クラン・コラ・ブログ(アイルランド音楽の森)

 アイリッシュ・ミュージックなどのケルトをはじめ、世界各地のルーツ音楽を愉しむブログです。そうした音楽の国内の音楽家も含みます。加えて主宰者の趣味のグレイトフル・デッド。サイエンス・フィクション、幻想文学などの話もあります。情報やメモ、ゴシップ、ただのおしゃべりなどもあります。リンク・フリーです。

タグ:CD

 今年のグレイトフル・デッドのビッグ・ボックス《Here Comes Sunshine 1973》はパッケージの製造過程でミスがあったらしく、CDPで再生できなかったり、リッピングできなかったりするディスクが続出。大騒ぎになっている。受取ったセットにまったく問題が無かったのは全体の4分の1にすぎない、という集計もある。

 あたしのところに来たのも17枚のうちの半分以上に、何らかの欠陥がある。音飛びや、短いループ、ひどいノイズなど。リッピングしてひっかかったものはCDPでも同じ問題が出る。大きな障碍ではなく、スピーカーでは気づかず、ヘッドフォンやイヤフォンでわかるものもあるが、音楽にひたりきることはできない。盤面はきれいなもので、欠陥があるとはわからない。いわゆるCDのプリント・ミス。販売元の Dead.net のカスタマーサーヴィスに連絡して交換してもらうことになっているが、どうなるか、まだ不明。

 トラブルの形はそれだけではない。厚紙製のパッケージに挿入する際に傷がついたものや、パッケージに使われた接着剤が盤面に付着したものも報告されている。

 メディアとしてのCDに未来はない。製造会社は新規の設備投資はしていないだろうし、人もいなくなっているだろう。CD製造自体台湾や東欧諸国に主力が移っているようでもある。デッドのボックスのCDはワーナー製造で、まだアメリカ国内でやっているとすれば、CD製造インフラの劣化が吹き出したのだろう。もともとアメリカ製CDは質が良くない。ECMはドイツ・プレス、アメリカ・プレス、日本プレスと三種類あり、各々音が違う。ドイツがダントツによく、次が日本。アメリカ・プレスのものは買うなと昔言われた。

 デッドの公式リリースのCDは HDCD だ。通常のCDにハイレゾ音源を入れる技術で、マイクロソフトが特許をもつ。ウィキペディアによれば、「20 – 24bit音源を自然な音質で、なおかつ聴感上のノイズを低下させつつ音量感を伴う音で16bit化し聴取するしくみである。あくまでも16bitのままで音質を改善するためのディザやノイズリダクションの技術セットであり、16bitのデータと隠しコードから20 – 24bitのデータを復元する技術ではない」そうだ。対応するCDPで再生するとハイレゾとして聴ける。非対応のプレーヤーにかけると通常の16/44.1として再生される。デッドのボックスや Dave's Picks のディスクを dbPoweramp など対応するソフトでリッピングすると24/44.1のファイルにできる。HDCDの製造装置やCDP、リッピング・ソフトにライセンス料がかけられると聞いた。

 当然製作の際に通常のCDより複雑な作業になる。設備も通常CD作成用よりも高価で、故障しやすいはずだ。憶測するに、HDCD製造装置が途中から一部に不具合が出たのに気づかなかった、というところか。

 ビッグ・ボックス・セットや Dave's Picks は Dead.net を顔とするデッドの財産管理会社の主な収入源だ。こうしたアーカイヴ音源の公式リリースをつづけているのは、生残りの旧メンバーの収入を支えるためもあるだろう。テープが出回っている、あるいは Internet Archives にデジタル化されたテープ音源がアップロードされていて、ライヴ録音をいつでも聴けるデッドの世界で確実にライヴ音源を売るには、経年劣化したマスター・テープを修復し、きちんとマスタリングし、読みごたえのあるライナーを付けて付加価値のあるパッケージで出す必要がある。HDCDも付加価値の1つだ。

 しかし製造インフラが劣化して商品としてまともなCDが作れないとなると、パッケージで出す以外の方法を考えざるをえないだろう。従来は発売早々に売り切れていた Dave's Picks が、今年に入っていつまでも売れ残っている。パンデミックをきっかけとした送料の大幅なアップで、アメリカ国外への販売が減ったためではないか。この方面でもパッケージ販売は限界にきている。来年の企画はもう動いているので、変化があるとすれば再来年からだろう。(ゆ)


2023-12-23追記
 後日談。Dead.net のサポートから問題のあるCDの写真を送れとの要請。盤面の写真を送る。印刷段階でのミスは見ただけではわからないはずだが、どうやら通販で届いた商品に問題があった場合はとにかく写真を送るよう求めるのがあちらの手順らしい。写真を送ると代替品を送ると連絡があり、やがて写真を送った盤が送られてきた。今回はどれもスムーズにリッピングできて、一件落着。メールの送信と返信の間には時に1週間ぐらいの間があいたし、返信の度に相手の名前は変わったが、無事解決したので、胸をなでおろしたことでありました。

 今年のデッドのビッグボックス・セット《In And Out Of The Garden: Madison Square Garden '81, '82, '83》が着く。発送通知が来てから1週間かからなかった。今までで最速。UPS のスタッフが持ってきたのも初めて。

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 写真では見ていたが、実物はやたら細長い。CDを横に3枚並べて枠に入れた形。ライナー、写真を収めたハードカヴァーのブックレットも横に細長く、扱いにくいことおびただしい。

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 パッケージを飾るイラストは面白い。これまでで最もポップで、シュールでもある。どこかキャンプの味もある。ブックレットの中にボックスの表を飾る絵の塗り絵が入っているのも楽しい。一つ目のクマたちは元になったクマたちより無気味で面白い。

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 David Fricke によるライナーは、引用によってストーリーを組み立てる手法。まあ、手慣れたものである。ちょっと手慣れすぎていて、あまりに滑らかに読めてしまうので、何が書いてあったか、残らないきらいはある。後で、もっとちゃんと読みなおしてみよう。

 とりあえず面白いのは、テレヴィジョンの Richard Lloyd、ソニック・ユースの Lee Ranaldo、 ヨ・ラ・テンゴの Ira Kaplan、ザ・ナショナルの Bryce Dessner は、いずれもそろってデッドヘッドという話。

 ロイドは1967年12月の、後にフィルモア・イーストとなるヴェニューでのライヴを含めて、8回ニューヨークで見ている。最初の時、ロイドはリハーサルにもぐりこみ、ガルシアにゲスト・リストに入れてくれよとどなったが、ガルシアはおれの分は仕事仲間で一杯だ、と言って、レシュにおぬしのはどうだと振った。そこでレシュが入れてくれた。

 ラナルドは1972年から73年にかけて、高校生の時、デッドの追っかけをしている。ワトキンス・グレンにもいた。

 カプランはデッドのショウを80回見ている。

 ラナルドとカプランは2015年の Fare Thee Well のショウのアフター・パーティで共演に招かれ、〈Dark Star〉をやった。かなり良いヴァージョンだそうだ。

 デスナーは《Day Of The Dead》を企画・実現し、このオムニバスにはラナルドとカプランも参加している。

DAY OF THE DEAD
GRATEFUL DEAD.=TRIB=
4AD
2016-05-20



 かれらは皆ニューヨークでデッドを見ている。ニューヨークはデッドにとって第二のホーム。マディソン・スクエア・ガーデンはその中でもホーム・グラウンドだ、というのが、フリックのライナーのテーマの一つではある。フィルモア・イーストがデッドを育てたホームとすれば、育ったデッドをメジャーにしたのが MSG と言える。MSG で9本連続のレジデンス公演というのは、ブドーカンで1ヶ月やるようなものだ。

 MSG が特別なのは、アーティストが出したエネルギーを何倍にも増幅して返してくれるからだ、という。ポイントは、まずアーティスト自身が出さなければ話にならないことだ。出せば、出しただけ、大きく返す。デッドはここに来ると、その作用を感じて、他のヴェニューよりも大きなエネルギーを出した。それだけ返りも大きい。それがこの6本のショウにモロに出ている、とフリックは書く。

 もう一つのポイントはブレント・ミドランドの存在。かれの加入で、より多彩な組立てが可能になり、古い曲を復活することが面白くなる。例えば〈St. Stephen〉で、ボックス・セットのタイトルはこの曲の歌詞からだ。1983-10-11 に演奏している。

 6本トータルで128トラック。うちハンター&ガルシア、バーロゥ&ウィアなど、バンドのオリジナルが drums、space、jam も含めて91トラック。レパートリィ、つまりこの6本で演奏された drums、space、jam 以外の曲を重複を除いて数えると73曲。

 では、いただきまーす。(ゆ)

07月20日・水
 油蝉が鳴きだした。近くで鳴かれるとやはりうるさい。今朝はなぜか鴉もうるさい。

 西嶋徹& shezoo さんのライヴでもらったチラシで知った CD をあれこれ注文。






fru fru
マレー(金子)飛鳥 & 林正樹
aska records / LEYLINE-RECORDS
2021-04-27


Momoko Aida
Momoko Aida
SPACE SHOWER MUSIC
2022-02-16


 林正樹氏の録音は、出れば全部買うことにしているが、見逃していた。国内のこの手の録音はどこでチェックすればいいんだろう。まあ、こうして、何らかの形で知ることができるからよしとするか。


%本日のグレイトフル・デッド
 07月20日には1994年に1本だけショウをしている。公式リリースは無し。

1994 Deer Creek Music Center, Noblesville, IN
 水曜日。24.50ドル。開演7時。このヴェニュー3日連続のランの中日。
 第二部クローザー前で〈Childhood's End〉が、第二部6曲目で〈Matilda, Matilda〉がデビュー。
 〈Childhood's End〉はレシュの作詞作曲。1995年07月09日まで計11回演奏。スタジオ盤収録無し。
 〈Matilda, Matilda〉は Norman Span の作詞作曲。ガルシアの持ち歌。1995年04月05日まで計4回演奏。スタジオ盤収録無し。Robert Mitchum《Calypso Is Like So》1957が最初の録音らしい。ハリー・ベラフォンテがカーネギー・ホールでのライヴで歌っている。
 第二部半ば〈Corrina〉からこの〈Matilda, Matilda〉とそれに続くジャム、space からの〈Uncle John's Band〉、それにクローザーの〈Morning Dew〉がハイライトの由。
 この日が誕生日のデッドヘッドにとっては、誕生日のショウを見るまで30年待つことになった。(ゆ)

0222日・火

 ロバート・ハンターのソロ・アルバムをほとんど持っていないことに気がつき、アマゾンと Discog で一挙に注文する。ハンターのソロの音源は Tidal にはほとんど無く、中古盤も高い。結構な額になる。

 ガルシアのアルバムは一通り買っているが、それ以外のメンバーの個別の録音はどうしても必要なもの以外は控えていた。ポスト・デッドの諸作も聴いていない。デッド本体もまだちゃんと聴けていないのだから、そこまでの余裕はまだ無い。ただ、デッドのレパートリィをやってもいるから、デッド以後、それがどう変化しているかは聴いてみたくはある。

 昨年、ウィアがまったくのソロで〈Loose Lucy〉を歌っているビデオをたまたま見て、感心したこともある。デッド時代にはガルシアの曲をまっとうに唄えたとも思えないが、無駄に馬齢を重ねてはいないのだと納得した。デッドのメンバーの中で、最も大きく成長したのはウィアだとも思う。そのギターの変遷を追いかけることも考えてはいるが、いつになるか。

 ハンターにもどれば、デッド以前にかれはガルシアとフォーク・デュオを組んでもいたわけで、自分でも演奏するのは当然ではある。デッドにミュージシャンとして入ることはまったく考えてもいなかったのもわかる。ミュージシャンとしてハンターがやりたい音楽はデッドのものとは別のものだったとみえる。これはなかなか面白い問題だと思うが、触れたものをまだ見たことがない。



##本日のグレイトフル・デッド

 0222日には1968年から1993年まで、7本のショウをしている。公式リリースは2本。うち1本は完全版。


1. 1968 Kings Beach Bowl, North Shore, Lake Tahoe, CA

 このヴェニュー3日連続の初日。前売3ドル、当日3.50ドル。開演8時半。終演2時。共演 Morning Glory

 このランのうちこの初日のみテープが不完全で、ヴォーカルとドラムスの片方、おそらくクロイツマンが入っていなかった。

 Morning Glory 1967年にベイエリアで結成された5人組バンド。女性シンガーを擁し、ママス&パパスとジェファーソン・エアプレインの中間のような音楽をやった。1968年に唯一のアルバム《Two Suns Worth》を出す。Blue Cheer Abe "Voco" Kesh がプロデュースし、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの John Cale がエンジニアを勤めた。アルバムが売れず、解散。


2. 1969 Dream Bowl, Vallejo, CA

 このヴェニュー2日連続の2日目。Country WeatherIt's A Beautiful Day、サンズ・オヴ・シャンプリン、Blues Helping、サンタナ共演。デッドの部分の全体が《30 Trips Around The Sun》の1本としてリリースされた。

 《Live/Dead》としてリリースされ、後に The Complete Recordings として4夜の全貌がリリースされたフィルモア・ウェストでのランの1週間前で、デヴィッド・レミューの言う通り、フィルモア・ウェストでの演奏に勝るとも劣らない。録音もベアによるクリアなもの。

 オープナーの2曲〈Dupree's Diamond Blues〉と〈Mountains Of The Moon〉で、ガルシアはアコースティック・ギターを演奏。後者の後のジャムの途中でエレクトリックに持ち替える。

 この2曲はフォーク時代のガルシアを髣髴とさせる歌唱で、シンガーとしての力も並々でないことを証明する。少なくとも大休止までのガルシアの歌は一級と言っていい。後年のガルシアのヘロヘロの歌はわざとああいうスタイルにしているとも見える。

 〈Mountains Of The Moon〉後半でアコースティック・ギターでソロをとり、エレクトリックに持ち替えても同じように続ける。そのまま〈Dark Star〉に移り、以後、〈Death Don't Have No Mercy〉までノンストップ。

 〈Dark Star〉は20分を超え、まず長いインストを展開する。歌の後、徐々に集中と緊張が高まり、盛り上がってくる。この間奏のジャムがすばらしい。ガルシアが様々なサウンドを試す。この頃はまだエフェクタ類はそれほど発達していないと思うが、妙に錆びたような音が面白い。ソロの語彙はそれほど多くはないが、組合せと集中の高さで聴かせ、ベース、オルガン、ウィアのギターが各々にこれに応え、絡む。この絡みがさらにガルシアのソロを押し出す。

 次の〈That's It for the Other One〉では一転してドラムスがドライヴ、スピード感溢れる演奏。後ろの〈Cryptical Envelopment〉も愉しそうだ。この曲は前後の CE が落ちて、真ん中の〈The Other One〉だけが拡大してゆくが、後ろのパートは落ちたのではなく、むしろ吸収されたと見る方が近いかもしれない。

