クラン・コラ・ブログ(アイルランド音楽の森)

 アイリッシュ・ミュージックなどのケルトをはじめ、世界各地のルーツ音楽を愉しむブログです。そうした音楽の国内の音楽家も含みます。加えて主宰者の趣味のグレイトフル・デッド。サイエンス・フィクション、幻想文学などの話もあります。情報やメモ、ゴシップ、ただのおしゃべりなどもあります。リンク・フリーです。

タグ:DAP

 カネは無いはずだが、我ながらいじらしく何とか工面してはあれこれ買ったものである。中でこいつはいい買い物とよろこんだものたち。

Rupert Neve Designs RNHP



 RND はプロ用機器、スタジオで使われるミキサーやコンプレッサーやを作っているメーカーで、あたしには縁はない。無かった。これが出るまでは。これもプロ用で、したがって XLR のバランス入力はあるが、ヘッドフォン・アウトは標準のアンバランスのみだ。しかし一度は聴いてみたかった。ちょうど中古が出たので、ありったけのモノをかき集めて下取りに出して手に入れた。円安で新品は10万する。

 聴いてみて、顔がにやけた。まさにプロの音である。入っている音をそのまま出す。飾りなんかないし、「個性的」な音も皆無。YouTube を聴くと、これは圧縮されているなと素人耳にもわかる。それでいて全体の音は崩れない。ちょっと不思議だ。

 良い録音だと芯が1本、ビーンと通って、ひっぱたかれようが蹴っとばされようが、びくともしない音。小さくて繊細な音もそのままに芯が通っている。これで Tago T3-01 とか、Neumann NDH30 を鳴らすと、まあ、嬉しそうによく歌う。シングルエンドしかないグラドも大喜び。

 録音の良し悪しもモロに出るが、音楽そのものの良し悪しは録音とはまた別だ。最低の録音の音楽が最高ということもある。そして、そういうケースもこれはちゃんとそう聴かせてくれる。バランス・アウトなんぞ、要らない。

 サイズが小さい。しかも ACアダプターである。つまりセミ・モバイルなのだ。プロの現場は屋外だってある。どこにでも持っていける。

 そしてこの小さな姿からは想像もできないパワー。高インピーダンスとか平面型とか、いちいち気にする必要もない。あっさり鳴らしてしまう。小さな巨人でもある。

 これまでのリファレンスはマス工房の model 433 だったが、こいつが来てからは、433 の出番はなくなってしまった。まあ、いずれまたもどるだろうが、当面は RNHP さえあれば、ヘッドフォン・アンプは何も要らない。むろん、これはヘッドフォンのためのものだ。イヤフォンをつなぐものではない。


 スティック型 DAC/amp のハイエンドが花盛りである。DAP が製品として行き詰まりを見せていることの反映だろう。一昨年出た Lotoo PAW S2 を皮切りに、昨年3機種、そして今年どっと出て、モバイルの主なメーカーで出していないのは SONY くらいになった。

 DAP を出しているところは、そのトップエンド・モデルの技術を注ぎこんでいる。最新の iBasso DC-Elite はロームの DAC チップはじめ、DX320 Max に採用したテクノロジーや部品やデザインをほぼそのまま使っている。

 RU7 も Cayin N7 と同じ 1-bit DSD DAC を積んでいる。さらにバランスのラインアウトがあるのがユニークなところ。これなら試さないわけにはいかない。貯めこんでいた楽天のポイントを注ぎこんで、これまた定価の6割ぐらいでゲット。

 スティック型は小型であることもウリだが、その中でもこれは小さいし、軽い。小さいながらディスプレイもついているが、軽いのである。

 で、音はこれまたすばらしい。ふわあと開放されて、滑らかな音がすんなりと体に入ってくる。これなら N7 も欲しくなる。DAC としての優秀さは、RME の ADI-2 Pro FS R と比べてまったく遜色ないレベルだ。

 あたしはこれを主に iPad mini と USB でつないで、ストリーミングを聴くのに使う。iPad mini は今年春に出た第6世代。とりあえずどんなものか聴いてみる時には無線で、つまり AirPods Pro や final ZE8000 Mk2、あるいは HiFiMAN HE-R9 + bluemini R2R で聴くこともあるが、本腰を入れる時には RU7 とヘッドフォン、あるいはラインアウトでヘッドフォン・アンプに入れて聴く。こいつのバランス・ラインアウトから上記 RNHP にバランスで入れて、クローズドならば T3-01、オープンならば NDH30 で聴くと、もうこれでいいじゃん、他に何が要るの、と思う。真剣に思う。わざわざストリーマなんて要らないよ。

 iPad mini 第6世代で聴くストリーミングは、MacBook Air の M1 とか、iPhone SE 第3世代とかで聴くよりもだんぜん音が良い。ストリーミングの音が良いのは、どこがどう効いてるのかわからないけれど、とにかく、手持ちの機器では一番新しいモデルであるこれが一番良い。このことに気づいてからストリーミングで聴くことが格段に増えた。レコードを持っていないものはもちろん、持っていても、ストリーミングで聴くようにもなった。


 新たな展開の見えない DAP で、DAC の方式は最新にして、他は原点回帰に活路を見出そうとしたのがこの RS2。チップではない、抵抗を並べた R2R DAC、メーカーが Darwin と呼ぶシステムである。USB DAC としても使えて、その時には、ソースの機器から電気をとらないモードがついている。RU7 が来る前は、これを iPad mini によくつないでいた。

 Darwin の音は好きである。透明度が高く、滑らかで自然に響き、押しつけがましいところが無い。Darwin の音はどんなだろうと買ってみて、当初はちっぽけなディスプレイ画面とか、データベースが日本語の扱いが不得意とかがあって、失敗したかな、と思ったのだが、聴いていくうちに、すっきりと雑味のない音が好きになっていった。そうなると、画面が小さいとか、日本語がまともに扱えないなんてことは枝葉末節になる。そしてマイクロSDカードを2枚同時に挿せる、無線が一切何も無いという潔さにあらためて惚れなおした。このクリーンな音は無線をばっさり切って棄てたおかげとも思える。

 よく見ると、このサイズ、小さなディスプレイ画面、マイクロSDカード2枚挿し、いずれもこんにちの DAP 隆盛のきっかけとなった、あの懐しき AK100、AK120 へのオマージュではないか。




 MA910SR は発売前に試聴して一発で気に入って予約した。広い音場ときっちりした定位、自然に軽やかに伸びる低域、そして明るいキャラクター。バランスにリケーブルするために、REB Fes 02 @ 川崎であれこれ試聴した中で、あたしにはベストの組合せとして、これに落ちついた。Black Back はちょっと硬くて太めではあるが、この音なら許せる。

 この少し前に qdc の folk を買って、かなり気に入っていたのだが、こいつが来たおかげですっかり霞んでしまった。folk を買ったのは、こんなモデル名をつけられたら、買うしかないじゃないか。実際、ヴォーカルは実に良い。ギター、フィドル、蛇腹、笛などの生楽器もいい。ただ、ダブル・ベースがちと軽すぎる。そこで MA910SR + AIMS を使うことが増える。


Brise Audio Accurate USB ケーブル



 RU7 の前にメインだったスティック型 DAC/amp は PhatLab Rio である。チップは ESS だが、およそ ESS らしからぬ、しなやかで丈夫な音で、商売を抜きにしても、お気に入りである。馬力もあるし、外部電源入力があって、ソース機器から電気を食わなくさせることもできる。

 これと組合わせる USB-C ケーブルをあれこれ試して、結局これがベストだった。つまり、手が届く範囲で、だ。ブリスオーディオはつい先日、USB-C ケーブルの新作を発表したが、17cm で20万ではどもならん。

 お金持ちではない、フツーの、むしろビンボー人にとって Accurate が限界である。とはいえ、これがあれば十分すばらしい。比べなければ、これで最高。今はこれと RU7 をつないでいる。


サウンド・ジュリア ミニ・ミニ・ケーブル
 サウンド・ジュリアは名古屋のオーディオ・ショップ。モバイルではない、スピーカー主体の昔ながらのオーディオ・ショップである。ブログが面白く、もう何年も前から定期的に覗いている。気に入った機器を空気録音して YouTube に上げることもあり、そこで使われる音楽がなかなか面白い。あまりに良いので問合せてレコードを買ったこともある。

 ほとんどは読むだけの機器だが、ときたま、面白くて比較的安いものがある。オリジナル商品の一つ、スーパーコンタクトオイルの効果は大きい。いくつか試した接点賦活剤で、明白に効果があったのはこれだけだった。



 ケーブルも自作する。ある日、車載用として注文を受けて作ったという両端ミニの、いわゆるミニミニ・ケーブルの写真が出た。これに一目惚れしてしまった。

 オーディオ製品はツラが第一である。良い機器はいかにも良い音が出そうなツラをしている。いわゆるデザインが良い、というのとは違う。Bang & Olfsen のように、音も良いかもしれないが、その音の良さよりもデザインの良さが先に立つものとは違うのだ。時には無雑作に、そこらにある材料を貼りあわせたようなものが、良いツラをしていたりする。上記の RNHP などもその例だ。いかにもプロ用の、むしろ実用を考えた、美しいとはお世辞にも言えないが、しかしその佇まいはいかにも良い音が出そうだ。それで聴きたいと思ったわけである。

 このケーブルもそれだった。車載用だからアース線がついている。ごつごつした太いシースがからまっている。ツラがいいというだけでなく、オーラまでたちのぼっている。まったく前後を考えず、気がついたときには、これでアース線の無いミニミニ・ケーブルができないか、とメールしていた。もちろんできる、車載用と同じ長さならいくらいくらと返事が来て、うーっと2日考えて注文した。ミニミニ・ケーブルはすでに Ladder7 に頼んで作ってもらったものがあり、もうこれ以上は要らないと思っていたことなど、すっかり忘れていた。

 それで作ったので写真をとりましたという記事がこれである。





 ステッドラーは日本支社が独自の製品、つまりブランドを借りた OEM をあれこれ出しているが、これはちゃんと本家から出たもので、さすがにデザイン、作りは一線を画す。お得意の三角軸で、この三角軸は他社も含めてこれまでで最高の握り具合である。これまで最高だったファーバー・カステルの Grip 2011や Lyra の Comfort Liner をも凌ぐ。握った瞬間に違いがわかり、書くにつれて、ますます良くなる。我ながらいい字が書ける。もう、がんがん書きたくなる。軸の太さ、表面加工、全体のバランス、すべて揃った傑作。芯径が 0.7 しかないのもよろしい。シャープペンシルの芯はすべからく 0.7mm であるべきだ。0.3mm など、人として使えるものではない。


 来年出るのを心待ちにしているのは final/REB がプロトタイプを REB fes に出していたイヤフォン。一つのボディでユニバーサルとカスタムを同時に可能というのがウリだそうだが、それよりもなによりも、音にやられてしまった。まるであたしのために作ってくれたような音、これまで聴いたどんなイヤフォンよりも良いと思える音、聴くのを絶対にやめたくない音なのだ。REB fes 02 で何の気なしに試聴して、とびあがった。

 もう一つ待っているのがあのアクセル・グレルが Drop とジョイントで作っているオープン・バックのヘッドフォン OAE-1。NDH30 もグレルが中心になって作ったというので聴いてみたものだ。今やわが家のオープン・タイプでは Stax SR-L300 Ltd と人気を二分している。NDH30は本来プロ用で、OAE-1はリスナー用だろうから、どう違うかも愉しみ。


 来年は上の二つ以外は今年買ったものをはじめ、手許にあるものをおちついて聴こう使おうと殊勝なことを心に決めたりもしているのだが、たぶん、またあれこれと新しいものに手を出してしまうのであろう。MEMS ドライバを使ったイヤフォンには期待している。Noble 製品の評判は良いが、Nuarl のものが出るのを待っている。根が新しもの好きなのは死ななきゃ治らない。(ゆ)

 HiBy の DAP、RS2 のファームウェアに 1.1が出ています。

 変更点は
1. ショートカット・メニューのカスタマイズ。ドロップダウン・メニューとクイック・アクセスをカスタマイズできるようになった。
2. DSD 再生の最適化。
3. 「フォーマット」のカテゴリーを「アルバム・アーティスト」に変更。
4. 様々なバグ・フィックス。

