クラン・コラ・ブログ(アイルランド音楽の森)

 アイリッシュ・ミュージックなどのケルトをはじめ、世界各地のルーツ音楽を愉しむブログです。そうした音楽の国内の音楽家も含みます。加えて主宰者の趣味のグレイトフル・デッド。サイエンス・フィクション、幻想文学などの話もあります。情報やメモ、ゴシップ、ただのおしゃべりなどもあります。リンク・フリーです。

タグ:生演奏

0116日・日

 名古屋のオーディオ・ショップ、サウンドジュリアのブログに、クラシックのハープとチェロのコンサートに行った記事が出る。こういう店は信用できる。もっとも、ここからはオリジナルのアクセサリーしか買ったことはないけれど。メインに売っているものには手が届かなかったりする。(爆)

 わが国のオーディオ関係者、とりわけ作ったり売ったりしている人たちが、生の音楽を聴いているのか、あたしは疑っている。むろんふだん生を聴いている人たちがいないはずはないが、少数派なのではないか。オーディオ製品を作ったり売ったりしている人にしてみれば、オーディオは目的なのかもしれない。けれど、目的はやはり音楽を聴くところに置くのでなければ、オーディオの理想像も見失われるのではないか。ひいてはオーディオの面白さが失われるのではないか。

 まあ、本のように、たとえば楽譜かなにかを見れば、音楽が聞えてくるのがベストなのではあろうが、楽譜を読むのは活字を読むのに比べて、ハードルが高すぎる。

 それに音楽の演奏、再生にはやはり演奏者の解釈が介在する。同じ曲を違う人や楽器や編成や場所やでやるとどうなるか、が音楽を聴く醍醐味が生まれるところでもある。

 とすれば、やはり録音を再生して聴くのは、これからも音楽のリスニングの大部分を占めるだろう。その手段をシリアスに追求する愉しみが減ることのないように、今はパンデミックでチャンスが減ってはいるけれど、関係者には生の音楽を聴いてほしい。



##本日のグレイトフル・デッド

 0116日には1966年と1970年の2本のショウをしている。公式リリース、1本。


1. 1966 The Matrix, San Francisco, CA

 とはいうものの、これも実際行われたか疑問視されている。ポスターも前日まで。詳細不明。


2. 1970 Springer's Inn, Portland, OR

 3.50ドル。開演8時。ポスターには "Springer's" だけで、検索すると Springer's Ballroom という表記もある。

 2時間半近いショウだが、休憩なしだったらしい。21曲目〈Easy Wind〉が《The Golden Road》所収の Disc 7Workingman's Dead》のボーナス・トラックとしてリリースされた。2010年の《30 Days Of Dead》でもリリースされている。

 こういう演奏を聴くと、デッドがブルーズ・バンドとみなされたのも不思議は無い。あるいは、この時期のこういう演奏は、バンドとしてまだ若い時期のものの名残りというべきか。ピグペンのヴォーカルは相変わらず、というより変わりようがないが、ガルシアのギターは60年代とは変わってきている。基本はブルーズ・ギターだが、そこからはみ出る部分があると聞える。曲はロバート・ハンターの作詞作曲。19690820日シアトルで初演。19710404日、ニューヨークでの演奏が最後。計45回。スタジオ盤は《Workingman's Dead》。ピグペンの持ち歌で、かれがバンドから脱けて以降は演奏されていない。このアルバム以降のデッドの音楽の変化の中で、ピグペンに居場所を与える試みにみえる。

 River というアクトがポスターには共演者として掲げられているが、不明。(ゆ)


 ああ、生のフィドルの音はこんなにも気持ちのよいものだったのだ。もちろん名手の奏でるフィドルだからこそではあるだろう。久しぶりのせいか、マイキーはフィドルの腕が上がったように聞える。冒頭、いきなりポルカで始めるが、ビートがめだたない。まるでポルカではないかのように、細かい装飾音に支えられてメロディが浮きたつ。その次はホーンパイプからジグ。その次はカロラン・チューンからリール。ギター・ソロで始まり、フィドルが加わる。曲種と楽器のこの転換がひたすら心地良い。とりわけ斬新な工夫でもない、特別なことではないよというように、実際もう特別なことではないのだろうが、風景が変わってゆくのは快感だ。もう、これがアイリッシュかどうかなんてことはどうでもよくなるが、それでもこれはアイリッシュならではの快感だ。

 前半のしめくくりにトシさんが歌う。去年あたりから、あたしが見るライヴではトシさんの歌が最低で1曲は入っている。やはり歌っていると巧くなるもので、今回はもう一段の工夫もあって、レベルが上がった。芸は Bucks of Oranmore のメロディにオリジナルの歌詞をのっけるのだが、マクラとしてその歌詞を一度講談調に演じる。コロナが流行りだす頃から京都に移って、あちらの友人の提案だそうだが、講談はトシさんのキャラ、ミュージシャンとしてのキャラにも合っている。あの風采で和服に袴をつければ講談師で通りそうだ。誰もアイリッシュ・ミュージシャンとは思うまい。それでリルティングとか、こういう既存のメロディに物語りをのせるのをやったらウケるかもしれない。バラッドというのはそもそもそうやってできている。たとえばラフカディオ・ハーンの怪談をアレンジしてみるのはどうだろう。