 〈Death Don't Have No Mercy〉をピグペンにまかせず、自分で歌うのはガルシアのわがまま、と見える。ガルシアの声は甘すぎる。それをたぶんわかっていて、様々に表情、声音を変えるが、この辺りは若さが出ているのだろう。この時ガルシア25歳だ。

 第二部では〈St. Stephen> The Eleven> Turn On Your Lovelight〉の並び。1週間後のフィルモア・ウェストでは演っている曲は同じで、順番が変わり、この前に〈Dark Star〉が置かれる。第二部も50分以上、ノンストップ。今夜で世界が終るのだと言わんばかりの勢い。あるいは何かにとり憑かれているか。ここには神は降りてきていない。いるとすれば、神以外の何かだ。悪魔でもないだろう。

 それにしても〈Dark Star〉からのこの組合せをここから1週間の間に4回、〈Turn On Your Lovelight〉だけ抜かした組合せは5回やるわけだ。最年長レシュが29歳、ウィアにいたっては22歳という若さを考えても、底知れないスタミナではある。それもただ演るわけではない。この5本のショウを通して聴いても、どれも違うのである。演っている曲はほとんど変わらないにもかかわらず。

 196902月のデッドは確かに飛んでいる。


3. 1970 Sam Houston Coliseum, Houston, TX

 これもクィックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィス、ジョン・メイオール、イッツ・ア・ビューティフル・デイとのコンサート。開演1時。セット・リスト不明。


4. 1973 Assembly Hall, University Of Illinois, Champaign-Urbana, IL

 このヴェニュー2日連続の2日目。


5. 1974 Winterland Arena, San Francisco, CA

 この年最初のショウ。4.50ドル。開演8時。このヴェニュー3日連続の初日。春節祝賀。第一部クローザーの〈Playing in the Band〉が2016年の、第一部6曲目〈Black-Throated Wind〉が2018年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。今年05月予定の《Dave's Picks, Vol. 42》でリリースされることが予告されている。

 このショウでは3曲、新曲がデビューしている。オープナーの〈U. S. Blues〉、第一部5曲目〈It Must Have Been The Roses〉、第二部3曲目〈Ship Of Fools〉。

 〈U. S. Blues〉はハンター&ガルシアの曲。19950708日まで、322回演奏。演奏回数順で36位。スタジオ盤は《From The Mars Hotel》収録。デビューはオープナーだが、後にクローザーやアンコールが多くなる。デッドの曲にはあからさまに政治をテーマにしたものはほとんど無いが、これは一番「政治的」な歌と言える。

 19730209日、パロ・アルトで初演し、197306月まで14回演奏されたた〈Wave That Flag〉を改作したもの。こちらは《From The Mars Hotel》の2006 CD のボーナス・トラックで、19730328日のスプリングフィールドでのライヴ版が聴ける。

 どカントリーのバラード〈It Must Have Been The Roses〉はハンターの作詞作曲。19950622日まで158回演奏。ショウの第一部中間の、ガルシアのスローバラードのポジションで歌われることが多い。1981年頃まではレギュラーで演奏され、それ以後は段々頻度が減って、1990年代には年に2、3回になる。スタジオ盤はハンターのファースト・ソロ・アルバム《Tales Of The Great Rum Runners》が初出。ガルシアのソロ3作目《Reflections》にも収録。ガルシアの版のバックは当時のデッドそのまま。

 〈Ship Of Fools〉はハンター&ガルシア。19950625日まで、計226回演奏。60位。スタジオ盤は《From The Mars Hotel》収録。これもガルシアのスローバラードの1曲。これもいろいろと解釈が可能だが、グレイトフル・デッド自身を「愚者の船」に見立てているとも聴ける。デッドは根は楽天的だが、自分たちには厳しい。夜郎自大な自己満足に浸ることには程遠い。自らを客観的、批判的に見ることにかけては徹底している。

 1974年に演ったショウは40本。レパートリィは83曲。新曲は8曲。ガルシアの持ち歌としてはこの3曲に加えて〈Scarlet Begonias〉がある。ウィアは〈Cassidy〉〈Money, Money〉を送りこむが、後者はすぐに消える。レシュが Bobby Petersen と作った2曲〈Pride of Cucamonga〉と〈Unbroken Chain〉は長い間スタジオ盤のみとなった。後者はデッドヘッドのための歌として認められた。

 しかし、この年はとにかくモンスターPAシステム "The Wall of Sound" の年だ。この年10月をもってデッドが当面期限を定めずにツアーをやめる原因の一つは、このシステムの維持・運営に経費と手間がかかり過ぎたためだ。しかし、そのサウンドは体験した者は皆口をきわめて誉めたたえるものだった。

 スタジオ盤は6月に《From The Mars Hotel》をリリースする。"Mars Hotel" はアルバムが録音されたサンフランシスコの CBS スタジオ近くにあった建物。


6. 1992 Oakland-Alameda County Coliseum Arena, Oakland, CA

 この年最初のショウ。このヴェニュー3日連続の初日。

 デビュー曲が二つ。第一部5曲目の〈So Many Roads〉と第一部クローザー前の〈Wave To The Wind〉。

 〈So Many Roads〉はハンター&ガルシアの曲で、19950709日のラスト・ショウまで、55回演奏。スタジオ盤収録無し。これまでの来し方を想いかえし、往く末に想いを馳せるこの歌は、ガルシアの感情をかきたて、歌われるたびに絶唱を引きだした。ラスト・ショウでの最後の絶唱が《So Many Roads》のボックス・セットに収められた。これに心動かされたレシュは、アンコールをガルシアが選んだ〈Black Muddy River〉で終らせず、その後に〈Box of Rain〉を加えた。

 〈Wave To The Wind〉はハンター&レシュの曲。このコンビは上記〈Box of Rain〉以来23年ぶり2度目。19931209日まで21回演奏。スタジオ盤収録無し。この曲は公式リリースには入っていないので、まだ聴いたことがない。この初演は10分近い長さだが、2日後の次の演奏では、あちこち削ってかなり短かくしている由。

 この年、デッドは春と夏に大きなツアーを行い、55本のショウを15の州、ワシントン、D..、カナダで行なった。秋の22本のショウがキャンセルされたにもかかわらず、動員数は120万人、総収入は3,120万ドルでU2に次いで2位の成績だった。レパートリィの数は134曲。うち新曲は4曲。この日初演の2曲に加え、ハンターの詞にウィアとハートが曲をつけた〈Corrina〉は当初のロックンロールから後に大きく変貌する。そしてハンターの詞にウェルニクとボブ・ブララヴが曲をつけた〈Way to Go Home〉はウェルニックの持ち歌として、最後までうたわれた。

 ガルシアは長期の休止を提案したが、バンドの必要経費が巨額のため、ライヴ活動をやめられないとしてこれは斥けられた。商業的成功はデッドが求めたものではなかったが、デッドを縛りはじめていた。

 ブルース・ホーンスビィは春のツアーを最後にバンドから離れる。

 0802日、Jerry Garcia Band のツアーが終り、家にもどった翌日ガルシアは倒れた。当時のパートナーのマナーシャは医師を呼んだ。診断は、心臓肥大、肺疾患、重度の糖尿病。秋のツアーはキャンセルされ、ガルシアは治療と健康回復に専念する。しかし、かれは長期間ライヴ活動から離れていることができず、12月にはステージに復帰した。


7. 1993 Oakland-Alameda County Coliseum Arena, Oakland, CA

 24ドル。開演7時。このヴェニュー3日連続の中日。

 〈Days Between〉が第二部7曲目でデビューした。これもハンター&ガルシア。19950624日まで、計41回演奏。スタジオ盤収録無し。このランに先立つ0216日のリハーサルが《So Many Roads》に収録された。ガルシア独得の面白い節回しが復活した佳曲。

 この年の新曲としてはすでに出た〈Lazy River Road〉〈Liberty〉とこれがハンター&ガルシア。ウィアがウィリー・ディクソンと組んで〈Eternity〉、ボブ・ブララヴ、ロブ・ワッサーマン、ウェルニクと組んで〈Easy Answer〉を出す。

 この年のショウは81本。レパートリィは143曲。143万枚のチケットを販売し、4,560万ドルを稼いで、この年の音楽興収の第1位になった。新譜もヒット曲も無しに、である。ということは、ラジオやテレビのサポートも無い。さらに、興収で同レベルの他のアクトのチケット代が75125ドルであるのに対し、このショウにあるように、デッドのチケット代はその3分の1から4分の1の値段だ。つまり、他のどんなアクトよりも多数の、数倍の数の聴衆を集めていた。(ゆ)


0130日・日

 月末も迫ったので、終日、ひたすら溜まっていたCDのリッピング。バートのボックス・セットのものだけで16枚。今回は幸い、CD のミスプリントや傷などの損傷のある盤はなく、スムーズにすむ。それでも時間はかかる。

 これをやらないと音楽が聴けない。儀式みたいなもんだ。音源はファイルにして DAP で聴く。Bandcamp はブツを買うとファイルもダウンロードできるのが普通なので助かる。24bit/44.1KHz のハイレゾ・ファイルの場合もある。バートのボックス・セットは例外的にファイルが付いてこないので、自分でリッピングしなければならない。古いアルバムは AAC でリッピングしたままなので、この際 ALAC でやりなおす。Mac でリッピングする場合、FLAC よりも ALAC の方が音が良いとあたしは思う。聴き比べると FLAC は高域にずれる傾向がある。

 そういえば、macOS FLAC をサポートするという話があったが、その後どうなったのだろう。調べると OS レベルでサポートはしているが「ミュージック」アプリはサポートしていない。今のところ、ALAC FLAC も扱える Swingian で管理しているが、特に不具合もないから助かっているものの、もう長いことアップデートがないのがちょと不安。Apple Music アプリが FLAC をサポートしてくれればとは思う。

 通常のCDなので、リッピングは XLD でやる。結局、これが一番使いやすい。

 終ってから ECM で聴きたい新譜を Tidal で聴く。ポーランドの Marcin Wasilewski Trio の《En Attendant》。いいですねえ。このトリオも追いかけよう。

En attendant
Marcin Wasilewski Trio
ECM
2021-09-10


 この前の Ayumi Tanaka Trio も良かったし、ECM はたいしたもんだ。

Subaqueous Silence
Ayumi Tanaka Trio
ECM
2021-10-29


 ついでに、リッピングしたばかりのバートのアルバムも Tidal で聴いてみる。DAP で聴くのと、違いがあるかどうか。


##本日のグレイトフル・デッド

 0130日には1968年から1987年まで、4本のショウをしている。公式リリースは1本。


1. 1968 EMU Ballroom, University Of Oregon, Eugene, OR

 2.50ドル。開演8時。クィックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィスとの北西部太平洋岸ツアーは続く。ここでも PH Phactor Jug Band が前座。全体のセット・リストは不明だが、〈New Potato Caboose〉が《Road Trips, Vol. 2, No. 2》のボーナス・ディスクでリリースされた。

 PH Phactor Jug Band はなんと Tidal で聴ける。《The History Of Northwest Rock, Vol. 3: Psychedelic Seattle》という2008年に出たオムニバスに3曲入っている。しかも1曲は〈Minglewood Blues〉で、〈New Minglewood Blues〉の原曲、というよりも、これを聴くかぎり、ほぼ同じ。さらに〈Merryjuena〉というのは〈We Wish You A Merry Christmas〉のメロディで、マリファナが欲しい、誰かくれえ〜とアカペラ・コーラスで歌う。ほとんどコミック・バンドのノリで、しかし演奏能力は確か。ストリーミングで、何年の録音か、まではわからないが、新しいものではない。おそらくはこのショウからそう離れてはいないのではないか。

 ちなみにこのオムニバスには Danny O'Keefe も1曲入っていて、通して聴くとまた収獲もありそうだ。 


2. 1970 The Warehouse, New Orleans, LA

 5ドル。開演8時。このヴェニュー3日連続の初日。ポスターではフリートウッド・マックと The Flock が共演。

 ザ・フロックとは前年末、フィルモア・ウェストで一緒になっている。メンバーの一人でサックス奏者 Tom (T. S. Henry) Webb はマイルスの《Bitches Brew》に参加し(録音そのものには入らず)、そのためか、ファースト《Flock》は同じコロンビア・レコードのシカゴや BS&T よりもジャズ色が強い。これを聴くかぎり、演奏能力や作曲能力に特に不足はないが、曲を構成するセンスに欠けていて、長い曲が多いにもかかわらず、聴きおわっての印象が散漫になる。売れなかったのも無理はない。当時のコロンビアの社長クライヴ・デーヴィスがジェリー・グッドマンをマハヴィシュヌ・オーケストラに引っぱったのは、まっとうな判断ではあった。

 この頃のフリートウッド・マックはバリバリのブルーズ・ロック・バンドで、ピーター・グリーンとダニー・カーワンが揃ったステージは圧倒的だった、と James Sallis DeabBase XI で書いている。この日はデッドより、フリートウッド・マックの方が良かったとする意見も少なくないそうだ。

 サリスによればこのヴェニューは新しいもので、この日の公演はその柿落しだった。名前の通り、元は倉庫で、壁は煉瓦。だだっ広い空間だったが、低い天井が親密な感じを出していた。座席は無く、床に無雑作に敷かれた絨緞の上に腰を下ろして開演を待った。

 サリスは〈Uncle John's Band〉が良かったと書いているが、判明しているセット・リストにはこの曲は無い。ウィアが他のメンバーに比べるととび抜けて若く、身嗜みが整っていた。対照的にピグペンはだらしない恰好だったが、かれがいるおかげで、バンドは面白くなっていた。サリスによれば、この時にはピグペンの弟が短時間出てきて、声を合わせた。ガルシアは口を少し開けてまっすぐ前を見据えたまま、ギターを弾きつづけた。

 トム・コンスタンティンはこれを最後にバンドを離れる。もっとも、その後もゲストとして何度かショウに出ている。19681123日が初ステージだから1年2ヶ月の在籍。バンドに参加したのは少し前からだろうが、長くても1年半。 ビル・クロイツマンは回想の中で、コンスタンティンがリハーサルではすばらしい演奏をするが、本番ではそれに相当する、本当に全開した演奏はついにできなかった、という。他のメンバーにとってリハーサルと本番の違いがどのようなものだったかは面白い問題だが、ここでも後の鍵盤奏者たちが例外なく感じる疎外感があったのかもしれない。コンスタンティンからすれば、デッドの音楽の組立ての中で鍵盤奏者の位置が正当に考慮されていないと感じていた。展開の可能性は示されるが、実際に展開する余地が無い。デッドの中での鍵盤の位置、役割は一筋縄ではいかないが、必要不可欠とされる一方で、他のメンバーと対等の立場は暗黙のうちに拒否されるところがあるのは否めない。他のメンバーにしてみれば、拒否しているつもりはさらさら無いが、結果としてそうなる。鍵盤以外のメンバーはアシッド・テスト以来、緊密な演奏をしてきている。1966年から67年頃まで、バンドがヒマさえあれば練習をし、あるいはゴールデン・ゲイト公園のパンハンドルで即席のギグをしていたことは、ロージィ・マッギィの回想からもわかる。そうして培われた関係は他の人間には伺いしれない位相を生んでいただろう。鍵盤奏者には許される位置を手探りで試行錯誤しながら確認し、なおかつ、アンサンブルに枢要な貢献をするという難しい作業が求められる。コンスタンティンはそれは自分にはできないとさっさと見切りをつけることができた。デッド以外にもつながりがあった。キース・ガチョーもブレント・ミドランドもそういうつながりはほとんど無く、結局その重圧に潰された。デッドの歴代鍵盤奏者の中で生き残っているのはコンスタンティンだけだ。各々の死にバンドは直接絡んではいないし、各々の死はバンド・メンバーに大きな影響を残した。ミドランドの死はガルシアの死の遠因とすら言える。それでもなお、鍵盤奏者たちがいわばバンドに殺された面は否定できない。

