クラン・コラ・ブログ(アイルランド音楽の森)

 アイリッシュ・ミュージックなどのケルトをはじめ、世界各地のルーツ音楽を愉しむブログです。そうした音楽の国内の音楽家も含みます。加えて主宰者の趣味のグレイトフル・デッド。サイエンス・フィクション、幻想文学などの話もあります。情報やメモ、ゴシップ、ただのおしゃべりなどもあります。リンク・フリーです。

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0111日・火

 クーキー・マレンコの今年の予想、というよりも、期待、願望に近い。クーキーはDSD録音・配信のパイオニアで、優秀な録音技師、Blue Coast Records の主催者。


1) DSD ダウンロードがカムバックする。

 実際、昨年も遅くなって、Blue Coast での DSD のダウンロード販売数がかなり増えているそうだ。アジアがメインでヨーロッパが少し。アメリカ人は DSD の違いがわからないのか。まあ、あたしもわかるとは言えない。ただ、DSD で出ているものは、DSD で聴くと気持ちがいいことは確かだ。もっとも正直言って、Blue Coast で出ているミュージシャンにあまり食指が動かない。Tony Furtado ぐらい。


2) ストリーミングはリスニングの音源として主流にならない。

 これは無いだろうなあ。ストリーミングが主流ですよ、すでに。ただ、リスニングの形態は多様化していて、あるメディア形態が他の全てを圧する、ということは減ると思う。

 あたしにとってストリーミングは今のところ、CDを買えない、買うまでもない音源を、とりあえず聴く場になっている。デッドが共演したり、何らかの関連のあるミュージシャンたちの音源を聴くにはたいへん便利。いちいちCDを探して買う必要がなくなった。他にもジャズの一部とか、とりあえず、どんなものか聴いてみる、というのがこんなに簡単になったことは今まで無かった。

 困るのは国内のアーティストの古い音源を聴こうとすると、CDを買うしかなかったりすることが多いのだ。


3) DSP つまり digital service provider つまり Apple, Spotify など、その他200に及ぶその同類から著作権料を徴収する方法が音楽配給会社には実のところわかっていない、ということが広く知られる。

 「音楽配給会社 music distribution companies」というのは ASCAP とか BMI のことか。ならばわが JASRAC もだが、これは要するに包括契約のことを言っているのだろうか。

 既存の放送局などのアナログと違って、デジタルでの配信では、誰のどの楽曲が何回ダウンロードまたはストリーミングされたかは正確に計数される。はずである。しかし、実際には数えられていない。ということはつまり、ミュージシャンにもレーベルにも、正確な数は報告されておらず、したがってそれに基く著作権料も払われていない。ということになる。これが放置されていいはずはない、とクーキーは言いたいらしい。だとしたら、まったくその通り、放置されていいはずはないよ。


4) アーティストが質の高い作品を生みだせるよう支えるために、アーティストの真のファンたちが NFT を買うことが、爆発的に増える。

 NFT Non-Fungible Tokens の略で、「等価交換できないトークン」、暗号通貨の一種だそうだ。実体は、たとえばある楽曲のストリーミングの1回1回、ダウンロードされるファイルのそれぞれに付けられたコード、なのだそうだ。うーん、実感が湧かない。だが、NFT の形で楽曲を買うことは、デジタル・データではあるが、他のコピーとは異なる、独自のユニークなものを手に入れることになり、かつてのシングル・レコードを買うことに等しくなる、らしい。NFT はトークンだが、それ自体を取引することも可能で、実際、ある楽曲の NFT がオークションでウン百万ドルで落札されたこともあるという。これってたとえばジョンのサイン入り〈抱きしめたい〉のシングル盤SP、なんてものがあるとして、それと同じことじゃないのかね。すでに、NFT の形でアルバムをリリースしているアーティストもいるらしい。どんな形でどのように普及するか、全然わからないながら、興味津々ではある。


5) Facebook, Twitter, Instagram などは、音楽をプロモートする場としての人気は衰える。

 代わりに、アーティストやジャンルや概念などを中心としたコミュニティが使われる。クーキーが念頭に置いているのは Discord のようなものだ。単に茶化したり、冷やかしたり、あるいはディスるためだけのコメントがまぎれこまないようにできるもの、ということだろう。


6) その洞察が信頼できるジャーナリストたちによる出版物をサブスクリプションするのに金を払う人間が増える。

 クーキーは実際にそうしているし、相手はクーキーだけがサブスクリプションしているわけではない。わが国ではどうだろうか。ジャーナリズムそのものがほとんど無きに等しいし、音楽はじめ芸術作品のバランスのとれた紹介・評価ができるよう訓練する場も無い。それでもそうしたジャーナリストが皆無なわけではない。と思いたい。