 アップデートの方法。
イ. ダウンロードした zip ファイルを解凍。
ロ. できたフォルダの中の RS2.upt ファイルをマイクロSDカードのルート=最上層にコピー。
ハ. このマイクロSDカードを #1 のスロット、つまり正面から見て左側のスロットに挿入。
ニ. システム設定> ファームウェア・アップデート(一番下)をタップ。「確定」をタップ。

 これでアップデートが始まります。無事終ると自動で再起動します。(ゆ)

 FiiO M11 Pro の画面上部に黒い筋が入ってきた。気がついたのは6月下旬。買ったのは2020年8月なので、2年10カ月。最初はこんな具合。

M11Pro画面20230628
 
 それがだんだん伸びてきた。右はあまり伸びないが、左が伸びてくる。太さは変わらない。

M11pro画面20230707

 現在はこういう状態。

M11Pro画面20230727


 バッテリーはフル充電してからの再生可能時間がバランスで6時間半というところ。新品ではバランスで8.5時間としてあるから、約4分の3になった。

 今はヘッドフォン、イヤフォンのエージング用に使っていて、使用時間はリスニングに使った600時間プラス50時間ほど。

 普通にリスニング用として使っても、再生時間として連続で6時間半あれば十分だし、画面の黒い帯もこれ以上太くならなければ、使用にさしつかえはない。最低でもあと1年は使えそうだ。この際なので、エージング用に使えるところまで使ってみるつもりだが、リスニング用としてどこまで使えるかも時々試そう。

 この M11Pro 買ったときの価格は85,000円弱。今のところ月2,400円弱。さて、これが高いか安いか。ウン十万のハイエンドはもっと長く使えるのだろうか。(ゆ)

 ファームウェア・アップデートの記事に追加しましたが、読みにくいかもしれないので、あらためて。

 後を受けた国内ディストリビュータのミクスウエーブのサイトでも、ファームウェア・アップデートの情報が無いですね。本家サイトを見るしか、今のところないようです。

 上のページで下にスクロールするか、検索窓に RS2 と入れます。

 最新のアップデートは V.1.06で、1.05より前のものは消えてます。ということは1.06をかければ、それ以前のアップデートも含まれるのでしょう。各々の変更点は以下の通り。

V1.05 Update
1. USB オーディオのショートカットを追加。USBモードを「オーディオ」に設定しておくと、電源スイッチを左にスライドさせるだけで USBモードとなる。
2. システム設定に「画面消灯時の音量操作」のスイッチを追加。
3. Darwin フィルタ類の最適化。
4. 一部機能の読込時間の短縮。
5. アルバム・カヴァー表示の最適化。 

V1.06 Update 
1. MQA ファイルを再生したときのディスプレイの不具合の改善。
2. USB-DAC の接続が切れた時、ハングアップする不具合の改善。
3. その他、マイナーなバグ修正。


 Cayin N7 が良さそうで、清水の舞台から飛びおりるかと思ったものの、カード・スロット二発、無線無しというトンガリぶりに惹かれて、RS2 をやはりもう少し使ってやろうと思いなおしました。それにこのサイズがだんだんちょうど良いと思えてきました。

 HiBy Music のデータベースは日本語処理がうまくないので、結局、ファイルからアーティスト別のフォルダに移動する形で使ってます。これは実は Astell&Kern の最初の DAP、あの懐しくも、革新的な AK100 や AK120 と同じ使い方なのでした。

 音は文句ありません。Darwin は初代ですが、十分すばらしい。良いアンプをかますと、さらに良い声で唄ってくれます。

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 Lotoo の据置型は気になりますね。あそこは DAC が ESS 以外であることが期待できますし。いくらぐらいかなあ。50万とかいわれるとお手上げだけど。(ゆ)

 国内販売担当の飯田ピアノのサイトには何も出ていないのですが、Hiby RS2 のファームウェア・アップデートがすでに3個出ています。本家のウエブ・サイトからダウンロードできます。

 ミクスウエーブのサイトにあいかわらずファームウェア・アップデートの情報がないですね。本家サイトを見るしか、今のところありません。

 ちょっとコツが必要で、当初失敗したので、問合せて確認したことを書いておきます。

 ダウンロードしたら zip ファイルを解凍します。その中の "rs2.upt" ファイルだけをマイクロSDカードのトップ・レベルにコピーします。これをカード・スロットの1番、正面から見て左側に入れます。ここ肝心。2番に入れてもファイルが見つかりませんと出て、アップデートできません。

 起動します。システム設定の1番下、ファームウェアアップデートをタップ。確定をタップ。

 アップデートが始まり、success と出たら終り。「デバイスについて」で確認できます。

 現在1.02、1.04、1.05 の3個が出ていて、各々にアップデートをかける必要があるようです。ぼくは出た順番にかけました。

 RS2 は音は良いし、カード・スロット二発というのはすばらしいんだけど、HiBy Music の使い勝手が今一つ。ミュージシャンやアルバムで検索した結果から再生しても、再生画面にならない。トラック・リストのトラック名をタップすると再生は始まるけど、画面では止められない。物理ボタンを使うしかない。ジャケットも出ないし、時間も出ない。とりあえず、ここは改善して欲しいです。(ゆ)


2022-11-09 追記
 検索画面で再生画面が出ない件、トラックを右から左へスワイプすると出る、と教わりました。なるほどできます。これでかなり助かります。ありがたや、ありがたや。 

 ついでながらファームウェア・アップデートの内容を書いておきます。

V1.02 Update
1. プルダウン・メニューが降りてこないことがある問題の修正。
2. プルダウン・メニューのゲインの高低切替のバグ修正。
3. 再生画面で右にスワイプすると異常な反応が起きることがあるのを修正。
4. 多階層ディレクトリの奥深くにあるファイルを再生した音のパスのメモリの問題の修正。

V1.04 Update
1. システム設定のオン・オフのトグル・スイッチに「ダブル・タップして目を覚ます」を追加。
2. トラック数の上限を 50,000に増加。
3. その他バグの修正。

V1.05 Update
1. USB オーディオのショートカットを追加。USBモードを「オーディオ」に設定しておくと、電源スイッチを左にスライドさせるだけで USBモードとなる。
2. システム設定に「画面消灯時の音量操作」のスイッチを追加。
3. Darwin フィルタ類の最適化。
4. 一部機能の読込時間の短縮。
5. アルバム・カヴァー表示の最適化。 


2023-04-27 追記
V1.06 Update が出ています。
1. MQA ファイルを再生したときのディスプレイの不具合の改善。
2. USB-DAC の接続が切れた時、ハングアップする不具合の改善。
3. その他、マイナーなバグ修正。

 ミクスウエーブのサイトにはファームウェア・アップデートの情報が見当りませんね。
 

 HiBy RS2 は面白い。無線をばっさり捨てて、R2R DAC を載せ、マイクロSDカードを2枚サポート。ストレージに入れた音楽再生、それも有線のカンに特化している(AV Watch は無線を捨てていると正確に書いている)。DAP の原点。外見も AK100そっくり。でもこれでいいんだよ。

 

 DAP に無線イヤフォンを使うのは邪道だ。無線イヤフォンはスマホで聴くためのものだ。66万の DAP を無線で聴くのか。ストリーミングのために WiFi はあってもいいが、DAP に青歯はそれこそ蛇足だ。

 いや、わかってるさ。無線が有線よりも音が良くなるのは時間の問題だということは。しかし、それはつまり無線のカンに DAC とアンプが入っているからなので、これらが進化すれば DAP に高価な DAC もパワフルなアンプも要らなくなる。そうなると DAP のレゾン・デートルは無くなる。スマホと無線だけで完結する。ストリーミングだって、今でもスマホで Tidal も聴けるのだ。

 とすれば、DAP としてはストレージ=マイクロSDカードに入っている音源をよい音で聴かせることが肝要になる。無線のカンとは異なる良い音で聴かせることだ。であれば DAP と組み合わせるのは有線しかない。

 つまりは RS2 は DAP の原点回帰のように見えて、その実、DAP の未来形なのだ。(ゆ)

07月31日・日
 Moon Audio のニュースレターで iBasso DX170 予約開始。



 Dual Cirrus Logic CS43131 DAC 採用。バランスのラインアウトは無し。3.5mm がラインアウトと同軸を兼ねる。5G WiFi と Bluetooth 5.0。450USD=59802.31JPY。7万か。DX160 の後継。
 しかし M11Pro は表面傷だらけだが、バリバリ元気。バッテリーのヘタりも小さい。買うのなら DX320 だが、買ってもたぶんまだ出番が無いな。M11Pro は音も機能も操作も文句無いが、唯一の欠点は外付のマイクロSDカードを出し入れするのに、添付の金具でつつく必要があること。これが変わらないと、FiiO の DAC は次には買う気が失せる。
 
 ところで Cirrus Logic は「シーラス・ロジック」と表記されているが、「サーラス・ロジック」の方が近いと思うぞ。circus は「サーカス」でしょ。英語はローマ字じゃあない、とバラカンさんがくどいほど繰返すのはこういうことか。

 Moon Audio は SE180 をケースと交換 DAC ユニットの SEM2、3、4 のどれか一つをタダでおまけにつけるバーゲンをしている。太っ腹なのか、必死というべきか。




%本日のグレイトフル・デッド
 07月31日には1966年から1994年まで、9本のショウをしている。公式リリースは4本、うち完全版2本。

1. 1966, P.N.E. Garden Auditorium, Vancouver, BC, Canada
 日曜日。このヴェニュー3日連続のランの楽日。トリップス・フェスティヴァルの最終日。セット・リスト不明。

2. 1967, O'Keefe Center, Toronto, ON, Canada
 月曜日。このヴェニュー6日連続のランの初日。開演8時半。共演ジェファーソン・エアプレイン、Luke & the Apostles。ビル・グレアム主催の "San Francisco Scene in Toronto"。08月02日と05日にマチネーが2回あり、全部で8回のショウが行われた。
 この日のセット・リストの全体は不明。

3. 1971, Yale Bowl, New Haven, CT
 土曜日。7ドル。開演2時。第一部5曲目〈Big Railroad Blues〉からアンコールの2曲まで、第一部5曲、第二部5曲が《Road Trips, Vol. 1, No. 3》で、第二部のさらに2曲が同ボーナス・ディスクでリリースされた。計12曲、全体の半分弱がリリースされたことになる。
 第一部2曲目で〈Sugaree〉、3曲目で〈Mr. Charlie〉がデビュー。
 〈Sugaree〉はハンター&ガルシアの曲。1995年07月08日まで計362回演奏。演奏回数順では24位。〈Loser〉より11回多く、〈Samson And Delilah〉より1回少ない。オープナーになることも多い。スタジオ盤はガルシアのファースト・ソロ収録。デッドのアナログ時代の公式リリースでは《Steal Your Face》が初出。Elizabeth Cotten の〈Shake Sugaree〉が源泉の一つ。歌詞の内容はハンターらしく、なかなかに含みが多く、無気味と言えなくもない。捉えようによってはかなり怖い話になる。
 時期によってかなり様相が変わる曲で、最も輝いていたのは1977年春。ごくシンプルで単調な音を連ねるだけでおそろしくドラマティックな演奏を聴かせるモンスターとなる。
 〈Mr. Charlie〉はハンターの詞にピグペンが曲をつけた。1972年05月26日ロンドンが最後。計50回演奏。スタジオ録音無し。アナログ時代の公式リリースでは《Europe '72》が初出。
 ピグペンの持ち歌として、1972年のヨーロッパ・ツアーでは22本全部で演奏された唯一の曲。ピグペンのレパートリィの中でも最も人気がある。
 ヴェニューはイェール大学構内のスタジアムで、前年、本拠のヤンキー・スタジアムが改修工事をしていたため、フットボールのニューヨーク・ジャイアンツが時折りここを使っていた。ステージと客の入ったスタンド席との間にはかなりの空間があり、最初の音が鳴ったとたん、多数の人間がスタンドからフィールドにわらわらとこぼれ出て踊りだした。オープナーの曲の後、プロモーターは踊っている連中をスタンドにもどそうとしたが、さらに大勢がフィールドに降りた。ショウはすばらしかったが、終演後、外に出ると催涙ガスがたちこめていた。イェールの学生のなかでも過激な連中が、デッドのショウは無料であるべきだとしてゲートを破ろうと試み、警察に追いはらわれたのだった。ブレア・ジャクソンはこのショウを見て、兄弟のデヴィッドに、こいつら、あんまり有名になりすぎるんじゃないか、と不安を述べた、と DeadBase XI で書いている。
 演奏はすばらしい。ピグペンは元気な歌唱を聴かせるが、オルガンはほとんど聞えない。まるでカルテット。クロイツマンがハートの不在だけでなく、鍵盤の不在をも埋めあわせようとするかのように八面六臂の活躍。
 〈Dark Star> Bird Song〉の並びはありそうでなかなか無いかもしれない。どちらも見事な出来栄え。〈Big Railroad Blues〉はむしろ普通のロックをやろうとしているように聞えるが、結局はデッドの音楽になってゆく。この時期は移行期でもあるが、それにしてもこのメドレーのようなすっ飛んだ、トリップしている音楽もあれば、〈Me and Bobby Maghee〉のようなのんびりしたカントリー・ロック、あるいは〈Uncle John's Band〉のようなラディカルなフォーク・ロック、さらには〈Hard to Handle〉がジャズ・ロックになる。ここでのガルシアのソロは、この歌のベスト・ヴァージョン。
 若さにまかせたロックンローラーと、成熟したアーティストが同居している。