 高橋さんのギターはマイキーのフィドルとの呼吸の合い具合がさらに練れてきたと聞える。後半の1曲めでコード・ストロークでソロをとったのは良かった。引田香織さんたちとやっている「ブランケット」の成果だろうか。高橋さんは去年からスティール・ギターをもう80を超えたわが国の名手に習っているそうで、そのスティール・ギター風で Danny Boy をやる。確かに素直に聞けばこのメロディは綺麗なのだ。困るのはこれに余計な感傷をこめてしまうからだ。高橋さんのギター・ソロからフィドルとバゥロンが加わった演奏は、これまで聞いたこの曲の演奏でもベスト3に入る。マイキーのCDにはぜひ入れてもらいたい。

 ギター・ソロから3人のアンサンブルという転換はその前の Banks of Cloudy から Blackbird のメドレーも同じで、これも良かった。こいつもぜひCDに入れてください。まあ、この日の演目はどれもCDで残す価値はあるとは思う。

 マイキーは来年6月に次の任地ウクライナへの転任が決まったそうで、日本にいられるのはあと半年。なんとしてもその間に、CDだけは出してほしい。マイキーが去るのは残念だが、マイキーと入れかわりにコンサティーナを演られる妹さんが来日するそうで、なにせ、マイキーの妹さんだから、楽しみだ。

 20名限定で満席。こんな時によく来てくださいました、とミュージシャンたちは言うが、こんな時だからこそ、なのだ。こんな時によくも演ってくれました、なのだ。みんな、飢えているのだ。きっと。あたしは少なくとも飢えている。配信は確かに新しいメディアで、ふだんライヴに行けないような人たち、スケジュールが合わない、遠すぎる、などなどで行けない人たちにも生演奏に接するチャンスを生んだ。とはいえ、なのだ。それはそれでケガの功名として、ライヴの、それもノーPAの生音のライヴは格別なので、こういうライヴを体験できる幸運にはただひたすら感謝するしかない。

 ムリウイはビルの屋上の一部だし、周囲に高い建物は無いので、店の外に出れば街中としては空が広い。その宙天に冷たく輝く月がことさら目にしみる。思いの外に寒くなり、おまけに来てゆく服をまちがえたので、帰りの駅からのバスでは胴震いが止まらない。それでも、音楽のおかげだろう、風邪をひかずにすむ。(ゆ)

03/15(火)きゃめる
酒井絵美: fiddle
高梨菖子: whistles
成田有佳里: bodhran
岡皆実: bouzouki
open 19:30/ start 20:00
予約 2,500円 当日 3,000円+1ドリンク
03-3822-0527

03/20(日)ノルカル Tokyo
酒井絵美: fiddle, harding fele
Morten J. Vatn: seijefloyte, fjellfloyte, bukkehorn, munnharp, etc.
記憶の蔵 in 谷根千
open 13:30/ start 14:00
2,500円(軽食付き)

03/24(木)「凪ぐ、はじまる」演奏会
服部阿裕未: accordion
中藤有花: fiddle
長尾晃司: guitar
with tipsipuca
高梨菖子: whistles
酒井絵美: fiddle
03-6320-0790
open 19:00/ start 19:30
2,500円+オーダー

03/27(日)*ノルカル Tokyo インストア・ライヴ@タワーレコード渋谷6F
酒井絵美: fiddle, harding fele
Morten J. Vatn: seijefloyte, fjellfloyte, bukkehorn, munnharp, etc.
start 16:00
無料

04/02(土)tricolor 最新アルバム《うたう日々》発売記念コンサート
tricolor
with
森ゆに: vocal
優河: vocal
中川理沙: vocal
渡辺庸介: percussion
マチネ open 13:30 start 14:00
予約 3,000円 当日3,500円 + 1オーダー
ソワレ open 17:00 start 17:30
予約 3,500円 当日4,000円 + 1オーダー
03/15までに予約すると特典付き

04/07(木)〜09(土) Garcon!
 フィジカルシアターカンパニー CAVA による生演奏の音楽付きパントマイム。
CAVA(さば)
with
熊坂義人: contrabass
瀬戸信行: clarinet
酒井絵美: violin
スパン子: accordion
作・演出 丸山和彰
前売 3,800円 当日 4,000円
ペア券 7,000円
学生 3,200円
小学生以下 1,500円
ファミリー割引あり 04/09(土)11:30〜のみ
予約・問合せ
CAVA 070-5585-3388
Confetti 0120-240-540

04/11(月)ゴリ達(ごりら)
渡辺庸介: percussion
清野美土: harmonica
佐藤芳明: accordion
岩見継吾: wood bass
open 19:00 start 19:30
予約 2,700円 当日 3,200円
0334100505

04/21(木)ムシカ・アラビーヤ
酒井絵美: violin
矢島夕佳里: oud
ミヤタカコ: darbukka, req
03-3891-6444
open 19:00/ 一部 20:00/ 二部 21:00
2,000円+オーダー

04/28(木)*ハモニカクリームズ「踊る復活祭」
清野美土: harmonica
大渕愛子: fiddle
長尾晃司: guitar
+
田中祐司: keyboards
松下マサナオ: drums
open 19:00/ start 19:45
前売 3,000円 予約3,500円+オーダー
小中高生割引 前売予約1,500円 当日2,000円+オーダー
小学生未満無料
注意:「整理番号付き前売券はスター・パインズ・カフェ、またはハモニカクリームズのライヴ会場にてお求めください。通常のメール予約前売券には整理番号は付いておりません。
当日の入場は整理番号付き前売券をお持ちの方> 整理番号付き前売券をお持ちでないメール予約の方>当日券の方の順番です」
(ゆ)

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