7) Netflix, Disney, などはサブスクリプションの数が減る。

 これもまあ、無いだろうが、これまでのような爆発的な増加は鈍るんじゃないかね。「凡庸なテレビや映画を一気見するよりも、ホンモノの、生身の人間を実際に体験することの方が、遙かに得るものは多いことに、みんな気がつきだしている」とクーキーは言う。それはその通りなんだけれど、Netflix にしても、ディズニーにしても、そのテレビや映画は「凡庸」よりもちょっとだけ質が上なのよね。大傑作じゃないけど、平均よりもそこそこ面白い。もっとも、「平均」の水準はしたがって常に上がりつづけるので、これからはそうはいかないから、まったく絵に描いたように「凡庸」なものも増えるでしょう。つまり、時間の奪い合いに、ストリーミング TV は今のところ勝利しているけれども、いつもずっとそういうわけにはいかないことも確か。


 あたしとしては、年末、このうち 3) 4) がどうなっているか、たのしみだ。



##本日のグレイトフル・デッド

 0111日には1978年と1979年の2本のショウをしている。公式リリースは無し。


1. 1978 Shrine Auditorium, Los Angeles, CA

 前日の追加公演。7.50ドル。開演7時半。ポスターには「人気沸騰のため」として、わざわざ追加してある。もちろん、あらかじめ仕込みはされている。

 会場は Shriner と呼ばれるフリーメーソンの一派の寺院として1926年にオープンした公会堂で、座席数6,700だった。2002年に大規模改修されて現在は6,300。州指定の史的建造物。ここでのイベントは娯楽向けが多く、アカデミー賞やエミー賞の授賞式も何度か行われたし、ミス・ユニバース・コンテストもある。コンサートもロックに限らず、様々な形のものの会場となった。

 デッドはここで19671110日から7本のショウを行ない、この1978年1月が最後。最初のショウが《30 Trips Around The Sun》の1本としてリリースされている。


2. 1979 Nassau Veterans Memorial Coliseum, Uniondale, NY

 このヴェニュー2日連続の2日目。すばらしいショウの由。ほんと、こういうのを聴く余裕が無い。公式リリースされているのを聴くだけで精一杯。(ゆ)


モジラ・プロジェクトから生まれたメディア・プレーヤー Songbird プロジェクトのヘッドが今年初めに交替して、新しいヘッドが公式ブログでこれからの Songbird の進む方向について書いていました。

    Les Schmidt という新任ヘッドは就任以来、投資家、事業提携者、従業員、新任の経営陣、音楽産業やテクノロジー産業内部の人びととと話し合いをもち、ここ数年に出現した400以上のデジタル音楽サーヴィスの実地調査をしたそうです。
    
    その末に、Songbird プロジェクト・チームの出した結論。月並なものではありますが、


    音楽産業はありとあらゆる方面で変化している。
    音楽関係のテクノロジーは日進月歩で、ほぼ毎日、新しいサーヴィスが出ている。
    変化の速度は当面早まりこそすれ、遅くはならない。


    そして抽出した最新の潮流。


    パソコンだけではなく、接続された装置すなわち携帯電話やタブレットで音楽を聴く人間の数がどんどん増えている。

    グーグル、アマゾン、アップル、MP3Tunes といった、クラウド・ベースのサーヴィスを使うのをためらわなくなっている。いつでもどこでも音楽が聴けるから。

    Pandora、Spotify、MOG、Rdio といった有料ストリーミング・サーヴィスに登録してこれを使用する人間が増えている。

    デスクトップで音楽を管理するツールとしては iTunes が圧倒的。

    若い世代が音楽を聴くのは YouTube が最も大きなものの一つ。ニールセンの調査では57%

    関心のある音楽を表明したり、友人の趣味を知るのに、ソーシャルな音楽体験が重要性を増している。


    新手の音楽サーヴィスといえば、先日デレク・トラックスのトラックス・テデスキ・バンドのライヴが有料ストリーミングで聴けるという案内が来ていました。ライヴのチケットを買うようにカネを払い、ただしその場にいなくてもネットで聴ける、というサーヴィス。アーカイヴも用意されて、時差のあるところでも聴けます。
    
