クラン・コラ・ブログ(アイルランド音楽の森)

 アイリッシュ・ミュージックなどのケルトをはじめ、世界各地のルーツ音楽を愉しむブログです。そうした音楽の国内の音楽家も含みます。加えて主宰者の趣味のグレイトフル・デッド。サイエンス・フィクション、幻想文学などの話もあります。情報やメモ、ゴシップ、ただのおしゃべりなどもあります。リンク・フリーです。

タグ:Apple

 FiiO MP11Pro には THX と並んでもう一つほかには無いメリットがあることを発見した。AirPlay だ。DAP で AirPlay に対応しているのは、どういうわけか FiiO 製品だけなのは興味深い。


 

 AirPlay を使うとどうなるか。

 Mac または iOS 機器のオーディオ出力をロスレスで無線で飛ばし、M11Pro で DSD 変換して聴けるのだ。youtube も spotify も Apple Music も soundcloud も Bandcamp も、とにかくオーディオで音が出るものはすべて DSD で聴けるのだ。MP11Pro には MQA のフルデコードも入っている。TIDAL の master クラスに対応し、これまた DSD で聴ける。

 Apple Music は M11Pro にインストールはできるが、あたしの場合、サインインができない。Bandcamp のアプリはインストール、サインインできた。

 音はどうかって? 有線と比べてみた。hip-dac と RME ADI-2 DACの2機種。まったく遜色が無い。前者にはMQAもあるが、出音は M11Pro の方が上だ。THX アンプのおかげだろう。後者では MQA の恩恵がない。

 そして無線の便利さ。USB ポートは少しずれてもすぐ外れる。iDefender などかますとさらに外れやすくなる。その都度つなぎなおし、出力の設定をやりなおさねばならない。どのケーブルを使うか、気を使う必要も無い。敢えて言えば音の良い WiFi のルーターを選ぶことか。そんなものがあればだが。もっとも古い iPad Mini 4 より iPhone 8 から飛ばした方が音が良かったりする。

 WiFi の届く範囲なら DAP を持って移動もできる。歩きながらでも、竹踏みしながらでも聴ける。なるほど、皆さん、ワイヤレスに行くわけだ。

 正直、AirPlay はどういうメリットがあるのか、さっぱりわからなかったのだが、ようやく納得がいった。いやあ、Apple エライ。ウィンドウズでは DNLA がこれに相当することになるのか。

 将来もしスピーカーを買うにしても、AirPlay 2 対応が必須になってくる。ということは、アクティヴで、DAC 入りになる。今なら KEF の LS50 Wireless II とかだ。Airpulse は残念ながら対応していない。

 ただし、Mac 用オーディオ・プレーヤーでも AirPlay をサポートしていないものもある。やや古い Decibel や Colibri はしていない。Colibri はサポートするべく、全面的に書き換え中とサイトにある。Pine Player はOK。Audirvana はサポートしている。JRiver Media Center は不明。

 もっとも、1曲だけ聴く分には Finder で再生するのが最も手取り早く、音も良い。クィックルックすると操作もできる。

 そうそう、AirPlay のメリットはもう一つ、あるんだよ。

 Mac のポートの数が少なくてすむのだ。ということは安くすむ。Mac からオーディオを出すためにわざわざ Thunderbolt 3 x 4ポートの MacBook Pro を選んでいたが、そんな必要も無い。2ポートで充分だ。まだ繋ぐ必要があるのは CD のリッピングだけだ。これも最近は Bandcamp で買うことが増えて、リッピングする頻度は以前の半分以下だ。それに今は iOS 機器に無線でリッピングすることも可能だ。音はやってみないとわからないが、WiFi だから AirPlay と同じレベルではあるだろう。しかし不思議なことに macOS 機器と無線でつながる外付 DVD プレーヤーは無いようだ。

 こうなると、CHORD Hugo 2+2Go か iFi Pro iDSD が欲しくなる。AirPlay に対応している DAC は今のところこの2つだけ。前者には MQA が無い。後者はコンセントが要る。

 しかし、当分は M11Pro で楽しむ手もある。今年の年末にこれの後継機を楽しみにして。(ゆ)

 Apple から Bash のセキュリティ・ホールのパッチが配布されています。
http://support.apple.com/kb/DL1769?viewlocale=en_US&locale=en_US
http://www.macotakara.jp/blog/mac_os_x/entry-24751.html

 これがふさぐ穴はおそらく史上最悪、最悪の一つではなくて、最悪のセキュリティ・ホールでしょう。というのも Bash というのは UNIX の最も基本的ツールのひとつで、これが関っていないプログラムを探すのがたいへん、というしろものだからです。しかもシステムの奥深くに関っているので、この穴を使えば完全にコンピュータを乗っ取れますし、また使うのもごく簡単なのだそうです。UNIX はインターネットの根幹を担っていますから、影響の大きさという点ではどれくらい大きくなるかは不明。今後、何年間も、この穴の影響は続くだろうと専門家は言っています。