4. 1973, Roosevelt Stadium, Jersey City, NJ
 火曜日。このヴェニュー2日連続の初日。共演ザ・バンド。6ドル。開演6時。
 ポスターでは30日からの3日間になっているが、30日は中止になったらしく、どこにも記録が無い。
 ザ・バンドが先。〈The Night they Drove Old Dixie Down〉の最中、土砂降りの雨。デッドが演奏を始める頃には止んだ。
 ヴェニューはマイナー・リーグの球場で、ボクシングの試合、コンサート、高校のフットボールなどに使われた。1985年に解体。
 客の一人が地上に寢ていると、80代と覚しきスーツ姿の男性がとぼとぼと歩いてきて、けっつまずきそうになった。なぜ、その男がそんなところにいたのかはわからない。この頃80代なら19世紀生まれのはずで、デッドのコンサートを聴きにきたわけではないだろう。

5. 1974, Dillon Stadium, Hartford, CT
 水曜日。6.50ドル。開演6時。
 四部構成のうち、第三部〈Seastones〉を除いて、全体が《Dave's Picks, Vol. 2》でリリースされた。
 開演6時で終演真夜中。

6. 1982, Manor Downs, Austin, TX
 土曜日。9ドル。開場6時、開演9時。
 第二部オープナーの〈Scarlet Begonias> Fire On The Mountain〉が2012年の《30 Days Of Dead》でリリースされた後、全体が《30 Trips Around The Sun》の1本としてリリースされた。
 ヴェニューはオースティン東郊にある競馬場で、自動車レースにも使われたようだが、2011年に閉鎖された。施設は今もそのまま残っているらしい。ここでは計5回やっている。他のものの公式リリースはまだ無い。

1977-10-12
1981-07-04
1982-07-31 30 TRIPS AROUND THE SUN
1983-09-13
1985-08-31

 この時のツアー。
1982-07-25, Tempe, AZ
1982-07-27, Morrison, CO
1982-07-28, Morrison, CO
1982-07-29, Morrison, CO
1982-07-31, Austin, TX 本CD
1982-08-01, Oklahoma City, OK
1982-08-03, Kansas City, MO
1982-08-04, St. Louis, MO
1982-08-06, St. Paul, MN
1982-08-07, East Troy, WI DICK'S PICKS 32
1982-08-08, East Troy, WI
1982-08-10, Iowa City, IA

 この年からのショウ全体の公式リリースは今のところ3本しかないが、そのうち2本がこのツアーからだから、このツアーはレベルが高い(もう1本は04月05日のフィラデルフィア)。1982年は80年代でもベストの年とデヴィッド・レミューは《30 Trips Around The Sun》のショウ・ノートで書いている。この年秋の Madison Square Garden でのショウから2本が今年10月のビッグ・ボックスで予定されているのは嬉しい。

 それにしても実に良いショウだ。CD でほとんど3時間の長丁場にまったくダレ場がない。2、3度、ガルシアやウィアが歌詞を間違えるが、そんなことはまるで気にならない。ミドランドは完全に溶け込み、随所ですばらしいソロを聞かせる。本当にこの人は惜しかった。
 初っ端、〈Alabama Getaway〉から途切れなしにごく自然に〈The Promised Land〉へとつながるメドレーからして気合いが入っている。その後の〈Candyman〉もすばらしい。《30 Trips Around The Sun》のベスト版にも採られた〈Bird Song〉から〈Little Red Rooster〉〈Ramble On Rose〉〈It's All Over Now〉〈Brown-Eyed Women〉という並びはどれもこれも力演名演。
 〈Little Red Rooster〉ではウィアのスライド・ギターのソロが聞き物。ハイ・トーンでイカレた感じになるところは、ガルシアにもなかなか無い。その気になれば、かれはこれだけ弾けるのだ。この曲は途中でミドランドがヴォーカルをとる。ドスの効いた声がこの曲にふさわしい。
 〈Brown-Eyed Women〉のガルシアのギターの音色がそれはそれは綺麗。〈Little Red Rooster〉と同じ楽器とは到底思えない。この楽器は "Tiger" だろうか。
 第二部もハイライトが続く。途切れ無しの1時間半のどれもこれもすばらしくて、ある部分だけとり出してどうのこうのと言えない。それでも敢えて言えば、〈Estimated Prophet> Eyes Of The World〉と〈Truckin'〉後半のジャム。そしてそこから〈Morning Dew〉への流れ。


7. 1983, Ventura County Fairgrounds, Ventura, CA
 日曜日。このヴェニュー2日連続の2日目。開演3時。

8. 1988, Laguna Seca Raceway, Monterey , CA
 日曜日。このヴェニュー3日連続のランの楽日。開演正午。デヴィッド・リンドレー&エル・レヨ・エックス、ロス・ロボス前座。
 第一部2・3曲目〈Little Red Rooster; West L.A. Fadeaway〉にデヴィッド・イダルゴ参加。

9. 1994, The Palace, Auburn Hills, MI
 日曜日。このヴェニュー2日連続の初日。26.50ドル。開演7時。
 第二部2曲目〈Way To Go Home〉が《So Many Roads》で、第一部4曲目〈Lazy River Road〉が2015年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。
 どちらもリード・シンガーが持ち味を発揮した快演。〈Lazy River Road〉はガルシアが力を抜いた声で語りかける。間奏のギターの音色が綺麗。時々、曲によってこういう音を出す。
 〈Way To Go Home〉はウェルニクの力み具合がちょうど良い。バンド全体がそれに引っぱられてノっている。入り組んだアレンジもぴたりと決まっている。
 アンコールの〈The Weight〉でウィアがレシュが歌うべき歌詞を歌いだしてしまい、笑いをとった。(ゆ)

06月24日・金
 iBasso DX320、ローム社 BD34301EKV 採用は魅力。同じくこれを採用した Cayin N8ii の半額。

 バッテリーの分離、アンプの交換も面白い。A&K SE180 は DAC の交換。どちらが面白いか、となると、アンプの方が面白そうだ。アンプによる音の変化は量、DAC による音の変化を質、と見れば、質が替わるのは土台がふらふらする感じがある。DAC の好みはより根本的だから、好みのものが出れば、古いものにもどることは滅多にない。アンプは取っ替え引っ替え遊べる。

 DX320 の謳い文句の中では、無線の強化も魅力。SE180 はそこが弱い。WiFi 接続が安定しない。

 R2R 採用の HiBy RS6 も気にはなっている。Himalaya DAC を使って HiFiMAN が新しい DAP を出さないか、待ってもいる。まあ、すぐに飛びつくのはやめよう。


%本日のグレイトフル・デッド
 06月24日には1970年から1995年まで10本のショウをしている。公式リリースは完全版が2本。

01. 1970 Capitol Theater, Port Chester, NY
 水曜日。5.50ドル。早番8時、遅番零時開演。
 セット・リストはテープによるので、完全かどうかは不明。早番ショウは70分強、遅番ショウは2時間半弱の録音がある。早番はアコースティック・セットとエレクトリック・セット。遅番ショウではアコースティック・デッド、ニュー・ライダーズ・オヴ・パープル・セイジ、エレクトリック・デッドの構成。早番でもこの構成かどうかは不明。早番の NRPS とされるテープは無い。
 この頃の NRPS はガルシアがペダルスティールで入り、レシュやドラマーの片方がほぼレギュラー、ウィアもゲストとは言えないほど頻繁に参加しているので、まだ完全に別れてはいない。とはいえ、レパートリィといい、演奏といい、グレイトフル・デッドの演奏とは言えない。
 遅番ショウのオープナーで〈Big Railroad Blues〉がデビュー。Cannon's Jug Stompers のメンバー Noah Lewis の曲。1928年のシングルがある。デッドは1966年に初演していると言われるが、記録が無い。はっきりしているのがこの日の演奏で、1974年10月まで頻繁に演奏され、1979年02月に復活。1990年代はぐっと頻度が落ち、最後は1995年06月28日で、計175回演奏。スタジオ盤収録は無し。アナログ時代では《Skull & Roses》に収録。オリジナル以外では、これが最初の録音とされる。
 ノア・ルイスの曲では〈New Minglewood Blues〉が429回演奏され、〈Viola Lee Blues〉が1960年代のレパートリィの柱の1本。
 大休止以後、演奏頻度が落ちるせいか、演奏されると話題になる。
 エレクトリック・セットの7曲目で〈Sugar Magnolia〉がニューヨーク・デビュー。
 DeadBase XI の Rene Gandolfi によれば、アコースティック・セットと NRPS の間、指定された席におとなしく座っていた聴衆は、オープナー〈Not Fade Away〉の最初の一音が鳴った途端に立ち上がり、前方にぎっしりと詰めかけ、ショウの終りまでそのままだった。ガンダルフィからはバンドの後ろのスピーカーとアンプの壁の向こうにステージの端から端まで四重になった人垣が見えた。みんな踊っていた。時折り、中の1人の女性がステージに踊り出ると、誰か男性が1人出てきて、踊りながら連れもどした。男性が出る時には女性が連れもどした。場内禁煙で、誰かジョイントに火を点けると、懐中電灯の光が照らされた。火を消すと、灯りも消えた。消さないと、何本も光が集中して、その姿が浮きあがった。
 ガンドルフィの友人のボブはこの日が誕生日だったが、チケットが無く、入口付近をうろうろしていた。すると頭上から、おまえ、何やってんだ、と声がかかった。見上げると髭面の男が見下ろしていた。事情を述べると、ちょっと待て、と言って、手持ちのマッチブックにさらさらと何か書き、放ってよこした。そいつをステージ横のドアにいる奴に見せろ、と言われた通りにするとボブはたちまち引きずりこまれ、バックステージのパーティーに加わった。するとさっきの髭面の男が羽根のついた帽子をかぶってやってきて、ステージに出てゆき、オルガンとマイクの後ろに座った。この日、ピグペンは絶好調だった。

02. 1973 Memorial Coliseum, Portland, OR
 日曜日。前売4.50ドル、当日5.50ドル。開演7時。中止になった05月03日の代替のショウ。
 全体が《Pacific Northwest》でリリースされた。
 全体としては前日の方が充実しているが、これも良いショウ。前半、〈They Love Each Other〉のアップビートな演奏がすばらしい。〈Looks Like Rain〉も味わいふかい。これは前日よりも良いか。〈Box Of Rain〉のレシュの歌唱は前日よりもずっと良い。ちゃんと歌になっている。〈China> Rider〉も水準が高い。
 ここでのポイントは〈Dark Star〉で、これはかなり良い演奏。とりわけ、歌の前が良い。〈Eyes Of The World〉へのつなぎも良いが、こちらはもう一つ。〈Greatest Story Ever Told > Bertha〉の流れも悪くない。

03. 1976 Tower Theatre, Upper Darby, PA
 木曜日。このヴェニュー4本連続のランの楽日。8.50ドル。開演7時。

04. 1983 Dane County Coliseum, Madison, WI
 金曜日。11.50ドル。開演7時。
 第二部は最初から最後までまったく途切れず。最高のショウの1本。

05. 1984 Saratoga Performing Arts Center, Saratoga Springs, NY
 日曜日。10ドル。開演8時15分。
 ガルシアが喉頭炎で声が出ず、〈China Doll〉ではミドランドが代役。
 第二部2曲目〈Bertha〉でどしゃ降りの雨。演奏は良かったが、天候は最悪。

