもと検索してみると、ジェットストリームは過去に出していた。この記事によれば2010年頃まではブルーブラックは出ていた。
パイロットは30年以上前に出したことがある。
油性ボールペンにブルーブラックが無い理由について、このパイロットの課長は黒との判別が難しいことをあげているが、これではゲルインクにはあって、油性には無いことが説明できない。
真の理由を勘繰ると、インク原料の性質から、安定した製造が難しいのではないか。ロット毎に色が変わってしまうのでは、レギュラーにできない。1回に作った分だけ売りきる限定版にせざるをえない。
とはいえジェットストリーム発売当初にはカラーインクとして4、5年の間レギュラー販売していたわけだから、安定製造がまったく不可能なわけでもないだろう。とするとやはり売れなかったのか。
15年前にはブルーブラックは人気が無かったことはありえる。今世紀に入って四半世紀経つ中で、2010年というのは1つの区切りのような気がしている。そこまではまだ20世紀を引きずっていた。2011年の東日本大震災がきっかけかもしれないが、わが国だけのことでもないような気もする。その2010年以降、ブルーブラックへの嗜好が広がってきたのではないか。サクラクレパスがブルーブラックはじめ、各種の「黒」の使い分けを提唱したボールサイン iD を出すのが2021年。これが定着しているのをみても、ブルーブラックのような「黒系」の色を好む人は増えていると見える。万年筆用インクではブルーブラックは定番で、インク・ブームからブルーブラックへの嗜好が広がったことはありえるだろう。
町田のロフトではシャープペンシルの棚は軒並現物は無く、製品カードを持っていってレジでの渡しになっている。なっておらず、現物が棚にあるのはファーバーカステルのバリオ。これは銘機なのに人気が無いのか。
サウンドジュリアの動画で知ったカーラ・ボノフの〈The water is wide〉をあらためて Tidal で聴いてみると、かなり良い。間奏のアコーディオンがちょとやり過ぎだが、後半の男声コーラスにゾクゾクする。セカンド《Restless Nights》のクローザー。
調べるとこの曲のコーラスはジェイムズ・テイラーとJ. D. サウザーとあるが、後ろのはおそらくサウザーだろう。アコーディオンはガース・ハドソン。バンドから離れてはしゃいだのか。
アルバムは1979年、ラス・カンケル、リック・マロッタ、ワディ・ワクテル、アンドリュー・ゴールド、ダニー・クーチマーなど、有名どころがずらり。リンドレーまでいる。ボノフの声はわずかに粗さがあり、プロデュースのケニィ・エドワーズはかっちりしたロックの体裁を採用してその声を活かし、シティ・ポップにしていない。70年代の良心を留めた1枚。(ゆ)