 一方で、そうした犠牲はグレイトフル・デッドというユニットが20世紀音楽の頂点、少なくともその一つに登りつめるためにはらわれたものでもある。何であれ、大きなものを得るには大いなる犠牲もつきまとう。ガルシアの「早すぎる」死は犠牲の最たるものだが、デッドを支えたクルーもスティーヴ・パリッシュを除いて全員死んでいる。

 もっとも、デッドは大いなる業績を上げようとして努力したわけでない。面白いことをしよう、愉しいことをしようと日々続けただけだ。ただ、最も愉しいこと、つまりバンドとして人前で演奏することを何よりも大事にした。それを続けるために、他のものはすべて捨てた、と言ってもいい。その積み重ねの結果、巨大なものが後に残ったにすぎない。鍵盤奏者たちも、演奏している間はとことん愉しもうとしていた。と、録音を聴くかぎりは感じられる。デッドにいた間は自分の人生で最良の時間だったと最後の鍵盤奏者ヴィンス・ウェルニクは言っている。あるいはコンスタンティンだけは、愉しもうとするレベルが異なっていたか、あるいはこの連中と一緒では愉しめないと感じていたのかもしれない。

 この日、ホテルにもどったところでコンスタンティンとピグペンを除くメンバーとアウズレィ・スタンリィが麻薬所持でニューオーリンズ市警に逮捕される。日付はすでに31日になっていた。ワーナー・ブラザーズの重役 Joe Smith の機転のおかげで、一行は保釈されるが、アウズレィ・スタンリィは2度目の逮捕で、移動を制限され、バンドのサウンドマンから外れざるをえなくなる。この一件から生まれたのが〈Truckin'〉。

 デッドの前にジェファーソン・エアプレインもニューオーリンズで麻薬所持で逮捕されており、マネージャーのマッキンタイアはニューオーリンズに飛ぶ前にエアプレインの家に立ち寄った際、エアプレインのマネージャー Bill Thompson から気をつけろと言われていた。


3. 1978 Uptown Theatre, Chicago, IL

 シカゴとウィスコンシンのミニ・ツアーの初日。シカゴではこのヴェニュー3日連続。これも良いショウのようだ。


4. 1987 San Francisco Civic Center, San Francisco, CA

 16.50ドル。開演8時。春節祝賀3日連続の最終日。普通はクローザーやアンコールになる〈The Promised Land〉の後に〈China Cat Sunflower> I Know You Rider〉をやって第一部のクローザーとしたのは、一つの意思表示だろう。前2日よりも良くなっている由。

 次のショウは0301日からのオークランドでのマルディグラ記念の3日連続。(ゆ)


0127日・木

 Tim O'Brien の昨年の新譜《He Walked On》着。アマゾンで予約したら、結局入荷せずで注文キャンセルになり、あらためて AMP で注文。ようやく入手。オブライエンは Sugar Hill Flying Fish などのマイナー・レーベルからデビューしたが、そこを卒業するとメジャーには行かずに、自前のレーベルでやりだした。だから、ずっとコンスタントに新譜を出している。しかも、どれもこれも質が高い。深く音楽伝統に棹さしていて、アメリカ人離れしているほどだ。だから、《Two Journeys》でアイルランドの名立たる連中と互角に渡りあえる。かれの音楽を好むのは、同世代というのもあるだろう。不満といえば、ライヴ盤を出してくれないことぐらい。

He Walked on
O'Brien, Tim
Howdy Skies
2021-07-09

 
Two Journeys
O'Brien, Tim
Sugarhill
2002-07-09

 それで思い出して、Hot Rize のサイトに行き、あるだけの CD DVD を注文。CD8枚。1枚品切れ。DVD1枚。送料が CD 4枚分以上。本体合計価格の半分弱。海外にいるアメリカ人やヨーロッパ人が、よくこれで文句を言わないものだ。一度、Smithonian Folkways CD Bandcamp で注文したら、送料が CD と同じくらいで、なんでこんなに高いんだと思ったら、FedEx で送ってきた。そりゃ、高くつくわなあ。1枚だけ品切れだった《Shades Of The Past》をアマゾンで注文。本体1,800円に送料380円。2割強。これでも高いと思うね。
 

 ストリーミングではとにかくクレジット情報やライナーがまったく無いから、やはりブツが必要なのだ。先日の《グレイトフル・デッドを聴きながら》も、バックのアコースティック・ギターがやたら良くて、いったい誰だ、と知りたくなり、CD を買った。ギタリストはディレクターでもある菊池琢己という人。名前を知ったからって、すぐにはご利益はないが、名前だけでもわかれば一応はおちつく。いずれまたどこかで遭遇するかもしれない。

 それに、ミュージシャンへの還元では、ブツも買った上でストリーミングで聴けば、両方から収入があるはずだし。

 こないだ、JVC だったか、ブックレットだけダウンロード販売するサービスを始めたが、Bandcamp あたりがやってくれないか。もっとも、あそこは、何を売るかはミュージシャンに任せているから、サイトとしてのサービスはやらないかもなあ。ミュージシャンによっては Bancpamp 内のページにクレジット情報を載せたり、デジタル版を買うと、ブックレットを PDF で付けてくれる人もいるが、全部じゃないしねえ。



##本日のグレイトフル・デッド

 0127日には1967年と68年の2本のショウをしている。公式リリースは無し。


1. 1967 Avalon Ballroom, San Francisco, CA

 このヴェニュー3日連続の初日。共演クィックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィス。ポスターには開始時刻や料金が入っていない。

 この日のものとされる7曲1時間強のテープが出回っているが、それが実際にこの日のものかどうかは定かではない。また、確定するためのデータも無い。1967年のいつかのものではある。

 この頃はテープが残っているだけでも奇蹟的だ。その点ではアウズレィ・スタンリィ通称ベアは先駆者で、サウンド・エンジニアでもあったから、自分が担当したコンサートはデッドに限らず録りまくっていた。その成果が "Bear's Sonic Journals" として、息子たちがやっている財団から次々にリリースされている。ロックだけではなく、アリ・アクバル・カーンなんて人のものもある。

 デッド最初期のサウンドボード録音はたいていがベアの手になり、音も良い。


2. 1968 Eagles Auditorium, Seattle, WA

 このヴェニュー2日連続の2日目。4ドル。午後9時から午前2時まで。(ゆ)


9月24日・金

 Custy's からCD7枚。1枚、Cathal Hayden のものだけ後送。09-04に注文したから、3週間で来た。まずますのスピード。実をいえば、この Cathal Hayden のCDを探して、久しぶりに Custy's のサイトに行ったので、他はサイトで見て、試聴し、むらむらと聴きたくなったもの。新譜ばかり。知らない人ばかり。この店だから、西の産が多い。もっとも Jack Talty がエンジニアをしたのが2枚あった。Raelach Records からではなく、どちらもミュージシャンの自主リリース。調べると Bandcamp にあるものが大半。まあ、Custy's でまとめて買えば、送料は安くなる。その代わり、Bandcamp ではCDを買うとファイルもダウンロードできるのが大きなメリットだし、場合によってはファイルはハイレゾだったり、ボーナス・トラックが付いていたりする。それにしても、クレアに住んで Eoin O'Neill の詞に曲を付けて歌っているアルゼンチン人とか、ドゥーリンに住んで、ミルタウン・モルヴェイのスタジオで録音したフィドルとコンサティーナのデュオはどちらもアイルランド人ではないとかいう風景に驚かなくなってきた。今回唯一なじみのあるのはダーヴィッシュの Liam Kelly のソロ。これはちょっと変わっていて、「フルートのマイケル・コールマン」John McKenna の家で、マッケナのレパートリィを録音したもの。発行元も The John McKenna Traditional Music Society
 


##本日のグレイトフル・デッド

 9月24日は1966年から1994年まで12本のショウをしている。うち公式リリースは3本。


01. 1966 Pioneer Ballroom, Suisun City, CA

 前日と同じフェスティヴァルの2日目。


02. 1967 City Park, Denver, CO

 屋外の公園での午後1時からの "be-in" で、デッドはのんびりステージに出て、上半身裸になって数曲演るが、機器のトラブルで中止。〈Dark Star〉をやったと言われる。共演は Mother EarthCaptain Beefheart & His Magic Band、それに Crystal Palace Guard という地元のバンド。ビーフハートはこんなに標高が高いところで演奏したことがなかったので、酸素吸入が必要になった由。

 このデンヴァーの Family Dog と集会での演奏は Chet Helms がとりしきった。ヘルムズは初期デッドのプロモーターで、Avalon Ballroom のマネージャーでもあった。デンヴァーの Family Dog の施設はそれ以前は Whisky A Go Go のデンヴァー支店だったそうだ。


03. 1972 Palace Theater, Waterburry, CT

 同じヴェニュー2日め。《30 Trips Around The Sun》の1本として完全版がリリースされた。アウズレィ・スタンリィの録音で音はすばらしい。

 ここは1,000人収容のこじんまりしたホールで、親密感が生まれやすいところだったらしい。〈Dark Star〉から〈China Cat Sunflower > I Konw You Rider〉というメドレーは1969年以降ではこの時のみの由。最前列で見ていた人の証言では、〈Dark Star〉の最中にレシュが "China Cat" と叫んだそうだ。

 前半を締めくくるのはこの時期の通例で〈Playing in the Band〉。3日前のフィラデルフィアもすばらしかったが、この日は17分を超えて、さらに輪をかけてすばらしい。デッド流ポリフォニー集団即興の極致、全員がそれぞれに勝手なことをしながら、ちゃんと曲が編みあがってゆく。ガルシアのギターだけが突出しているわけではないが、ガルシアのギターが他のメンバーがつむぐタペストリーに太い線で変幻自在の模様を描いてゆく様は快感。その模様が、単純でいながら意表を突く。ここまでの曲でも折々にこの即興になる場面はあるが、それよりはむしろ歌をじっくり聞かせる姿勢。ここでは、むろん歌は必要なのだが、それ以上にインストルメンタルの展開を意図する。

 これはもうロックではない。こういう即興は、当時他のロック・バンドは思いつきもしなかった。ザッパは思いついていたかもしれないが、かれの場合、宇宙は自分を中心に回っている。こういう、メンバー誰もが対等にやることは、たぶん許さない。

 この音楽の美しさをデッド世界の外でわかる人間がいたとすれば、ジャズ世界の住人たちだっただろうけれど、でも、デッドはソロを回さない。全員が同時にソロをやる。それぞれのソロがからみ合って集団の音楽になっている。そこが面白い。そこが凄い。まさに、バッハ以来の、ポリフォニー本来の姿が現れる。

 このデッドの集団即興の面白さを味わうには、この時期、1972年秋の〈Playing in the Band〉を聴くのが早道かもしれない。この日もこの後〈Dark Star〉が待っていて、それはまったく別の美しさを見せる。デッドの音楽としては〈Dark Star〉の方が大きい。そこにはデッドの音楽が全部ある。PITB にあるのは一部、どちらかといえばわかりやすい位相が現れている。

 David Lemiuex は《30 Trips Around The Sun》のノートで、これを含む1972年秋のツアーを、デッド史上最高のツアーの一つ、72年春のヨーロッパ・ツアー、1977年春の東部ツアーと並ぶものとしている。このツアーからはこれまでに9月17日のボルティモア、21日のフィラデルフィア、27日のジャージー・シティ、それにこれと4本、完全版が公式リリースされているけれど、72年ヨーロッパ・ツアー、77年春に比べると、まだまだ少ない。どんどん出してくれ。


4. 1973 Pittsburgh Civic Arena, Pittsburgh, PA

 ここでも後半の前半に、ジョー・エリスとマーティン・フィエロが各々トランペットとサックスで参加。前半ラストに近い〈China Cat Sunflower > I Konw You Ride〉が2018年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。

 珍しく〈China Cat Sunflower〉の後半でウィアが長いギター・ソロを披露し、なかなかのところを聞かせる。


05. 1976 William And Mary Hall, College Of William And Mary, Williamsburg, VA

 夜8時開演。料金6ドル。コーネル大学バートン・ホールと同様、ここでも演奏回数は少ないが、演奏する度に名演が生まれている。《Dave's Picks, Vol. 4》で完全版がリリースされた。残念ながら持っておらず。


06. 1982 Carrier Dome, Syracuse University, Syracuse, NY

 開演夜8時。料金11.50ドル。この年、1、2を争うショウと言われる。

 この会場ではここから83年、84年と、ともに秋に計3回ショウをしている。屋内スポーツ・スタジアムで、大学のキャンパス内のドーム施設として全米最大だそうだ。普通25,000超。バスケットでは定員3万だが、35,642という記録がある由。コンサート会場としても頻繁に使われ、ロック、カントリーはじめ、メジャーなアーティストが軒並ここで公演をしている。


07. 1983 Santa Cruz County Fairgrounds, Watsonville, CA

 屋外のショウで午後2時開演。9月13日までのひと月のツアーの後の独立のショウの1本。2週間休んで10月8日から10月一杯ツアーに出る。


08. 1987 The Spectrum, Philadelphia, PA

 3日連続の最終日。


09. 1988 Madison Square Garden, New York , NY

 9本連続の8本目。レックス財団が共催で熱帯雨林保護ベネフィット公演として、多数のゲストが参加。ブルース・ホーンスビィのバンドが前座。前半2曲のブルーズ・ナンバーにミック・テイラーが参加。後半冒頭にスザンヌ・ヴェガ、中間にダリル・ホール&ジョン・オーツが出て、各々の持ち歌を2曲ずつ披露。〈ドラムス〉に Baba Olatunji & Michael Hinton、〈Not Fade Away 〉にホーンスビィが参加。

 DeadBase XI John W. Scott によると、デッドは871,875ドルを Cultural SurvivalGreenpeaceRainforest Action Network に寄付した。資金集めもあり、チケットの高いものは50ドル。さらに終演後のバンドのレセプションも付いた250ドルの席も用意された。

 デッドの音楽以外を認めない狂信者はゲストのパートを嫌うが、上記スコットはどちらも高く評価している。デッドがふだんやっている音楽とはかけ離れているように見える相手でも、見事にバックアップしていたそうだ。ディランのように、ヴェガとツアーしてくれないかとまで言う。それはあたしも見たかった。