 この穴が見つかったときにセキュリティのコミュニティに走った激震というのは、マグニチュードにすれば10は優にあったんじゃないでしょうか。

 ということで Apple もすばやくパッチを出したわけです。OS X の核は UNIX ですから。

 とはいえ、これは「ソフトウェア・アップデート」経由ではなく、ユーザが自分でダウンロードして、インストールする必要があります。

 上記 Apple のアメリカのサイトからダウンロードしたら、イメージファイルを開き、インストーラをダブルクリックして、あとは指示に従います。指示は日本語で出ます。管理者パスワードが求められますが、再起動は必要ありません。

 良いニュースとしては、Mac を普通に使っている分には乗っ取られる心配はほぼ無い、そうです。サーバとして使っている場合は、いろいろたいへんだそうですが、そういうことができる人はこんなことは言われなくてもおわかりのはず。(ゆ)

 iTunes 8 のブラウザで、ジャンル表示や iTunes Store へのリンクを消すオプションが、「環境設定」から消えてしまった件にいらついた人はやはりたくさんいたようで、この表示を消す専用のソフトも出てきました。

 これらのソフトは昨日書いたターミナルを使う方法を簡単にできるようにしたラッピング・ソフトで、実際に動作しているのはターミナルです。ターミナルを使うのが面倒、こわい、という方はこちらをどうぞ。

 これを使うと、ジャンル表示とストアへのリンクが両方とも消えます。消すだけで、復帰するためには、ターミナルを使う必要があります。

 My Tunes

 こちらは消せるのはストアへのリンクだけですが、再表示もできます。

 iTunes Store Link Deleter


と思ったら、全部まとめて面倒見ましょう、というパッチを作ってリリースしてくれた方がいました。

 Tune-up iTunes 8

 ただ、ジャンル表示などを消せるだけでなく、他にもいろいろ便利な機能がついています。
iTunes 7.7.1 から、iTunes 以外のソフトでとりこんだ AIFF ファイルをまともに扱えなくなっているのもなんとかなりませんか、Nihondo さん。LAME で取りこんだ MP3 ファイルはすんなり通るのに、ターミナルでコピーする形で取りこんだ AIFF はダメというのは、ひどい。

 これは iTunes 自体にパッチを当てるようなので、万一のためにオリジナルの iTunes またはそのディスク・イメージのバックアップはお忘れなく。iTunes のディスク・イメージはアップルのサイトからダウンロードできます。

 Apple のソフトは新しいものが出ると古いものは消えてしまうので、ダウン・グレードするためにも、ソフトウエア・アップデートからだけでなく、ディスク・イメージをダウンロードしておくことをお薦めします。


 Apple としてはストアへのリンク矢印を小さくして、選択しているトラックだけにすれば気にする人は多くない、と期待したのでしょうが、どんなに小さくともウザイものはウザイ、ということはどうやら忘れていたらしい。

 ジャンル表示を消せなくしたのはなぜなのか、ちょっと見当がつきません。グリッド表示との関連なのかな。(ゆ)

Thanx! > 新しもの好きのダウンロード

 アップルのディスカッション・ボードからのヒントで、「ブラウザ」から「ジャンル」を消す方法がわかりました。

 もとの記事はこちら

 ターミナルを使います。

1. iTunes を終了。
2. ターミナルを起動(「アプリケーション」>「ユーティリティ」)
3. このコマンドを打ちこむ。コピペで大丈夫です。次のコマンドが2行に別れているように見えても、1行につないでコピー&ペーストしてください。

defaults write com.apple.iTunes show-genre-when-browsing -bool FALSE

4. ターミナル内のカーソルが次行の頭に来るので、リターン・キーを押してプロンプト(デフォルトでは "[ユーザ名]$" で終わる文字列)を表示。
5. iTunes を起動。

 元にもどしたいときは、同じくターミナルで、"FALSE" を "TRUE" に変えてコマンドを打ちこみます。


 ついでに、iTunes Store へのリンク(矢印)の表示を消す方法も書いておきます。
同じくターミナルで、次のコマンドを打ちこんでください。

defaults write com.apple.iTunes show-store-arrow-links -bool FALSE


 この記事はこちら

 なお、コマンドを打ちこむときには、その前に必ず iTunes を終了しておくことをお忘れなく。
また、結果は自己責任ということでよしなに。
万一に備えて、サウンド・ファイル、iTunes ライブラリ、iTunes そのもののバックアップはとっておきましょう。(ゆ)

