クラン・コラ・ブログ(アイルランド音楽の森)

 アイリッシュ・ミュージックなどのケルトをはじめ、世界各地のルーツ音楽を愉しむブログです。そうした音楽の国内の音楽家も含みます。加えて主宰者の趣味のグレイトフル・デッド。サイエンス・フィクション、幻想文学などの話もあります。情報やメモ、ゴシップ、ただのおしゃべりなどもあります。リンク・フリーです。

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0224日・木

 Hot Rize のストアを管理しているらしい eTown から送料が注文したときの倍の84.55USD になった、不足分の小切手を送ってくれ、あるいは返金する。やれやれ。

 これまではアメリカから買う場合、古書などで本体価格が安いと、送料が本体価格の倍とか3倍とかあったが、CD で本体とほぼ同額というのは初めてだ。今年のデッドのビッグ・ボックスの送料が思いやられる。来年の Dave's Picks の送料もどんと上がるだろう。しかし、輸入盤、だけでなく、アメリカからブツを輸入している業者は死活問題にちがいない。



##本日のグレイトフル・デッド

 0224日には1967年から1995年まで8本のショウをしている。公式リリースは4本。うち完全版2本。


1. 1967 Fillmore Auditorium, San Francisco, CA

 このヴェニュー3日連続の初日。共演 Otis Rush & His Chicago Blues Band Canned Heat。セット・リスト不明。

 キャンド・ヒートは1965年ロサンゼルスで結成されたブルーズ・ロック・バンド。モンタレー・ポップ・フェスティヴァルで注目される。この年7月にファースト・アルバムを出す。メンバーは変わっているが、今でも現役だそうだ。

 オーティス・ラッシュ(1934-2018)はミシシッピ州フィラデルフィア出身のブルーズ・ギタリスト、シンガー・ソング・ライター。シカゴ・ブルーズの一角として、マジック・サム、バディ・ガイと並んで、独得のギター・スタイルとサウンドで後続のギタリストに大きな影響を与える。左利きで、弦は通常とは逆の順番で張っていた。1950年代から活動して、この翌1968年にファースト・アルバムを出す。


2. 1968 The Kings Beach Bowl, Kings Beach, CA

 このヴェニュー3日連続の最終日。《Dick's Picks, Vol. 22》で全体がリリースされた。

 こちらも1時間以上ノンストップ。〈Alligator〉以降は〈China Cat Sunflower> The Eleven〉を除いて、一塊のジャム。CCS に典型だが、この頃のデッドにはタメが無い。タメているヒマは無いとばかりに突走る。スタイルもスキルもまったく問題ではない。むろんヘタなどではない。むしろ、これだけの集中とスピードで突破できるのは相当に巧い部類。しかし巧いヘタすらも問題では無い。録音で聴いてこれなのだから、その場にいたならば、完全にトリップしていただろう。



1969 The Matrix, San Francisco, CA

 これはデッドとしてのギグではなく、Mickey And The Hartbeats 名義(スペルはこちらのはず)。メンバーはガルシア、レシュ、クロイツマン(Bill Sommers 名義)とハート。ピグペンとウィアを排除する試みの最も早い例の一つと見ることもできる。この日付の『サンフランシスコ・クロニクル』"Date Book" 欄に記載がある由。


3. 1971 Capitol Theatre, Port Chaser, NY

 このヴェニュー6本連続の千秋楽。このヴェニューでの最後のショウ。第一部5曲目〈Bird Song〉が2014年と2020年の、第二部オープナーの〈Sugar Magnolia〉が2010年の、6曲目の〈New Minglewood Blues〉が2012年と2013年の、各々《30 Days Of Dead》でリリースされた。《30 Days Of Dead》は未発表のライヴ音源を出すのが建前だが、ミスか故意か、ダブりはままある。もっとも2年続けて同じショウの同じ曲が出たのは珍しい。