    パソコンから出力される音源を録音するツールを使えば録音もできるのでしょう。
    
    Songbird としては、iTunes のような総合的なツールではなく、より細かい機能に特化した方向を目指すようです。単機能のツールを組み合わせて使うのはコンピュータの使い方として伝統的でもありますが、iTunes と正面から競合するのは避けて、どんどん出てくる新しいサーヴィスにより柔軟に対応できるようにしようというのでしょう。
    
    より大きくとらえれば、音楽はスピーカーの前に座って聴くものから、動きながら、いつでもどこでも聴くものへの変化が加速されるのでしょう。
    
    とすればアウトプット装置はイヤフォン、ヘッドフォンがデフォルトで、スピーカーは今のアナログ・プレーヤーの位置になる。
    
    またデジタル音楽の質も向上する。つまりPCMからDSDへの流れもおそらくは変わらない。
    
    流通形態としてのパッケージはボックス・セットと映像だけになり、「通常版」はすべてネット経由になる。
    
    スタジオ録音とならんでライヴ音源の割合が増える。
    
    ぼくなどでもこの程度は想像がつきますから、専門家や業界の人びとはもとつっこんだ予測を立てているはず。もっとも予測がついたからといって、それにしたがって行動するかはまた別の問題ではあります。とりわけ、既得権益保持者を守る制度が充実しているこの国では。
    
    とはいえ、ミュージシャンとリスナーにとってはますます面白くなることは確かでしょう。(ゆ)

    タイミングの悪いことにメルマガを配信した直後にダブリンはクラダの新入荷のメール。

    今月はひさしぶりに大物のリリースが集中しています。ソラス、グラーダ、カラン・ケーシィ&ジョン・ドイル、マイケル・マクゴールドリック、モイア・ブラナック、キーラ、ティーダなどなど。マイレト・ニ・ゴゥナルと West Ocean Strings Quartet が個人的にはまず聴きたい。シェイマス・タンシィのベスト盤も「一家に一枚」クラス。
   
    ダーヴィッシュの Johnny Foxes のライヴ DVD は、昔テープで出ていたものの復刻です。まだみんな若い! 演奏はすでにきわめつけ。何度も見られるビデオです。
   
    それから Claddagh レーベルの古いLPが MP3 ダウンロードの形で復刻されてます。CD にはなっていないものも多いです。異色はたしか南アフリカのグループの Atte/ でしょう。ワールド・ミュージックの先駆けではありますが、決して一過性ではない独自の魅力があります。
   
    もう1枚アイリッシュでないのは The Whistlebinkies で、スコットランドのバンドのデビュー。バトルフィールド・バンドやタナヒル・ウィーヴァーズからやや遅れてデビューしていますが、クラルサッハとハイランド・パイプが同居するという「冒険」を成功させたバンド。バンドはメンバー・チェンジしながら現在も現役ですし、メンバーのソロ・アルバムもあります。あ、ここでクラルサッハ(スコティッシュ・ハープ)を弾いているチャールズ・ガードのソロも同じく MP3 で出ていますね。これはバンドとはがらりと変わって、ぐっと引きしまった、孤高といってもよい佳作です。
   
    ユーロも安くなっていることですし、お買い物しましょう。なお、EU域外から買うと、消費税21%が表示価格から引かれます。送料とだいたい相殺になります。(ゆ)

    ちょと古い記事ですが、面白いので紹介しておきます。

    オリジナルは11/01付英インディペンデント紙の記事

    ある調査によると、非合法で音楽をダウンロードする人は、他の誰よりも音楽にカネを注ぎこんでいる人であるという結果が出たという話。「音楽の海賊行為を厳しく取締ることは、業界が苦しんでいる慢性の病気をさらに悪化させる可能性がある」そうです。
   
    非合法に音楽をダウンロードしていることを認めた人間は、平均して年間77ポンドというと現在のレートで約11,000円強を音楽に注ぎこんでいて、この額は非合法にダウンロードしたことの一度もない人の平均を33ポンド(約4,800円)上回っている、という調査結果が出たそうです。

    ということは、いわゆる「スリー・ストライク法案」が施行されると、音楽業界に土台を提供している顧客が罰せられることになるわけです。
   
    調査は16歳から50歳までの、インターネットにアクセスできる1,000人を対象に行われ、1割が非合法ダウンロードしていることを認めました。
   
    調査会社 Ipsos Mori にこの調査を委託したシンク・タンク Demos の担当者 Peter Bradwell 氏は「政府の手法は慢性病に悩む音楽業界のつっかえ棒にならない。政治家とレコード会社は、音楽消費の性質が変化して、消費者はより安く、より簡単なアクセスを求めていることを認識する必要がある」と述べています。