がリリースされましたが、案の定、妙な肥大化が行われて、使い勝手は悪くなっています。

 一番こまるのは、ブラウザのリスト表示で上部にしめされる「ジャンル」を消すオプションがなくなったこと。ジャンル分けなど使わない小生にとっては邪魔なだけ。しかし、これは場所を移動することも、幅を変更することもできない、完全な固定です。

 "Genius" 機能や、iTunes Store へのリンクが曲ごとに表示されるのは、iTunes Store での売上げ増をねらったもの、としか思えません。まったく不要。

 iTunes Store の売上を増やしたかったら、まずファイル・タイプを増やし、Apple Lossless 以上の音質の曲を販売することと、販売曲目の充実が第一のはず。

 iTunes 以外のソフトでとりこんだ AIFF ファイルが扱えないのも治っていません。他社製のソフトで取りこんだものが使えないとすればまだ理解できますが、デフォルトで備わっている「ターミナル」で、Copy コマンドで取りこんだ AIFF ファイルが扱えないのは、理解不能です。

 再生音質はまだ検証していませんが、この分では変化がなかったならば万々歳、というところでしょう。

 やはり競争相手がないと、Apple といえども堕落するのはいたしかたないこと。今のところ Songbird に期待するしかありませんね。(ゆ)

 毎度のことながら、今月号の配信は2日ほど遅れます。いっそのこと、配信日を21日とか22日とかにしてはどうかと言われることもあるのですが、そうするとそこからまた1日2日遅れることになるので、20日配信の看板は下ろしません。


 ところで Mac で親指シフトをやってらっしゃる方には朗報。Tiger、Leopard には正式対応していなかった Tesla の「野良ビルド」が作られ、公開されています。どなたか存じませんが、感謝にたえません。おかげでまた親指シフト+ ATOK に戻ってしまいました。さらば、AquaSKK。ああ、しかしこの両者が合体してくれないものか。

 それにしても物忘れがひどくて、離れていたのはほんの数ヶ月のはずなのに、はじめ親指シフトの配列が全く出てこない。やむなく配列をプリントアウトして、にらめっこしながら打っているうちに、それでもだんだん指が思い出してきてくれましたが、一時はどうなるかと思いましただ。

 ATOK の次期ヴァージョンのベータ・テストに参加してますが、辞書管理ツールの使い勝手が全く面目を一新したのが、まず何よりうれしい。

 それにひきかえ、カスタマイザの使いにくさは相変わらず。もう少し何とかしてほしい。特にキーカスタマイザ。(ゆ)


Thanx! > 「Mac で親指シフト」コミュニティ@mixi

 フルCDは Apple Lossless でエンコードしていますが、サンプルでいただく CD-R や、雑誌付録のサンプラーなどはこれまで AAC でエンコードしていました。

 ハリス・アレクシーウの新作《酸っぱいチェリーと苦いオレンジ》のサンプル盤を聞いていて、ちょっと音質に首をかしげるところがあり、思いついて、iTunes-LAME を使ってみました。

 LAME はオープンソースで開発されている MP3 エンコーダで、マルチ・プラットフォームで動き、最も音質が良いといわれていますが、はたしてほんとうに音が良いのか。

 iTuens-LAME は iTunes と連携しながら、エンコードに LAME を使えるようにするフリー・ウエアです。単体で動き、LAME そのものは必要ありません。最新版 2.0.9-34(MacOS X 用)をダウンロードして展開し、「アプリケーション・フォルダ」に置きます。

 このアプリを起動すると iTunes も立ち上がります。iTunes の方から iTunes-LAME を立ち上げたい場合には、ちょっとからくりがあります。

1) iTunes-LAME のアイコンを選択して、Ctrl + クリックし、パッケージの中身を見る。
2) >Contents>Resources>Import with LAME....scpt を探す。
3) Import with LAME....scpt のエイリアスを作る。
4) Home/Library/iTunes/ に Scripts フォルダを作る。
5) 3) のエイリアスを Scripts フォルダに入れる。

 これで iTunes を起動すると、メニューに AppleScript のマークが追加されています。クリックすると Import with LAME... があります。

 iTunes のサイドバーで選択されているものに入っているファイル=曲で、「名前」の頭のチェックボックスがチェックされているものがエンコードの対象になります。

 とりあえずヘルプにあったサンプルを元に、192kbps の VBR 標準でエンコードしてみました。これを iTunes の AAC 320kbps でエンコードしたものと聞きくらべます。

