クラン・コラ・ブログ(アイルランド音楽の森)

 アイリッシュ・ミュージックなどのケルトをはじめ、世界各地のルーツ音楽を愉しむブログです。そうした音楽の国内の音楽家も含みます。加えて主宰者の趣味のグレイトフル・デッド。サイエンス・フィクション、幻想文学などの話もあります。情報やメモ、ゴシップ、ただのおしゃべりなどもあります。リンク・フリーです。

タグ:50周年

 1969年。クラシックに狂っていた中学3年。神様はカール・ベーム、ジョージ・セル、ブルーノ・ワルター。マーラーの1番、ブルックナーの4番、ベートーヴェンの7番、モーツァルトの40番、サン・サーンスの3番、シェヘラザード、ダブ・コン、弦打チェ、ハーリ・ヤーノシュ、ペール・ギュント、フランス山人のうたによる交響曲、ラフマニノフのピアノ協奏曲2番、ボレロ、展覧会の絵、フランス組曲、ブランデンブルク5番。このあたりは今でも時々聴く。

 1969年に出たレコードで今聴いているものをざっとあげてみる。

Clouds
Basket Of Light
Bitches Brew
Deja Vu
Five Leaves Left
Great Speckled Bird
Hot Rats
Jo-Ann Kelly
Let It Bleed
Liege & Lief
Live/Dead
Maria Del Mar Bonet
Nashville Skyline
The Chieftains 2
The Lonesome Boatman
The Star Above The Garter
The Tracks Of Sweeny
Townes Van Zandt
Trout Mask Replica

 北部ヨーロッパのルーツ・ミュージックは目覚めてはいるが、まだ本格的に始動はしていない。それでも、クリスティ・ムーアのデビュー・アルバムとチーフテンズのバンドとしての活動開始がこの年なのは、おそらく偶然ではない。《バスケット・オヴ・ライト》と《リージ&リーフ》が同じ年、というのも、あらためて面白い。(ゆ)

 今回の30本の内容はすでに公式サイトには発表されているが、あらためて書き出してみる。

01. 1966-07-03, Fillmore Auditorium, San Francisco, CA
02. 1967-11-10, Shrine Exposition Hall, Los Angeles, CA
03. 1968-10-20, Greek Theatre, Berkeley, CA
04. 1969-02-22, Dream Bowl, Vallejo, CA
05. 1970-04-15, Winterland, San Francisco, CA
06. 1971-03-18, Fox Theatre, St. Louis, MO
07. 1972-09-24, Palace Theater, Waterburry, CT
08. 1973-11-14, San Diego Sports Arena, San Diego, CA
09. 1974-09-18, Parc Des Expositions, Dijon, France
10. 1975-09-28, Golden Gate Park, San Francisco, CA
11. 1976-10-03, Cobo Arena, Detroit, MI
12. 1977-04-25, Capitol Theatre, Passaic, NJ
13. 1978-05-14, Providence Civic Center, Providence, RI
14. 1979-10-27, Cape Cod Coliseum, South Yarmouth, MA
15. 1980-11-28, Lakeland Civic Center, Lakeland, FL
16. 1981-05-16, Cornell University, Ithaca, NY
17. 1982-07-31, Manor Downs, Austin, TX
18. 1983-10-21, Centrum, Worcester, MA
19. 1984-10-12, Augusta Civic Center, Augusta, ME
20. 1985-06-24, Riverbend Music Center, Cincinnati, OH
21. 1986-05-03, Cal Expo Amphitheatre, Sacramento, CA
22. 1987-09-18, Madison Square Garden, NY
23. 1988-07-03, Oxford Plains Speedway, Oxford, ME
24. 1989-10-26, Miami Arena, Miami, FL
25. 1990-10-27, Le Zenith, Paris, France
26. 1991-09-10, Madison Square Garden, NY, NY
27. 1992-03-20, Copps Coliseum, Hamilton, Ontario, Canada
28. 1993-03-27, Knickerbocker Arena, Albany, NY
29. 1994-10-01, Boston Garden, Boston, MA
30. 1995-02-21, Delta Center, Salt Lake City, UT