06. 1985 River Bend Music Center, Cincinnati, OH
 月曜日。13ドル? 開演6時半。
 ショウを間、雨が降っていた。
 第一部6曲目〈My Brother Esau〉が2013年の《30 Days Of Dead》でリリースされた後、《30 Trips Around The Sun》の1本として全体がリリースされた。

07. 1990 Autzen Stadium, University of Oregon, Eugene, OR
 日曜日。このヴェニュー2日連続の2日目。26ドル。開演正午。雨天決行。リトル・フィート前座。
 この時期のデッドのショウに悪いものは無い。リトル・フィートの出来もすばらしく、計9時間超は人生最高の9時間にもなりえた。

08. 1991 Sandstone Amphitheatre, Bonner Springs, KS
 月曜日。このヴェニュー2日連続の初日。
 オープナーの〈Help on the Way> Slipknot!> Franklin's Tower〉は30分を超える見事な演奏だそうだ。

09. 1994 Sam Boyd Silver Bowl, Las Vegas, NV
 金曜日。このヴェニュー3日連続のランの初日。30ドル。開演6時。トラフィック前座。
 気温摂氏48度超。このヴェニューは砂漠のど真ん中にあるそうだから、無理もないか。踊っている人たちにホースで水がかけられた。ガルシアには大きな扇風機があてがわれていたそうな。

10. 1995 RFK Stadium, Washington, DC
 土曜日。このヴェニュー2日連続の初日。32.50ドル。開演6時。ボブ・ディラン前座。ブルース・ホーンスビィ、ピアノで全篇参加。
 第一部5曲目〈El Paso〉でボブ・ウィア、アコースティック・ギター。
 こんなのはクソだと言う人びとがいる一方で、いやいや、立派なものじゃないか、言われているような状態でなおかつこんな音楽ができるなんて、グレイトフル・デッドは、ジェリィ・ガルシアはやはり特別だ、と言う人びともいる。デッドのショウをこきおろしたくなる気持ちもわからないではない。しかし、デッドは常に前を向いて進んでいた。他の誰もが後退りに未来に向かう時、かれらだけは前を向いていた。そういうかれらをこきおろす資格は誰にも無い。(ゆ)

05月20日・金
 Astell&Kern SE180用交換 DACユニット SEM4着。

Astell&Kern SE180 SEM4 DAC Moon Silver [AK-SE180-SEM4-DAC-MS]
Astell&Kern SE180 SEM4 DAC Moon Silver [AK-SE180-SEM4-DAC-MS]

 楽天の公式ストアで予約したら、発売日の前に届く。早速交換して聴いてみる。聴くのはもちろんグレイトフル・デッドのライヴ音源。
 をを、ガルシアのギターの音が違う。SEM3 や SEM2 ではどこかキンキンする響きが入っていた。あれはやはり ESS のチップのキャラであったのだ。これは AKM で、まろやかな響きが耳に快い。ヴォーカルも滑らかでなまめかしい。ESS はコーラスなどの声の重なりはきれいに出すが、かすかだがやはりぎすぎすする感覚がどうしてもとれない。
 ただ、ドラムスが引込む感じもある。ESS ではかんかんに固まった底からどおんと湧いてくるのが、AKM だと硬い芯の周りをごく薄い空気がふわりととりまいている。ベースも ESS ではびんびんと弾かれるが、AKM では弾いた後の余韻がふくらむように聞える。
 全体としては文句なく AKM で、この SEM4 でようやく真打ち登場と思える。


##本日のグレイトフル・デッド
 05月20日には1967年から1995年まで4本のショウをしている。公式リリースは無し。

1. 1967 Continental Ballroom, Santa Clara, CA
 土曜日。共演 the Real thing、Autumn People。開演12時半。セット・リスト不明。
 共演の二つのバンドは不明。この名前で出てくるのは各々1970年代の別バンド。

2. 1973 Campus Stadium, University Of California, Santa Barbara, CA
 日曜日。当日5ドル。開演正午。ニュー・ライダーズ・オヴ・パープル・セイジ前座。三部構成。前座も含めれば8時間のショウ。
 DeadBase XI の Louis Woodbury によれば、〈China Cat Sunflower> I Know You Rider〉のジャムの途中でPAシステムに積んであったスピーカーの1台がガルシアのすぐ近くに落ちた。ガルシアがケーブルを引っぱったらしい。演奏はまったく途切れなかったが、たちまちクルーがわらわらと現れて、システムに異常がないか、点検した。太陽が西に沈んでゆくのに合わせて、〈Eyes Of The World〉が〈Stella Blue〉へと変わっていった。

3. 1992 Cal Expo Amphitheatre, Sacramento, CA
 水曜日。開演6時。このヴェニュー3日連続のランの中日。レックス財団ベネフィット。共演デヴィッド・グリスマン・クインテット、ヒエログリフィクス・アンサンブル、ファラオ・サンダース。
 このショウに股関節形成異常の手術を受けてギプスを嵌められたままの幼ない娘を連れていった人がいる。優先的に入場させてもらえて、施設のスタッフがお嬢さんとお嬢さん用に持ちこんだビーン・バッグ・チェアを運んでくれた。実に行き届いた世話を受けたそうな。

4. 1995 Sam Boyd Silver Bowl, Las Vegas, NV
 土曜日。30ドル。開演2時。The Dave Mathews Band 前座。このヴェニュー3日連続のランの中日。
 前日よりも良いショウの由。(ゆ)

0209日・水

 あたしはあのソニーの音がどうにも好きになれない。精細かもしれないが、繊細でもあって、聴いていると、まるでヘタに触るとバラバラに砕け散る細工を見ている気分になる。今にも崩れないやしないかとハラハラしながら見つめているので、音楽を楽しむどころではない。そのスリルとサスペンスが娯しいのだ、とおっしゃる向きもあるのだろうが、あたしは音楽を聴きたいので、ソニーの音を聴きたいわけじゃない。

 ソニーもどん底からひとまず脱けたようで、新しいと見えることをいろいろ打出している。グラン・ツーリスモ用 AI は面白い。もちろんゲーム内の環境はリアルなものとは次元が違うから、あれがそのまま役立つとも思えないが、自動運転へのアプローチの一つにはなるんじゃないか。

 その勢いでオーディオでも音ではなく、コンセプトとして面白く、斬新なものを出してほしい。かつての CD やオリジナルのウォークマンのように。iPod だって、ウォークマンがあったればこそなんだし、ストリーミングは CD によるデジタル化があったればこそなんだから、今の音楽商売の状況を生みだしたのはソニーではないか。オーディオのモバイル化とか、音のデジタル化とか、それが出現するまでは、世間一般にはまったく思いもよらなかったことを、ソニーは生みだしたのだ。盛田や井深は偉大かもしれないが、二人が全部作ったわけでもない。DAP はもう後輩たちに任せて、その先を見せてほしい。



0209日・水

##本日のグレイトフル・デッド

 0209日には1973年から1986年まで、3本のショウをしている。公式リリースは無し。


1. 1973 Roscoe Maples Pavilion, Stanford University, Palo Alto, CA

 この年最初のショウ。Wall of Sound のデビュー。だが、最初の音が出たとたん、半分のスピーカーが吹飛んだ。ために、その後、PAは苦労した。一方、演奏は最高で、ベストのショウの1本の由。

 会場はバスケットボール・コートで、床は固定ではなく、バネの上に乗っている。第二部5曲目の〈Truckin'〉の途中で床が波打ちだした。揺れはやがてステージにも伝わって、ステージはボートのように浮き沈みしだし、さらにその上のPAシステムが載った足場が左右にゆらゆら揺れだした。聴衆は起きていることを見てとり、さらに激しく飛びはねだした。とうとうバンド・メンバーも揺れる足場を見て、たがいに顔を見合わせ、全速力で逃げだすべきか、相談したようだった。結局誰も逃げださず、1時間後、全員無事で会場を後にした。と、Phil DeGuere DeadBase XI でレポートしている。


2. 1979 Soldier's And Sailors Memorial Hall, Kansas City, KS

 2日連続の初日。9.0010.00ドル。指定席。開演7時きっかり、とポスターにはある。チケットには8時と印刷されたものもあったらしい。第二部が良い由。


3. 1986 Henry J. Kaiser Convention Center, Oakland, CA

 このヴェニュー5本連続の2本目。春節記念。この年は寅年。16ドル。開演8時。第一部が短かいが、良いショウの由。(ゆ)


 伝聴研ニュース36号が来て、聴覚トレーニングのツールがついにCDからメモリ・プレーヤーになり、ヘッドフォンもモデル・チェンジするとの予告。正式発表は2月予定。プレーヤーには音楽も追加できるそうで、なにせここの DenDAC やヘッドフォン・アンプはやたら音が良かったから、これは楽しみだ。そのヘッドフォン・アンプは小型で、本来携帯用ではないけれど、 DAP と一緒に携帯している人をヘッドフォン祭で見たこともある。

 ボックス・セットは持っているけど、CDP が必要なのはやはり面倒で、トレーニングはあまりやってない。やればいいことはわかっている。筋肉のように鍛えることで視覚や聴覚の老化を遅らせることはできない。伝聴研の聴覚トレーニングは、あたしには効果があって、やると聞こえが良くなる。音楽をよりよく聴けるようになる。老化が遅れているように感じる。時には逆転したとさえ思える。ミュージシャンにはもっと実際的な効果、リズムのとり方が良くなるとか、音程が良くなるとかがあるそうだ。あたしはもちろんそこはわからん。

 新しいヘッドフォンも写真ではツラがいい。またオーテクの OEM だろうが、ベースはどれだろう。形からすると ATH-M60x かな。ATH-770XCOM からマイクを取りはずした形にも見える。



##本日のグレイトフル・デッド

 1209日には1966年から1994年まで9本のショウをしている。公式リリースは3本。うち完全版2本。


1. 1966 Fillmore Auditorium, San Francisco, CA

 4日連続の初日。共演 Big Mama Mae Thornton Tim Rose。セット・リスト不明。

 ビッグ・ママ・ソーントン (1926-1984) はよく知られたリズム&ブルーズのシンガー。後にプレスリーがカヴァーする〈Hound Dog〉が最大のヒット。〈Ball and Chain〉の作者。女性ドラマーのパイオニアの1人。

 Tim Rose (1940-2002) はワシントン、D..出身のフォーク・シンガー。後にママス&パパスに参加する Cass Eliot やジミヘンと The Big 3 というバンドを組んでブレイクする。Bonnie Dobson が書き、デッドがカヴァーした〈Morning Dew〉の作者クレジットに自分の名前を勝手に加えたことで知られる。ドブスンはローズの貢献を全否定している。


2. 1971 Fox Theatre, St. Louis, MO

 開演7時。2日連続の初日。全体が今年のビッグ・ボックス・セット《Listen To The River》でリリースされた。

 セント・ルイスには3月に続き、この年2度目の登場。3月のショウは2日目が《30 Trips Around The Sun》の1本でリリースされている。

 9月に入院したピグペンが復帰した。

 第二部がやけに短く、全体としてもこのショウのみ他より1時間短かい。が、事情がわからない。ライナーにも書いていない。


3. 1979 Kiel Auditorium, St. Louis, MO

 デッドは移動日でショウの無かった前日にジョン・レノンが射殺された。


4. 1981 Activity Center, University of Colorado, Boulder, CO

 12.65ドル。開演7時。全体が《Dave’s Picks, Vol. 20》でリリースされた。

 この年のツアーの打ち上げ。この後は1212日にサンフランシスコの南のサン・マテオでジョーン・バエズとの公演をした後、年末恒例の年越しショウに向けての5本連続になる。

 第一部が〈China Cat Sunflower> I Know You Rider〉で終り、第二部が〈Scarlet Begonias> Fire On The Mountain〉で始まるという黄金の組合せ。第二部はその後も黄金の並び。