    一方で、政府の強硬策が実施された場合、非合法ダウンロードをしたことのある人間の61%が、インターネット接続をカットされるならば、非合法ダウンロードはしない、と答えています。

    Forrester Research の Mark Mulligan氏の分析。
    「ファイル共有している人びとは音楽に関心のある人たちです。かれらはファイル共有を音楽をみつける仕組みとして使っています。若者の中には、音楽はカネを払って手に入れる商品であるという概念そのものを知らない世代が育っています。適切な価格水準は、払っていることに気がつかない額でなければなりません」

    アーティストも意見が分かれています。政府の方策を支持する人もいれば、非合法のファイル共有のおかげでファンとの距離が縮まったという人もいます。

    ヴァージン・メディアとユニヴァーサルは、ダウンロードとダウンロードしたトラックの無期限の所有を認める定額サーヴィスを今年中に始める計画です。料金は(月額?)15ポンド前後です。


   と記事にはありますが、今日現在、まだ始まっていないようですね。また、英国以外の地域でも実施されるのかも不明です。


    え、日本でも導入されたら入るかって。いや、われわれのような「ニッチ」な音楽の愛好者は相手にされていませんよ。(ゆ)

    現役最高のオールドタイム・バンドと編集部が信じるカロライナ・チョコレート・ドロップスの先日のワシントン、DCでのライヴが、会場の国立アメリカン・インディアン博物館のサイトにあがっています

    全体は約80分のストリーミングで、CCD は前半分。実に実にサイコーのライヴ。画面を見ながら、思わず拍手してしまいます。これだけまとまって映像が見られるのは、初めてでしょう。
   
    先日亡くなったマイク・シーガーの名前も出して、今ぼくらがここでこういう音楽をやっているのはかれのおかげだとドムが言っていましたが、かれらこそは21世紀のニュー・ロスト・シティ・ランブラーズと呼ばれる資格は十分。そして汲みあげてくる源泉のヴァラエティの豊富なことでは、先輩たちを凌ぎます。マイク・シーガーたちはやはり白人がメインだったのではないか、とCCDを聞いていると思われます。黒人の文化に流れこんでいた、あるいはかれらが日常的に接触していた文化は、白人たちのものより実は遥かに多様で、幅広かったのでしょう。
   
    それを強く感じたのはリアノンがフィドルを持つときで、その際彼女が弾いたりうたったりする曲はあきらかに東欧やケルト系のメロディです。例えば冒頭から20分経過ぐらいから始まる、ジャスティンが手拍子と足拍子、ドムともう一人のゲストがそれぞれ両手にボーンズを持っての曲。
   
    もうひとつはドムが小型のパンパイプとブルース・ハープで披露した小品。声をアクセントに使う曲。こちらはアフリカにまっすぐつながっているようです。
   
    舞台さばきも堂に入ったもので、アンコール前の曲でのドムの「ドブロ回し」やリアノンのダンスも見せます。
   
    それにしても、出産のせいかリアノンが急に貫禄たっぷりになっていたのは少々びっくり。もっともその分、ヴォーカルに力が増すとともに深みが出て、いよいようたうたいとして成熟してきました。このライヴははじめから最後までハイライトの連続ですが、リアノンのうたはその中でも聞き物です。


    ちなみに後半はカナダ在住のインディアンがメンバーである4人組ブルース・バンド。良質の音楽を聞かせてくれますが、インディアンの伝統はほとんど感じられません。(ゆ)

    08/14 ヴァージニア州リッチモンド、08/15 ホット・オーガスト・ブルーズ・フェスティヴァル(メリーランド州)の録音がアップされた。早すぎる。
   
    後者には早速五つ星がついている。
   
    ヨーロッパからの帰国後、6本のライヴのうちこれで5本がアップされている。ヨーロッパ・ツアー中の録音が少かったことへの反動か。
   
    次は 08/16 フィラデルフィア・フォーク・フェスティヴァル

初登場のはずだが、なんと大トリ。ホット・オーガスト・ブルーズ・フェスティヴァルも初登場でヘッドライナーだった。(ゆ)

    2003-01-22 アトランタの録音がアップされた。以前 Shorten ファイルで配布されていたものを改訂したものの由。事情は書いていないがショウ全体は短い。
   
