10月07日・木
デッドの《Listen To The River》ボックス・セット出荷通知。1週間ぐらいか。
Pushkin Press からのニュースレターで、ヤコブ・ヴェゲリウス Jakob Wegelius というスウェーデンの作家を知る。調べると邦訳が2冊出ている。市の図書館にあったので予約する。
で、このサリー・ジョーンズというゴリラが探偵役となって冒険する話が2014年に出て、英訳 The Murderer’s Ape が2018年に Pushkin から出た。どうやらこれは国際的なベストセラーとなったらしく、地元ではもちろん、ドイツ、フランスでも賞をとった。英語版も売れたのだろう。続篇 The False Rose が7月にハードカヴァーで出た。この最新作は著者のサイトにも出ていない。そりゃ、英語版の方が市場ははるかに大きいだろうから、先行発売するのは筋が通る。ヤコブ・ヴェゲリウスはプロのイラストレーターでもあって、自著も自分でイラストをつけている。サイトで見られる。
DNB の今日のフリー配信の記事 Ann Bonny (1698-1782) , pirate はまことに面白い前半生を送っている。きょうびヘタなテレビ・ドラマでもここまではやらないというくらいあざといストーリー。
コークに弁護士とその召使いの私生児として生まれ、当初男の子として育てられる。父親はこれがスキャンダルとなってコークにいられなくなり、愛人と娘を連れてサウス・カロライナへ逃げる。そこで商人として成功し、プランテーションを買う。が、娘のアンは20歳で文無しの水夫と結婚。父親は怒って勘当。アンは夫とバハマに行く。ここでアンは海賊の John Rackam に出逢い、夫と離別させられて、ラッカムの子どもを生む。産褥から起きると新しい夫の仲間に入る。ここにもう一人 Mary Read という3歳年上の女性が海賊に加わる。アンとメアリは親友となり、2人はラッカム一党でも最も獰猛なメンバーとなる。1720年9月5日、バハマの知事がラッカムの一党を「指名手配」。数週間後、ジャマイカで重武装の私掠船に一党は捕まる。裁判の末、男のメンバーは全員有罪となり処刑される。2人の女性も有罪となるが、ともに妊娠していると申し立てて刑の執行をまぬがれる。メアリの方は獄中で病死。アンはどうやら父親が救出し、サウス・カロライナへ連れもどす。1721年年末、アンは地元の男と結婚、8人の子どもをもうけ、84歳で立派な女性として死ぬ。
サウス・カロライナへ戻ってからはほとんど記述が無いが、あるいは父親からプランテーションを受け継いで、族長として采配をふるったか。1719年から1720年までのほんの短期間だが、海賊としてローカルでは悪名が高かったらしい。そういう時代、地域だった、のか。北米、カリブ海はまだ植民地。統治する方もされる方も相当に荒かっただろう。こういう女性は記録には殘りにくいが、メアリの存在をみても、それほど珍しい存在ではなかったかとも思われる。この2人の場合は裁判の記録が残っている。
##10月07日のグレイトフル・デッド
1966年から1994年まで4本のショウ。公式リリースは2本。
1. 1966 Fillmore Auditorium, San Francisco, CA
残っているチラシでは "Winterland" で2日間になっているが、こちらに移されて3日間になったらしい。共演はポール・バターフィールド・ブルーズ・バンド、ジェファーソン・エアプレイン。正確なセット・リストは無し。演奏された曲の一部のみ。
DeadBase 50 によると、当時すでに Winterland はヴェニューとして存在していたが、このショウについては7日の San Francisco Chronicle 紙の Ralph Gleason のコラムがフィルモアで行われるとしている。同じページの "Datebook"欄にフィルモアで「今日から」の記載があり、ウィンターランドから変更になったと明記されている。この前の週にもビル・グレアムは、バターフィールド、エアプレイン、マディ・ウォーターズの公演をウィンターランドからフィルモアに移している。フィルモア周辺の人種暴動にひるまない姿勢を見せるための由。DeadBase Updates 026-027pp.