5. 1988 Long Beach Arena, Long Beach, CA

 開演8時。

 セット・リスト以外の他の情報無し。


6. 1989 Great Western Forum, Inglewood, CA

 同じヴェニュー2日連続の2日目。開演8時。第一部クローザー前の〈Bird Song〉が《Without A Net》でリリースされた。

 セット・リスト以外のその他の情報無し。


7. 1990 Compton Terrace Amphitheatre, Chandler, AZ

 21ドル。開演1時。2日連続の2日目。

 セット・リスト以外のその他の情報無し。


8. 1993 Los Angeles Sports Arena, Los Angeles, CA

 25ドル。開演7時半。

 第二部 Drums にアイアート・モレイラが、Space にアイアート・モレイラ、フローラ・プリムとオーネット・コールマン、その後の〈The Other One〉からクローザーの〈Turn On Your Love Light〉まで、オーネット・コールマンが参加。


9. 1994 Oakland-Alameda County Coliseum Arena, Oakland, CA

 4本連続の2本目。27.50ドル。開演7時。第一部半ば〈El Paso〉でウィアがアコースティック・ギター。この曲はウィアがアコースティックをまた演るようになって復活した。

 この頃になると、チケットが売り切れなくなり、前の晩は空席が目立ったらしい。この日はほぼ満杯。SBD で聴くかぎり、第一部は音が良くない。初めはドラムスとヴォーカルだけで、ベースは終始聞えず、ウィアのギターはスライドを演っているときだけ。ガルシアは時々歌詞を忘れ、ギターでカヴァーする。もっともそのギターは歌詞忘れを補って余りある。第二部はがらりと音が良くなり、まずオープナーの〈Scarlet Begonias> Fire On The Mountain〉がベストの出来で、しかも長い。長いといえば、この日の Drums> Space はひどく長く、その後は〈Box of Rain〉とアンコールの〈Johnny B. Goode〉のみ。DeadBase XI Mike Dolgushkin David Greenberg のレポートによる。(ゆ)


1208日・水

 A&Cオーディオのヒッポさんが Diretta を誉めているので、どんなものかと調べてみる。しかし Mac ユーザにはなかなか敷居が高いと判明する。

 あたしなりに整理すると、 Diretta はイーサネットで外部記憶装置内の音源ファイルを送りだす際の伝送技術だ。当然ながら、送り手側と受け手側の両方で Diretta をサポートしている必要がある。

 イーサネット・ポートを備えた DAC LAN DAC とかネットワーク・トランスポートとか呼ばれる。このジャンルで Diretta に対応しているのはスフォルツァートのみ。もう一社、イタリアのメーカーも対応しているそうだが、国内販売は無い。

 その他の世に出ている大多数の DAC にはイーサネット・ポートは無いし、あっても Diretta をサポートしてはいないので、イーサネットを USB に変換するブリッジが必要になる。このブリッジは SPEC とオリオスペックから出ている。 ヒッポさんは SPEC のブリッジを試して、CDP よりも音が良くなった、と認めている。

 上流、音源としては外部記憶装置または Windows PC が必要になる。Mac 用の HOST ドライバは開発中というのが2年半前の話。その後、どうなったのか、検索しても出てこない。2年経っても何も出てこないのは、開発できなかったのだろう。

 となると、Mac ユーザとしては対応する外付記憶装置に頼ることになるが、IOデータの fitada または Soundgenic しか無い。

 第1の問題は fitada/ Soundgenic のものはルータに有線でつなぐ必要があること。つながないと再生やコントロールできない。ルータまで延々ケーブルを引き回す必要がある。無線ルータが無意味になる。あるいは親子システムが必要になる。Soundgenic にはネットワーク・コネクタは1個しか無いから、別途ハブが必要になる。この点、Soundgenic のサイトのイラストは誤解を招きやすい。fitada Music App をインストールした iOS/Android 機器であたかも無線で直接コントロールできるように描いているが、実際には Soundgenic をルータにつなぎ、そのルータと iPad などを無線でつなぐ必要がある。

 問題の二つ目、ハード・ディスクは使っているうちにクラッシュすることを覚悟しておかなければならないが、fitada Soundgenic のハード・ディスクは特別製でおいそれと交換はできない。fitada SSD もあるが、最大2TB 60万超。今や 1TB マイクロSDカードが1.5万の時代なのだ。2TB SSD が入ったものになんで60万も出さねばならんのだ。いい音の環境を追求するというよりも、ハード・ディスクや SDD をいかに高く売るかを追求した製品のように見えてくる。

 こうなると Diretta は音は良いかもしれないが、現状ではカネと手間暇かける価値は無い、と結論せざるをえない。これなら、Mac で再生したい音源は AirPlay で飛ばして、対応する DAP なりストリーマなりで受けて、好みの DAC に入れた方が遙かに手間がかからずに音楽が楽しめる。聞き比べてみれば音は違うとしても、比較せずに聴く分には十分満足できるし、それなりに音を良くするためにいろいろ遊ぶこともできる。

 まあ、オリオスペックないし他のメーカーがマイクロSDカードやそれに準ずるメディアを使って、もっと安価で無線で直接コントロールできる Diretta 用音源装置を出せば、また検討の余地は出てこよう。

 Windows PC の代わりにラズパイないし専用コンピュータでもいいわけで、オリオスペックは Diretta 用コンピュータやラズパイを出していたが、コンピュータは販売終了、ラズパイは品切れ納期未定になっている。

 Windows PC を買えって? バカ言え、あの醜い画面を見たくないから Mac を使っているのだ。あの画面を見ただけで、せっかくの音楽が台無しだ。


 しかし、そう、デジタル・アウトだけ装備した DAP をどこか作ってくれないものか。好みの DAC につなぐためのもので、本体に再生機能はなくていい。サイズは多少大きくてもいいから、マイクロSDカード・スロットを複数備えたもの。最大で8枚くらいは欲しい。その読み出しと出力にハイエンド級の物量やシステム(例えば USB Bulk Pet 転送。これって転送するデータの量と速度を一定にするという点では Diretta と同じでないの?)を投入したもの。スマホやタブレットのアプリで再生やコントロールをする。だから本体にコントロール画面は無くていい。AirPlay サポート。マイクロSDカードは装着したままファイルの出し入れもできる。ライブラリは全部一括して扱える。値段は、そうなあ、10万以内。5万ならベスト。そんなもの、誰も買わん、かねえ。



##本日のグレイトフル・デッド

 1208日には1973年から1994年まで、5本のショウをしている。公式リリースは1本。


1. 1973 Cameron Indoor Stadium, Duke University, Durham, NC

 前売5ドル、当日6ドル。開演7時。第一部クローザー一つ手前の〈Weather Report Suite〉が2011年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。

 2011年にはまだあたしはデッドにハマっていないので、この年の《30 Days Of Dead》は持っていない。全体として良いショウとのこと。


2. 1989 Great Western Forum, Inglewood, CA

 3日連続このヴェニューでの初日。19.50ドル。開演8時。

 イングルウッドはロサンゼルス国際空港のすぐ東、大ロサンゼルスの一角。ヴェニューは19671230日にオープンした多目的屋内アリーナで、収容人数は17,500。屋内に柱の無い構造で、このサイズのアリーナとしては最初のもの。1966年から1999年まで、NBA のロサンゼルス・レイカーズの本拠地として、東のマディソン・スクエア・ガーデンと並び称されるスポーツ会場だった。2012年、西のコンサート拠点として開発する意図でマディソン・スクエア・ガーデンを所有する会社が買収したが、2020年、NBA のロサンゼルス・クリッパーズのオーナーがさらに買収している。現在は単に The Forum と呼ばれる。

 デッドはここでこの年の2月と12月の2度、3連チャンをしている。


3. 1990 Compton Terrace Amphitheatre, Chandler, AZ

 2日連続の2日目。21ドル。開演1時。

 セット・リストを除くそれ以外の情報無し。


4. 1993 Los Angeles Sports Arena, Los Angeles, CA

 25ドル、開演7時半。ポスターによればロサンゼルス、サンディエゴ、オークランドのミニ・ツアー。ロサンゼルスはこの日から3日間。

 セット・リストを除くそれ以外の情報無し。


5. 1994 Oakland-Alameda County Coliseum Arena, Oakland, CA

 27.50ドル、開演7時。

 第一部クローザー前の〈Eternity〉で、ウィアがアコースティック・ギター。

 セット・リストを除くそれ以外の情報無し。(ゆ)


1124日・水

 デッドの1973-11-21のデンヴァーのショウを聴きながら散歩していて、〈Going Down the Road Feelin' Bad〉のあまりの気持ちよさに歩きながらわめいてしまい、川縁で遊んでいた幼ない女の子たちに笑われる。


 FiiO M17発売。直販で215,000円。円安だから、こういう値段になるよなあ。国内価格は税込25万切るかどうかかな。うーん、M11Pro まだバリバリ元気だし、特に音にも不満は無いし、バッテリーも良くなってるんだろう、1年以上経つけど、特に衰えた感じはないし。しかも冷却器付きって、そんなに熱くなるわけえ。それはちょっと引くなあ。それと、やあっぱり、Sabre のチップは好かん。旭化成かサーラス(シーラス?)が好みなのよねえ。さもなきゃ、R2R を試すか。HiFiMAN も何やら出したし。

 Kontinum K100 が投げ売りをして、ほぼ半額になっているのが気になってしかたがない。32bit 処理とバッテリーの違いは試したい。後続が出そうもないし。2.5mmバランス・アウトだけ目をつむれば、バッテリーは交換できるから、長く使えそうだし。
 ありゃ、しかし、初値が高すぎだよ。Astell&Kern の流れで強気に出たのかもしれんけど、最初から今ぐらいの値段だったら、後につながるくらいは売れたんでないかい。それとも、あのカタチかしらん。あのバッテリーを使うにしてもさ、もう一工夫欲しいよ。つまりは詰めが甘かったってわけだ。Astell&Kern は何だかんだ言って、突き詰めてることは感じられるのよね。オーディオはニッチなんだから、どこか一点でも突き詰めてるところがないと、わかった、騙されてやろう、清水の舞台から飛び降りてやろう、って気にはなれないじゃない。
 しかし、そうしてみると、詰めの甘いものが半額になったからって、跳びつく道理はないわけだ。32bit 処理の技術も、いずれ iRiver が買いとって、Astell&Kern に組みこむかもしれない。KANN シリーズの次期モデルとか。KANN のあのカタチなら、バッテリーも K100 と同様のものにしやすいだろう。

 ところで FiiO の本家サイトは Safari では表示がおかしくて、M17の製品ページ、右側に空白スペースができてテキストもちょん切れてるんだけど、あたしだけか。



##本日のグレイトフル・デッド

 1124日には1968年から1972年まで4本のショウをしている。公式リリースは2本。


1. 1968 Hyde Park Teen Center, Cincinnati, OH

 ピグペンとトム・コンスタンティンが2人ともキーボードを担当した。The Lemon Pipers が前座。

 The Lemon Pipers は当時地元で活動していたサイケデリック・ロック・バンド。1966年にオハイオ州オクスフォードで学生バンドとして結成。1967年、Ohio Battle of the Bands の決勝に残り、ジェイムズ・ギャングの後塵を拝する。1967年のシングル〈Green Tambourine〉が1968年2月、ビルボードとキャッシュボックスで No. 1 ヒットとなる。ただし、これは契約した Buddah Records が外部のソングライター・チームに依頼して書かせたティーネイジャー向けの曲で、バンド本来の志向とは相反するものだったようだ。また、例によって印税はバンドにはほとんど渡っていないらしい。


2. 1972 Dallas Memorial Auditorium, Dallas, TX

 開演7時。ピグペン病欠で、オープナーの〈Don't Ease Me In〉の後、ウィアがそのことを説明した。


3. 1978 Capitol Theatre, Passaic, NJ

 10ドル。第一部8曲目〈New Minglewood Blues〉が《Beyond Description》収録の《Shakedown Street》ボーナス・トラックでリリースされた。

 会場は2,500収容でチケットは抽選。FM で全国放送された。また、全篇ビデオ収録もされている。DeadBase XI David I. Greenberg のレポートはこのビデオに基いている。この年のベストのショウの一つの由。


4. 1979 Golden Hall, San Diego Community Concourse, San Diego, CA

 第一部5曲目の〈Peggy-O〉が2011年の、第一部クローザーの〈Passenger〉が2014年の、《30 Days Of Dead》でリリースされた。

 セット・リスト以外の情報無し。(ゆ)


1112日・金

 溜まりに溜まったCDをリッピング。ひたすらリッピング。半日やってまだ終らない。デッドの HDCD dbPoweramp でやるが、普通のは XLD がやはり一番使いやすい。音は dbPoweramp でやるのと変わらない。