    2009-08-07 ケープ・コッドの録音がアップされた。これで、ヨーロッパから今回帰国後の三連荘がすべて聞ける。
   
    2009-08-06 に二つ星レヴューがつく。トッドのベースが会場でははっきり聞こえたのに、ちゃんと録れていない由。追記によるとこの御仁、会場で4人の酔っ払いグループと喧嘩になったらしい。同様の書き込みを Buddy & Julie Miller のメーリング・リストで見たこともある。dTb の録音でも、はじめからおわりまで、音楽に関係なく声高にしゃべり通している声が入っているものがある。会場の性格もあるのだろうし、たまたま行きあわせた人もいないわけではなかろう。それでもこういうところに出る文化の違いは、自分たちのものとならべたとき、かなり基礎的で本質的な位相をあぶりだす気もする。(ゆ)

    一応メモしときます。

「携帯電話やポータブルプレーヤーをハブとして、カーオーディオやホームオーディオなどの家庭用機器に、Bluetoothや赤外線通信、無線LAN等を通じて音楽を再生できるシステムの構築を同協議会が中心となり推進していく」

    つまり、iPod からデスクトップ機器になんとか客を呼びこみたい、ということでしょうか。それともカーオーディオの方が大きいのかな。
   
    でも、これからの若者はクルマに興味がないそうですがねえ。それに動かせないハードは避けるかも。iPod と高性能イヤフォン、ヘッドフォンで音質は十分ですし。PHA かませれば、320kbps の MP3 でも、びっくりする音になりますから。
   
    ただ iPod と PHA とイヤフォン/ヘッドフォンが線でつながってなくてもいいのは、携帯性が飛躍的に良くなるはずなので、無線システムはどんどん推進してください。特に iPod と PHA の「塊」がねえ。PHA の中に受発信機をしこむのは難しいのかなあ。うん? PHA なんてニッチなものはこういう協議会の眼には入らないか。(爆)
   
   
    こんなニュースもあります。
TBSラジオ、iPhoneにクラシック番組 購入も可能
(ゆ)

    今週木曜日のメリーランド州オハイオ・ヒル、ナショナル・ハーバーでの録音が上がっている。大成功だったヨーロッパ・ツアーから帰国して初めてのライヴ。録音優秀、演奏もすばらしい。
   
    Soulive というバンドが前座をつとめ、〈Get Out My Life Woman> Who Knows> Get Out My Life Woman〉〈We're A Winner〉でかれらが参加。スーザン・テデスキのバンドのサックス奏者ロン・ハロウェイも入る。これはいつもの dTb よりもぐっとファンキーになって、かなりの熱演。こういう厚みのある演奏ももっと聞きたいものだ。
    
    
    ヨーロッパでは17本のライヴに対して、今のところ5本の録音が上がっているが、中では 07/15 グラスゴーのものが、とびぬけて録音が良い。演奏もこの日は一段と冴えわたっているように思える。カナダ・ツアーの最後、ヨーロッパに出発する直前のものとならんで、今年のベスト・ライヴのひとつ。もっとも、今の dTb は絶好調ではある。(ゆ)

    07/17 バーミンガムと 07/18 Burg Herzberg Festival がアップされている。これで現在のヨーロッパ・ツアーからの録音は一気に5本になった。
   
    07/18 はフェスティヴァルでの公演のせいかアンコール無しの1時間半。演奏は最高。とりわけデレク&ザ・ドミノスのカヴァー〈Anyday〉が白眉。録音者が自賛するより遥かに音が悪いのは惜しい。
   
    07/15 のグラスゴーも音は今ひとつで、ギターとドラムスがやたら大きく、ヴァーカルはなんとか聞こえるが、ベースとキーボード、パーカッションは時々しか聞こえないにもかかわらず、演奏は脱帽するばかり。カナダ・ツアーからの絶好調が続いているらしい。
   
    このところ、デレトラ以外のものがまったく聞く気になれないのは困ったものだ。(ゆ)

    07/03 から始まったヨーロッパ・ツアーから 07/15 のグラスゴー、07/19 のニューカッスル、07/21 のニュールンベルグの録音が公開されている。このツアーからの録音はなかなか公開されなかったが、一気に3本現われた。07/21 の録音は検索ではふたつ出てくるが、同じもののように思われる。
   
    添えられたコメントによると、グラスゴーでは小さなハコで、珍しくアンコールを2回やり、デレクもご機嫌だった。ニューカッスルではアンコールに入ってまもなく、デレクのアンプが飛び、他のメンバーがソロをとってカヴァーした由。ケガの功名だろう。
   
    04/27 のハンブルグでのライヴの3本めも公開されている。(ゆ)