10. 1991 Boston Garden, Boston, MA

 6本連続の4本目。テンション維持しているようだ。


11. 1993 Boston Garden, Boston, MA

 6本連続の初日。午後7時半開演。料金26.50ドル。


12. 1994 Berkeley Community Theater, Berkeley, CA

 DeadBase XI はじめ、 デッドのショウとされているが、実際は Phil Lesh & Friends の名前でバークリーの学校の音楽クラスのための資金集めとして開催され、ドラマー以外のメンバーが参加し、アコースティックで演奏した。〈Throwing Stone〉はこの時が唯一のアコースティック版。共演はカントリー・ジョー・マクドナルドや地元のアーティスト。

 このバンド名としては最初の公演。(ゆ)


9月21日・火

 気がつくと、家の前の染井吉野の葉が半分落ちて、だいぶ空が見えるようになっていた。桜の葉は長い時間をかけてぽろぽろ落ちてゆく。花とは逆。

 Copperplate からのCD着。買いのがしていたものばかりで、目玉は Angelina Carberry のCD3枚。ここにまとまってあるのを発見して、大喜びで注文したら、その直後、彼女が TG4 の Gradam Ceoil Musician of the Year に選ばれたのは嬉しいシンクロニシティ。それにしても、この人、おやじさんがアコーディオン奏者のせいか、アコーディオンとやるのが大好きだ。


 ここはロンドンにあるアイリッシュ・ミュージック専門CD屋で、なかなかの品揃え。ダブリンの Claddagh がレコード屋としてはものの役に立たなくなってしまった穴を少しは埋めてくれる。
 

##本日のグレイトフル・デッド

 9月21日は1972年から1993年まで6本のショウをしている。公式リリースは2本。


1. 1972 The Spectrum, Philadelphia, PA

 秋のツアーの一貫。料金5ドル。開演夜7時半。《Dick’s Picks, Vol. 36》として完全版がリリースされた。

 この頃はまだぎっちり満員ということには必ずしもならなかったらしい。フロアはかなり余裕があり、立ってステージに近寄るのもよし、椅子に座って見るのもよし、という感じだったそうな。

 しかし演奏は黄金の年72年のベストの一つ。前半は力のはいった充実した歌をじっくり聴かせ、最後にきて15分超の〈Playing in the Band〉のすばらしいジャムが爆発する。後半は40分近い〈Dark Star〉はじめ、2時間を超える。演奏時間が長いほど質も良くなるのがこの頃のデッドのショウ。それにしても、この録音はCD4枚組、4時間近い。聴くのもたいへん。アウズレィ・スタンリィの録音で音はクリア。実際のショウはもちろんもっとずっと長く、終演は深夜0時は優に超えていただろう。「最長」はいつだったかの大晦日の年越しライヴで真夜中少し前に出てきて朝までやり、プロモーターのビル・グレアムが客に朝食をふるまった、というのがあるけれど。


2. 1973 The Spectrum, Philadelphia, PA

 同じヴェニュー2日連続の2日目。料金5ドル。前日は6ドル。どちらも残っているチケットの半券から。場内の位置が違うのかな。後半の前半にジョー・エリスとマーティン・フィエロ参加。アンコールにも参加したらしい。

 前日はひどい出来だったが、こちらはうって変わって絶好調だった由。


3. 1974 Palais des Sports, Paris, France

 2度目のヨーロッパ・ツアー最終日。第二部として演奏された〈Seastones > Playin in the Band〉が2017年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。


4. 1982 Madison Square Garden, New York , NY

 2日連続の2日目


5. 1991 Boston Garden, Boston, MA

 6本連続2本目。料金23.50ドル。開演夜7時半。


6. 1993 Madison Square Garden, New York , NY

 6本連続5本目。(ゆ)


 寒中お見舞い申し上げます。今年はいつも以上にのらりくらりとなるでありましょう。どうぞ、よしなに。

 オンラインになった『ラティーナ』の昨年のベストアルバムに参加しました。以下にリンクを張りました。来週火曜日19日までは無料で誰でも見られます。それ以後は定期購読者のみ、閲覧できます。

[2021.01]Best Albums 2020-1

[2021.01]Best Albums 2020-2

 あたしのはここにあります。
[2021.01]Best Albums 2020-3

 各アルバムには Spotify のリンクを編集部がつけてます。聴いてみて気に入ったら、ぜひ音源も購入しましょう。少しでもミュージシャンたちを支援しましょう。

 Grateful Dead の Dave's Picks, Volume 35 は試聴のリンクがありません。これは限定発売で、本家 Dead.net でも発売後は試聴できません。ふだんはこのシリーズはベストアルバムには選ばないんですが、収録された1984年4月のフィラデルフィアでのショウがあまりにすばらしく、Dave's Picks のみならず、デッドのアーカイヴ・ライヴ音源の公式リリース全体の中でも屈指の出来栄えなので選びました。こういうものも出ているというお知らせの意味もあります。

 あたしの選んだものは、デッド以外の海外タイトルはほとんどが Bandcamp で買えます。あそこで買うとミュージシャンへの見返りも他より大きいので、できるだけ Bandcamp を利用するようお願いします。CDを購入すると、すぐにファイルをダウンロードして聴くこともできます。時にはハイレゾ・ファイルが来ることもあります。

 昨年はスタジオでの録音も大きく制限されたでしょうから、今年は新譜の数は減ると予想されます。ライヴ配信、ライヴ音源の販売は増えるでしょうが、さて、どうなりますか。(ゆ)

あかまつさん
チェルシーズ
DANCING PIG
2013-07-14


 リリースから5年経つ。この5年はグレイトフル・デッドにあれよあれよとのめりこんでいった時期なのだが、一方で、その5年間に聴いた回数からいえば、このアルバムが最も多いだろう。いつも念頭にあるわけではない。しかし、折りに触れて、このタイトルがふいと顔を出すと聴かずにはいられない。聴きだすと、40分もない長さのせいもあり、最後まで聴いてしまう。聴きだすと、他に何があろうと、終るまで聴きとおす。

 これはコンセプト・アルバムとか首尾一貫アルバムというわけではない。各々の曲は自立し、完結している。にもかかわらず、あたしにとって、これは1本のまとまった映画というか長篇というか、いや音楽なのだ。この九つの曲がこの順番で出てくる、この順番で聴くのが快感なのである。そうしてラストのタイトル曲のイントロが聞えてくると、いつも戦慄が背筋を駆けぬける。悦びなのか、哀しみなのか、単なる感動なのか。それはもうどうでもいいことで、気がつけば、あかまつさんのコーラスに力一杯声を合わせている。8回ぐらいのリピートでは短かすぎると思いながら。

 チェルシーズはまりりんとラミ犬のデュオだ。まりりんがピアニカ、トイ・ピアノ、ホィッスルを担当し、ラミ犬がギター、ベース、ウクレレ、フルート。二人とも様々なパーカッションを操り、そしてもちろんうたう。どちらもリードがとれるし、ハーモニーもできる。ここで言えば01, 02, 04, 06, 07, 09 がまりりん、それ以外がラミ犬のリード・ヴォーカル。リードをとらない方はたいてい何らかの形でハーモニーを合わせる。スキャットしたり、コーラスを唄ったり。どちらも遜色はないが、声の性質からか、ラミ犬のリードにまりりんが合わせるハーモニーはよくはまる。

 まずはこの声だ。まりりんの声はいわゆる幼女声でしかもわずかに巻き舌。アニメの声なら天真爛漫な幼児のくせに肝心なところで舞台をさらうキャラクター。一方で、そういうキャラにはよくあるように、妙に成熟したところもある。幼生成熟と言えなくもないかと思ったりもする。その眼は醒めて、人やモノの本質を見抜く存在の声だ。

 ラミ犬の声も年齡不相応に響く。あるいは年齡不詳か。声域は高めでかすかにかすれる。

 二人ともどこから声が出ているのかわからない。どこにも力が入っていない。張りあげることも、高く澄むことも、低く沈みこむことも、まったくない。クルーナーでもないし、囁くスタイルでもない。しかしふにゃふにゃにはならない。明瞭な発音と相俟って、確かな説得力をもって聴く者に浸透する。浸透力は並外れている。ということはまず唄が巧い。そして声には芯が1本通っているのだ。

 この声で湛々と唄われるうたは、シュールリアリスティック(〈バナナの木〉〈つらら〉)だったり、飾りも衒いもないストレートなもの(〈上司想いの部下のうた〉〈あかまつさん〉)だったりする。時に何を唄っているのか、よくわからなかったり(〈ひるねのにおい〉)もする。一聴、わかりやすいと思うが、よく聴いてみると実はもっと深いところまで掘りさげているのではないかと思えたりするもの(〈ぐるぐる〉)もある。夏が来て、秋に移り、そして冬に凍てつくうたもある。いずれにしても一筋縄ではいかないし、何度聴いても面白い。

 歌詞が乗るメロディとリズムも一見あるいは一聴、とりわけ特徴的なものがあるわけではない。いわばごくありきたりなポップス。現代日本語のうたの範疇のうちだ。ありふれた、といえばこれほどありふれたものもない。どちらかというと歌詞が先に出てきて、楽曲はそれに合わせる形で生まれたように聞える。どれもうたわれている詞にどんぴしゃだ。とりわけあたしのお気に入りは〈眠れぬ夜のかたつむり〉。力の抜けたこのアルバムの中でも、飛び抜けて力が抜けている。

 こうしたうたを、二人はほとんどがギターと、せいぜいがピアニカの伴奏だけのシンプルな組立てでうたう。ドラム・キットを使わず、パーカッションをめだたないように、要所をはずさず、アクセントをつけて使う。〈おはよう〉の手拍子。〈眠れぬ夜〉の終り近く「あくびをすると」で入る鉦。すると、楽曲は立体的に立ち上がってくる。シンプルだが一つひとつのディテールが綿密に練りこまれている。聴きこんでゆけばゆくほど、複雑な絡みが聞えてくる。聴くたびに発見がある。つい先日も、〈眠れぬ夜のかたつむり〉の間奏のギターの後ろでカラカラカラと金属の打楽器を鳴らしていることに初めて気がついた。

 唄も巧いが、楽器の技倆も確かだ。とりわけ難しいことをやっているようにもみえないが、シンプルなことをみごとにこなす。〈うろこ雲〉のピアニカ・ソロ。〈つらら〉コーダの口笛。〈上司想いの部下のうた〉のギター。ギターは時に電気も通し、多彩な奏法を聴かせるが、どれも適切的確。派手なことは何もやらないが、相当に巧い部類だ。そして〈あかまつさん〉のイントロのギターはあたしにはひどく郷愁を起こさせる。こういうギターの響きに誘われて、音楽の深みに惹きこまれていったのだ。

 加えてやたらに録音がいい。練りこまれたディテールが隅々まできちんととらえられている。システムの質が上がってくると、そうしたディテールがあらためて姿を現わす。録音がいいことが何回も聴く要因の一つではある。何か新しい機材を手に入れたり、エージングが進んで音が良くなったりしてくると、それで《あかまつさん》を聴いてみたくなる。そして聴きだせば、最後まで聴いてしまう。

 ことさらに録音がいいからと薦められた、いわゆるオーディオファイル向けのリリースには、録音は良いかもしれないが、肝心の音楽がさっぱり面白くないものが多い。そういう中ではミッキー・ハートの《Dafos》やブラジルの Jose Neto の《MOUNTAINS AND THE SEA》は音楽もすばらしく、録音も優秀な例外だが、あたしとしてはむしろ音楽が面白いものがたまたま録音も良いのが理想だ。Lena Willemark & Ale Moller のECM盤や英珠の《Cinema》はその代表だが、《あかまつさん》もそういう音楽録音共に優秀なものの一つではある。最近は《tricolorBIGBAND》やさいとうともこさんのソロなど、音楽も録音もすばらしいものが増えているのは嬉しい。ついでに言えば、アイルランドの録音はだいたいにおいて水準以上だし、ダブリンは Windmill Lane Studio を根城にする Brian Masterson の録音はどれも優秀だ。

 それにしても、タイトル曲にうたわれる人も、数は多くないかもしれないが、どこの集団、場所にも一人はいるはずだ。その皆が皆、あかまつさんのように、少なくとも一人は好んでつきあってくれる相手がいるとは限るまい。むしろ、邪魔者扱いされたり、あるいは差別の対象にされたりすることもあろう。チョコレートの虫ではなく、本物の虫をロッカーに入れられることの方が多そうだ。そしてそれはそのまま、この国の表象にもなる。あかまつさんという名には赤塚の『おそ松くん』の谺も響いているかもしれない。あそこには出てこないこの名前を選んだのだろうか。

 この歌の語り手もまたあかまつさんの同類とされている。そのあかまつさんが急にいなくなる。そのやるせなさ、これからどうすればいいのかという不安が、あかまつさんと繰り返し呼びかけるコーラスに響く。ユーモアにくるんで悲痛な想いを唄うことでかろうじて自分を支える。そのコーラスに声を合わせてしまうのは、これを聴いている自分もまた、あかまつさんであるとわかっているからだ。

 ラミ犬はソウル・フラワー・ユニオンのサポート・サイトを主宰していた。チェルシーズはつい先日、台風直撃の中、10周年記念ライヴを無事やり了せたようだ。まりりんが東京に転居とのことで、ひょっとするとこちらでチェルシーズのライヴを見られるかもしれない。(ゆ)


[Musicians]
まりりん: vocals, pianica, toy piano, tin whistle, percussions
ラミ犬: vocals, guitar, bass, ukulele, flute, pandeiro, percussions

Recorded, Mixed & Mastered by 西沢和弥(のんき楽園

[Tracks]
01. バナナの木 02:47
02. ひるねのにおい 04:24
03. おはよう(また夏が来たみたい) 03:22
04. 眠れぬ夜のかたつむり 06:11
05. うろこ雲 03:01
06. つらら 03:27
07. 上司想いの部下のうた 03:49
08. ぐるぐる 03:37
09. あかまつさん 05:32

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 クレア出身のコンサティーナ奏者 Liam O'Brien のデビュー録音。高橋創さんがギターで全面的にバックアップし、プロデュースも共同でしている。

https://www.liamobrienconcertina.com

 基本的には Stephen Heffernan のピアノと高橋さんのギターが伴奏につく。無伴奏もある。ラストのトラックは兄弟姉妹が加わる一家団欒篇。

 ノエル・ヒルの弟子とのことで、Niall Vallely のようなアグレッシヴなスタイルではなく、表面柔かな、おちついた演奏。つるりくるりと廻る装飾音が楽しい。

 コンサティーナほど演奏者によって変化の大きい楽器もあまり無い。アングロとイングリッシュでは当然変わるが、それぞれにあっても音色、音量、スピード、さらには使用法まで恐しくヴァラエティに富む。