 〈Bird Song〉はガルシアのソロが面白い。後のヴァージョンと比べてしまうと物足らないところもあるが、さらりと終るのもかえって追悼の歌にはふさわしいかもしれない。これはジャニス・ジョプリンに対するデッドからの別れの挨拶。

 〈New Minglewood Blues〉は429回で12位という演奏回数。19660312日ロサンゼルスで初演し、1970年になって演奏が増える。この日の演奏はこの年初めてだが、次の4月29日の演奏で1度レパートリィから落ちる。復活は19760712日。つまり、この1971年までは演奏スタイルにまだ迷いがあったのだろう。ここではまず序奏があってからヴォーカルが入る。ウィアが故意に思いきりイキんで唄いだす。これはどうもやはり無理があるように聞える。ガルシアのギターは軽快で面白い。

 このショウもいずれ全体が公式リリースされるものと期待。


4. 1973 Iowa Fieldhouse, University of Iowa, Iowa City, IA

 クローザー〈Sugar Magnolia〉が2012年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。

 このトラックはその前〈Eyes Of The World〉からのジャムの途中で始まり、ベースのソロになる。ここではレシュに加えて、ウィアがギターのベース弦で応酬する。しばらく二人のベースとドラムスだけでやり、そこへガルシアが徐々に入り、続いて他のメンバーも入ってまたジャムになる。これがいい。ひとしきりやったところでウィアがリフを刻んで〈Sugar Magnolia〉。Sunshine Daydream 前のブレイクまでのジャムでのガルシアの流麗なソロがたまらない。ところどころ、こちらの予想をひっぱずす。SD のパートではドナとウィアの二重唱で、このヴァージョンは二人の息の合い方が抜群に良い。こういうのを聴くと、〈Sugar Magnolia〉はこの形がベストと思う。


5. 1974 Winterland Arena, San Francisco, CA

 このヴェニュー3日連続の最終日。《Dave's Picks, Vol. 13》で全体がリリースされた。CD で3時間半を超える。


6. 1992 Oakland-Alameda County Coliseum Arena, Oakland, CA

 このヴェニュー3日連続の最終日。第二部オープナーの〈Iko Iko〉でマルディグラ・パレードが行われた。

 この時期の新曲にはデッドヘッドの間で賛否が交錯している。どちらかというと否定的な意見が多いが、熱狂的に支持する向きもある。

 あたしは個々の曲の質が明白に落ちたとは思えないが、ライヴで揉んで曲を育てる部分は不足気味かとは思う。


7. 1995 Oakland-Alameda County Coliseum Arena, Oakland, CA

 27.50ドル。開演8時。マルディグラ祝賀でこのヴェニュー3日連続の初日。(ゆ)


0213日・日

 本や CD を買おうとして、送料がどかんと上がっているのに気がついた。アメリカは昔から海外への送料が非関税障壁と思えるほどバカ高かったから、そう変化は感じないが、問題は UK である。大英帝国の遺産で、UK は世界中にモノを安く送るシステムがあるのだと信じていた。それくらい安かった。アイルランドから来るよりもずっと安い。安かった。大陸からはほとんど買わないのでわからないが、アイルランドと変わらないはずだ。

 今回はその UK からの送料が上がっている。ブツの価格の半分、または超える。パンデミックだけでなく、Brexit の影響も加わっているのかもしれない。

 これではブツは買えなくなる。新刊はまだいい。電子版がある。問題は古書しかないものだ。CD はクレジットや楽曲解説がネット上で手に入るものについてはファイルのダウンロードまたはストリーミングに移行するしかない。実際、デッド関連で古い録音を聴くのはほぼ Tidal に頼っている。幸い、多少とも名の通ったアーティストの録音は Tidal でほぼ網羅されている。Tidal に無いようなマイナーあるいはもっと名を知られていない人たちの録音は他でも無い。