    2007年12月05日、 ハワイ、カウアイ島の Kilohana Plantation でのライヴが公開されている。

    この時のハワイ・ツアーでは4回のライヴのうち、3本目の録音。既出には前日のマウイ島、7日のホノルルの録音がある。3本のなかでは7日のものがダントツに録音が良い。演奏も、どれも甲乙つけがたいものの、7日がベストといっても反対は出ないだろう。
   
    ハワイには2003年5月に初めて行き、2007年が二度め。2003年のものは5月16日のホノルルが公開されている。ただし、あまり音は良くない。

    これはトラック毎の Shorten ファイルの集合だが、こういう時、ページの左上、"Play / Download" の下にある "Whole direcgtory" をクリックすると、すべてのファイルをおさめた圧縮ファイルがダウンロードされる。たいていは zip ファイルで、それでもかなり大きなファイルなので、ダウンロードには少々時間がかかる。

    2007年は86本のライヴのうち、これで59本の録音が公開された。

    先月28日、カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州ヴィクトリアのヴィクトリア国際ジャズフェストでの録音がアップされた。
   
    念のため、Internet Archives のデレトラバンドのページで今年の分でアップされたものを検索したら70本も出てくる。
   
    内容を見てみると同じライヴの異なる録音が複数アップされているのが増えている。重複を除くと、06/28のものが35本めになる。うち1本はFMの番組。

    チェックしてみたら落としていないものが5本もあった。
   
    ちなみにバンドは今月頭からヨーロッパ・ツアー中で、現在はイタリアのフェスティヴァルを回っている。5日のランチャーノ・ブルーズ・フェスティヴァルでのライヴが今年53本め。

    先月27日のヴァンクーヴァー国際ジャズ・フェスティヴァルの録音がアップされた。今年のライヴとしては42本目、今月5本目の録音。

    ゲストはなく、演目も最新作《ALREADY FREE》からの曲を中心としたレパートリィ。演奏順は変わるが、曲目にはそれほど変化がないのはいつもの通り。この頃では珍しくもヨンリコが1曲リード・ヴォーカルをとっているらしい。


    dTb のライヴは自由に録音し、公開することをバンド自体が認めている。かれらのライヴの録音、公開、ダウンロードは「違法」にはならない。
   
    ここが著作権システムの妙なところなのだ。いったいにある行為が法律に違反するかどうかは法律自体に書きこまれている。つまり違法かどうかの判断は立法府による検討を経て、公権力によって下される。少なくとも原則的にはだ。
   
    ところが著作権関連の法律では、ある行為、たとえばネット上に音源を公開する、公開されたものを入手することが違法かどうかは、当の音源の著作権所有者または管理者が、そのことを許可しているかどうかで変わってくる。つまり法律違反かどうかの判断は「私人」の匙加減ひとつによるのだ。
   
    法律という「公」のための規則に違反するかどうかが「私」の「気分」で決定される。
   
    となると著作権(知的所有権と広く言ってもいい)とはいったい何なのだろうか。
   
    ということを思ったりするが、dTb も無制限に音源の録音、公開を認めているわけではない。

    公開を認めていないのは以下のものだ。
   
    まず、1991年のデモ録音とすべてのスタジオ録音。
   
    2008年9月17日のミネソタ州ミズーラと2008年9月21日のカリフォルニア州サンタ・バーバラでのライヴの録音。
   
    《Alive Now》EP 収録のライヴの録音。

    2001年12月31日以後のサウンドボード録音。ただしこの制約が発表された時すでに公開されていたものの公開は認められる。すなわち2002年1月25日、1月26日、2月1日、5月19日、11月16日の各録音。


    なお、dTb がライヴ音源の録音、公開を認めたのは2002年12月7日付のあるファンからのメールによる問い合わせに対する返答においてだ。

    公式サイトには特に「テーピング・ポリシー」は掲げられていないが、会場が禁じないかぎり、マイクによるライヴ録音を認めている。ただし、動画記録は認めていない。


    以上が Internet Archives に掲げられた「ポリシー」の要点であるが、会場が禁じないかぎり、という制約については、施設のガードマンが禁じても、バンドのマネージメントが介入して録音が許された例も報告されている。

    また、《SONGLINE LIVE》DVD として公式発売されている 2006-01-28 シカゴは Park West でのライヴの録音と公開は認められており、実際に公開されている。

    本日正午過ぎの予定で、本誌2月号を配信しました。「読物篇」が充実して、全部で3通に分かれています。届かないかたは、編集部までご一報ください。


    本誌中で、ダウンロード販売で買った Tony DeMarco の録音を紹介してますが、これは mp3 ではなく、CD音質のものを配信で買うことができます。CD音質でのダウンロード販売ではファイル形式が flac や wma のものが多いようですが、どちらもそのままだと Mac の iTunes では再生できません。これらが再生できるプレーヤーを用意するか、AIFF や mp3 に変換する必要があります。