 HiBy RS6 は聴いてみたい。それにしても、チップ不足で、R2R がまた一つ増えた。

 iBasso DX240はバランス・アウトが今時 2.5 のみというところでペケ。それに、こうなってくると、これといった特徴が無い。アンプ・モジュール交換も Cayin A&K SE180 が出てくると、見劣りがする。HiBy は半歩先へ行っている感覚があるが、iBasso は後追いしている感じ。

 仕掛けじゃないだろう、要は音がいいかどうかだ、という向きもあるかもしれない。しかし、DAP はまだ発展途上なのだ。製品として成熟してるわけじゃない。新しいことをどんどん試せる。ならば、鼻の差でも先へ出なければ面白くない。どこかに、他には無い、こいつにしかない、というものが無いのはつまらなくなる。

 FiiO M17 は本家サイトに復活したが、出ないねえ。

 Cowon は昨年から新製品が出ていない。サイトも昨年4月から更新されていない。本家でも一昨年の Plenue R2 が最新。脱落か。最近はもっぱらワイヤレス・イヤフォンを出しているようだ。


##本日のグレイトフル・デッド

 1112日には1966年から1971年まで4本のショウをしている。公式リリースは1本。


1. 1966 The Old Cheese Factory, San Francisco, CA

 Anniversary Party と銘うたれたイベント。共演 Andrew Staples。ポスターのみ残る。セット・リスト不明。この日のものとして出回っている録音は実際には11-19のフィルモアのもの、だそうだ。ここでやったのはこの1回のみ。

 この日にはもう1ヶ所 Sokol Hall で開かれたヘルス・エンジェルス主催のギグがあり、そちらでも演奏したという。2007年5月に行われたラム・ロッド・シャートリフ・コレクションのオークションによる由。ラム・ロッドはデッドのクルーのリーダーで、一つのバンドのために働いた最長記録保持者と言われる。残っているポスターにはビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニー、メリー・プランクスターズの名と午後8時半開演とある。Sokol Hall The Old Cheese Factory は3マイル、約5キロしか離れておらず、両方に出ることは難しくないそうだ。

 Andrew Staples は不明。


2. 1967 Winterland Arena, San Francisco, CA

 "Benefit For the Bands" と銘打たれたイベント。セット・リスト不明。


3. 1970 46th Street Rock Palace, Brooklyn, NY

 4日連続の2日目。

 雨の夜で客は少なく、500というところ。まずガルシアとクロイツマンが入ったニュー・ライダーズ・オヴ・パープル・セイジが熱い演奏をした。その後で出てきたデッドの演奏はひどかった。が、すぐに止めて、ウィアが弦が切れて、交換してチューニングするのにしばらくかかる、楽にしていてくれ、と言った。1時間ほどしてバンドはステージにもどり、あらためて始めた。今度はすばらしかった。1曲終ったところでガルシアが、ステージ・ライトを消して客電を点けてくれ、と言い、その通りになった。それからそれまで見た中で最高のショウが始まった。その時夜の11時で、終ったのは朝の4時。という証言あり。


4. 1971 San Antonio Civic Auditorium, San Antonio, TX

 前半10曲目、ラストの一つ前の〈Black Peter〉が2013年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。

 全体で10:14あるトラックのうち、曲は8:45で終る。次の〈One More Saturday Night〉の最初のリフの直後、録音が切れる。

 この曲は内容通り、陰々滅々に終始することもあるが、これはパワフルな演奏。このピーターは自分の状況を耐え忍んで、ほとんど強靭と言える相を見せる。全体としても良いショウだろう。(ゆ)


10月14日・木

 FiiO M17 予告。うーん、しかし、本家のサイトからは消えていて、まあ、出ることは出るんだろうけれど、年内に出れば、というところか。M11Pro はまだぴんぴんしてるし、何度も落として、あちこち傷だらけで売れそうにないし、こいつはとことん使い倒すつもり。それよりは FD7 + FDX用ケーブルかなと思ったりもする。


##本日のグレイトフル・デッド

 1014日は1967年から1994年まで9本のショウをしている。公式リリースは4本。うち完全版1本。


1. 1967 Continental Ballroom, Santa Clara, CA

 共演に The Powers Of Evil Om

 サンタ・クララはサンフランシスコ湾南端のすぐ南の町で、サンフランシスコに行くルートとオークランドに行くルートが別れるところ。西隣がクパティーノ。会場はここのローラースケート・リンクを改装したもので、フィルモア・ウェストやアヴァロン・ボールルームに相当するものとして1967年にオープン。柿落しはビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニーとクィックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィス。デッドはここで1966-12-21以来5回演奏し、これが最後。セット・リストは DeadBase XI に4曲挙げられている。


2. 1976 Shrine Auditorium, Los Angeles, CA

 2日連続の初日。この2日間でこの年のツアーは完結し、後は大晦日の年越しショウのみとなる。そのツアーの完結篇として、前半はトロトロで、後半の後半からスイッチが入り、翌日は大爆発、だったそうだ。


3. 1977 Hofheinz Pavilion, University of Houston, Houston, TX

 7.50ドル。午後7時半開演。

 前半2、3曲目〈Mississippi Half-Step Uptown Toodeloo〉〈El Paso〉、後半4曲目〈Playing In The Band〉とその返りが《Road Trips, Vol. 1 No. 2》で、前半6曲目〈Loser〉が同ボーナス・ディスクでリリースされた。〈Playing In The Band〉の返りはアンコールの2曲目、最後の最後で、こういうことをやるのは調子が良い証。

 しかし、こういうショウの部分だけリリースするということを、一体誰が思いついたのか。恨めしい。いつか、このショウの全体が公式リリースされることはあるのか。あたしの生きているうちに。生きて、耳が聞えているうちに。

 全体にテンポが遅めで、ゆっくり演奏する時のデッドは調子が良く、演奏の質も高い。それがよく現れているのはここでは〈Loser〉。〈Playing In The Band〉のジャムはこの時期になるとガルシアのギターとドラムスの対話になる。なぜかレシュがあまり積極的ではない。いわばフツーのロック・ベースに近いことをやっている。かれとしては、だが、デッドの中ではそうすると引込んでしまう。


4. 1980 Warfield Theater, San Francisco, CA

 15本連続の千秋楽。まず訂正しなければならない。このレジデンス公演は当初12本連続として発表され、チケットが発売された。しかし、売行が良かったために、さらに3本追加された。もっとも、こういう場合、当初から15本で計画されていたはずではある。ショウは3日やって1日休み、2日やって1日休み、また3日やって休み、というローテーションで3週間で15本。ロビーにはプロモーターのビル・グレアムが集めた1960年代サンフランシスコの思い出の品や写真が展示された。

 ショウも千秋楽にふさわしいものだったそうだ。そして、最後にグレアムが聴衆全員にシャンパンをふるまい、バンドがステージにまた現れ、グレアムの音頭で場内全員が乾杯。一行は3日あけて、ニューオーリンズに移動する。

 第一部アコースティック・セットの4、5、7、9曲目〈Cassidy〉〈I've Been All Around This World〉〈China Doll〉〈Bird Song〉が《Reckoning》で、第2部ラストの〈The Music Never Stopped〉が《So Many Roads》でリリースされた。

 〈Cassidy〉でのガルシアの、メロディから思いきり外したソロが粋。〈China Doll〉ではミドランドはハープシコードを弾いている。これはシンセではなく、ちゃんと楽器を持ちこんでいた。〈The Music Never Stopped〉ではウィアがやや声を嗄らしていて、そのせいか肩の力が抜けているのが良い感じ。


5. 1983 Hartford Civic Center, Hartford, CT

 2日連続の1日目。12.50ドル。夜7時半開演。《Dick’s Picks, Vol. 06》で全体がリリースされた。

 トレイ・アナスタシオがメタルヘッドからデッドヘッドに転向したのは、このショウでデッドを初体験したためだそうだ。野球のバットで頭をぶんなぐられたようだった、と言う。


6. 1984 Hartford Civic Center, Hartford, CT

 これも良いショウだった由。あまりに長くなったので、ラストの〈Not Fade Away〉が終る前に客電が点灯された。が、バンドは演奏を続けた。NFA が終ったところでレシュ、ウィア、ミドランドはステージから降りかけたが、ガルシアが〈Turn on Your Lovelight〉を演りはじめた。これが終ったところで、ガルシアはそのまま建物を出ていった。


7. 1988 Miami Arena, Miami, FL

 18.50ドル。夜7時半開演。このショウについては情報が無い。この会場で演奏するのはこれが初めてで、1994年春まで計6回演奏している。1988年にオープンし、2008年7月に閉鎖された屋内アリーナ。NBA のマイアミ・ヒートの本拠地だった。収容人員17,000


8. 1989 Meadowlands Arena, East Rutherford , NJ

 5本連続の中日。20ドル。夜7時半開演。良いショウだった由。

 この日、聴衆の一人 Adam Katz が会場を離れた後、死体で発見された。当初、事故と思われたものは、司法解剖の結果、他殺に変わり、犯人としては会場の警備員が疑われた。しかし、逮捕・訴追はついにされなかった。このこともあってか、バンドはこのレジデンス公演を最後にここでは演奏していない。


9. 1994 Madi)son Square Garden, New York, NY

 6本連続の2本目。《Ready Or Not》で後半5曲目〈Corrina〉とアンコールの〈Liberty〉がリリースされた。

 良いショウだったようで、とりわけ後半オープナーの30分を超える〈Scarlet Begonias> Fire on the Mountain〉は圧巻だそうだ。(ゆ)


8月20日・金

 Dan Clark Audio から新フラッグシップ・ヘッドフォン、Stealth の告知。4,000USD。どうせ、国内販売は無いから、買うなら直接だが、食指が動かないでもない。とりわけ、クローズドはいい。とはいえ、EtherC Flow 1.1 があるからなあ。そりゃ、良くはなっているだろうけれど、価格差には見合わねえだろう。




 M11Plus LTD 発売日がようやくアナウンス。Shanling M6 Pro Ver.21も発表。こちらは面白みまるで無し。M17 はまだ影も形も無いなあ。


 Grim Oak Press のニュースレターで、COVID-19 のおかげで紙が不足しはじめているのと、昨年刊行予定のタイトルが今年に延期されたことから、印刷・製本がボトルネックになって、出版が滞りだしている由。以前は印刷所にファイルを送ってから本が届くまで長くても10週間だったのが、今は4ヶ月〜半年かかる。新規の印刷を受け付けないところも出てきた。この事情は Grim Oak のような小出版社だけではなくて、Big 6 も同じだそうだ。わが国ではどうなんだろう。


 Tor.com に記事が出ていたGwyneth Jones の Bold As Love のシリーズは面白そうだ。とりわけ、メイン・キャラの一人が Aoxomoxoa and the Heads というバンドのリーダーとあっては、読まないわけにはいかない。Gwyneth Jones はデビュー作 Devine Endurance を読んではみたものの、さっぱりわからなかった記憶がある。今なら読めるかもしれん。

 


 それにしてもこのシリーズのタイトルは、コメントにもあるように、ジミヘンがらみばかりで、作品の中にもジミヘンへのオマージュが鏤められているらしい。ジミヘンもひと頃、集めようとしたけど、まあ、やはり Band of Gypsy のフィルモア・イーストでのライヴに留めをさす。完全版も出てるけど、あたしには抜粋の2枚組で十分。デッドやザッパとは違う。


ライヴ・アット・ザ・フィルモア・イースト
ジミ・ヘンドリックス
ユニバーサル インターナショナル
2000-12-13



 音楽がらみのサイエンス・フィクションとしては Kathleen Ann Goonan のナノテク四部作もあって、積読だなあ。


 ECM の Special Offer で Around The World in 80 Discs というのが来る。見てみると、ほんとに世界一周かなあ、と思ったりもするが、それなりに面白い。知らないのも多々あって、勉強にもなる。聴いてみましょう。ECM は全部 Tidal にあるし、Master も多い。この Special Offer はいつまでなんだろう。(ゆ)




6月23日・水曜日
 
 Cayin N6ii-Ti R-2R チタニウム・リミテッドエディション。DAC チップの供給に難があるのを逆手にとったのか、ラダー式を採用。AirPlay は無し。マザーボード交換は面白いんだが、その他にこれというのが無い。I2S はあるけど、つなぐものが無い。FiiO は AirPlay、DSD変換、THXアンプとそろっている。当面、これを凌ぐものはなさそうだ。