 しかし、ブツが必要な場合も、音楽では少なくない。困ったことである。

 一度上がった送料は、そう簡単には下がるまい。本や CD だけに限るものではないことはもちろんだ。わが国はたいていのものを輸入している。その昔、『ジャンプ』が1号出ると、インドネシアの山が一つ禿山になる、と言われた。まあ、コミックも電子版の方が売上が上になっている。にしても、だ。

 患者数は減っても、パンデミックの影響は、むしろこれから深く広く広がってゆくんじゃないか。



##本日のグレイトフル・デッド

 0213日には1970年と1988年の2本のショウをしている。1970年の方は公式リリースがある。


1. 1970 Fillmore East, New York, NY

 このヴェニュー3本連続の2本目。遅番ショウからの4曲が《History Of The Grateful Dead, Vol. 1 (Bear's Choice)》で、早番ショウの3曲目〈Good Lovin'〉が、《The Golden Road》収録の《History Of The Grateful Dead, Vol. 1》のボーナス・トラックで、遅番ショウ後半の〈Dark Star> That's It for the Other One> Turn On Your Lovelight〉が《Dick's Picks, Volume 4》で、それぞれリリースされた。遅番ショウは前半がアコースティック・セットで〈Dark Star> That's It for the Other One> Turn On Your Lovelight〉がエレクトリック。

 全部で2時間10分強。

 DeadBase XI のレポートで John W. Scott はこのショウのテープを「無人島テープ」の1本に挙げている。

 早番ショウの〈Good Lovin'〉と遅番ショウのアコースティック・セットの〈Katie Mae〉のピグペンは、全盛期もかくやという演奏。長年、周囲が薦めていたが、本人はどうしてもやろうとしなかったこと、自分のギター1本で歌うことを、この時、初めてこの曲でやった。ベアがこのショウをその追悼に選んだのもよくわかる。エレクトリック・セット〈Dark Star> That's It for the Other One〉も、このショウがデッド史上最高の1本であると言われても、なるほどとうなずける。〈Dark Star〉では、スペーシーな音の散らしは比較的短かく、ドライヴの効いたジャムが続く。〈That's It for the Other One〉のジャムも、後半、延々とエネルギーが切れない。どちらも30分。ただこれまた30分近い〈Turn On Your Lovelight〉ではピグペンが息切れしてしまっている。バンドは盛り立てようとして、何とか最後まで保たせる。これを凄いというジョン・スコットの弁は正直理解できない。スコットもその場にいたわけではなく、テープで聴いている、とこのレポートを読むかぎりは思われる。

 ベアことアウズレィ・スタンリィは草創期のデッドにとっては不可欠の人間だ。一つには質の良い LSD を製造する技に長けて、LSD そのものの供給源として、LSD の販売による財産によってデッドの財政を一部支えたパトロンとして、そして、デッドのPA装置の音質の向上に大きな貢献をし、またそのショウの録音を始めたエンジニアとして、の3つが大きい。加えるに、デッドのトレードマークの一つである頭蓋骨の中の稲妻を考案したのもベアである。また後にデッドのシンボルの一つとなる踊るクマのイラストも、かれがモデルだといわれる。

 あたしら、後世のリスナーにとっては、エンジニアとしてまことにありがたい存在だ。1960年代から1970年頃までの原始デッドのショウのサウンドボード録音はほとんどがベアの手になる。エンジニアとしての腕も抜群で、おかげでデッドのショウはPAの音がよく、それをクリアに録音してくれている。かれも立ち上げに参加した音響工房 Alembic はショウの音響の改善を追求して、ついには "Wall of Sound" に行きつく。

 《History Of》は続篇がついに出なかったが、《Live/Dead》と《Grateful Dead (Skull & Roses)》の間をつなぐライヴ盤として、当時は貴重だった。アコースティック・セットの録音も《Reckoning》が出るまでは他には無い。


2. 1988 Henry J. Kaiser Convention Center, Oakland, CA

 このヴェニュー4本連続の初日。この年最初のショウ。開演8時。

 年初の一発目でまだバンドは目覚めていない。(ゆ)


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