    この中では flac が、オープン・ソースだけあって、扱いやすいです。プレーヤーとしては モジラが開発している Songbird も再生できます。が、試してみたところでは Play がかなり音が良いようです。どちらもフリーです。
   
    Play の開発者は変換ソフト Max も開発しています。これがなかなか優秀。SoundConverter よりも音が良く、速く、しかもフリー。また、CDからのリッピングもできて、これまたえらく速く、とりこんだ音も良い。
   
    それにしても flac の音はかなり魅力的。ファイル・サイズも Apple Lossless とほぼ同じ。MacBook 上の Play で flac を再生して聴いていたら、flac を扱えるポータブル・プレーヤーでも聴きたくなってきました。(ゆ)

 これってかなり凄いことではないか。というのも美空ひばりはものすごく乱暴に言ってしまうと、ドロレス・ケーンやノーマ・ウォータースンやレーナ・ヴィッレマルクやウンム・クルスームやマリア・デル・マール・ボネットやハリス・アレクシーウやエスマやトト・ラ・モンポシーナやリラ・ダウンズや、とにかくそういううたい手たちに肩を並べる人ではないか、と密かに思っているからだ。

 「乱暴に言う」ことの意味は、上にならべた人たちがうたっているような意味での「伝統音楽」とひばりのうたが同じ次元にあるとは、そう簡単には言えないことだ。とはいうものの、そのうたに無心に耳を傾けるならば、日本語の伝統から生まれて、その伝統を体現し、ひとつの時代を作って次の世代にとっての指標となった、うたい手としてそういう存在にまぎれもない。ひばりのうたは、第二次大戦後の日本語世界の「フォーク・ミュージック」にあって、せいいっぱい伝統音楽に近づいたものではなかったか。

 だから、ひばりのうたが世界に聞かれることは、海外にいる日本人や日系人だけが聞くわけではない。むしろ真の意味での「ワールド・ミュージック」として聞かれるチャンスになりうるはずだ。琉球や奄美とは違う、古典芸能とも違う、本土の日本語から生まれたワールド・ミュージック。そこが凄い。

 それにしても71曲という数字は生誕71周年に合わせたものと聞いて愕然としてしまう。52歳は本来全盛期の幕開きではないか。世紀末の、そして世紀が変わってからのひばりを聞きたかった。少しはこちらの耳もできた上で、聞いてみたかった。その意味では、同じ伝統音楽でも、むしろビリー・ホリディに近かったのかもしれない。(ゆ)


 「『著作者に無断でアップロードされた動画、音楽のダウンロード』について、
著作権法30条に定められた『私的使用』の範囲から外し、違法とすべき」
という方向性が、
著作権法改正について検討する
文化庁長官の諮問機関
文化審議会著作権分科会の私的録音録画小委員会でまとまりましたが、
この方向性についての是非を考えるシンポジウムを、
MIAU(Movements for Internet Active Users:
インターネット先進ユーザーの会」)が
12月26日に開いたそうで、
その要旨をまとめた記事が出ています。

 この方向性がはらむ問題点については
上記の記事に簡潔にまとめられていますが、
これは「レコード輸入権問題」と同じか、
それ以上に大きな問題だと思います。

 権利者死後の著作権有効期間の延長問題もそうですが、
基本的に、文化庁は著作権に関しては、
使用者側ではなく、
権利者側に立った姿勢が目立ちます。
このことは明治以来の我国中央官庁の癖で、
たとえてば、
「私的使用」のこのような形の制限は
「薬害エイズ」や「薬害肝炎」に相当する
と言えるのではないでしょうか。

 著作物は利用されて初めて価値が出るので、
だれも利用できないように囲い込めば、
著作物は死にます。
制限をしても利用する人間は多い
つまり商売として成りたつだけの数の人間は
制限を超えて利用すると
権利者側は思い込んでいるのでしょうか。

 「儲け」を重視するあまり、
著作権を神棚に祭り上げれば、
著作権のシステムそのものが崩壊する可能性を
デジタル技術ははらんでいると思います。(ゆ)

 今年の Celtic Connections ステージの録画が、BBCスコットランドのサイトで見られます。現地時間金曜日に放送したハイライト番組のリプレイ。1週間、見られます。