 Oさんに教えられた平出隆の本を図書館からあるだけ借りてくる。詩集はあとまわしで、まずは散文。『左手日記例言』が無かったのは残念。『鳥を探しに』は購入以来誰も開いたこともないようなまっさらな本。この厚さ、しかも二段組み。いいなあ。こうこなくっちゃ。この長さだけで、読もうという気がもりもり湧いてくる。

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左手日記例言
平出 隆
白水社
1993-06-01


5月24日・月

 市から案内が来たので新型コロナ・ワクチン接種予約をネットでやると1回目は7月末、2回目はその3週間後。最速でこの日付。50代以下は秋以降か。6月に入るとかかりつけ医でもできるようになるというけど、老人はともかく、この辺りでは今どきかかりつけ医なんていない人間の方が多い。東京まで通勤している人たちは大規模接種会場をめざす手もあるが、一都三県の住民は誰でもめざせるから、混雑なんてもんじゃないだろう。1日1万人だそうで、1ヶ月休みなしにやって30万人。焼け石に水くらいにはなるか。


 Apple Music のロスレス、ハイレゾ対応の詳細が明らかになってきて、ハイレゾをどうやって聴くか、かしましい。一番簡単で音も良いのは AirPlay 対応の DAP や DAC、DAC付きのAVアンプに飛ばして聴く形だろう。もちろん USB-DAC などかまして有線でも聴けるけれど、無線に慣れてると面倒なんじゃないか。普段ワイヤレス・イヤフォンなんぞ使わないあたしだって、AirPlay の便利さは一度味わうと戻れん。FiiO の M11Pro、あるいはもうすぐ出る M11Plus なら、ハイレゾをさらに DSD に変換できるから、今でも十分ハイレゾになる。

 AirPods 一族ではハイレゾが聴けないのはやはりがっかり。AirPods Max を買う気が一気に失せた。イヤフォンやヘッドフォンに AirPlay を仕込むのは、そんなに難しいのだろうか。WiFi は Bluetooth とは別のチップが要るとか。


 あるオーディオ・サイトで薦められていたハリィ・ベラフォンテのカーネギー・ホールのライヴ完全盤 から Danny Boy を聴く。なるほど絶唱。ここまでくるとアイルランドとは関係なく凄い。録音も凄い。MacBook Air の Tidal から AirPlay で M11Pro に飛ばし、DSD変換。イヤフォンは Unique Melody の 3D Terminater に DITA の OSLA ケーブルを奢った。この組合せ、少し音が練れてきて、たまらん。この先、どうなるか、楽しみじゃ。この音源は Tidal のマスターではない HiFi だけど、ヘタなマスターより音がいい。いいというレベルではないくらいいい。演奏と録音があまりに凄いので、Danny Boy から Shenandoah まで聴いてしまう。英語 > フランス語 > スペイン語 > 英語のうた。どれもまるで母語に聞える。こんなうたい手もいないだろう。Danny Boy も Shenandoah もこれ以上はできないくらい遅いテンポ。Danny Boy はオケ、Shenandoah はギター1本。こいつはあらためて全部聴こう。(ゆ)


 

4月24日・土

 『《まるい時間》を生きる女、《まっすぐな時間》を生きる男』の訳者あとがきは各種書評からの引用を紹介した、浅倉さんとしては通り一遍のもので、どうやら頼まれ仕事らしい。著者ジェイ・グリフィスについてもこの時はまだあまりよくわかっていなかった。というより、この本となぜか第3作の Anarchipelago が挙げられていて、この2冊を書いた人、というだけの存在。本書も、第2作の Wild も評価は高かったが、センセーショナルな存在ではなかったのだろう。彼女が注目を集めたのは Extinction Rebellion のオクスフォード・サーカス占拠とそれに続く裁判によってらしい。
 F&SF2021-03+04着。Sheree Renee Thomas 編集長最初の号。巻頭に挨拶。文章はいいし、特殊な状況の中で出発することの覚悟と不安がにじみ出ているが、勇ましい宣言もなく、これまで積み重ねられてきたものを受け継いでゆきます。トマスは作家よりは編集者であるらしいから、エドワード・ファーマン以降、ゴードン・ヴァン・ゲルダーを除けばいずれも作家が本業だった歴代編集長に比べれば、続いている雑誌の重みが実感できる、というところか。Akua Lezli Hope の詩を二つ、フィーチュアしたのがまずは新機軸。それと書評の位置がぐんと後ろに下がった。これまでは最初の小説作品の次だったが、巻頭から3分の1ほどのところになった。

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 ヘッドフォン祭オンライン、Shanling N30 はちょと面白い。ようやくこういう形の製品が出てきた。モジュール式にして、ユーザーがモジュールを交換して常に最新式にできる、というのは Cayin N6 が始めた手法で、それを徹底させているのは面白い。ただ、ではその母艦は何が変わらないのかが、よくわからない。今後、どんなモジュールを出すか、母艦の更新の頻度など、もう少し様子を見たいな。それに FiiO 製 DAP の THX アンプは捨てられない。THX の据置きアンプを調達する手もないことはないが、散歩に持って出るから、DAP に内蔵されているメリットは大きい。(ゆ)

 FiiO MP11Pro には THX と並んでもう一つほかには無いメリットがあることを発見した。AirPlay だ。DAP で AirPlay に対応しているのは、どういうわけか FiiO 製品だけなのは興味深い。


 

 AirPlay を使うとどうなるか。

 Mac または iOS 機器のオーディオ出力をロスレスで無線で飛ばし、M11Pro で DSD 変換して聴けるのだ。youtube も spotify も Apple Music も soundcloud も Bandcamp も、とにかくオーディオで音が出るものはすべて DSD で聴けるのだ。MP11Pro には MQA のフルデコードも入っている。TIDAL の master クラスに対応し、これまた DSD で聴ける。

 Apple Music は M11Pro にインストールはできるが、あたしの場合、サインインができない。Bandcamp のアプリはインストール、サインインできた。

 音はどうかって? 有線と比べてみた。hip-dac と RME ADI-2 DACの2機種。まったく遜色が無い。前者にはMQAもあるが、出音は M11Pro の方が上だ。THX アンプのおかげだろう。後者では MQA の恩恵がない。

 そして無線の便利さ。USB ポートは少しずれてもすぐ外れる。iDefender などかますとさらに外れやすくなる。その都度つなぎなおし、出力の設定をやりなおさねばならない。どのケーブルを使うか、気を使う必要も無い。敢えて言えば音の良い WiFi のルーターを選ぶことか。そんなものがあればだが。もっとも古い iPad Mini 4 より iPhone 8 から飛ばした方が音が良かったりする。

 WiFi の届く範囲なら DAP を持って移動もできる。歩きながらでも、竹踏みしながらでも聴ける。なるほど、皆さん、ワイヤレスに行くわけだ。

 正直、AirPlay はどういうメリットがあるのか、さっぱりわからなかったのだが、ようやく納得がいった。いやあ、Apple エライ。ウィンドウズでは DNLA がこれに相当することになるのか。

 将来もしスピーカーを買うにしても、AirPlay 2 対応が必須になってくる。ということは、アクティヴで、DAC 入りになる。今なら KEF の LS50 Wireless II とかだ。Airpulse は残念ながら対応していない。

 ただし、Mac 用オーディオ・プレーヤーでも AirPlay をサポートしていないものもある。やや古い Decibel や Colibri はしていない。Colibri はサポートするべく、全面的に書き換え中とサイトにある。Pine Player はOK。Audirvana はサポートしている。JRiver Media Center は不明。

 もっとも、1曲だけ聴く分には Finder で再生するのが最も手取り早く、音も良い。クィックルックすると操作もできる。

 そうそう、AirPlay のメリットはもう一つ、あるんだよ。

 Mac のポートの数が少なくてすむのだ。ということは安くすむ。Mac からオーディオを出すためにわざわざ Thunderbolt 3 x 4ポートの MacBook Pro を選んでいたが、そんな必要も無い。2ポートで充分だ。まだ繋ぐ必要があるのは CD のリッピングだけだ。これも最近は Bandcamp で買うことが増えて、リッピングする頻度は以前の半分以下だ。それに今は iOS 機器に無線でリッピングすることも可能だ。音はやってみないとわからないが、WiFi だから AirPlay と同じレベルではあるだろう。しかし不思議なことに macOS 機器と無線でつながる外付 DVD プレーヤーは無いようだ。

 こうなると、CHORD Hugo 2+2Go か iFi Pro iDSD が欲しくなる。AirPlay に対応している DAC は今のところこの2つだけ。前者には MQA が無い。後者はコンセントが要る。

 しかし、当分は M11Pro で楽しむ手もある。今年の年末にこれの後継機を楽しみにして。(ゆ)

 新しいDAPを買った。FiiO M11Pro である。実は当初 M15 を買おうとしたのだが、どこにも在庫が無く、取り寄せにも時間がかかりそうだっのでやむなく 11Pro にしたのだが、今はかえって良かったと思っている。


 

 Cayin N6ii のマザーボードとバッテリーを一体化して交換できるコンセプトにも惹かれて、ほとんどそれに決めていたのだが、最後に方向転換したのは M11Pro のDSD変換機能だ。すべての出力をDSD に変換して出す。

 Android の サンプリングレート変換を回避する Pure Music モードもあり、これとDSD変換を組み合わせると、これ以上、何もいらないじゃんという気分になる。

 Pure Music モードへ切替える方法がついにわからず、輸入元のエミライに問い合わせる。どこの画面でもいいから、上端から下へスワイプすると出てくるメニューの中に切替のスイッチがある。Pure Music モードにすると FiiO Music のみが立ち上がり、他のことは一切できない。DSD変換のオン・オフをする「設定」アプリすら出てこない。これを出すには Android モードにもどさねばならない。ゲインの切替だけは、同じく、スワイプで出てくるメニューで切替えられる。

 Pure Music モードは一度入れると戻れない。オフにすると全体にくすんで、音楽に生気がなくなる。

 M11Pro には 15 には入っていない THX が入っている。15 ではなく、11Pro で良かったと思った理由がこれだ。THX に気がついたのは、実は Benchmark HPA4 のささきさんによる PhileWeb の記事を見て、これに実装されている THX ってどこかで見たぞと思い出した次第。

 HPA4 が使っているのは AAA-888 という THX のトップグレードだけど、M11Pro に実装されているのは THX-AAA-78 で、こちらはモバイル用のトップグレードだ。THX のサイトの製品案内によれば AAA-789 になる。DAP で THX を採用したのは初めてらしい。

 THX の効果は低ノイズ、低歪み、そして低消費電力、さらにハイパワーと、ヘッドフォン・アンプにとって良いことづくめだけれど、確かに M11Pro は静かなのだ。いわゆる雑味が無いというやつで、音楽が際立ってくる。個々の音や残響やその重なり具合にピントがぴしっと合って、にじんだりボケたりするところがまるで無い。聴いていて気持ち良いのだ。音楽の一部としてのノイズもきれいに聞える。一方で、録音の良し悪しはモロに出る。良し悪しというより録音の性格、録り方とか、ミックスやマスタリングの方針とか、そういうものが剥出しになる。慣れた人なら使っている機材のモデル名まであてられそうだ。編集でつないだところも、それとわかる。

 消費電力はよくわからない。DSD変換は当然電気を食うが、一度にそう何時間も聴いているわけではないから、まあ、こんなもんだろうで今のところすんでいる。それにバッテリーの充電が速い。100%になるのに2時間かからない。

 驚いたのはパワーだ。Benchmark の HPA4 でも鳴らないヘッドフォンがよく鳴るとささきさんも驚いていたが、M11Pro のパワーも DAP の次元ではない。なにせインピーダンス 600Ω の T1 がまあよく歌ってくれる。あたしのは初代 T1 の特製バランス仕様で、バランスはパワーが出るわけだが、それにしても、この鳴り方はまっとうなヘッドフォン・アンプを介さなければ、これまでは無かった。伸びるべきところはどこまでも伸び、止まるべきところは見事に制動が効いている。もちろんハイゲイン設定だが、音量スライダは下から3分の2あたりでちょうどいい録音が多い。