 かつては女性専用の趣もあったが、今では男性でも名手はたくさんいる。Padraig Rynne や Raelach Records の主宰者 Jack Talty のような新世代も現れている。

 リアム・オブライエンは伝統の継承を目指しているようで、奇抜なことはやらないし、テクニックを前面に出すこともない。つつましく、というと小さく収まってしまうように聞えるが、コンサティーナには、どちらかというと目立たないところで独り、好きな曲を弾くのを愉しむところがある。大勢で演るのを宗とするアイリッシュ・ミュージックの中では、偏屈と言われかねない隠遁志向を持つように見える。別に世の中を嫌っているのではなく、一緒に演るのがいやだというのでもないだろうが、楽器と音楽を通してみんなと会話するというよりも、演奏者は楽器と対話する、あるいは楽器を通して現れる自分と対話しているようでもある。つまり内省的だ。

 オブライエンの演奏は、一方で、明るいきに内面から照らしだされる。装飾音はハイランド・パイプのチャンターの指孔に指を打ちつけるテクニックに似ているが、むろん、響きは対照的に柔かいから、滑らかな丸石が流れに転がってゆくようだ。スロー・エアでも昏く沈むよりは、静かな水面の上を波をたてずに滑ってゆく。[06]は巧妙にアクセントをつけるサポートも合わせて名演。

 これにはテンポ設定が適切なこともある。基本的に突っ走らない。と思うと、[09]のホーンパイプは当初速すぎると聞えるのだが、聴いてゆくと、ちょうどよいテンポであるとわかる。うーん、この〈Rights Of Man〉はこの曲のベストの演奏の一つだ。

 ピアノとギターはおおらかに、ゆったりと主人公を支える。ピアノがベースを敷き、ギターは主人公がその上を軽やかに渡れるように、ジャンピング・ボードを足許に打ちこんでゆく。大地へ打ち込む力が大きく聞えるが、それで主人公を押えつけたり、引きずり下ろすのではなく、かえって前へ進ませるドライヴが生まれる。

 こういうアルバムを聴くとコンサティーナのイメージが変わる。楽器のイメージを変える力のある演奏なのだ。イングリッシュ・コンサティーナでは、これも最近、ノーサンバーランドの Alistair Anderson の新作がある。イングリッシュのあたしの印象は、これを自ら弾きながら唄う一群の優れたイングランドのうたい手たちに結びついていた。Louis Killen、Peter Bellamy、Bernard Wrigley、Tony Rose、Steve Turner といった人びとで、そう、John Kirkpatrick も加えていいだろう。アンダースンもその流れを汲むうたい手の一人と思っていたら、この新作では孫のような若者たちとともに実に達者な演奏を聴かせているのに驚かされた。

 アングロ・コンサティーナはこれまで正面から聴いたことがなかった。Noel Hill や 守安雅子の存在はあったし、Niall Vallely、Mary McNamara、あるいは Padraig Rynne のような人たちは各々に凄いと思いはしても、楽器そのものにはあまり関心が惹かれなかった。同じ蛇腹ならアコーディオンの方が面白かった。

 リアム・オブライエンがコンサティーナの革新的奏法を編み出しているわけではない。それよりもこの楽器の本質を提示しているように思える。それも剥き出しに腑分けするのではなく、つつましく、控え目に、しかしきっぱりと提示している。その本質とは何か。と問われて、これですと答えられれば、音楽を演奏する必要はない。オブライエンの演奏に、音楽に、コンサティーナ、アングロ・コンサティーナの本質が現れているので、少なくともあたしにはそう見える。そしてその本質は実に魅力的なのだ。オブライエンの演奏に顕著な、つるりくるりとした装飾音の手触りは、他の楽器では出せない。本質とはそういうものである。その楽器にしかできないこと。おそらくイングリッシュ・コンサティーナでも出せないのではないか。イングリッシュの本質、魅力はたぶん別にある。

 おそらく、そういうことなのだ。これまでコンサティーナに特段の関心をもてなかったのは、コンサティーナにしかできないことが見えなかったのだ。ノエル・ヒルやナイアル・ヴァレリィやポォドリグ・リンが、コンサティーナの本質とは違うことをやっているわけではない。あたしに見える、聞える形では提示してくれなかっただけだ。オブライエンの演奏はたまたまあたしと波長が合ったのだ。こうしてたとえぼんやりとでも一度見えてみれば、あらためてかれらの演奏にコンサティーナの本質が聞えるだろう。もちろん表現型は異なるはずだが。

 リアム・オブライエンが見せてくれたこの本質は生で聴いてみたい。折りしも、オブライエンは来日中で、この日曜日に都内でライヴがある。それも教会だ。教会は響きがいい。行ってみるしかない。


 ジャケットがいい。上記 Raelach Records の諸作もそうだが、アイリッシュ・ミュージックの録音のジャケット・デザインはずいぶんと洗練されてきた。ジャケットと中身の音楽の質は反比例すると言われたのはもう昔の話で、様変わりしている。


Liam O'Brien: concertina
高橋創: guitar
Stephen Heffernan: keyboards
Brid O'Donohue: flute
Michael Perigoe: vocal
Sean O'Brien: flute
Eibhlis O'Brien: flute
Deirdre O'Brien: harp
Sinead O'Brien: viola, fiddle

Tracks
01. Bonnie Blue Eyed Nancy 4:07
02a. Frieze Brithches
02b. Ed Reavy's 3:54
03a. The Stone of Destiny
03b. Liffey Banks 2:51
04a. The Garden of Daisies
04b. Chief O'Neills 2:58
05a. Boys of the Town
05b. My Former wife 3:27
06. An Buachallin Donn 3:58
07a. The Knotted Chord
07b. Joe O'Dowd's
07c. Strawberry Blossom 4:13
08a. The Walls of Liscarroll
08b. John Kimmell's
08c. An Seanduine 3:27
09a. Nellie Your Favour I'll No Longer Gain
09b. The Rights of Man 3:03
10. Lament to Willie Clancy 4:05
11a. Lizzie in the Low Ground
11b. Micho Russell's
11c. Jack Coughlan's 4:35
12a. An Coileach ag Fogairt an Laez
12b. Repeal the Union
12c. The Maid on the Green 3:59
13a. Mary Brennan's
13b. Fowler on the Moor 2:44
14. Cisse Crehan's Wicked Gander 3:21

Produced by Liam O'Brien & 高橋創
Recorded by Martin O'Malley @ Malbay Studio, Caherogan, Miltown Malbay, Co. Clare
Mixed by Martin O'Malley
Mastered by Martin O'Malley
Designed by Aoife Kelly

 さいとうさんの初のソロはフィドルのソロ・アルバムだ。オーヴァー・ダブなども無い。1本のフィドルの音だけ。

 アイリッシュ・ミュージックに伴奏は不要、ということは『アイリッシュ・ミュージック・セッション・ガイド』にも言明されている。実際、フィドルをソロで、1本だけで弾くのは、演奏の現場では珍しいことではないだろう。とはいうものの、こと録音となると、実に珍しいものになる。SP録音の時代から、フィドルには伴奏がついていた。マイケル・コールマンやジェイムズ・モリソンがいつもピアノ伴奏で弾いていたとは思えないが、販売するための録音としては伴奏が必要だとレコード会社、あるいはプロデューサーという者が当時いたとして、そういう人間が判断したわけだ。フィールド録音ではフィドル1本もあるが、それは記録や研究を意図しているので、鑑賞用とは一応別である。

 パイプやハープは、独りでメロディとコードを演奏できるから、それらのソロ録音では、伴奏がつかないのが普通だ。フルートや蛇腹ではやはり無伴奏はごく稀である。一部のトラックは無伴奏でも、アルバム丸々1枚そっくり無伴奏というのは、思い出せない。フランキィ・ケネディ追悼のオムニバスが無伴奏のフルート・ソロを集めているが、あれはちょっと意味合いが異なる。

 演る方にしてみても、アルバム1枚無伴奏で通すのは、なかなか度胸の要ることではなかろうか。エクボだけでなく、アバタも顕わになる。隠そうとして化粧すれば、それとわかってしまう。ミスを勢いでごまかすわけにもいかない。

 もちろん、伴奏者がいたとしても、マイナスの面をカヴァーしてもらおうというのは甘えだろう。伴奏はそうではなく、対話を通じて音楽を単独では到達できないところへ浮上させるためのもののはずだ。それがいないということは、独りだけで目指すところへ登ってゆくことになる。迷っても音楽の上で迷いをぶつける相手はいない。

 あらためて見てみると、無伴奏のフィドルのソロ録音はかなり敷居が高いものに思える。ところが、だ。さいとうさんの演奏には高い敷居を超えようという意識がまるで無いのだ。

 というよりも、演奏している、フィドルを弾いている、それを録音しているという意識すら感じられない。音楽がただただ湧きでて、流れてくる。広大厖大な音楽がどこかを流れていて、その流れがさいとうともこという存在をひとつのきっかけ、泉のひとつとして、実際の音、メロディとして形をとっている。本人はいわば音楽の憑代であって、演奏者としてはもちろん、人間としての姿も消えている。

 譬えはあまりよくないかもしれないが、オーディオの理想は機器が消えることである。スピーカーとか、プレーヤーとかは消えて、ただひたすら音楽が聞えてくる。それが最高のオーディオ・システムだ。

 実際はどうか、わからない。実はひどく悩み、迷い、ああしまったと思いながら弾いているのかもしれない。しかし、そんなことはカケラも見えないし、聞えない。いい音楽が、最高のとか天上のとか、そんなんではない、シンプルにいい音楽が、ぴったりのテンポで、どんぴしゃの装飾音と音色の変化を伴い、聴く者を包む。その流れのなかにどっぷりと漬かって、ただひたすら気持ち良い。こちらも音楽を聴くという意識が消えてゆく。ただただ流れに運ばれて、曲が、トラックが終るとふと我に返り、次のトラックが始まるとまた運ばれて、1枚が終るとどこか別のところにいる。別の自分になったようだ。

 演奏されているのは確かにアイリッシュ・ミュージックであり、演奏のスタイルも手法もその伝統に則っている。アイリッシュ・ミュージックの伝統から生まれたものにはちがいない。伝統というものはこのような作用もするものなのだ。

 ここでもう一度、あらためて振り返ってみれば、この音楽を生んえでいるのはやはり一個の人間である。音楽の憑代になりうる人間。その存在を消して、音楽そのものを流しだすことのできる人間。そこで存在は消えても、この音楽をカタチにしているのはさいとうともこという、宇宙でただ一人の人間だ。さいとうともこがいなければ、この音楽は存在しない。

 これを名盤とか傑作とか呼びたくはない。今年のベスト・ワンは決まったとか、そういう騒ぎもしたくない。黙って、今日もこれを聴く。昨日も聴いた。明日も聴くだろう。普段着の、お気に入りのシャツ。ついつい袖を通してしまい、毎日洗濯しては着ているシャツ。それに身を包まれていると、安らかで、動きやすくて、生きていることが楽しくなる。

 こういう音楽はアイリッシュ・ミュージックからしか生まれない。と言っては傲慢であろう。とはいえ、アイリッシュ・ミュージックを聴いてきて心底良かった、と思えることも否定しない。

 ジャケットではアイリッシュ・パブのカウンターに腰をかけ、和服にベレー帽といういでたちで、眼をつむり、フィドルを弾いている。粋と艷のきわみだ。(ゆ)


さいとうともこ《Re:start》
Chicola Music Laboratory CCLB-0001

さいとうともこ: fiddle

Tracks
01. Eleanor Plunkett {Turlough O'Carolan}
02a. Maids of Selma
02b. Up in the air
02c. Buttermilk Mary
03a. Roscommon
03b. Three scones of Boxty
03c. Killavil
04a. Newmarket
04b. Ballydesmond #3
04c. Rattlin' Bog
05. Da Slockit Light {Tom Anderson}
06a. Rolling waves
06b. Cliffs of Moher
07a. Tuttle's
07b. House of Hamil
07c. Curlew
08a. Father O'Flynn
08b. Out on the ocean
08c. Mouse in the kitchen
09a. Lord Inchiquin {Turlough O'Carolan}
09b. Give me your hand
10a. Down by the Salley gardens
10b. Paddy's trip to Scotland
10c. Mother's delight
10d. Reconciliation

Recorded by いとう・ゆたか (bus-terminal Record)
Designed by よしお・あやこ
Photo by いしかわ・こうへい
http://tomokosaito.net/news

 『ラティーナ』に続いて『CDジャーナル』Web版で、「盛り上がる日本のアイリッシュ / ケルト音楽シーン」として特集が組まれています。

 まずは前篇の O'Jizo の豊田耕三さんへのインタヴューです。後篇は全体の概観と、CD10枚の紹介で、鋭意執筆中。連休開けに公開の予定。紹介するCDは『ラティーナ』とは別にします。

 『ラティーナ』と合わせて、これでわが国のアイリッシュ、ケルティックをはじめとするルーツ音楽シーンが盛り上がるきっかけになれば、とても嬉しい。まあ、まずは読んでみてください。(ゆ)

 先日、奈加靖子さんのインストア・ライヴの折りに渋谷タワーで買った Edmar Casteneda の新作《ライヴ・アット・ザ・ジャズ・スタンダード》があまりにすばらしいので、そのカスタネダが参加しているスーザン・マキュオンの《BLACKTHORN》を久しぶりに聴く。

 
Blackthorn: Irish Love Songs
Susan McKeown
World Village USA
2006-03-14


 これはカスタネダの、おそらくデビュー録音だと思うが、冒頭の <Oiche Fa Fheil' Bride = On Brigid's Eve> がまずスーザンのヴォーカルとカスタネダのハープだけで、初めて聴いたときの衝撃は何度聴いても薄れない。というよりも聴くたびに新鮮。スーザンのアイルランド語歌唱のこれは一つの頂点だ。どこにも余計な力の入っていない、しなやかで強靭、すみずみまでよく制御がゆきとどいた歌唱。はじめはおそろしくひねくれたメロディに響くが、聴きこんでゆくとこれ以上ないくらい美しい旋律が聞えてくる。その声にあるいはより沿い、あるいは対峙し、あるいは横合いから茶々を入れ、しかも独自に奔放に飛びまわるハープ。この音楽はまぎれもなくアイルランド語の歌謡伝統のコアを貫きながら、同時により広い文脈を獲得して、今この星の音楽へ離陸している。かつてはありえなかった、離れた文化同士の衝突と格闘と融合が目の前で進行する。

 これがカスタネダのデビューというのは、出た当時、このハープに仰天して、他に録音はないのかと探しまわって結局見つからなかったからだ。その後しばらくして、Artist's Share でソロ・デビューCDのプロジェクトがアナウンスされたと記憶する。もっとも、ジャズ方面で出ていたのがあたしの探し方ではひっかからなかっただけかもしれない。

 久しぶりにそのまま聴いていると、この冒頭の曲の末尾、カスタネダの疾走感あふれるソロからいきなりモダン・アイリッシュ・スタイルのアンサンブルに転換する2曲め<A Maid Going to Comber/ The Red and Black> がまたいい。とりわけ後ろに続くチューンでの Dana Lyn のフィドルの弾みに顔がほころぶ。