このフィルモア・オーディトリアムはフィルモア・ウェストとは別にその前からグレアムがやっていた施設。収容人員1,100。ウィンターランドは5,400。
2. 1977 University Arena, University Of New Mexico, Albuquerque, NM
後半4曲目〈Passenger〉が2019年の《30 Days Of Dead》で、後半の後半 Drums の後の〈Iko Iko> The Wheel> Wharf Rat> Sugar Magnolia〉のメドレーが《Road Trips, Vol. 1, No. 2, Bonus Disc》でリリースされた。
その前のアーカイヴ・シリーズ《Dick's Picks》が1本のショウを丸ごとリリースすることを基本としていたのに対し、《Road Trips》のシリーズは一連のラン、ツアーのうちのひと塊の精髄が味わえるように抜粋して組むことを基本とした。Vol. 1, No. 2 は1977年10月のツアーのうち、11日オハイオ州ノーマン、14日ヒューストン、16日バトン・ルージュの各々のショウからの抜粋をCD2枚に収める。早く買うとボーナス・ディスクがついて、それにもこの3日間に加え、07日から選んだトラックが収められた。どうもこの《Road Trips》のシリーズはあまり売れなかったらしい。2008年に出た《Vol.. 1, No. 2》をあたしが買ったのは2015年だが、その時でもボーナス・ディスクが付いてきた。
ともあれ、このメドレーが公式リリースされたのは喜ばしい。1977年はビークの年だが、その中でもこの演奏はピークの一つと言っていい。とりわけ、〈The Wheel〉のジャムがおちついて、ガルシアがポロンポロンとギターを弾きながら、次の曲が降りてくるのを待っているあたりからだ。この弾き方はそうとしか思えない。そしてやって来た〈Wharf Rat〉は、この歌のベスト・ヴァージョンと言い切りたい。
この歌は3つのパートからなる組曲構造で、第一部の、どん底のホームレスの独白から、このままじゃ終らないよ、と言いだす第二部に移るあたりから、いつもとは様相が変わってくる。ドナが肩の力を抜いて歌うのがまずすばらしい。ライヴ休止期から復帰後の演奏の質が高くなるのは、この抑制の効いたドナの貢献も大きい。何かを貯めこんでいる気配が動いていて、そして第三部へと飛翔する。その後が凄い。この第三部はドンドンドンというマーチ風のビートが叩きこまれる、それが徐々に徐々に速くなる。加速はごくゆっくりだが止まらない。ゆっくりと歩いていたのが、走りだす寸前になったところで、ガルシアが下から上へ駆けあがるリフをくり返し、頂点に達する。まさに飛んでいる。やがてきっちりと降りてくると一息置いて、〈Sugar Magnolia〉。ここでも一見いつものように始まるが、歌が一度終ってからのガルシアのギターがどんどんと熱気を孕み、どこまでも昇ってゆくのに他のメンバーも引っぱられて盛り上がる。ブレイク後の Sunshine Daydream も、比較的静かに始まるが、コーラスの繰返しになってフルパワー。これはやはりこの年にしか聴けない。
3. 1980 Warfield Theater, San Francisco, CA
オープナーの2曲〈Iko Iko〉と〈Dark Hollow〉が《Reckoning》で、第三部オープナーの〈Shakedown Street〉が《Dead Set》で、その次の〈Estimated Prophet〉が2010年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。最後のは持っていない。
アコースティック版の〈Iko Iko〉が新鮮。ガルシアはアコースティック・ギターも巧いことは、《Before The Dead》を聴いても、ジェリィ・ガルシア・アコースティック・バンドや後のデヴィッド・グリスマンとの録音を聴いてもよくわかるが、この一連のレジデンス公演でのガルシアはどこか特別の感覚がある。〈Shakedown Street〉も決して悪くないが、アコースティック・セットの前に色褪せる。
4. 1994 The Spectrum, Philadelphia, PA
3日連続最終日。前半はすばらしかったが、後半は息切れだったそうな。ボストン後半からのガルシアの好調がこの日の休憩中に切れたらしい。(ゆ)