 気になった曲というのは [09]〈もし分かっていたら〉でした。ドラムス、ダブル・ベース、ギターのリズム・セクションに、ブズーキが印象的なフレーズをくり返し、トランペットとネイが左右で熱いソロをとる、アルバム中でも最もロック寄りの、抜群にかっこいい曲。なぜか全体的に高域が強調されて、ヴォーカルもややうわずる気配。マッスの部分ではトランペットがうるさいくらい。

 iTunes-LAME でエンコードされたものはビットレートも低いのにもかかわらず、個々の楽器がしっかり聞こえます。それも、音の方から耳に入ってくる。高域の「ギラつき」も押えられ、それほど気になりません。何より細かい要素がどうのこうのというよりも、こちらの音の方が聞いていて楽しくなってきます。

 結局のところ、音質が良いというのは、「聞くのが楽しい」という感覚ではないか。ハードそのものをあれこれ聞き比べるのを楽しむのならともかく、音楽を聞きたくて、それもできるだけ「良い音」で聞きたいということならば、聞くのが楽しくなる音、ずっと聞いていたい音、どんどん音楽を聞きたくなる音が「良い音」でしょう。

 で、LAME の MP3 の音の方が iTunes による AAC の音よりも明らかに楽しい。ぼくにとっては。

 他でも試してみました。ちょうど Songlines 52号が着いたので、付録のサンプラーを iTunes-LAME MP3 と iTunes の AAC で聞きくらべてみました。やはり、LAME の方が楽しい。AAC では音にやや険がある。どこかつんつんする感じがあります。むろん、聞きくらべてみれば、の話です。今回たまたまハリス・アレクシーウの曲でひっかかるまでは、AAC でまったく満足していました。しかし、LAME の音を一度聞いてしまうと、AAC の欠点が耳についてしまいます。

 では Apple Lossless のフォーマットと比べたらどうか。
 が、これはさすがに Losless の勝ちでした。ファイルの大きさでいえば3倍から4倍の違いがあるわけで、比べてしまうと、MP3 はやはり圧縮しているとわかります。もっとも Apple Lossless でも、上と同じハリス・アレクシーウの曲では高域が強調される傾向はありますから、これは確かに iTunes の「癖」なのでしょう。あるいは iTunes が使っている MacOS X の Core Audio の「癖」かもしれませんが、それはまた別に検証が必要なので、また後日。

 ということで、iTunes で MP3 や AAC にエンコードされている方は、一度 iTunes-LAME を試す価値はあると思います。ファイル・サイズも AAC より若干ですが小さくなります。エンコードに LAME を使うというだけで、その他は iTunes をそのままですし。

 LAME には豊富なオプションがあり、iTunes の AAC 同様、256kbps までの VBR と 320kbps までのビットレートがあります。preset もあります。オプションの一覧はたぶんこれが一番くわしく、わかりやすいでしょう。

 iTunes-LAME の窓の中に、ヘルプのサンプルを参考にオプションを付けてエンコード(Import)すると、使われたオプションが履歴として残ります。(ゆ)

 これってかなり凄いことではないか。というのも美空ひばりはものすごく乱暴に言ってしまうと、ドロレス・ケーンやノーマ・ウォータースンやレーナ・ヴィッレマルクやウンム・クルスームやマリア・デル・マール・ボネットやハリス・アレクシーウやエスマやトト・ラ・モンポシーナやリラ・ダウンズや、とにかくそういううたい手たちに肩を並べる人ではないか、と密かに思っているからだ。

 「乱暴に言う」ことの意味は、上にならべた人たちがうたっているような意味での「伝統音楽」とひばりのうたが同じ次元にあるとは、そう簡単には言えないことだ。とはいうものの、そのうたに無心に耳を傾けるならば、日本語の伝統から生まれて、その伝統を体現し、ひとつの時代を作って次の世代にとっての指標となった、うたい手としてそういう存在にまぎれもない。ひばりのうたは、第二次大戦後の日本語世界の「フォーク・ミュージック」にあって、せいいっぱい伝統音楽に近づいたものではなかったか。

 だから、ひばりのうたが世界に聞かれることは、海外にいる日本人や日系人だけが聞くわけではない。むしろ真の意味での「ワールド・ミュージック」として聞かれるチャンスになりうるはずだ。琉球や奄美とは違う、古典芸能とも違う、本土の日本語から生まれたワールド・ミュージック。そこが凄い。

 それにしても71曲という数字は生誕71周年に合わせたものと聞いて愕然としてしまう。52歳は本来全盛期の幕開きではないか。世紀末の、そして世紀が変わってからのひばりを聞きたかった。少しはこちらの耳もできた上で、聞いてみたかった。その意味では、同じ伝統音楽でも、むしろビリー・ホリディに近かったのかもしれない。(ゆ)


このページのトップヘ