 ダナ・リンはヴィオラも弾いて、4曲目 <Maidin Fhomhair (One Morning in Autumn) /Princess Royal> でバロックの通奏低音のように地を這うフレーズを半ばドローンのように付ける。どこか亡霊の動きのようでもある。英語でいう 'haunting' の気分。このうたは聴いているだけで胸を締めつけられるような、アイルランドにしかありえないあのメロディのひとつ。スーザンはアイルランド語と英語を交互にうたう。後半のホーンパイプではテンポを落とし、一つひとつの音をていねいにつないで、リズムよりもメロディを強調する。抒情の極み。

 6曲目のタイトル・トラックでも、スーザンの無伴奏アイルランド語歌唱から始まると、やがて下に入ってくるリンのヴィオラのドローンに、かえってスーザンの声に耳を引きつけられる。

 トラック8 <The Lass of Aughrim> でもこのヴィオラが効いて、雲間から漏れる希望の光を浴びる。緊張感を高めるとみせて、とぼけてもいるようだ。この人、相当に懐が深いぞ。サイトを見てみるとアイリッシュ・プロパーではないが、それにしては [02] でのフィドルはアイリッシュ専門にやってるフィドラーだってなかなか弾けるものではない。カスタネダといい、こういう人を連れてくるところ、スーザンの面目躍如だし、ニューヨークでしかできないことでもあろう。

 このアルバムは涙ばかり流さねばならないわけではなく、<Bean Phaidin (Paudeen’s Woman)> では、口琴とバンジョーの伴奏ににやりとさせられるし、<Deirin De (The Last of the Light)> ではチャラパルタとこれもバスクの打楽器らしき鉦と再びカスタネダがからむ。こちらは童謡だろうか、カスタネダも楽しそうだ。

 カスタネダは 11 <S Ambo Eara (The Man for Me)> で三度フィーチュアされて、本来遊びうたであるメロディとかけ離れたフレーズを繰り出して、ここでも音楽の枠組をぶち破る。独特のスタッカート音をまぶしたソロも存分に披露する。

 うーん、やはりこれはスーザンのこれまでのところベスト録音だ。同時にアイリッシュ・ミュージックの録音としても、オールタイム・ベストでベスト10に入れよう。

 スーザン・マキュオンは幅の広い人で、スコットランドの Johnny Cunningham が曲を担当した Mabou Mines の人形と人間による PETER & WENDY に参加して、みごとな歌唱を披露してもいる。このサウンド・トラックはおよそケルティック・ミュージックの名のもとにリリースされた録音のなかでも最高の一つで、今は亡きジョン・カニンガム畢生のメロディがいくつも入っている。それにしてもこのステージをぜひ一度生で見たいものだ。1997年の初演以来、何度かツアーしているらしいが、音楽は生バンドでやっている。


Susan McKeown
BLACKTHORN: Irish Love Songs = An Draighnea Donn
World Village 468054
2005

Musicians
Susan McKeown: vocals
Xuacu Amieva: trompa, rabel
Cormac Breatnach: low whistle
Edmar Casteneda: harp
Rosi Chambers: vocals
Steve Cooney: guitar
Robbie Harris: percussion
Lindsey Horner: bass
Dana Lyn: fiddle, viola, harmonium
Don Meade: harmonica
Eamon O'Leary: guitar, bouzouki, mandolin, electric guitar, banjo
Igor Oxtoa & Harkaitz Martinez: txalaparta

Tracks
1. Oiche fa Fheil’ Bride (On Brigid’s Eve) 5:32
2. A Maid Going to Comber; The Red and Black 3:50
3. Do In Du (The Things in Your Heart) 3:10
4. Maidin Fhomhair (One Morning in Autumn); Princess Royal 5:27
5. Bean Phaidin (Paudeen’s Woman) 1:54
6. An Draighnean Donn (The Blackthorn Tree) 3:40
7. Caleno Custure Me (I am a Girl from the Suir Side) 2:39
8. The Lass of Aughrim 3:08
9. Deirin De (The Last of the Light) 2:54
10. An Raibh Tu ag an gCarraig? (Were you at Carrick?) 4:15
11. S Ambo Eara (The Man for Me) 3:00
12. An Droighnean Donn (The Blackthorn Tree) 3:56


 
Peter &amp; Wendy (1997 Original Cast Members)
Johnny Cunningham
Alula
1997-10-21


    諏訪のギターとダルシマーのデュオ亀工房の新譜《ショー・マスト・ゴー・オン!》が今月末に発売されるそうです。めでたい。
   
    トラック・リストを見ると、なにやら怪しげ(?)な曲名がならんでいて、これは面白そうです。
   
    現在、先行予約受付中だそうです。注文は
kamekobo (at) helen.ocn.ne.jp
までメールでどぞ。

    記念ライヴも東京であります。こちらの予約も上記メール・アドレスで可能です。

--引用開始--
1) お名前
2) 郵便番号
3) ご住所
4) 電話番号
5) 枚数
を明記して申し込み。
支払い:CDに同封する郵便振替用紙にて1週間以内にお振込みください。

01 イントロ
02 風のきらめき、光のささやき
03 野原のおくりもの
04 パディ・オブライエンズ〜スカッター・ザ・マッド
05 チムチムチェリー
06 タオルド・ダルシマー
07 ショー・マスト・ゴー・オン
08 ブーレ ※リュート組曲 ホ短調 第1番より
09 ニューヨーク・ジグ
10 ジョージ・ブラバゾン ※ファースト・エアー
11 ダルシマー・フェイズ
12 スター・オブ・カウンティダウン 
13 カロランズ・ランブル・トゥ・キャッスル
14 ダルシマー・インプレッション※ネイティヴ・ソウル
15 コーヒー・ルンバ
16 マーブル・ホールズ
 
 <全16曲> <定価:2,625円(税込)> 

渾身の最高傑作です!今までの亀工房に一味を加えたトピック盛り沢山の内容です!                                                                         

*初!亀工房の2人のポートレイトが中心のジャケット(笑)。
*その写真は全て前澤家の長女“れお”が撮影したもの!(表ジャケット)
*その長女“れお”が“コーラス”で録音にも参加!
*旧友である著名ギタリスト・押尾コータロー氏がライナーノーツに素晴らしいコメントを寄稿。
*前澤 勝典が“様々なギター”を駆使し、多彩なサウンドを実現。
*前澤 朱美が作曲の才能を発揮!タイトル曲も彼女による斬新な楽曲。

    「どんな時でも前に向かっていく強さ、愛することの大切さ。
    そして、生きていることの素晴らしさを教えてくれる心からのメッセージがいっぱい詰まったアルバムです」
                                                         押尾コータロー(ライナーより抜粋)

亀工房 4thアルバム発売記念ライブ!!
*04/16(金)18:00開場 19:00開演
バック・イン・タウン(都営新宿線 曙橋駅 A2出口から徒歩3分)
*ゲスト: れお!(KAME‐KOBO の 長女)
*料金: 2,625円 (飲食費別途)
*ご予約・お問い合わせは:03−3353−4655(バック・イン・タウン)まで
--引用終了--

    タイミングの悪いことにメルマガを配信した直後にダブリンはクラダの新入荷のメール。

    今月はひさしぶりに大物のリリースが集中しています。ソラス、グラーダ、カラン・ケーシィ&ジョン・ドイル、マイケル・マクゴールドリック、モイア・ブラナック、キーラ、ティーダなどなど。マイレト・ニ・ゴゥナルと West Ocean Strings Quartet が個人的にはまず聴きたい。シェイマス・タンシィのベスト盤も「一家に一枚」クラス。
   
    ダーヴィッシュの Johnny Foxes のライヴ DVD は、昔テープで出ていたものの復刻です。まだみんな若い! 演奏はすでにきわめつけ。何度も見られるビデオです。
   
    それから Claddagh レーベルの古いLPが MP3 ダウンロードの形で復刻されてます。CD にはなっていないものも多いです。異色はたしか南アフリカのグループの Atte/ でしょう。ワールド・ミュージックの先駆けではありますが、決して一過性ではない独自の魅力があります。
   
    もう1枚アイリッシュでないのは The Whistlebinkies で、スコットランドのバンドのデビュー。バトルフィールド・バンドやタナヒル・ウィーヴァーズからやや遅れてデビューしていますが、クラルサッハとハイランド・パイプが同居するという「冒険」を成功させたバンド。バンドはメンバー・チェンジしながら現在も現役ですし、メンバーのソロ・アルバムもあります。あ、ここでクラルサッハ(スコティッシュ・ハープ)を弾いているチャールズ・ガードのソロも同じく MP3 で出ていますね。これはバンドとはがらりと変わって、ぐっと引きしまった、孤高といってもよい佳作です。
   
    ユーロも安くなっていることですし、お買い物しましょう。なお、EU域外から買うと、消費税21%が表示価格から引かれます。送料とだいたい相殺になります。(ゆ)

    あけましておめでとうございます。

    どんなにひどいことがあっても年が明けると気持ちが新たになる、というのは悪いことではないな、と思う今日この頃ではあります。
   
    一方で、すばらしいことは年を越えて続くものでもあります。
   
    まあ、良いとか悪いとかは相対的なもので、悪いことでも角度を変えて見ると良くなったり、その逆もまた真なり。確実なことは万物は流転する。今年もいろいろなところで変化が起きることでありましょう。新しもの好きとしては、その変化こそを楽しみたい。というのは昨年末も書きましたな。
   
   
    オヤイデのドックケーブルのおかげで、iPod + PHA で音楽を聞くのがまた楽しくなりました。GoVibe Sharps の GoVibe 史上最強の低域とおそろしく広い音場に惚れこむ一方で、Petite + DAC の、いかにも GoVibe らしい、きりりと締まったサウンドがオヤイデで新たに蘇えったのが楽しい。これでこの正月、アイリッシュ関連で一番よく聞いたのは アルタンの新譜かな。RTE/ のオケとの共演で、かつての録音を再演したもの。聴くたびにマレードの声、うたの深みに感じ入ります。
   
    それと中藤有花、長尾晃司、中村大史のトリオ Tricolor の 1st。長尾さんが関わるもう一つのトリオ Modern Irish Project の 2nd《3 FILMS》も良いのだけれど、トリコロールは MIP の切れ味のかわりに独自のテンポがあります。ほんのり甘く、さわやかな後味。「初恋の味」は意外に尾を引きます。マーティン・ヘイズがオリジナルの〈パッヘルベルのフロリック〉が素敵。〈見つかったハルモニウムのための音楽〉もこのノリでぜひ。1曲だけどうたがあって、何ということはないんだけど、聞いているうちに気分は上々。
   
    ハードではもう一つ。年末に買った DenDAC。一見 USBメモリみたいなこのちっぽけな DAC + ヘッドフォン・アンプがサイズのさりげなさと音の良さで、他の PHA などを駆逐してしまい、年末からこちら、MacBook で聴くときはずっとこれ。あまりに小さくて、うっかりその辺に置くと姿が見えなくなってしまうのが最大の欠点。
   
    再生用ソフトはフリー(ドネーション・ウェア)の Taply。これまた、ちっぽけでさりげない、でも磨き抜かれた使い勝手の良さと音の良さが光ります。今どき4万近くもする Amarra とは発想も原理もサウンドも対極。
   
    本はひたすら シェイマス・エニスの日記。記述や文章はぜんぜん難しくないし、面白いことはめっぽう面白いんですけど、内容の密度が恐しく高くて、なかなかすらすらと進みません。
   
   
    とゆーことで、今年もよろしくご指導、ご鞭撻のほどをお願いもうしあげるとともに、これまで以上に一緒に遊びましょう。(ゆ)

38aeec5b.jpg    昨日のナギィのライヴ会場で入手。定価1,000円。入手はメンバーが参加しているライヴ会場か、メンバーに連絡してみてください。正式リリースは前日 12/26 の中野でのトリコロールのライヴ会場だったらしい。
   
    ところで One Pint Records、て長尾さんのレーベルなのかしら。録音等のクレジットはCDには記載無し。実質作業は長尾さんがやられた様子。


One Pint Records 1PR-003

中藤有花: fiddle, concertina
長尾晃司: guitar, banjo, mandolin
中村大史: accordion, bouzouki

1. 3×2=6, 4:03
2. Reels In His Room=Christmas eve> Palmer's gate, 4:02
3. Lovely Anne, 4:43
4. 帰り道の詩, 6:45, 長尾晃司
5. Anniversary=The Anniversary> Canon jig> Pachelbel's Frolics, 6:33
6. Elizabeth Clare=Hares on the mountain> Elizabeth Clare, 4:48

Walking on a WireWalking on a Wire
    Amazon.com からリチャード・トンプソンのボックス《WALKING ON A WIRE》の案内。アマゾン・ジャパンのサイトでトラック・リストを見ると、あのー、全部持ってるんですけど。未発表とかみごとに1曲もない、というのも近頃珍しいんではないですか。
   
    とゆーことで、これはこれからトンプソンを聞こうという人のための入門ボックス、でありましょう。フェアポートの 1st から近作まで、公式ブートまで含む幅広い音源からの選曲で、キャリアの大きさとその世界の広さが実感できようというもの。単なるギタリストではない、単なるシンガー・ソング・ライターでもない、単なるバンド・リーダーでもない。リチャード・トンプソンとは総合音楽家であります。そこへいたる成長の痕がよくわかるボックス・セット、と言えるかもしれません。
   
   
    イングランドの Rootsrecords からメール。ハマー・ダルシマー奏者の Jim Couza が今月2日に死去。LPを2枚ほどもっています。イングランドでは珍しいダルシマー奏者。というより、ケルト系、オールドタイム系でこの楽器をやる人は北米には無数にいますが、ブリテン諸島、アイルランドにはほとんどいませんでした。アイルランドでは今でもまずいないでしょう。
   
    イングランドでは多少増えているらしいですが、その原動力となったのがこのジム・コウザだった、はず。もううん十年、LPも聞いていまぜんが、ひさしぶりに聞いてみましょうか。追悼のひとつとして Rootsrecords のサイトでは、これまでに何か買ったことがある人がなにか注文するとそのコウザの《WELCOME TO THE FAIR》2枚組をプレゼントするそうです。

    本日14時予定で配信しました。未着のかたはご一報ください。


    本文から溢れた記事ひとつ。

●スコットランド新譜 (Scottish n)
    スコットランドの Foot Stompin' Records の新譜情報です。

*《The Bonnie Blue》The Corries
ベテラン・デュオによるライヴ録音。愛国歌とコミック・ソングが持ち味。

*《Shouts》Gary Innes & Ewan Robertson
アコーディオンのゲイリィ・イネスが、BBC Radio Scotland Young
Traditional Musician 2008 受賞のギタリスト/シンガー Ewan Robertson と
組んだセカンド。