 メンバーは歴代11人に加え、1990〜1992年はブルース・ホーンスビィが参加し、1991年にスペシャル・ゲストとしてブランフォード・マルサリスが加わる。

 全米各地13の州、カナダ、それにフランス。収容人員1,000人のフィルモア・オーディトリアムから2万人のデルタ・センターまで。

 カリフォルニア、8本
 ニューヨーク、4本
 マサチューセッツ、3本
 フロリダ、メイン、フランス、各2本
 ロード・アイランド、コネチカット、ニュー・ジャージー、ミシガン、ミズーリ、オハイオ、テキサス、ユタ、オンタリオ、各1本

 全米に散らばってはいるが、カリフォルニアを除けば、やはり東部が多い。またニューヨークは特別で、サンフランシスコ以外でデッドの最も強固な地盤があり、ファンの絶対数ではサンフランシスコを上回っていた。ニューヨークでデッドのショウが売り切れにならない日が来るとは思えない、と70年代初めにあるプロモーターが言っていた。1992年のカナダは最後の海外公演。

 2月、2本
 3月、3本
 4月、2本
 5月、3本
 6月、1本
 7月、3本
 9月、5本
 10月、8本
 11月、3本
 1月、8月、12月は無い。

 8月にも12月にも、デッドは優れたショウを残している。8月は <<SUNSHINE DAYDREAME>> として出た1972年のオレゴン州ヴェネタがあるし、12月は毎年大晦日の年越しショウがある。1月だけはショウ自体が少ない。だいたいにおいて、1月は休息の時期だ。一方秋は文字通り収獲の季節だった。

 7月3日と10月27日はそれぞれ2本ある。前者は1966年と1988年、後者は1979年と1990年。

 ヴェニューが重なるのはマジソン・スクエア・ガーデンで、1987年と1991年。

 こうした結果は意図的であるよりは偶然のなせるところがある。すでに100本以上のショウが公式にリリースされており、重複を避けたからだ。

 1968年のグリーク・シアターがCD1枚。
1966、1967、1969、1970、1975、1977、1986、1987の各年が2枚組。
その他が3枚組。
一番短いのが1968年、グリーク・シアターでの65分14秒、7トラック。
時間が一番長いのは1974年、フランスはディジョンの3時間25分12秒。
トラック数が一番多いのは1972年、コネチカット州ウォーターベリィの27トラック。
30本合計73時間41分32秒、575トラック。
平均2時間27分23秒、19トラック。
時間の計測は iTunes による。

 各CDのジャケットは共通デザインでそれぞれ色を変えている。似た色もあるが、一応全て違う色にしてある。水星から火星までの軌道が中心の稲妻髑髏の太陽を囲み、各惑星の位置はコンサートの日のものと推測する。また、該当するコンサートについての関係資料、記事の切り抜き、契約書や旅程表、ポスターやラミネートが掲載されている。

30tats66+95


  上が1966年、下が1995年。

 録音エンジニアの分担。

Owsley Stanley — 1966, 1969, 1970, 1972
Dan Healy — 1967, 1976, 1979-1988, 1990—1993
Grateful Dead — 1968
Rex Jackson — 1971
Kidd Candelario — 1973, 1974
Betty Cantor-Jackson — 1975, 1977, 1978
John Cutler — 1989, 1994, 1995

 1967年と1987年の録音はジェフリー・ノーマンがミックスダウンをやりなおしている。

 マスタリングはジェフリー・ノーマンとデヴィッド・グラッサーが分担。各々の分担は記されていない。

 1967年から1978年までの録音は Plangent Processes の John K. Chester と Jamie Howarth によってアナログ・テープからデジタルへの移行とワウフラッター修正が行われた。Charlie Hansen @ Ayre Acoustics にSpecial thanks がある。Ayre はニール・ヤングが作ったデジタル・プレーヤー Pono の根幹部分を担当している。それからすると、このセットを聴くのに最もふさわしいプレーヤーは Pono であろう。

 この技術陣の貢献は大きい。まだ初めの5本ほどを聴いただけだが、音質の良さは従来の公式リリースと比べても一段レベルが違う。楽器の分離と位置が明瞭で、スペースも大きく広い。就中、ヴォーカルの生々しさはライヴ音源であることを忘れさせる。もともとベアの録音は音が良いが、その良さが十全に活かされている。

 さて、それでは30年の旅に発ってみよう。(ゆ)

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