 EtherC Flow 1.1 もいい気分で歌う。これもなかなか気難し屋で、ただパワーがあるだけではうまく鳴ってくれない。手許のは初代で、あまりに鳴らないので、一時は手放そうかと思って、AMP に品出ししたこともあったが、1.1 にアップグレードし、マス工房 model 428 と組み合わせてようやく実力がわかってきて、売るなんてとんでもない。エージングもいい具合になり、そろそろケーブルを換えてみるかという気になっていた。M11Pro で聴くと、これならブリスオーディオの Mikumari を奢るかと気分が昂揚してくる。

 こうなってくると THX のヘッドフォン・アンプは DAP では必須ではないかとすら思える。少なくとも、あたしは今後、これが入っていないと使う気になれない。

 FiiO Music の使い勝手はまずまずで、この辺りは HiBy と同じ。入れているマイクロSDカード 512GB の3分の2くらい使っていて、アルバム数も結構あるが、画面が大きいこともあり、スクロールして右端に出るアルファベットで跳ぶのもやりやすい。

 デメリットはまず熱くなること。公式サイトのQ&Aにもあるように、やむをえないところだろうし、ささきさんも言うように、オーディオでは熱くなるのは音がいい、というのはたいてい当っている。一度、シャツの胸ポケットに入れて15分ほど歩きながら聴いたら、かなり熱くなった。季節要因もあるだろうが、携帯するにはもっと通気のよいものに入れる必要がありそうだ。今のところ、散歩用はこれまで使っている Hiby R5 で、M11Pro はもっぱら屋内での使用。冬は持ち出してもいいかもしれない。

 DAP は世代交替が激しいし、保ってせいぜい2年でバッテリーがダメになるから、5万前後までのものにしていたのだが、DSD変換に誘われて「清水の舞台」から飛びおりてみたら、別世界が開けた。この方向で、Sony DMP-Z1 を凌ぐようなものを出して欲しいものではある。Chord Hugo 2 のような半携帯式でバッテリー駆動で THX-888 のヘッドフォン・アンプを備えて、部品にもとことんこだわった DAP。バッテリーには先日発表された K100 が採用した円筒型の電気自動車規格の21700型リチウムイオン充電池はどうだろう。半デスクトップなら、K100 みたいな不恰好にすることもないだろう。

 HiBy に比べると FiiO は DAP を作ってきた経験が長い分、いろいろな点で一日の長があるように思う。もっとも R5 も悪くない。M11Pro よりも小さく軽く、熱くなることもないし、シーラス・ロジックの DAC チップの音も好きなので、散歩用としてはまだまだ活躍してくれるだろう。

 オーツェイドの人のように擁護する向きもあるが、あたしはあの 2.5mm バランス端子がでえっきれえなので、A&Kや今度の K100 は使ってみたいと思うこともあるけれど、当面は選択肢に入ってこない。M11Pro にも 2.5mm ジャックはあるのだが、華々しく金色の枠がついている4.4mm ジャックの隣に添え物のようにちょこなんと着けられていて、ちょっと見るだけではあるのさえわからない。こんな扱いにするなら、とっぱらった方がよかったろうに。もっともこれには、両方同時に挿せないようにという配慮もあるのか。

 イヤフォンは耳の中で存在を主張されるのが苦手で近頃はもっぱらヘッドフォンで聴いている。遠出をする機会が極端に減ったので、電車に乗らず、したがってイヤフォンを使うチャンスはますます減っている。光城の Keyagu とか、オーツェイドの intime 翔とか、ファイナルの A8000 とか、使ってみたいものも無いことはないが、ステイホームのうちはヘッドフォンで遊ぶだろう。そうそう、M11Pro と HD414 の組合せが、歌好きにはもうたまりまへん。414 のケーブルもグレードアップしたくなっている。ファイナルのシルバーコート・ケーブルが使えないのは、かえすがえすも残念。

 それにしてもゼンハイザーは HD414 の直接の後継機を出す気はもう無いんだろうなあ。500や600のシリーズを使えというんだろうが、ちょと違うのよねえ。まんまの復刻でもいいんだけど。今使ってるのが壊れると替えが無いのがなんとも不安。(ゆ)

 ニール・ヤング、えらい!

 正直、危惧していたところもあったんです。かれがやっているのははっきり言って爆音で、なん十年もあんな音でやっていたら耳がいかれてもおかしくはない。実際、補聴器のお世話になっているロック・ミュージシャンも少なくないと聞きます。

 しかし、これを聞くかぎり、ニールの耳はまっとうです。やっぱり、ちゃんと気をつけて、十分休めたり、メンテをしたりしていたんでしょう。アコースティックのセットを入れるのも、そういう要素もあるのかもしれません。

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 ぼくがこれに飛びついたのは、ニールのファンであることや新しもの好きは別としても、これがミュージシャンが企画し、音決めの中心になっているという点で、ひじょうに稀な、ひょっとすると史上初めてのオーディオ装置だ、ということがありました。音楽もやるエンジニアが造ったものやミュージシャンが協力したものはあったでしょうが、ミュージシャン自身がゼロから企画して製品化したプレーヤーは、少なくともコンシューマ・レベルではほとんどないんじゃないか。

 一番近いものとしては、ヘッドフォンにおける Beats でしょう。ミュージシャン自身が、わたしの、おれの音楽はこれで聴いてくれ、というツール。

 まだ使いだして数時間ですが、当面メインのリスニング環境になるでしょう。音が良いとか、音質の良し悪しということよりも、聴いていてとにかく気持ちがいい。どんどん音楽を聴きたくなります。ぼくにはこれがどんなものよりも確実な基準なのです。

 試聴して、凄い音だなあ、と感心はしても、ずっと聴きつづけたいとは思わない音を聴かせる装置は少なくありません。というよりも、そういうハードの方が多い。こりゃすげえ、と一目惚れして買いこんでも、しばらくは夢中になっているが、いつの間にか使う頻度が減っている、という体験を何度もしています。

 別の言い方をすると、PonoPlayer はとても「楽な音」を聴かせてくれます。録音されている音が、ひとつ残らず、しかも無理なく、耳に入ってきます。気を張って、さあ聴くぞ、と神経を集中させるなんてことをしなくても、音楽の各要素が、それぞれ適切なバランスで、ありありと立体的に聞こえてきます。そして、全体として、音楽を聴くことがとても楽しい。快感です。ほんのちょっとしたデターユに、背筋に戦慄が走ります。今は試しとして、聞き慣れた曲を聴いているわけですが、さんざんいろいろなハードで聴いた曲で、ああ、ここでこの楽器がこんなことをやっていたのか、とあらためて教えられます。それも、さあどうだ、こいつを聴けえ、という押しつけがましさは皆無。さりげなく、ごくあたりまえのこととして、さらりと奏でられる。発見しながら、あっと驚くのではなく、するりと納得してしまっています。

 そういう意味では音が変わることを喜ぶオーディオ・ファンにはあまりお好みではないでしょう。音よりも音楽を聴きたい、それもなるべく良い音で聴きたいリスナーが適当なDAPを探しているのなら、第一候補になると思います。

 192/24までのサポートというのも、スペックを良くすることよりも、ミュージシャンが聴かせたい音楽を聴いてもらうにはこれが必要ということなのでしょう。

 本体のメモリにはニール・ヤングの《ハーヴェスト》のタイトル曲が入っています。これはハープも含めたフルオケをバックにニールがうたう形ですが、こんな曲だったのか、とこれには驚きました。このうたのバックとしてフルオケがふさわしいと判断したその意味がようやくわかりました。それはおまえが鈍感だからだと言われればその通りですが、そういう鈍感なぼくでも否が応なくわかってしまうくらい、この音には説得力があります。

 ならばCDレベルやMP3では全然話にならないのかといえば、むろんそんなことはありません。それまでダメだった音が192/24になったとたん、いきなり良い音になるなんてことはありえません。どんなタイプのファイルでも、気持ちよく、楽に、デターユに満ち、生き生きとした音楽を楽しめます。ただ、レゾリューションが上がれば、デターユを描く精度が上がり、立体感がより鮮明になり、音に込められたエネルギーがより大きくなります。

 イヤフォンは音茶楽の Flat-4 粋、FitEar、ヘッドフォンは Yuin G1a です。ちょっと心配していた、敏感なイヤフォンでのノイズもありません。

 対応インピーダンスは見当りませんが、Yuin G1a はインピーダンスが150オームで、まったく問題ありません。Pono のフォーラムではベイヤーの DT990 Pro で Momentum を圧倒する音が聴けたという報告があります。これは250オームです。Oppo PM1 を試した人もいました。音質の好みはともかく、ドライブには直刺しで問題なかったようです。

 タッチパネルの反応は上々で、これまでのDAPで最もきびきびした動きです。敏感すぎることもありません。

 断面が二等辺直角三角形になる角柱は案外手になじみます。また、テーブルなどに置いた場合も安定し、かつ、ぺたっと寝た形よりも場所をとらない気もします。

 重さははじめ見かけよりも軽く感じますが、持っていると適度な重みがあります。

 メモリは内蔵が64GB。マイクロSDカードは128GBまでサポート。Grateful Dead 限定版には64GBのカードが付属し、これに《WORKINGMAN'S DEAD》全曲と《TERRAPIN STAITON SUITE》というタイトルで6曲入ったアルバムが収録されています。ともに192/24のflacファイルです。上記のニール・ヤングの〈ハーヴェスト〉は内蔵メモリに入っています。

Pono display 縦
 

 バッテリーは4時間でフル充電、とマニュアルにあります。持続時間は書いてありません。まだわかりませんが、かなり長そうです。スリープ状態では1週間保つそうです。

 ファイル・タイプとしては主なところはOKです。cue sheet はわからないので、質問を投げています。


 それにしても、シングルエンドでこの音とすると、バランス化したらどうなるのか。実に楽しみになってきました。(ゆ)

というほどのこともないですが、正規代理店のエアリーにたずねたところ、詳細がわかり次第ウェブ・サイトで告知するとのこと。発売はやりは3月ですが、価格は未定。

 メーカーによると、Westone 3 ははじめからコンシューマ用に開発した製品で、音楽鑑賞用には UM-2 より上質の音だそうです。UM シリーズは元来は「フィールドモニタ」の由。

 フィールドモニタとしての IEM は無知でよくわかりませんが、やはりステージや屋外で、普通のモニタ・システムが使えない、あるいは使いたくない場合のミュージシャンやエンジニアのためのモニタ、ということなんでしょう。

 しかし、2月にはタッチ・パネル方式 iPod の噂もありますし、うーん、懐が……。

 耳の中にさしこむ形で外の音を遮る、いわゆるカナル形のイヤフォンがいろいろ出ていますが、編集部愛用の Westone Laboratory が新作を発表したそうです。それも CES ではなく、MacWorld に出したそうで、それだけでも、編集部的にはポイントが高くなります(^_-)。

 Wesotne はプロ用のイヤ・モニターの老舗で、音楽鑑賞用に UM シリーズを出してます。日本での知名度は低いですが、海外では定評があります。Shure E5c は UM-2 に そっくりで、あれは Westone の OEM ではないかと邪推できるくらいです。国内ではここで買えます。昨年できた新しい会社 Mix Wave というところも扱ってます。

 他の IEM つまり、イン・イヤー・モニタは聞いたことがないので、比較はできませんが、ふつうのヘッドフォンと比べてもWestone はナチュラルで、音楽を楽しく聞けるので、気に入ってます。遮音性も高く、散歩には危険です。編集部はもっぱら電車、バスでの使用。飛行機ではまだ試すチャンスに恵まれず。例えば地下鉄の中でも、無伴奏歌唱やハープのソロをじっくり聞けます。

 遮音性が高いので、いわゆる密閉型のヘッドフォンの代用にもなります。というより、他に密閉型を買う必要を感じません。もっとも、Ultrasone の DJ1PRO はちょっと聞いてみたいものではありますが。

 Westone 3 は IEM で最初の3ウェイ3ドライバだそうです。Shure の E500 すなわち SE530 など、今ある3ドライバのモデルはドライバは3つですが、高音用と低音用の2ウエイで、低音用が2つの構成。Westone 3 は高音、中音、低音に1つずつという構成。ちなみに UM-2 は2ウエイ2ドライバです。

 トラックバック先の記事のリンク先にある MacWorld での試聴レポートによれば、UM-2 とは段違いに良いそうなので、かなり楽しみ。3月発売、アメリカでの価格が400ドルだそうですから、日本では5万円ぐらいでしょうか。


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