*《Only Time Can Tell》Sandy Marshall
'Sannock' としても知られるパースシャ出身のシンガー・ソング・ライター。
「シャノック」はスコットランド語でサンディの古称。

*《In Northern Towns Like These》David Heavenor
エディンバラのシンガー・ソング・ライター。

*《THER WAS A LAD: Songs Of Burns》Various Artists (CD)
バーンズ生誕250周年記念オムニバス。収録曲からすると再録かも。収録ミュー
ジシャンは Old Blind Dogs, Steam Jenny, Kingdom, Borealis, Iron Horse,
The Hudson Swan Band, Gaberlunzie and Canterach など。

*《BURNS AN' A' THAT》 (DVD) Scottish Fiddle Orchestra
バーンズの生涯を音楽とナレーションで描いたカンタータ〈Til A'the Seas
Gang Dry〉と序曲として〈Tam O' Shanter & Cutty Sark〉を収録。

    さきほど配信しました本誌3月号情報篇で、

「ディスクユニオン・ケルト音楽CD買取アップキャンペーン」

の記事中の URL が間違っていました。このページは現在存在しません。

    新しい URL は

http://blog-shinjuku-roots.diskunion.net/Entry/1278/

です。お詫びして訂正します。

    びっくりしたなあ、もう。CDはこんなにも音が良かったっけ。
   
    ボザールにお邪魔したとき、試聴室でCDをかけていたのは、見なれない黒い小型のプレーヤだった。CEC の 3300 も置いてあったが、ちょっとこっちでも聴いてみましょうか、とつなぎかえると、全然ちがう。まるで紗がかかったようになる。フォーカスが甘いというのではなくて、全体がうすくなる。元にもどると音楽が鳴っている空間というか、エーテルというか、その媒体が澄みわたる。遥か奥まで、細部まで、しっかりと見える。別に努力などしなくても、ありありと見える。
   
    それが10年前のデータ用CD-ROMプレーヤだった。秋葉原ではジャンク品として1000円ぐらいで売られているそうな。SCSI のターミナルでパソコン、当時は DOS/V が主流だろうが、これにつなぐ、データの読取専用の外付けドライブである。
   
    オマケだか、需要があったのだか知らないが、これに小さな液晶が付き、プレイ/ポーズ、早送り、巻き戻し、停止ボタンが付き、イヤフォン・ジャックと音量ダイアルが付いている。これだけで立派なCDプレーヤなのだ。電池でも動くらしいから、うんとでかいCDウォークマンとして使われたこともあったのではないか。
   
    ボザールのKさんはOEMも含めて同じものを数台お持ちで、そのうちの一台 TAXAN ICD-400PD というのを貸してくださった。タイムドメイン・ライトをイヤフォン・ジャックにつないで聴いてみる。
   
    これあ、どうだ。音楽が生きてるではないか。こんな無色透明な音はCDでは聞いたことがないぞ。

    Brian Kelly のバンジョー。音にエネルギーがある。跳ねてるよ。

    ヴォーカルもよい。カッワーリの Faiz Ali Faiz のような、熱い声の、中身のぎっしり詰まっているのがびんびん響いてくる。

    Yasmin Levy、これももう聞きいってしまう。引き込まれる。

    いつものリファレンス、Jose Neto の《MOUNTAINS AND THE SEA》。おお、この広大な空間。録音の良さがよくわかる。録音の性格を「何も足さず、何も引かず」正直に出すのは、タイムドメインと同じだ。

    聴くにつれて、だんだん興奮してきた。こういう興奮は、どうも Mac や iPod では味わえないような気もする。要するに、メカではないのだ。モノではない。ソフトウエア、プログラムの世界なのだ、あちらは。そして、ぼくなどはやはり手で触れるモノがないと、本当には興奮しないのだ。
   
    CDももちろん元はデジタルなのだが、読み取った次の瞬間にはアナログに変換される。ソフトウエアでは、Mac から出るまで、いや出た後も DAC を通るまではデジタル・データのままだ。どこでアナログに変換するかという違いだけだが、その違いが案に相違して大きいのだろう。あるいは、その違いが作用する効果に案に相違して敏感なのだ、ぼくは。

    話はややずれるが、音の違いがわからない、と結構平気で口にされるけれど、そう言っている本人がちゃんと聴きとっていることに気がついていないだけなのではないか。われわれの「耳」、それはもちろん感覚器官の耳だけでできているわけではなく、神経システムだけでもなく、脳内に蓄えられた情報、データの質と量までも含めた、総合的な感覚であって、微細な違いも敏感に捉える能力があるはず。ただ、捉えた違いを音の良し悪しとして理解するのではなく、音楽を聴くことだけに集中できないとか、長時間聴いていられないとか、大音量でないと楽しめないとか、の形で把握していると推測する。
   
    もっと突っこんでみると、音が良いことと、音質が良いことは、別なのではないか。音が良いというのは、この場合、音楽を楽しめる、音楽に直接触れられる音である、という意味だ。友人の一人のかつてのシステムは、ロジャース 3/5A を Quad の 33 という、当時すでにヴィンテージもののプリとパワーで慣らしていた。CDになった時も、プレーヤは Marantz の CD-34 だった。音質から見れば、良いとはとても言えない。レンジは狭いし、モコモコしてるし、とにかくダサい。ところが、これで聴くサンディ・デニーのうたの艷っぽさたるや、他では聴いたためしがない。ニック・ジョーンズのギターのつややかさ。フランキー・アームストロングの声がかすれるところのなまめかしさ。とにかく楽しかった。かれのところに遊びにゆくと、いろいろなものをどんどんと聴きたくなったものだ。自分のうちではあまりなじめなかったドノヴァンの《HMS》も、かれのところで聴くとやっぱ名盤だよな、ということになった。
   
    ミュージシャンだって、完璧なテクニックで、極上の美音を聞かせるのに、音楽としてはさっぱりおいしくない、もっと聴きたいとはぜんぜん思えない人は少くない。オーディオも同じだ。
   
    ずいぶん話がずれた。TAXAN のデータCDプレーヤとタイムドメイン・ライトの組合せは、音質の点では、Mac や iPod に負けるかもしれない。しかし、音の良さではまったく互角ないし鼻の差でリードしているのではないか。少くとも、音がダイレクトに飛びだしてくる活きの良さは、Mac や iPod では味わえない。なんといってもあちらは、リッピングとエンコードという手間がかかっているではないか。
   
    とにかく、今は興奮している。次々にあれはどうだ、こっちはどうだ、と聴きたくてしかたがない。ジャンク品恐るべし。(ゆ)

              Dreams of Breathing Underwater
 久しぶりに国内盤も出る新作《Dreams of Breathing Underwater》が好評のイライザですが、声帯に嚢腫ができてしまい、しかも妊娠中はこの治療ができないため、来年までのソロのライヴはすべてキャンセルになるそうです。直近のものは父親のマーティン・カーシィが代役。

 妊娠中は治療できない病気というのもやっかいですが、たくさんあるんでしょうか。(ゆ)

kfh-sh 先日配信した11月情報号で紹介した Kerr Fagan Harbron の新作《STATION HOUSE》のデータです。

 バンドの公式サイトもあります。スケジュールとCDの紹介ぐらいですが。MySpace はこちら。YouTube にもたくさん




Fellside FECD211
Nancy Kerr: fiddle, viola, autoharp, vocals
James Fagan: guita-bouzouki, vocals
Robert Harbron: English concertina, guitar, vocals

Colin Fletcher: double bass [04 09 11]

(トラック番号 曲名 作曲者)
01. Thaxted/ Leaving Old England; Gustav Holst/ Trad.
02. Alan Tyne Of Harrow/ Alvin's; Trad./ Robert Harbron
03. Favourite Duet; Trad.
04. Break Your Fall; Nancy Kerr
05. Farmhands And Masters; Rod Puddefoot
06. The Tide Coming In/ The Beehive; Trad./ Nollaig Casey
07. Tha Smiling Bride/ Drummond Castle/ Holly's Jig; Charlie Lennon/ Trad./ James Fagan
08. Kissing Tree Lane/ I Wish; Robert Harbron/ Trad.
09. Let The Mystery Be/ Pie In The Sky; Iris Dement/ Joe Hill
10. Request Stop; Robert Harbron
11. Diamantina Drover; Hugh MacDonald
12. Spanish Fandangle/ Sally Sloane's Varsovienna/ Ti Tree Waltz; Trad.

 冒頭のホルストは組曲『惑星』のうち最も人気の高い「木星」のテーマ。[03]と[06a]は William Winter's Tune Book からの曲。

 駄曲はありませんが、ハイライトは [11] で、作曲者はオーストラリアのフォーク・ロック・バンド Redgum のフィドラー。ここにうたわれたディアマンテァ川の牛追い人の生き残りに出会って作った曲。このうたは他にもいくつか録音がありますが、フェイガンのこれが今のところ断トツでベスト。

 珍しく(爆)、予定の本日正午に上旬の情報号を配信しました。届かない方は編集部までご一方ください。

 配信には間に合わなかった情報ひとつ。ケヴィン・バークの公式サイトとケヴィンのレーベル Loftus Music で年末バーゲンをしています。大晦日までにCD3枚買うと1枚好きなものがタダでもらえます。ケヴィンが関わったアルバムはどれもこれもはずれがありません。円高でもあります。持ってないものをそろえるのはいかが。

 Loftus では The Celtic Fiddle Festival の最新盤《EQUINOX》のサイン入りCDも販売してるそうです。クリスチャン・ルメートルのいる最後のアルバムです。(ゆ)

darach アイリッシュ・ミュージックのレコード・ショップとしては世界一といっていい、ダブリンのクラダ・レコードが期間限定(一ヶ月ぐらい、だそうです)で、セールをしています

 かなりおいしいものばかりで、どれを買っても損はありません。買いのがしたものをそろえるチャンス。当ブログも六枚ほど買いました(この頃、クラダはバーゲンでしか買っていないような気がする)。

 なお、日本(ないしEU外の地域)から買うときには表示価格から消費税分がさし引かれます。だいたい送料と相殺です。

 一枚も持っていないからどれから買えばいいのだ、というのであれば、

Andy Irvine & Paul Brady
Skara Brae
Darach O Cathain
Nioclas Toibin

あたりからいかが。全部うたものですが、アイリッシュ・ミュージックでも最高のものばかりです。はじめの2枚はモダンの代表、うしろの2枚はアイルランド語によるシャン・ノースの最高峰。

 Darach O Cathain はマーティン・ヘイズ&デニス・カヒルが初めて来たとき、開演前のBGMで流れていて、やけに良いけどこれは誰だと仲間うちで話題になったもの。マーティンが持参したCDで、今は亡き偉大なこのシンガーの唯一の録音と後で教えられました。おっさんがこのジャケット通りの人なつこい声でただただ坦々とうたうだけですが、ことばもわからないのに、それだけで宇宙は幸福に満たされます。(ゆ)

fRoots31 貧乏人の味方、fRoots 誌恒例合併号付録CD。毎年夏と冬に付いて今年で16年目。この31枚をずっと通して聞いてみるのもいつかやりたい。時代の変遷や一瞬の光芒に終わった連中をたどりなおすのは、きっといろいろな発見があるだろう。

 その31枚め収録曲15曲というのは最少記録ではないか。理由は簡単、長い曲が多いのだ。一番長いのは9分41秒。クレタ島の弓奏楽器リラの Stelios Petrakis。長さも長いが、内容的にも今回のハイライト。やや大きめの編成で、本人のリラはもちろんだが、ウード系の撥弦楽器も大活躍。バックの打楽器群には恍惚状態。これは買うぞ、と探したら結局本人のサイトから飛んだ先のレーベルでの直販しかなかった。クレタ島専門レーベルらしい。おいしそうなものがごろごろしているが、涙を呑んで1枚だけ注文。それにしてもクレタはギリシア本土とはまた違う伝統があるらしい。確かに歴史的には本土よりも古いのだし、島だからあちこちから流れこんでは混ざりあいまた出て行っているはずだ。いずれもう少しつっこんでみたい。

 この曲は流れが変わってきたのを象徴するものでもあって、今回アフリカが1曲しかない。アフリカからよい音楽が消えたわけではなかろうから、他の地域、特に今回は地中海東部から中近東が活発になっているのだろう。アフリカの政治的混乱の影響もないとは言えないだろうし、オイル・マネーの余沢もあるんじゃないか。

 この曲と今回の「御三家」をなすのは、イランのシンガー Mamak Khadem とトルコの Taksim Trio。ママクはイランとは言いながら、うたっているのはギリシア、トルコ、アルメニアの曲だそうだ。声楽では世界一(小泉文夫)のイランが、いわば近隣文化の探索に乗り出したと言うところか。これはアメリカの CD Baby のサイトで買えた。ここは今アメリカで一番おもしろいオンライン・ショップかもしれない。CD Roots よりも品揃えがよいところがある。

 トルコの Taksim Trio は、クラリネット、バーグラマ、カナウンの名手のグループで、ステリオスと今回のベストを分ける。とことんオーセンティックなのだが、即興らしき演奏にひどくモダンな、ジャズとさえ呼びたい響きがあり、そこがかっこいい。これはふつうに見つかった。

 クロアチアの Kries《Kocijaniとアメリカの Pamela Wyn Shannon とデンマークの Phonix、それにアレ・メッレル・バンド《Djef Djel》はすでにアルバムを聴いていて、おせーぜ、イアンと言ってやれるのはうれしい。しかし、アレ・メッレル・バンドのこの曲はあらためて傑作。いや、あのアルバムは傑作。今一番ライヴを見たい。

 地中海東部〜中近東と並んで盛りあがっているのが、イングランド。この雑誌は元もと南イングランドのローカル雑誌から出発しているから、この辺の盛上りを見のがすはずがない。その一方でスコットランドには冷たかったりするが。

 そのイングランド代表はスピアズ&ボウデンジャッキー・オーツ。どちらも新作から。ベロウヘッドもセカンドが出るし、この二人の動向は眼が離せない。ジャッキーはスティーライ版の〈Lark in the morning〉をうたっていて、これに比べればスティーライ版は幼稚園の学芸会だ。まあ、30年以上の時間の経過はあるわけで、もちろんスティーライ版があったから今こういう歌唱が可能になってはいる。やはり比べるのは酷だろう。

 カナダの姉妹という Ghost Bees 《Tasseomancyもカナダには珍しくイングランド系で、レイチェル・アンサンク&ウインター・セットと同じ志向性。オーセンティックな伝統コーラスを展開しながら、独特の「危うさ」をはらむ。

 もう一つのイングランドが掉尾を飾る Broadcaster の〈England〉。1960年代第1期の『ラジオ・バラッド』をサンプリングし、テクノ、ダンス系の音を重ねて組みたてたもの。こういうのを「マッシュアップ」というのだろうか、二次的創作物ではあるが、サンプリングの選択、組合せ、デフォルメの手腕が恐ろしく斬新で、もうめったやたらにおもしろい。アラン・ロマックスが録音した音源にバンドの録音を重ねて、フィールド録音を現代の演奏として甦らせた Tangle Eye の試みをさらに一歩進めた、と言える。オリジナル製作者の一人イワン・マッコールの息子カラムが共同プロデューサーで、これは良い仕事だ。

