クラン・コラ・ブログ(アイルランド音楽の森)

 アイリッシュ・ミュージックなどのケルトをはじめ、世界各地のルーツ音楽を愉しむブログです。そうした音楽の国内の音楽家も含みます。加えて主宰者の趣味のグレイトフル・デッド。サイエンス・フィクション、幻想文学などの話もあります。情報やメモ、ゴシップ、ただのおしゃべりなどもあります。リンク・フリーです。

タグ:音楽賞

 一昨日、2月26日にダブリンの Vicar Street で行われた RTE Radio 1 Folk Awards の今年の授賞式で、生涯業績賞を贈られたドーナル・ラニィへのクリスティ・ムーアの祝辞全文が Journal of Music のサイトに上がっています。



 ドーナルの最も古くからの友人であるムーアはドーナルの全キャリアについて語っていますが、とりわけ興味深いのはごく若い頃の話、Emmet Spicland 以前のドーナルの活動です。この時期はおそらく録音も無いでしょうが、ドーナル・ラニィは一朝一夕で生まれたわけではないこと、そしてやはりドーナルは初めからドーナルだったことがわかります。当然といえば当然ですが、こうして具体的な名前まであげて語られると、その事実があらためて重みをもってきます。

 もう1つ、プランクシティからボシィ・バンドへドーナルが移った時のショックがいかに大きかったかも伝わってきます。直接ボシィ・バンドへ移ったわけではないことも興味深い。

 さすがムーアとあたしが思ったのは、ドーナルがフランク・ハートを援けて作ったアルバムにわざわざ言及していることです。歌うたいとしてのムーアの面目躍如です。ムーアとしてはああいうアルバムを自分も作りたかったが、自分にはできないこともわかっているのでしょう。

 ハート&ラニィの6枚のアルバムは、ドーナルのものとしては最も地味な性質のものではありますが、かれの全業績の中でも最高峰の1つ、プランクシティ〜ボシィ・バンドとモザイク、クールフィンと並ぶ、見方によってはそれらをも凌ぐ傑作だと思います。

 ドーナルがゲイリー・ムーアとリアム・オ・フリンと3人でセッションし、しかもバンジョーを弾いたというのもいい話です。バンジョーではないけれど、ここでバンジョーを弾いていてもおかしくない一例。(ゆ)



 今年の RTE Radio 1 Folk Awards の Life Achievement Award が ドーナル・ラニィに授与されることが発表されました

 この賞のこれまでの受賞者はトゥリーナ・ニ・ゴゥナル、メアリ・ブラック、クリスティ・ムーア、スティーヴ・クーニー、モイヤ・ブレナン、アンディ・アーヴァイン。錚々たるメンバーですが、ドーナルこそは誰よりもこの賞にふさわしいと思います。

 授賞式は今月26日で、ドーナルは新しいグループ Donal Lunny's Darkhorse をそこで披露するそうです。

 そういえば、パンデミック前でしたっけ、このバンドのアルバム製作資金をクラウドファンディングしていて、あたしも参加しましたが、その後、どうなってんだろう。(ゆ)


 先週土曜日に、デンマークのミュージック・アワードが発表になりました。
 全部はまだ公式サイトに上がっていませんが、Go Danish Folk Music が自社で出している受賞者を発表してます。

 どれもネットで買えます。


Instinkt - Grum GO0406
-The Danish album of the year

Sussie Nielsen - Pigens Morgen GO0506
-The Danish Song Album of the Year

Kvasir - Nye sko GO306
-The Danish artist of the year  - Traditional

Helene Blum - En sod og liflig klang GO0606
-The Danish debut of the year


 うーん、Instinkt のこのセカンドはごくふつうのロック・バンドになりさがっていて、ぼくはまったく評価できず。昨年末来たモーテンも、あれはおれも良くないと思うと言っていた代物。

 Kvasir は以前も書きましたが、ほんとうに生きた音楽が詰まってます。本来なら最優秀アルバムはこれではないの。

 スージィ・ニールセンのは実はまだ聞いてませんが、モーテンの話ではアイリッシュで固めたファーストから一歩踏みだし、デンマークの伝統歌を例によって洗練を極めたアレンジでうたっているそうで、ならば中身は保証されたようなもの。

 新人賞の人もまだ聞いてませんが、面構えからすると期待できそう。

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