 グラミーを受賞した The Kleamatics with Susan McKeown はじめ、カリン・ポルワート、ディック・ゴーハン、クラナド、シューグルニフティ、テヘドールなどのライヴです。


 もう一つ。昨日の日本アイルランド外交関係樹立50周年記念の東京タワーのライトアップの写真と記事が今朝の毎日新聞に掲載されていました。ネットでも見られます

 風が強くて、結構寒かったんですが、人出はかなりありました。コンテストがあるので、写真を撮っている人も多かったです。
 サーチライトは案外小さくて、一台ごとの光がそれだけ強力なんでしょうか。光を緑に変えるのは、単純に緑色のシートをかぶせてあるだけでした。

 イングランド最高のデュオ、ショウ・オヴ・ハンズ最大のヒット曲(^_-)〈Roots〉のビデオ・クリップのダウンロード販売が始まってます。

 公式サイトから直接買うと、1.79GBPです。

 ビデオは昨年の Trowbridge Festival でのライヴ映像をもとにして新たに作られたものです。

 この唄は最新作《WITNESS》収録で、イングランド人に自分たちの独自の文化を見なおし、他人の後ばかり追いかけるなと訴えて、イングランドではセンセーションになっています。アイルランドやスコットランドの文化が(音楽ばかりでなく)「ケルト」のくくりで世界的に脚光を浴びる中、イングランドの人びとにとって、文化的アイデンティティ崩壊の危機が実感されているようですが、その状況への反映でもあり反応でもあるのでしょう。

 ここ1、2年、イングランドのフォーク・シーンが盛りあがってきていますが、その原動力にもこうした危機感があるのではないかと思います。

 大阪のアイリッシュ・パブ「マーフィーズ」(確か日本最古のアイリッシュ・パブ)出身の、アイリッシュ・パンク・バンド Clovers の〈The Irish Rover〉が、今日から1週間の期間限定で、 iTunes Store からフリー・ダウンロードできます。ダウンロードするには  iTS のアカウントが必要です。

 演奏は、まあ、「まんま」です(^_-)。しかし、ここまで「そっくり」だと、かえって興味がわいてきます。ちょいとアルバムも聞いてみます。

 どこかで聞いた名前だと思ったら、ドロップキック・マーフィーズやグリーンランド・ホエールフィッシャーズの前座を務めたり、共演したりしていました。

 もし聞いたことがないなら、ポーグスがダブリナーズと共演した版も聞いてみてください。(ゆ)

 デンマークのフォーク&ルーツ音楽を代表するミュージシャン12組がライヴを行い、ネットでストリーミング放送するとともに、後日、自由にダウンロードできるようになるそうです。仕掛けたのはデンマークを代表するレーベルの GO' Danish Folk Music

 サイトはこちら

 ライヴのネット中継、ネット配信はあたりまえですが、ネットでの中継、配信を前提に、そのためにわざわざライヴをするのは初めてではないでしょうか。少なくともフォーク&ルーツ音楽シーンではこれまで聞いたことがありません。

 ライヴが行われるのは現地時間の今月26日から29日の4日間。連日3組ずつ、計12組。会場はユトランド半島東部の港街フレゼレシャにある ‘Bruunske Pakhus’(サイトはこちら。ただし、当然デンマーク語です。英語ページは見つからず)。ライヴそのものも無料だそうですが、上記の会場に予約が必要。デンマークおよびその付近在住、またはその頃にあちらにいらっしゃる方はトライされてはいかがでしょう。

 また、毎日ライヴの前に、様々なテーマでの講演もあるそうです。

 ライヴそのものはいずれも現地時間(グリニッジ標準時+1時間)の19:00から23:00まで。
 各ミュージシャンのサイトへのリンクは上記公式サイトにあります。

11/26
TRIO MIO
EIVOR
PHONIX

11/27
SUSSIE NIELSEN BAND
ZAR
INSTINKT

11/28
KASI/R
TUMULT
HENRIK JANSBERG BAND

11/29
HAUGAARD & HOIRUP
SERRAS
AFENGINN

 ぼくは半分ほどしか聞いたことがありませんが、それから判断するかぎり、どれも一級のミュージシャンばかりです。Kasi/r のよう生だ10代の若手から、ハウゴー&ホイロップまで、世代もスタイルもジャンルの幅も広い。ハウホイだけが飛びぬけているわけでもなく、デンマーク音楽の層の厚さ、今のシーンの活況がわかります。このイベントはおそらく自体を画するものになるはず。

 なかなかデンマークにまで来られない世界中の人びとに、デンマーク音楽のすばらしさを伝えたいという熱意には感服します。

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