 オムニバスのトップを飾り、今月号の表紙も飾っている Les Amazones de Guinee については、あたしがここでぐだぐだ言う必要も無かろう。40年ぶりのセカンドだそうだ。しかし、この表紙写真、軍服姿が3人いるのはやはりシャレか。(ゆ)

 本日9時に月初めの情報号を配信しました。

 届かない方は編集部までご一報ください。


 クラダの新譜リストをながめていても、ここのところずいぶん再発が増えていて、ひと頃の、怒濤のような新作の奔流がなつかしくも思えます。全部買って聞けるわけじゃあないんですが、出てるってだけでも楽しいものです。

 もちろん、どんな川でも雪解けになれば流れは増え、乾期には細くなるわけで、いつまでも洪水が続くのも問題ではあります。アイルランドについてはやはり今は、ちょっと歩みをゆるめ、あるいはたち止まって、来し方を眺め、行く末を思う時なのでありましょう。(ゆ)

 タムボリンで Free Reed のボックス・セットと Green Linnet のバーゲンが行われています。

 Free Reed はボーナスCD付きで、これは元来は付属の葉書を出さないともらえないもの。

 Green Linnet はヒーリング関係のレーベルに買われて、あらためて再発が進んでいるようです。印税を払わないため、ミュージシャンには蛇蝎のごとく嫌われていた Green Linnet ですが、カタログは傑作名作揃いです。

 どちらも 04/19 までに注文を受付け、連休開け発送とのこと。

--引用開始--
●FREE REEDのボックスセットを特価にて特注をお受けします。(約2,000円の値引き!)
※FREE REED社より低価格販売の相談が舞い込んできました。「ボーナスCD」は本来箱の中のはがきを各自がFREE REED社に郵送し、送られてくるものですが、今回はその必要はありません。箱に付けてお届けできます。《CROPREDY CAPERS》と《THE CARTHY CHRONICLES》は除外されていました。ご希望の方は通常価格8,600円+税にてお受けします。
○ご注文締切日:4月19日
○入荷&発送予定日:連休明け
 
☆FRQCD 35 - Fairport Convention: Fairport unConvention (4CD。ボーナスCD付) 6500+税
☆FRQCD 50 - Burning Bright "The Life & Music Of Ashley Hutchings (4 CD。ボーナスCD付) 6500+税
☆FRQCD 30 - MidWinter "A Celebration Of The Folk Music & Traditions
                    Of Christmas & The Turning Of The Year" (4CD) 6500+税
☆FRQCD 45 - Swarb! "Life And Music Of Dave Swarbrick" (4CD) 6500+税
☆FRQCD 70 - Steve Tilston: Reaching Back (5CD)  6500+税
☆FRQCD 55 - Richard Thompson: The Life And Music Of Richard Thompson (5CD。ボーナスCD付) 7200+税
☆FRDCD 2122 - The Transports "The Silver Edition Of Peter Bellamy Classic Ballad Opera" (2CD) 6000+税
 
●再発が進んでいるGreen Linnet盤(CD)を特価にて特注をお受けします。
買い逃されていた方、この機会に是非。特注販売のみの割引価格です。
○各税抜き1600(税込み1680)
○ご注文締切日:4月19日
○入荷&発送予定日:連休明け
 
    Ad Vielle Que Pourra "Ad Vielle Que Pourra" (GLI 1099)     
    Ad Vielle Que Pourra "Come What May" (GLI 1112)      
    Altan - Altan (GLI 1078)      
    Altan - Harvest Storm (GLI 1117)      
    Altan - Horse with a Heart (GLI 1095)      
    Altan - Island Angel (GLI 1137)     
    Altan - The Best of Altan (GLI 1177)      
    Altan - The First Ten Years (GLI 1153)      
    Altan - The Red Crow (GLI 1109)  
    Andy Irvine - Rude Awakening (GLI 1114)  
    Andy M. Stewart & Manus Lunny - At it Again (GLI 1107)  
    Andy M. Stewart & Manus Lunny - Dublin Lady (GLI 1083)  
    Andy M. Stewart - Donegal Rain (GLI 1183)  
    Andy M. Stewart - Man in the Moon (GLI 1140)      
    Billy McComiskey - Makin' the Rounds (GLI 1034)     
    Brendan Mulvihill "The Flax In Bloom" (GLI 1020)    
    Brian Conway - The Apple In Winter (GLI 1035)     
    Brian Keane "Ansel Adams Original Soundtrack" (GLI 3140)     
    Buttons & Bows - Buttons & Bows (1051)     
    Buttons & Bows - First Month of Summer (GLI 1079)    
    Capercaillie - Crosswinds (GLI 1077)     
    Capercaillie - Sidewaulk (GLI 1094)  
    Celtic Fiddle Festival - Encore (GLI 1189)  
    Celtic Fiddle Festival - Play On (GLI 1230)  
    Celtic Fiddle Festival - Rendezvous (GLI 1216)  
    Celtic Fiddle Festival - The Celtic Fiddle Festival (GLI 1133)  
    Celtic Thunder - The Light of Other Days (GLI 1086)  
    Cherish the Ladies - New Day Dawning (GLI 1175)  
    Cherish the Ladies - One and All (GLI 1187)  
    Cherish the Ladies - Out and About (GLI 1134)  
    Cherish the Ladies - The Back Door (GLI 1119)  
    Daithi Sproule - A Heart Made of Glass (GLI 1123)  
    Deanta - Ready for the Storm (GLI 1147)  
    Deanta - Whisper of a Secret (GLI 1173)  
    Donna Long & Brendan Mulvihill - The Morning Dew (GLI 1128)  
    Eileen Ivers & John Whelan - Fresh Takes (GLI 1075)  
    Eileen Ivers - So Far (GLI 1185)  
    Eileen Ivers - Traditional Irish Music (GLI 1139)  
    Eileen Ivers - Wild Blue (GLI 1166)   $15.00   
    Ensemble Choral Du Bout Du Monde "Noels Celtiques" (GLI 3124)  
    Eugene O'Donnell - Slow Airs and Set Dances (1015)      
    Eugene O'Donnell and James MacCafferty "The Foggy Dew" (GLI 1084)   
    Ffynnon - Celtic Music from Wales (GLI 1221)     
    Green Fields of America - Live in Concert (GLI 1096)    
    Irish Tradition - The Corner House (GLI 1016)  
    Irish Tradition - The Times We've Had (1063)  
    James Keane - Roll Away the Reel World (1026)      
    James Keane - That's The Spirit (1138)  
    Jerry O'Sullivan - The Invasion (GLI 1074)  
    Joe Burke - The Tailor's Choice (GLI 1045)  
    Joe Burke/Michael Cooney/Terry Corcoran "Happy To Meet & Sorry T  
    Joe Derrane - Give Us Another (1149)  
    Joe Derrane - Return to Inis Mor (GLI 1163) 
    John Faulkner - Kind Providence (1064)  
    John Williams - John Williams (GLI 1157)  
    John Williams - Steam (GLI 1215)  
    Johnny B. Connolly - Bridgetown (GLI 1217)  
    Johnny Cunningham - Fair Warning (GLI 1047)  
    Kevin Burke - In Concert (GLI 1196)  
    Kevin Burke - Patrick Street (GLI 1071)     
    Kevin Burke - Portland (GLI 1041)  
    Kevin Burke - Up Close (GLI 1052)  
    Kevin Burke and Open House - Hoof and Mouth (GLI 1169) 
    Kevin Burke and Open House - Open House (GLI 1122)  
    Kevin Burke and Open House - Second Story (1144)  
    Kevin Crawford - D Flute Album (GLI 1162) 
    Kevin Crawford - In Good Company (GLI 1211)  
    Kips Bay "Into The Light" (GLI 1164)  
    Kips Bay - Digging In (1130)  
    Kornog - Ar Seizh Avel (On Seven Winds) (1062)  
    Kornog - Korong (GLI 1209)  
    Kornog - Premiere (GLI 1055)  
    Liz Carroll - Lake Effect (GLI 1220)  
    Liz Carroll - Liz Carroll (GLI 1092) 
    Liz Carroll - Lost in the Loop (GLI 1199)  
    Lunasa - Otherworld (GLI 1200)  
    Lunasa - Redwood (GLI 1224)  
    Lunasa - The Merry Sisters of Fate (GLI 1213)  
    Manus McGuire "Saffron & Blue" (GLI 1206)  
    Martin Hayes - Martin Hayes (GLI 1127)  
    Martin Hayes - Under the Moon (GLI 1155)  
    Martin Hayes and Dennis Cahill - Live in Seattle (GLI 1195)  
    Martin Hayes and Dennis Cahill - The Lonesome Touch (GLI 1181)  
    Martin Mulhaire, Seamus Connolly and Jack Coen - Warming Up (GLI  
    Matt Molloy - Contentment is Wealth (GLI 1058)  
    Mick Moloney - Kilkelly (GLI 1072)  
    Mick Moloney - Strings Attached (GLI 1027)  
    Mick Moloney - Uncommon Bonds (1053)  
    Mick Moloney - With Eugene O'Donnell (GLI 1010)  
    Mick Moloney/ Eugene O'Donnell/ Jimmy Keane "There Were Roses"
    Mick Moloney/Eugene O'Donnell/Seamus Eagan "Three Way Street"
    Moving Cloud - Foxglove (GLI 1186)  
    Moving Cloud - Moving Cloud (GLI 1150)  
    Niamh Parsons - Blackbirds & Thrushes (GLI 1197)  
    Niamh Parsons - Heart's Desire (GLI 1219)  
    Niamh Parsons - In My Prime (GLI 1203)  
    Niamh Parsons - Loosen Up (1167) 
    Niamh Parsons - The Old Simplicity (GLI 1232)  
    Oisin Mac Diarmada - Ar An Bhfidil (GLI 1227)  
    Old Blind Dogs - Fit? (GLI 1214)  
    Old Blind Dogs - Play Live (GLI 1231)  
    Old Blind Dogs - The Gab o Mey (GLI 1223)  
    Old Blind Dogs - The World's Room (GLI 1201)  
    Orealis - Celtic Music / Musique Celtique (GLI 1106)  
    Orealis - Night Visions (1152)  
    Paddy O'Brien "Stranger At The Gate" (GLI 1091)  
    Pan Morigan - Castles of Gold (GLI 1218)  
    Pat Kilbride "Loose Cannon" (GLI 1148)  
    Pat Kilbride "Undocumented Dancing" (GLI 1120)  
    Patrick Street "Compendium: The Best of Patrick Street" (GLI 120)  
    Patrick Street - All In Good Time (GLI 1125)  
    Patrick Street - Corner Boys (GLI 1160)  
    Patrick Street - Irish Times (GLI 1105)  
    Patrick Street - Live from Patrick Street (GLI 1194)  
    Patrick Street - Made in Cork (GLI 1184)  
    Patrick Street - No. 2 Patrick Street (GLI 1088)  
    Patrick Street - Street Life (GLI 1222)  
    Phil Cunningham - The Palomino Waltz (GLI 1102)  
    Rare Air - Hard To Beat (GLI 1073)  
    Rare Air - Primeval (1104)  
    Rare Air - Space Piper (GLI 1115)  
    Reeltime - Live It Up (1179)  
    Reeltime - Reeltime (GLI 1154)  
    Relativity - Gathering Pace (GLI 1076)  
    Relativity - Relativity (GLI 1059)  
    Seamus Ennis - Forty Years of Irish Piping (GLI 1000)  
    Sileas - Beating Harps (GLI 1089)  
    Simon Thoumire Three - Simon Thoumire (1171)  
    Susan McKeown - Lowlands (GLI 1205)  
    Tannahill Weavers - Alchemy (GLI 1210)  
    Tannahill Weavers - Arnish Light (GLI 1226)  
    Tannahill Weavers - Capernaum (GLI 1146)  
    Tannahill Weavers - Collection (GLI 1182)  
    Tannahill Weavers - Cullen Bay (GLI 1108)  
    Tannahill Weavers - Dancing Feet (GLI 1081)  
    Tannahill Weavers - Epona (GLI 1193)  
    Tannahill Weavers - Land of Light (GLI 1067)  
    Tannahill Weavers - Leaving St. Kilda (GLI 1176)  
    Tannahill Weavers - The Best of the Tannahill Weavers
    Tannahill Weavers - The Mermaid's Song   
    Teada - Give Us a Penny and Let Us Be Gone (GLI 1228)      
    Teada- Teada (GLI 1225)      
    The Deighton Family - Rolling Home (GLI 1116)  
    The House Band "Another Setting" (GLI 1143)  
    The House Band "October Song" (GLI 1190)  
    The House Band "Rockall" (GLI 1174)  
    Tom Doherty - Take the Bull by the Horns (1131)  
    Tommy Sands - Down By Bendy's Lane (GLI 1085)  
    Tommy Sands - The Heart's a Wonder (GLI 1158)  
    Tommy Sands - To Shorten the Winter: An Irish Christmas (GLI 121)  
    Touchstone - Jealousy (1050)  
    Touchstone - The New Land (1040)  
    Trian - Trian II (GLI 1159)  
    Tulla Ceili Band - A Celebration of 50 Years (GLI 1178)  
    Various Artists - A Thistle & Shamrock Christmas Ceilidh (GLI 12  
    Various Artists - Cold Blow these Winter Winds (GLI 1229)  
    Various Artists - Green Linnet Records: 25 Years of Celtic Music  
    Various Artists - Song of the Green Linnett (GLI 109)  
    Various Artists - The 20th Anniversary Collection (GLI 106)  
    Wolfstone "Year Of The Dog"
    Wolfstone - Seven (GLI 1198)  
    Wolfstone - The Half Tail (GLI 1172)  
    Wolfstone - This Strange Place (GLI 1188) 
--引用終了--

 ルナサの結成10周年記念のベスト盤が、
03/02 にミュージック・プラントから日本先行発売になります。
定価2,415円、解説=茂木健。

 新曲はありませんが、
ファーストからの〈Aibreann = The last pint〉と
3枚目《メリー・シスターズ・オブ・フェイト》からの〈Morning nightcap〉が、
現在のメンバー、つまりギターがポール・ミーハンに代わっての新録。
一昨年10月ナッシュヴィルでの録音。
オリジナルと聞きくらべるのも一興。

 全体としては
4作目から2曲、その他からは3曲ずつ、計16曲。
旧録もトレヴァー・ハッチンソンがリミックスしなおしています。
なお、これまで出した6枚のアルバムはすべてここで買えます。


 ということは、
今年年末の「ケルクリ」あたりで来日があるか。
今年後半か来年初めに新作も期待できそうですね。
そろそろライヴDVDも出して欲しいところ。

 付属の資料には
各メンバーの楽器メーカーの名も記されていますが、
なぜか、ギターだけがないな。
特別なものではない、ということでしょうか。(ゆ)

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